2016年10月15日土曜日

あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫)

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著 伊藤典夫・小野田和子訳
(カバー裏より抜粋) 地球からの異星調査隊が不思議な共生生物と出会い深い関係を結ぶ「いっしょに生きよう」神の死の報を受け弔問に来た悪魔の考えた「天国再活性化計画」

 個人的なお勧めは「アングリ降臨」。異星人の来地球の目的は??副主人公的なアングリがゆったりとしたイメージに読めるので、作品自体にのんびりとした雰囲気が漂っています。ゆったりとした内容ではないのですが。アングリに何もかもコントロールされて、それを受け入れるしかない人類。しかも生け贄(だと思う) を連れ去られて。でもアングリが性善説で天使的(ひたすら平和主義) なので頭を気持ちよく混線させてくれます。
「天国再活性化計画」も中々。作者は宗教テーマが好きなのかなー?初めての一冊なので分かりませんが。悪魔が亡くなった神の弔問へ。旧知の天使と色々話をして…なのですが、新たな創造主が…。宗教の知識がないのでちょっと理解できない部分も多いです。「もどれ過去へ」も私的好みの良作。タイムマシンで未来に旅立つ若人。ただし戻ってきても未来での記憶はない。未来で得た全ては戻った時点で失われてしまう。自分の未来を知った高慢な女子の決断。非常に愚かな。でもその愚かさが理解できます。自分の「嫌」に逆らえない。仕方がない、性格だから。ちゃんと惨めな最後を遂げてしまう。仕方ないのです。他も良作が揃った逸品。

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