2011年12月27日火曜日

おとぎ話の幻想挿絵 (PIEBOOKS)

海野弘監修

 おとぎ話の…小説等も含む…挿絵を画家別にまとめて解説してある。有名なお話から馴染みの無いものまで色々。19世紀から20世紀初頭の画家が中心。時代独特の雰囲気が感じられる。キャラクターが細い印象。綺麗でこんなイラストが描けたら…と憧れる。軽くエロチックなのもいい。作品の中には、自分がそのおとぎ話に持っていた印象と違うものもあって、違いを楽しむのもいい。

今日の積ん読

おとぎ話の幻想挿絵 PIEBOOKS
ヴェネツィア帝国への旅 ジャン・モリス 講談社学術文庫
十二支考 上・下 南方熊楠 岩波文庫
スペイン民話集 岩波文庫
ドイツ炉辺ばなし集 ヘーベル 岩波文庫
クリスマス・キャロル エドウィン・L・マリン監督 

現在の積ん読 本:198冊 DVD:116枚

 初代iPodnanoの交換プログラム、つまりリコールするよメールが着たので、「そろそろバッテリー経たってるし、交換しようかな」と送付。…ネット上で、交換品として初代nanoではなくて6世代…現行品が送られてきているという情報が…。nanoの中のiTunesのVer.情報で機種が選ばれるとか。初代以外が送られてくる可能性があると分かってたら送らなかったのに…不具合はなかったのに…。どうなるやら。

2011年12月23日金曜日

四つのギリシャ神話「ホメーロス讃歌」より (岩波文庫)

逸身喜一郎/片山英男訳
ギリシャ神話の小品集

 古代の人は、こういう風に謡っていたのか…。これを朗々と舞台や人前で謡うのを聞けたら、いい心地だろうな (ただし巧い人に限る)。ギリシャ神話への入り口としてもいいと思う。お話が分かり易いし。でも、人間臭い神様たちだなー。これがギリシャの神々の良さだけれど。

スペイン民話集 (岩波文庫)

エスピノーサ著 三原幸久訳

 他の民話に比べると、色っぽい話が多い気がする。日本でも馴染みのある (他の民話や童話と類似している) お話が多いし、楽しめると思う。「聖女カタリーナ」は中々興味深い。蜘蛛の糸の類話があるんだ。

エイリアン VS. プレデター (2004アメリカ)

監督 ポール・W・Sアンダーソン
プレデターのエイリアンホイホイの餌となった調査隊。その運命やいかに!!

 娯楽映画です。何も考えずに楽しみましょう。私の大好きな映画の一つです。ええ、愚民ですとも、悪いか!しっかし、アメリカ人ってトカゲの形状好きだなー、と改めて思った。大したグロシーンはないけど、私は苦手なので目をつぶってパス。次々と襲いかかる罠、迷路、そしてマヤ暦。マヤって神秘的なのかな、一時流行っていたような。そういえば来年2012ですね。女主人公強し!プレちゃん、いいなり…。通常脇役の見せ場少ない…仕方ないか。じいさんの最期は格好良かった。で、ラスト…南極で一人残されて…無線とか食料とか設備残ってたのかな、と余計なことを考えてしまうのだった。

2011年12月2日金曜日

中国民話集 (岩波文庫)

飯倉照平著
中国の民話集。

 日本の民話への影響というか、共通する話が多い。「天の川の岸辺」織り姫と彦星の話なんだけど、何だか彦星の牛飼いがストーカー化しているような。織り姫が力一杯逃げてる…子供もいるのに。よっぽど嫌だったのか…。 読んでいてやりきれない話…「乞食になる運勢」とか「狼」とか…あり、正義が勝つ系の話ありで、楽しめる。日本での話と比べてみるのも面白い。

ハンガリー民話集 (岩波文庫)

徳永康元 石本礼子 岩崎悦子 粂栄美子訳
ハンガリーの民話集。

 「ヤーノシュ」って日本でいうところの「太郎」とかいうイメージかな。よく出てくる名前。「千夜一夜物語」の中の話とよく似たものも多い。既存の民話をパロっている部分もある。「ベチャーロシュ」の魔物の三つの宝を取り上げようとして、バレてしまうところとか、中々面白い。

イタリア民話集 下 (岩波文庫)

河島英昭訳
イタリアの民話集。上巻は絶版なので、下巻のみ。

 挿絵がタロットカードっぽい。「人魚コーラ」男の人魚の民話って初めて読んだ。姿が想像できない。どうしてもゲーム等で描かれる半魚人の姿がちらほらして。民話の語り部、聞き手はどんな姿を想像したんだろう。「ぼくの袋に入れ」も面白い。出すのではなく、入れるのか…。別に悪いことしてない人まで酷い目に遭わされてるし…。その時代の特定の職業へのイメージがあるのかな。

ヴェネツィア帝国への旅 (講談社学術文庫)

ジャン・モリス著 椋田直子訳
ヴェネツィアへの旅を通じ、その歴史に思いを馳せる。

 血みどろの歴史です。上の方で土地や航路を取った、取られたをやっていると、地元民は大変だな…と。いろいろ恵まれた土地に暮らしていても、それ故にトルコ、ヴェネツィア始め諸国に酷い目に遭わされるのでは割に合わない。文章は淡々と美しくだけれど、読んでいくと、何とも言えない気分になる。
 歴史についてはヴェネツィアよりに描かれているかな。著者は欧州の人だろうし、キリスト教徒だろうから仕方ないけど、やってることはどっちもどっち。歴史的内容についてはそれほど深く描かれていないし、歴史に興味を持つ人は別の本捜すべきかも。軽く触れたい人にお勧め。

2011年11月24日木曜日

今日の積ん読

中国民話集 岩波文庫
ハンガリー民話集 岩波文庫
イタリア民話集(下) 岩波文庫
サイキス・タスク フレイザー著 岩波文庫
蜘蛛巣城 黒澤明監督
ダイ・ハード ジョン・マクティアナン監督
勝手にしやがれ ジャン・リュック・ゴダール監督
アリス・イン・ワンダーランド ティム・バートン監督
THIS IS IT ケニー・オルテガ監督

 ウワー、買ってしまった。ま、クリスマスもボーナスも近いし…ということで。なけなしのボーナスはiPodもう一台買うつもりだけど…。仕方ないですね、一種の病気ですから。本の民話系は元々好きだから買ったし、イタリア民話集の上巻が絶版は残念。岩波の復刊に期待したいところ。ワイド版ではでてるけど、別に遠視ではないし。 DVDは「ダイ・ハード」「蜘蛛巣城」は欲しかったからネットで購入。「アリス・イン・ワンダーランド」を買いにいったら3枚1000円をやっていて、ついでに適当に追加二枚購入。キャンペーンに載せられている私。よくある話ですが、自分が何を持っているのかよくわからなくなってきた。好きな作品のDVD持ってたっけ??状態。 

現在の積ん読 本:198冊 DVD:116枚

2011年11月20日日曜日

十八世紀パリ生活誌 タブロー・ド・パリ 下 (岩波文庫)

メルシエ著 原宏訳
十八世紀パリのいろいろな文化について述べてある。上巻は絶版になっているので、下巻だけ。

 様々な文化について辛辣に語ってある。一つの事柄について語っているようで、脱線している部分も多く見受けられる。たぶん、脱線部分が著者の本当に述べたかった部分ではないのかな。著者の生きていた時代に対して言いたいことがいっぱいで、文化誌のような体裁を整えながらも、批判をせざるを得なかった。読んでる側としては、読むことで見えてくる時代がとても面白い。お金が関わる辺りの話は特に面白かった。いつの時代も強いのは債務者側か。

牡丹燈籠 (岩波文庫)

三遊亭円朝著
有名な怪談牡丹燈籠。三遊亭円朝落語版はなかなかドロドロした因縁話で面白い。

 人間関係ドロドロです。でも円朝作の別の作品「真景累ヶ淵」よりはちょっと軽いかな。でも、TVの下手な昼ドラよりも面白い。人間の執念、妄執…怖い怖い。おまけに本人が気づかない血縁で繋がっていて。本として読んでも面白いけれど、やっぱり落語として聞くのが一番かな。

死霊の恋・ポンペイ夜話 (岩波文庫)

ゴーチエ著 田辺貞之助訳
ゴーチエの短篇5編。どの作品も恋の彩り鮮やかなお話。悲劇的な結末を迎えるものが多い。

 こんな恋愛を経験する人いるのかな?というかロマンチックすぎて、もう勘弁して下さいと言いたくなる内容。現実でここで描かれているような言葉をささやかれたら、恋に溺れるより先に疑いを持ちたくなると思う…が、これは小説、ひたすらロマンチックな世界に溺れてみるのもいいかもしれない。ただし、悲劇なお話が多いので注意。「オニュフリユス」は読んでいてイライラさせられた。穴に落ち込んでいく様子は面白いけど主人公にイライラしてしまう。

2011年11月15日火曜日

孤猿随筆 (岩波文庫)

柳田国男著
動物についてのエッセイ。狐、狼、猫、犬、猿が登場。動物をそれぞれのテーマに沿って解説している。

 まず、猿の毛皮って使われているのか。あまり良さそうに思えないけど。で、毛皮の話から大きく展開していく。狐…考えてみれば山に居る熊、猪等と同じ動物なのに、神の位置まで引き上げられた。それなのに悪の印象。外国のお話でも悪賢い印象が強い。昔のTV番組では、狐憑きの除霊は定番だった。何だかそういうものと思い込んでいたけど、なぜ?とは考えなかった。猫も狐と扱い方が近い。頭がよくて執念深そうで。頭がいいと言うと犬もなんだけれど、扱いが全然違う気がする。著者の書いてみえるけど、人間との距離の問題で、いい加減と言えばいい加減な話。…で、最近の猫は鼠捕るの?

ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら (岩波文庫)

阿部謹也訳
いたずら者ティルがあちこち放浪しつつ、いたずらを繰り返す。待ちに待った復刊!!

 「糞」が出まくり。下品といえば下品。いたずらに品がない…。いたずらの品なんて糞喰らえといえばそうなのだけれど。あくまで私の読んだ印象なのだけれど、いたずらが洗練されていなくて、中学生以下…小学生並のいたずらの内容かな…。いろんなところで糞するし、やることめちゃくちゃで。でも、 辛辣で諷刺も効いていて面白い。解説には難しいことが書いてあるけど、とにかく小学生並みのいたずらを楽しんで下さい。難しいことはその後で。

イギリス民話集 (岩波文庫)

河野一郎編訳
「三匹の子豚」「ジャックと豆のつる」など日本でもおなじみの作品、その他いろいろなお話の詰め合わせ。

 読み易い短い昔話の詰め合わせ。寝る前のちょっとした読書に最適な一冊。 キリスト教の影響が強くなると、善悪がはっきりして昔話がつまらなくなるという印象があるのだけれど、この民話集はそういう臭いがあまりないので楽しめる。理不尽な結末なども多いし、ちょっと尻切れとんぼの印象を受けるものもあり。しかし、改めて読んでみて、昔話というのは残酷だなーと。現代から考えると、ここまでするのか…というのが多い。ま、そこが楽しいのだけれど。

2011年10月28日金曜日

インディペンデンス・ディ (1996 アメリカ)

監督 ローランド・エメリッヒ
宇宙人の侵略から地球を守れ。なぜかアメリカの独立記念日が決戦日となった。

 言わずとしれた娯楽大作。すいません、大好きな作品です。はい、一般大衆ですとも。
 月から始まるのがいかにも意味深。たぶん映画に詳しい人が観たら、いろいろなオマージュが仕込んであるんだろうな。始めにスティーブンがUFOを見るシーン、兵隊さんにしては鈍すぎにみえる。はっきりいって突っ込みどころは満載だけれど、娯楽映画ですから気にせず楽しみましょう。好きなシーンは、モールス信号で各国に連絡が届くところ。有名な「出口」。初めて観た時は、ポカーンなシーンだった。ちなみに自衛隊は東北の方に身を潜めたようだった。あの辺りに基地あったっけ?あと「ユダヤ教じゃない」「誰にでも欠点はある」爆笑。演説のシーンは、吹き替えより字幕の方が好き。語彙もまとまりもいいと思った。

2011年10月20日木曜日

お伽草紙・新釈諸国噺 (岩波文庫)

太宰治著
いわゆるパロディ本。

 昔一時流行ったパロディ、グリム系が多かったけれど、その系統の元祖(??)と言って良い一冊。お伽草紙からは有名な話のパロディ。浦島さん、舌切雀、カチカチ山、瘤取り。浦島さんは中々面白かった。考えてみたら乙姫って酷いよね。だいたい浦島太郎って、何か教訓があるのかな? 昔話って教訓臭いもの多いのに、亀に親切にしたのにあの仕打ち。遊んでいると無駄な時間を過ごすという教訓かもしれないけど。
 で、後半の新釈諸国噺…井原西鶴の作品が下敷きらしいのだが、残念ながら私は西鶴の作品は名前くらいしか知らなくて…さっぱりパロディの面白さが分かりませんでした。はい、私の知識不足です。

今日の積ん読

死霊の恋・ポンペイ夜話 ゴーチエ 岩波文庫
イギリス民話集 岩波文庫
ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら 岩波文庫 

現在の積ん読 本:200冊 DVD:112枚

 世の中、ゴチャゴチャしてますね。秋の夜長、本でも読んで気分を変えるのがいいかも。
 で、私は雑誌も時々買うのですが、少し前にひさしぶりに買った某雑誌、いわゆる「ほっこり」と言われる系統のものだけれど…何これ?CanCan等の雑誌と同じく広告だらけ…、こんなに酷かったっけ??まともに読むところないじゃない。もう二度と買わないと誓った。この雑誌代で、薄い岩波文庫なら買えたのに…。

2011年10月1日土曜日

今日の積ん読

「思春期を考える」ことについて 中井久夫 ちくま学芸文庫
牡丹燈籠 三遊亭円朝 岩波文庫
お伽草紙・新釈諸国噺 太宰治 岩波文庫
食道楽 上下 村井弦斎 岩波文庫
吸血鬼ドラキュラ ブラム・ストーカー 創元推理文庫

 久しぶりにたくさん買ってしまった…。きっとストレスが溜まっていたのね…ということにしておこう。でも、ブックオフには全く近づいていない。読むことについて、ちょっと考えないと…と思う今日この頃。

現在の積ん読 本:198冊 DVD:112枚

日本に就て (ちくま学芸文庫)

吉岡健一著
「文化人」「知識人」を厳しく批判。なかなか爽快。

 実を言うと、ちょっと読みにくい。句読点のせいかも。内容は面白い。「文化人」「知識人」とかマスコミでもてはやされている方々を一刀両断とはいかないまでも、厳しく批判。だよねーと同意するところ多し。というか、昔から全然変わってないのね。私たち「大衆」と呼ばれる側もちゃんと物を考えているのか、本当に考えているのか、見つめ直す必要を感じた。吉田首相に対する個人攻撃は、三代前だったっけ、の首相の時のマスコミのことを思い出させてくれた。

小川未明童話集 (岩波文庫)

小川未明著 桑原三郎編

 読んでいて、この著者はキリスト教徒?と思った。収録されている全ての作品が…というわけではないけれど、そういう印象を受けた。作風がそう感じさせるのかもしれない。作品の内容としては、教訓めいたものが多いかな。ちょっと重いかもしれない。「赤いろうそくと人魚」は有名。イラストが時代を感じさせる。かえって新鮮かも。

2011年9月6日火曜日

「つながり」の精神病理 (ちくま学芸文庫)

中井久夫著
家族、老人等私たちの身近な問題から、精神科医について綴られた作品集。

 テーマは家族。読んでいて、こういう家族の話、聞くことあるな、と思う。重要なのは母方の伯父叔母とされている。成る程とは思うけれど、今はどうかな。嫁に出すという意識が薄れ、今は嫁方の実家との繋がりが濃い場合が多くなっているように思うから…というか、自分の周囲を見ての話だけれど。
 漫画の話は食いついてしまう私。サザエさんの家族構成…変とは思っていたけど、ま、作者が描き易かったか位の事だと思っていた。でも、著者の掘り下げは面白い。ドラえもんは面白いけど、考え過ぎでは??とも。シズカちゃんのお風呂シーンはファンサー…いやいや。P127の「立体写真のような力」という表現は面白い。

ゲーテ スイス紀行 (ちくま学芸文庫)

ゲーテ著 木村直司訳
ゲーテのスイス旅行記。

 スイス…やっぱりハイジかな。ここに描かれているのは、ハイジ程に朴訥としてはないけれど。ゲーテは私の芸術家に対する偏見を砕きました。正直言うと、芸術家という人たちは、体力なしだと思っていたけど、ゲーテは山越えします。読んだ限りではかなりの山道、しかも冬のスイス…。そして、雪に閉ざされるような場所にも、昔から人は暮らしていた。ゲーテの描くスイスは、過酷であっても美しい。憧れをもって読むには良い一冊。実際は本当に過酷なんだろうけど。

年代記 上・下 (岩波文庫)

タキトゥス著 国原吉之助訳
ティベリウス帝からネロ帝までの治世を語る。歴史小説としても楽しめます。

 何というドロドロ。これを読んでいると、奥様御用達昼ドラなんて可愛いものだと思えてしまう。裏切り、復讐、虚偽、告発、なんでもあり。読んでいて、居たたまれないというか気分が悪くなる。でも、それは出来の悪い作品という意味ではなく、気分を悪くさせたりするだけの力量のある作品だということ。ローマがダメになっていく過程をお楽しみ下さい。
 ここで描かれているのは、上層部の人間なんだけれど、下層というか一般庶民はどうしていたんだろう。意外とそれなりの生活していたのかな。

世に棲む患者 (ちくま学芸文庫)

中井久夫著
様々な精神病と患者と治療者の関係を描き出す。プロでない一般人でも楽しめます。

 境界例を始め、様々な精神病について語られている。周囲の人間のあり方、関わりかたも考えさせられる所が多い。ここでは患者との関わり合いについて語られているのだけれど、つい普段の人間関係に置き換えて考えてしまう。あと酒の呑みかたも。ここに描かれているのは決して患者と治療者、その周囲だけのことではないと思う。
 統合症の患者が株などが巧いというのは驚き。この著作が書かれたころは電話がメインのようだけれど、今ならネット取引だし、患者には良い環境になっているのかな。ちょっと…いやかなり羨ましい。

2011年8月19日金曜日

80年代SF傑作選 下 (ハヤカワ文庫)

小川隆・山岸真編
80年代はSFの変革の年であった。時代を飾った傑作のアンソロジーの下巻。


 何というか、救いのない話ばかりな気が…。大袈裟に言うと「生きる」「人間」について考えようという機運をこの選集に感じた。でも、どうにも暗くて…。いや、そういう話ばかりではないのだけど、そういう時代だったのかなと思ってしまう。 個人的なお気に入りは「祈り」無神論バンザイ。「鏖戦」何かライトノベル系の読者に好まれそう。

2011年8月12日金曜日

マゼラン 最初の世界一周航海 (岩波文庫)

ピカフェッタ トランシルヴァーノ著 長南実訳
マゼランの香料求めて世界一周。マゼラン自身の記録ではなく、乗組員による記録。マゼランは早い段階で居なくなります。

 マゼランって全然主役じゃない。何となく脇役です。でも読んでいて楽しい航海記。民俗誌としても優れた旅行記です。ま、欧州やキリスト教にはうんざりするし、読んでもいて腹が立ちます。だって勝手に他人の生活している土地を領地設定ですから。しかし、部族の王様たちも世渡り上手。たぶん、いろんな国の船が来る度に、その国の王や宗教を讃えるふりをするんだろうな…と。

ディスコルシ「ローマ史」論 (ちくま学芸文庫)

マキャヴェッリ著 永井三明訳
群雄割拠のルネッサンス期。フィレンツェがかなり危うい時代。生き残るための方策をローマ帝国に求めた。

 ちょーとローマを持ち上げ過ぎではないか??という気がする。かなり美化されているような。そして、笑える位綺麗事。正論だとは思うけど…ちょっと変と思う部分もあったが。で、フィレンツェには厳しい。ダメダメの国のように書かれている…実際この時代のフィレンツェはそうだったようだけれど。
 私がこの作品で優れていると思った面は、大衆の描かれかた。国、時代が違えど、大衆のやる事考える事は大して変わらないな…と。よく日本人は集団になると集団としての思考に流されるようなことを言われるけど、ローマ、フィレンツェの大衆も同じじゃないの。

2011年8月5日金曜日

今日の積ん読

日本に就て 吉田健一 ちくま学芸文庫 

現在の積ん読 本:201冊 DVD:112枚 

 ネットではフジテレビ関係が弾けてますね(笑)。思ったのは「視聴率下がってるとかいってるけど、みんなテレビ観てるんだ」ということ。私は会社で昼休みに付いてたら、付き合いで観るくらいだな。女同士は気を使うのですよ。TVも韓国もくだんの俳優さんにも興味ないけど、この状況全体にはとても興味あります。

2011年8月1日月曜日

世界美術への道 岡本太郎の宇宙5 (ちくま学芸文庫)

岡本太郎著
海外の古代遺産を著者の視線で見つめ直す。

 「岡本太郎の宇宙」のシリーズを読んできて、ちょーと飽きてきたかな。同じ事が繰り返し語られているから。でも、それは著者が一貫した姿勢を貫いているからなんだけど。内容は世界に広がってきて、面白みは増していると思う。特にメキシコ、褒めちぎってます。
 最期に思ったこと。私は深く本を読む事ができないので、もっとちゃんと読んでみろと言われそうだけど、結局著者はどんな世の中を望んでいるのかとか、わからなかった。

2011年7月21日木曜日

今日の積ん読

パロマーの巨人望遠鏡 上・下 D.O.ウッドベリー 岩波文庫

 困った事に、本を読む時間が極端に減っている。原因…寝落ち。いつの間にか寝てしまう。適度な室温になっていると特に。せめて一時間は読みたいものだけど。職場では、お昼休みは周囲に適当に合わせていかないといけないし。DVDも全然観てない、あー映画も観に行こうと思っている間に夏休み。ガキが多い時期は絶対行かない。もう少し、生活を見直していかなくては…。 

現在の積ん読 本:201冊 DVD:112枚

日本の最深部へ (ちくま学芸文庫)

岡本太郎著
沖縄、恐山、東北、熊野、高野山を巡る、岡本太郎の旅。

 沖縄、恐山、東北、熊野、高野山…今ではすっかり観光地?今でも著者が訪ねた頃の雰囲気は残っているのだろうか。読んでいる限りでは、京都なんかよりも面白そう。でも、面白い事、興味を持つ事は人によって違うし、何と言っても岡本太郎の視線だから。例えばイタコ。一昔前はテレビで面白半分な取り上げかたをされていた時期があった (今はよく知らない)。私も適当な事言ってるなー、なんて思ったりしてたり。その裏側、歴史なんてテレビで見た覚えもない。あー、テレビのせいにするのはダメだ。私自身がその場所で生きている人たちについて考えもしなかったのだから。とにかく読んでみて、自分で考えてみるのにとても良い一冊と思う。

2011年6月21日火曜日

伝統との対決 岡本太郎の宇宙3 (ちくま学芸文庫)

岡本太郎著
岡本太郎が伝統と切る!! 

 読んでいて気持ちいい。何だかすっきり。 著者の哲学がよくわかるし、筋が通っていると思う。京都に関してはかなり同意。著者は決して伝統を軽んじているわけではないと思う。ただ、新たな伝統…というか新しい動きを押さえつけ壊してしまう癌となっている集団、何ていうのかな、個人個人はいろいろ考えが持っていても、集団となると集団に流されてしまう存在達に対する批判。現在はどういう状況なのだろう。しかし「伝統」という言葉が新しいとは知らなかった。
 日本の伝統で、庭園について述べられている。登場する庭園で見たことのある庭はあるのだけれど、考えてみると印象薄い。ま、修学旅行生の余りの多さに鑑賞どころではなかったというのが本音だけど。

2011年6月18日土曜日

今日の積ん読

世界美術への道 岡本太郎の宇宙5 ちくま学芸文庫
「つながりの精神病理」 中井久夫 ちくま学芸文庫
ゲーテ スイス紀行 ちくま学芸文庫

 最近は岡本太郎を続けて読んでいる。面白い。両親も個性的な生き方だけれど、太郎氏もまた個性的というか彼の哲学は今でもまだ通用するというか、必要なのではないかと思う。もちろん全面支持というわけではないけれど、考えるところは非常に多い。 
 最近映画館へ行っていない。美術館、博物館、その他催し物…。そろそろ息が詰まってきた。

現在の積ん読 本:201冊 DVD:112枚

太郎誕生 岡本太郎の宇宙2 (ちくま学芸文庫)

岡本太郎著
岡本太郎の自伝集のような趣き。

 第二巻のメインは「母の手紙」…凄い母子だな、と。恋人みたい。かなり濃密。一般人なら息が詰まりそう。マザコン…なんてものじゃないぞ。渡欧には岡本かの子の愛人も同行していたそうだけれど、まったく触れられてない。「自伝妙」では、学校に馴染めない年少の頃が描かれているが、だろうな、という感じ。こんなに癖が強いと現代でも難しそう。これで軍隊なんて…よく生き残ったものだ。
 「岡本太郎」をまったく知らず、昔CMなどで見た変な人だけど興味あるという人にお勧め。このシリーズは、今を生きる若者にも読んでもらいたい。

2011年6月4日土曜日

指輪物語 追補編 (評論社)

J・R・R・トールキン著 瀬田貞二・田中明子訳
指輪物語をもっと楽しむための本。登場人物の後日談や年表、種族に関する事柄など。

 登場人物の後日談が良かった。好きなキャラクターは気になるから。ギムリは旅立ったのか…。いいコンビだなー。一番好きかも。アルウェンの最期は少し哀しかった。最初にある年代記は、名前で混乱してしまった。言語についても書かれているが、凄いな…と。著作のすべてが世界観を深めているようだ。
 指輪物語の世界が大好きな人は十分楽しめると思います。

2011年6月2日木曜日

対極と爆発 (ちくま学芸文庫)

岡本太郎著
生誕100年を迎える著者の著作集。

 生誕100年…時代は流れているのだと改めて実感。著作集の一冊目です。実を言うと、岡本太郎の作品にはまったく詳しくない。著作は数冊読んではいる。正直、時代を感じる部分はあるけれど、現代の人の心にも響くのではないかな。読んでいて、これは何だかな…とか思う部分もある、また支持できる部分もある。岡本太郎の考え方、自分の考え方、いろいろ視点を変えて眺め考えることができる。著者は同調を求めてはいない。意見のぶつかり合いを望んでいる。今は亡き著者だが、著作によって、思考の幅や生き方について考えることはできる。興味深く読むことができる一冊、個人的に万博の話の辺りは面白かった。

2011年5月24日火曜日

今日の積ん読

日本の最深部へ 岡本太郎の宇宙4 ちくま学芸文庫
桶物語・書物戦争 スウィフト 岩波文庫
HOT FUZZ ホットファズ エドガー・ライト監督 ユニバーサル
ショーン・オブ・ザ・デッド エドガー・ライト監督 ユニバーサル

 買う量が減った。だが読む量も減っているので、結果積ん読が増えていく…。生活に余裕が欲しい今日この頃。生活ではなく心の余裕かな…。

 現在の積ん読 本:200冊 DVD:112枚

2011年5月17日火曜日

ドイツ文学案内 (岩波文庫)

手塚富雄・神品芳夫著
ドイツ文学の歴史。近代の作品、作家についても述べられている。
 
 ドイツ文学は中世から語られている。一番ページを割かれているのは当然ゲーテ。一般にもドイツ文学と言えばゲーテだよね。他はシラーにもページを割かれている。ただ、やはり一般向けで、既にゲーテ、その周辺の作家について詳しい方には価値がないかも。近代文学も語られているのはよかった。恥ずかしながら、私はこれを読んでやっと自分がルターとルソーを混乱させていることに気がついた。
 私として残念なのは、著者自身の思想が折込まれていること。思想を持つことは個人の問題だからいいんだけれど、こんなとこでどさくさにまぎれて語るなよ、といった印象を持った。あとがきにはわざとそうしているとは書かれているのだけれど、どうも引掛かってしまった。

2011年5月6日金曜日

ギリシア・ローマ古典文学案内 (岩波文庫)

高津春繁・斎藤忍随 著
西洋の文学の基礎であるギリシア・ローマ文学。その成り立ちを紐解いていく。

 紀元前ですよ、その時点で文字を持ち、叙情詩が口伝とはいえ存在し、今なお断片とはいえ伝えられている。ギリシャって凄い国だったんだ。…今は非常に残念になっているけど。
 ホメーロスが代表的な叙情詩に始まり、やがて舞台へと移り演劇へ。もちろんソクラテス、プラトーンに代表される哲学についても綴られている。そしてギリシャの影響を受けたローマ文学へ。他の有名どころも語られている。私程度で知っている人物や作品が多いので、臆することなし。十分楽しめます。ギリシャ・ローマに思いを馳せてみませんか。

2011年4月29日金曜日

今日の積ん読

太郎誕生 岡本太郎の宇宙2 ちくま学芸文庫
柳宗悦コレクション3 こころ ちくま学芸文庫 

 積ん読用の本棚が満タンになってしまった。あと一冊、岩波文庫の復刊で欲しいのがあるのだが…。前に「断捨離」のこと書いたけど、無駄な時間の断捨離は必要かも…。無駄な時間も必要だとは思うのだけれど、無駄が多すぎで。

現在の積ん読 本:200冊 DVD:110枚

フランス文学案内 (岩波文庫)

渡辺一夫・鈴木力衛著
フランス語の歴史から始まり、フランス文学の歴史を語る。

 フランス語の成り立ちから始まり、文学の歴史へ。私程度で知っている作品、作者が次々と語られている。個々の著者、作品自体が深く語られているわけではないが、素人が知識として知るには十分なレベルだと思う。フランス文学への入り口といっていいかも。読み物としても十分楽しめる。ただし、この分野に精通している人には物足りないと思う。

2011年4月9日土曜日

キルヒャーの世界図鑑 (工作舎)

ジョスリン・ゴドウィン著 川島昭夫訳
 アタナウス・キルヒャーの思い描いた世界。

 挿入されているイラストレーションに惹かれて購入。ざっと立ち読みした時内容についていけるか不安だったけど、通読してみると意外と分かり易かった。著者はキリスト教バンザイの人なのだけれど、読んでいるとどうも神秘主義の臭いがプンプン。異端ギリギリのラインにいるような気がするけど。でも、その辺りがこの作品の魅力だと思う。キリスト教への結びつけかたが面白い。ある意味筋が通っているようで、むちゃくちゃで。そして、未知の世界への興味。中国に関連したイラストは見ていて楽しい。やっぱり内容よりイラストがよかったかな。

2011年4月5日火曜日

今日の積ん読

伝統との対決 岡本太郎の宇宙3 ちくま学芸文庫
対極と爆発 岡本太郎の宇宙1 ちくま学芸文庫
マゼラン 最初の世界一周航海 岩波文庫
孤猿随筆 柳田国男 岩波文庫
キルヒャーの世界図鑑 ジョスリン・ゴドウィン 工作舎
謎の円盤 UFO DVD

 あー、本屋には近づいてはダメだ。買う予定なかったのに…。岡本太郎はちょっと立ち読みして何か面白そうだったのでつい…。しかし、なぜ2を飛ばして3が先??2は4月刊行予定。柳田国男先生も苦手なのに…。工作舎の本、読めるのか?私??内容より図がたくさんあって好みだったので買った。 

現在の積ん読 本:200冊 DVD:110枚

アラマタ美術誌 (新書館)

荒俣宏著
荒俣氏の描く、美術の歴史。

 荒俣氏の美術史、とても分かり易く楽しめる一冊。本当に博識な人だなあ。本職は小説家だったよね。章ごとのテーマに、日本の美術とその他の国の美術との比較がなされている。「カゲ」に「鏝絵」に「バサラ大名」。テーマから大きな広がりをみせてくれます。気になったのは神社の話。木材にみえるけど、中身はコンクリート??知らなかった…。あと、日本の美術が西洋美術に触れて太りだしたこと…。p165辺りは気持ち悪いのだが…。逆に西洋美術は痩せだしたとか。現代は両方とも痩せているように思うけど。美容整形がかなり古い時代から行われていたことにも驚いた。なぜ現代のアメリカで美容整形に抵抗がなくなってきたのか、分かり易く説明してある。欧米はキリスト教の影響、本当に強いと改めて感じた。この一冊通して、欧米は必ずキリスト教がテーマの底に置かれているから。
 

2011年3月25日金曜日

キングコング対ゴジラ (東宝)

本多猪四郎監督
 1962年度作品 いかにもキングコング人気にあやかろうとしたのがよくわかる作品。

 …南国の人が日本人の顔なのは気のせいか??キングコングの顔変だし。キングコング本編へのオマージュのようなシーンもある。かなり滑ってるけど。ヒロイン、確実にPTSDになりそう。
 私はご都合主義容認です。でもね、ちょっと酷すぎではないかな?それと二大怪獣の決戦なのに迫力が今イチ。ゴジラ、ゴジラの逆襲と観てきたけど、迫力が順に落ちてきている。動きがコミカルすぎ。ゴジラの顔、可愛いし。でも映画館でちゃんと観たら、迫力感じるのかな。あー、あとね博士、偉そうなだけで役立たず…。

2011年3月19日土曜日

反アート入門 (幻冬舎)

椹野衣著
アートの歴史、西洋と東洋の価値観など、初心者にも分かり易い入門書。「反」の文字は現在の状況への著者の反旗だけれども、気張ることもなく読める。

 どうも「アート」という言葉が安っぽく感じるという人にお勧め。過去の歴史から、現在の様相まで分かり易く書かれていて、なぜ安く感じるのかを納得することもできた。「反」とついているけれど、何というか「提案」かな。
 驚いたのが西欧の現代美術で、作者が見方を限定させようと意図していること。作者に意図があるのはわかるけど、受けとる側も自由であって当然と思っていた。
 岡本太郎、かっこいい!!触れることのできる作品って大切だよね。東京かどこかで、視覚障害者のための触れる彫刻の美術館があったと思ったけど、それを知った時も、触れる感覚の大切さを改めて考えたんだ。もちろん貴重な美術品を守りたい気持ちも理解できるけど。

今日の積ん読

「中国旅行ノート」 ロラン・バルト ちくま学芸文庫
「ディスコルシ「ローマ史」論」 マキャヴェッリ ちくま学芸文庫
「世に棲む患者」中井久夫 ちくま学芸文庫
「アラマタ美術誌」 荒俣宏 新書館
「ギリシア・ローマ古典文学案内」高津春繁・斎藤忍随 岩波文庫別冊
「ドイツ文学案内」手塚富雄・神品芳夫 岩波文庫別冊
「フランス文学案内」渡辺一夫・鈴木力衛 岩波文庫別冊
「年代記 上」タキトゥス 岩波文庫

 昨今聞く言葉に「断捨離」というのがあります。どうでもいいと言えばいいのですが、うさんくさーという印象が拭えない。家の中を整理整頓、不要品の処理はいいのですが、一番必要なそれらを溜め込んだ自分自身を見直すことはできているのかな。結局買っては捨て買っては捨てを繰り返すのでは??と。つまり踊らされていると。もちろん、田舎の家で先祖や祖父母等が物を溜め込んでいたとかあるので、一概には言えないのですが。一番必要なのは自分の内部の断捨離では?と。まあ、ツンドラーが何を偉そうに、なのですが。 

現在の積ん読 本:196冊 DVD:105枚

2011年3月4日金曜日

理想の書物 (ちくま学芸文庫)

ウィリアム・モリス著 川端康雄訳
ウィリアム・モリスのエッセイ及び講演記録。モリスの理想とは?

 海外の本の状況は知らないので、日本の本の現状を鑑みて、ひどいよね…。私は文庫中心なので「書物」となると余り言えないのだけれど、基本の読み易い活字、行間、語間、だんだんと酷くなってきていると思う。なのて、この著作の内容は頷くところがとても多かった。著者の制作した本は、本当に「書物」と云われるに相応しい重厚なものだけれど、色々な種類の本のそれぞれに相応しい形態、タイポグラフィを考えるにも良い著作と思う。後半のインタビューは、一般にもとても分かり易い内容だった。
 本当に、最近は文庫にしても、内容も行間もスカスカが多くて…。

2011年3月1日火曜日

今日の積ん読

宮沢賢治全集 全10巻 ちくま文庫

 ああー、読む速度が積む速度に追いついていない…。宮沢賢治は少し読んだことがあるくらいで、前から一度きちんと読んでみたかったので購入。 

現在の積ん読 本:190冊 DVD:106枚

ゴジラの逆襲

小田基義監督 東宝
ゴジラ2作目。ゴジラとアンギラスの戦い。今回は大阪が破壊される。

 何だかゴジラとアンギラスの戦いがセカセカとしていて、一作目のゴジラに比べて迫力が今ひとつだった。 それに逃げ出した囚人、怪獣が二匹暴れているに気づかずにその方向へ逃げるって…。道路を走っている一般車がいきなり無灯化とか危ないし…。なんというか突っ込みどころ満載で…。基本こういう映画のお約束はお約束として、それを楽しむのが礼儀とは思っているのだけど、これは…。ちなみに小林さんはちゃんと死亡フラグを立ててくれていました。この時代から既に存在していたのか。ラストも何となく物足りなさを感じてしまった。

2011年2月25日金曜日

ゴジラ (1954版)

本多猪四郎監督 東宝
ゴジラ第一作。水爆実験が原因でゴジラが大戸島に現れ、その後東京へ。自衛隊、海上保安庁の総力戦も効果なし。しかし…。

 ゴジラの第一作は白黒だったんだ。知ってはいたけど、改めてウワーだった。ストーリーは今時のSFやパニックものに比べると平坦だけれど、そこがいい!!すっきりとゴジラが楽しめた。ちょっと思想的もあるのかな、とは思ったけど。今なら温暖化でゴジラが…かな。オチは全然知らなかったのだけれど、うん…これはこれでいいのかも。
 全てが昭和、テレビの形なんて、平成生まれには却って新鮮では?自衛隊の飛行機もデザインが面白い。映像はそのままなので、ちょっと画像に難ありだけれど、私としては、それも昭和の味と思えた。
 なぜかゴジラが顔をまともに出したとき、笑えてしまった。このゴジラ、可愛い。

2011年2月22日火曜日

阿Q正伝・狂人日記 (岩波文庫)

魯迅著 竹内好訳
中国の下層を巣食う病理を描く。

 表題作「阿Q正伝・狂人日記」とも所謂一般人から乖離した視線で世間を描いている。それは「普通」という状態からみると異様、しかしその視線に「普通」の人々に巣食っているやっかいな根っこをみることかできる。でも、その視線を面白くも感じた。
 その他の作品も含めて、その時代の中国の下層が描かれている。厳しくむなしく哀しい現実。読んでいると胸が痛むし、未だ形は違えど、どこの国にも残っている現実では?とも思った。

2011年2月15日火曜日

今日の積ん読

柳宗悦コレクション2 もの ちくま学芸文庫
反アート入門 椹野衣 幻冬舎

 最近また積ん読が増えだした。うーん…。ブックオフには近づかないようにしているんだけど…。とにかく読む時間の確保が大問題。そして本棚の確保…。ああ。 

現在の積ん読 本:181冊 DVD:107枚

80年代SF傑作選 上

小川隆・山岸真編
80年代はSFの変革の年であった。時代を飾った傑作のアンソロジー。

 もしかしたら、今の時代の人には古くさく感じてしまうかもしれない。もう一世を風靡した「マトリックス」でさえも古く感じる時代、仕方のないことだけれど、この時代の空気や傾向を楽しむのも一考かも。ネットワークにこれほど過大な期待が寄せられていたんだ、とも思うし、それが実現しつつあるのかな?とも思う。全体に話の傾向が似ている気がするのは仕方ないことかな。個人的なお気に入りは「シュレーディンガーの子猫」並行世界を取り扱ったもの、「みっともないニワトリ」ホラ話?真実?楽しい。

2011年2月12日土曜日

今日の積ん読

GODZILLA DVD COLLECTION 1〜5

 ちょっと疲れてたんだ…だからつい買ってしまった…。前から欲しかったからいいんだけれどね。頑張って働こう…。
 タイトルの文字が、いかにも昭和というかゴジラという風でとてもいい。初代ゴジラからデストロイアまで収録。ここまで揃うと、平成ゴジラも欲しくなってしまう。困ったな。  

現在の積ん読 本:180冊 DVD:107枚

ケルト/装飾的思考 (ちくま学芸文庫)

鶴岡真弓著
ケルト人の芸術である文様。福音書写本を中心に、その思想、創造にせまる。

 福音書写本でケルトの文様が使われているページが図として挿入されているのだけれど、読めない…これ「In」なの??というふうで…。でも、こういう装飾は大好き。三次元の物になったら余り…なんだけれど、本を彩る存在として素晴らしい。実物が見たいな。本書の内容は、ケルト人の文様がキリスト教福音書に与えた影響、思想が中心です。難しいことが書いてあるけど、素人でも楽しめます。私は図解が楽しかった。特にp307辺りがいい!何だか漫画っぽくって…キリスト教の人に怒られそうだけど…へたうま系のイラストだ、と思った。古代の歴史に触れてみたい人にお勧め。

2011年1月29日土曜日

残酷な方程式 (創元SF文庫)

ロバート・シュクリー著 酒匂真理子訳
ロバート・シュクリーの短編集。人のもしも…心の片隅をつつくような、それでいて不条理のような作品集。16篇収められている。

 どれも好きなタイプの作品だけれど、特には「シェフとウェイターと客のバ・ド・トロワ」。三人三用の物の見方とはよくいうけれど、それが余りにバラバラで、どのように噛み合っていたのやら…。「倍のお返し」自分の幸運がその倍ライバルにも与えられる。さて、あなたならどうする?実を言うと、オチの意味がよく分からなかった。「石化世界」現実とは??どの作品も心地よくひねくれていて、楽しめた。

2011年1月26日水曜日

柳宗民の雑草ノオト (ちくま学芸文庫)

柳宗民著
雑草と呼ばれているけれど、その花々にも四季が感じられる。雑草バンザイ。

 雑草の蘊蓄本。雑草それぞれの名前の云われ、特徴、それにまつわる著者の思い出等が綴ってある。自分の知っている雑草あると嬉しい。自分が聞いていた名前とは違ったりしているのもある。地方によって違うのかな。何となく、もう一度庭の隅を見つめ直したい気分になった。
 三品隆司氏のイラストもとてもよく合っていると思った。

2011年1月24日月曜日

黄金の壺 (岩波文庫)

ホフマン著 神品芳夫訳
黄金色の蛇と純情な青年の恋。…というか魅入られてどこかへ引きずり込まれたのでは??

 主人公のアンゼルムスの優柔不断具合、フラフラしていてなんだか笑えてしまった。現実と虚構を行ったり来たりしていて、今なら病院へ行け、といわれそう。ヴェロニカ、何だか批判的に描かれているけど、普通…一時黒魔術に頼ったけどそういう弱さも含めて…だよね。変な男に引かからなくて良かった。しかし、アンゼルムスの最期の状況、…あーいうのが幸せなんだろうか??
 私個人としては好きな作品。でも、今はもっと刺激的なファンタジー作品はあるし、お薦めは難しいかも。

ムーミンのふたつの顔 (ちくま文庫)

冨原眞弓著
ヨーロッパと日本でのムーミンの愛され方の比較、様々なムーミンを考察する。

 「日本のムーミン」の章が面白かったかな。日本ではやはりアニメ版の影響は大きいのは誰もが認めるところ。スナフキン、好きだった。ちょっとカッコ良すぎだけど。でも、実はアニメ版は個人的にはイマイチ。でも小説に触れて…全然アニメと違って面白いと思った。コミック版のムーミンも大好き。DVD版は…このプログでもDVDBOXについて書いたけど、世界観は大好きだけど…眠くて…。
 ムーミンの成り立ちから、ヤンソン氏の生い立ち、様々なムーミンの紹介、ヤンソン氏の他の著作について、といった内容。ファンの人ならたいがい知っているよね。これからムーミンの世界に入る人、ムーミンに興味のある人にお勧め。

匪族の社会史 (ちくま学芸文庫)

エリック・ホブズボーム著 船山榮一訳
英雄視される匪族の成り立ち、種類、社会との関わりについて。

 ロビン・フッドって、実在の人物ではなかったのか…恥ずかしい。匪族と呼ばれる人物の中から、義族と呼ばれ、なおかつ農村出身者を中心に述べられている。それは一つの社会現象であり、また近世のものでもある。(中国は除く)…そういわれてみればそうなのかな。あくまでこの著作は、匪族の一般に伝わっている逸話等から考察するもので、実際どういう人物であったかは基本的に考慮していない。時代が生み出した存在としての匪族、民衆が自分たちの正義を求めて現れた存在。中々興味深い作品だった。

好物漫遊記 (ちくま文庫)

種村季弘著
著者の過去の体験談を万華鏡が巡るように語っている。

 欲あるタイプのエッセイなんだけれど、体験の幅の広さに、うわー私って小さいと改めて思ってしまった。もちろん体験していればいいというものではないのだけれど、著者の幅広い知識と噛み合って、作品の面白さが増している。一昔前のお話が多いのだけれど、その時代を知らなくても、時代に思いを馳せながら楽しめる一冊。

2011年1月23日日曜日

貧困の文化 (ちくま学芸文庫)

オスカー・ルイス著 高山智博 染谷臣道 宮本勝訳
メキシコの五つの家庭を対象としたフィールドワーク。各家族の一日を再現ドラマのように綴っている。

 これを読んで一番に思い浮かべたこと…今もやっているのかな?昔テレビで大家族のドキュメンタリーみたいなのやっていたけど、その手の番組に登場する家族のこと。この本で述べられているような貧困ではないのだけど、何だかパターンが似ているなと。負の連鎖が連続しているようで、読んでいて憂鬱になる。日本に住んでいる私からみると、「なぜこんな男に?」と思うけれど、生きていくためなんだろうな。最期の家族は金持ちなんだけれど、金銭感覚がスッ飛んでいる。生き様がそれまでの家庭と変わらないのが哀しい…。

古代大和朝廷 (ちくま学芸文庫)

宮崎市定著

 古代日本と周辺諸国との繋がりから、古代大和朝廷を推察する。

 一見取っ付きにくくて難しそうだけど(いや、実際難しいのかも) でも読んでみると面白い。ヒコとかミコトとか古代の物語に出てくる名前の由来、王と皇帝の違いとか、蘊蓄として一般人にも楽しめる。古代の話だけではなく、近代にまで話題は伸びている。明治維新辺りの攘夷論、面白かった。ヘエーヘエーみたいな感じで。なんだか今、よく似たことが繰り返されてるかも…とか思ったりして。

四人の申し分なき重罪人 (ちくま文庫)

G.K.チェスタトン著 西崎憲訳

新聞記者が出会った四人の不思議な人物の体験談。奇妙さが心地よい中編。

 奇妙というか変なお話、でも面白い。実は…というドンデン返しがよくできている。まさに「誤解された男のクラブ」。とにかく読んで楽しんで下さい。G.K.チェスタトンは宗教臭が強い作品もあるのでどうかな?と思っていたけど、全然そんなことはなかった。

2011年1月19日水曜日

今日の積ん読

柳宗民の雑草ノオト 柳宗民  ちくま学芸文庫
柳宗悦コレクション1 ひと 柳宗悦 ちくま学芸文庫

 雪が積もった。そして積ん読も積もっている…。どうしよう。 

現在の積ん読 本:190冊 DVD:80枚

エビータ (新潮文庫)

ジョン・バーンズ著 牛島信明訳
アルゼンチンで聖女と呼ばれた「エビータ」の生涯を描く。

 「エビータ」アルゼンチンで崇拝されている人程度の知識で読んでみた。まあ何というか、歴史上よく出てくる独裁者なんだけれど、違うところは一番底辺の労働者からの支持が絶大だったこと、彼らに恩恵を与えたことなんだ。もちろん悪口を言った奴は除く。彼女がやったことは確かにいいことなんだ。虐げられるだけの階級を救ったのは確かなのだから。彼女がいなければ、自分たちの権利に対する意識を持つことも難しかっただろう。でもそれはあくまで彼女自身の満足のため、虚栄心がもの凄い女性といった印象。反面敵に対しては容赦ない。財産はそうとうため込んでいたようだし。経済もダメダメ。読んでいるだけで超インフレになってしまうのは目に見えるよなー、と。功罪については議論の多い女性だろうけど、これぐらいのことは実はどこの国でも影で起こっているんじゃないの?あと、大衆には肉と娯楽を与えておけ、ということで。なんかこういう諺というか格言があったような気がするけど、思い出せない。
 ペロン?あれは「エビータ」に付いているおまけでしょ。

2011年1月14日金曜日

今日の積ん読

匪族の社会史 エリック・ホブズボーム ちくま学芸文庫
ムーミンのふたつの顔 冨原眞弓 ちくま文庫 

現在の積ん読 本:188冊 DVD:80枚

 年始年末の仕事の忙しさに呑まれて、全然本読めてない…。買うペースは変わってないのに…。今年はもう少し気合い入れて読まないと積ん読が増え続けるままだ…。
 最近の出版関係のニュースで目立っていたのはポプラ社。なんていうか世の中目立ったもの勝ちだな。さすがに買う気にはなれないけど、そのうちブックオフに並ぶだろうから立ち読みしてみよう。でも、105円コーナーに並んでも買う気にはなれそうにない本だけど。

渚にて 人類最期の日 (創元SF文庫)

ネヴィル・シュート著 佐藤龍雄訳
第三次世界大戦勃発、核汚染から残されたのは、南半球の一部地域のみ。忍び寄る放射能汚染、人類滅亡までの人々を追う。

 たいてい人類滅亡ものだと集団の暴動やパニック、ヒステリーが描かれるのだけれど、それが一応あるのだけれど、淡々と描かれていて人間の心理、最期の迎え方に重点が置かれている。私は赤い箱の薬を飲む勇気があるかな。自分の子供に注射する勇気を持てるだろうか?まー、平気で自分の子供を虐待する親いるからね…。
 登場人物の行動、感情、理解できるし切なくなる。スウェイン…故郷に帰りたかったんだね、メアリ…誰でも自分は大丈夫と思いたいさ、タワーズ…軍人で海の男で、モイラ、オズボーン…らしい死を選んでいる、私は…フラウド氏だな。ヤバくなるまで飲み続けて、勢いで自決するかな。実際は酷い暴動起こるだろうし、…宗教関係がほとんど描かれていないことに今気づいた。終末には付き物なのに。