2016年8月19日金曜日

死の迷路(ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 山形浩生訳
(カバー裏より抜粋) 目的も告げられずに、未開の辺境惑星デルマク・Oに送り込まれた14人の男女。使命を伝えるはずだった通信は未達のまま、外部との接触を絶たれてしまった彼らは、その惑星で奇怪な光景をめにすることになる。

 ディック版「そして誰もいなくなった」。とんでもない惑星に片道切符で送り込まれたあげく、一人ずつ死んでいく…。死に方はもちろんディック的な死に方。疑心暗鬼、追いつめられる人々。そして最後の一人が…。死に方とか追いつめられ感とかが面白い。で、最後にまさかのどんでん返しが…。ネタバレすると夢オチ…というか、夢も現実も大した違いは無い。彼らは壊れた宇宙船の中で死ぬまでの時を過ごす。これ、凄く怖い。死ぬまでですよ。で、気晴らしにコンピュータが作り上げた夢の中で過ごす。夢の中の人間関係・殺し合いで現実の人間関係も悪化…最悪。そろそろ食料も付き始めている。さて、この先何が起こるのか…までは描かれていないけど、最悪の事態が起こるのだろうなとは想像させてくれます。ドロドロですよ。ディックの作品でドロドロでないのはありませんが。私は好きだなー。

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2016年8月3日水曜日

へびつかい座ホットライン (ハヤカワ文庫)

ジョン・ヴァーリイ著 浅倉久志訳
 (カバー裏より抜粋) 外宇宙からの侵入した謎の物体によって地球を破壊された人類は、水星、金星、月、火星など八つのり植民地で、ふたたび独自の文明を築き上げていた。その発展は、へびつかい座70番星の方向から超タイトビームで送られてくるメッセージなしには不可能だった。

 祝!!増刷。Amazon以外の通販、大手の本屋さんなら新品が手に入ります。このまま、ジョン・ヴァーリイの作品の復刊、増刷続くといいのですが。

 この作品は〈八世界〉シリーズの一つです。設定では、地球はインベーダーに侵略されています。そして地球を取り戻そうとする「トイード」は主人公「リロ」を利用しようとする…が…。クローン、クローン、クローンです。読んでいるうちにコピー元が分からなくなってきます。「リロ」のコピー元は無くなっていますが、他の登場人物のコピー元は、あれあれ状態ww で、この「リロ」がたくさんのクローンと上手に連携して「トイード」追いつめる。その過程で「へびつかい座」の謎が…みたいな。

 正直「へびつかい座」の正体に関しては(正体といっても完全に解き明かされたわけではない) がっかり。盛り上がってきたところに水を注された気分になりました。「トイード」の逃げっぷりとサイコパスっぷりには好感を持ってしまったww 主人公より脇役に魅力を感じる作品です。もう一度読めば印象変わるかな??

 この作品はまで続きそうな雰囲気で終わっています。続きは書かれているのだろうか。〈八世界〉は各作品の主人公、登場人物より世界観に魅力を感じる作品です。もっと〈八世界〉を味わいたいのですけど。

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