2024年2月20日火曜日

カリオストロ伯爵(草思社文庫)

イアン・マカルマン著 藤田真利子訳
  (カバー裏より抜粋)錬金術師、医師、預言者、詐欺師、フリーメイソン会員と幾つもの顔を使い分け、〈理性と啓蒙の時代〉の18世紀を妖しく彩った男の生涯を追う。
 
 カリオストロ伯爵というと、いろいろな時代に現れる時を超越した人物、 小説、映像作品でも使い易い人物のイメージです。これを手に取ったのも怪しげな人物の実像を知りたいと思ったからです。
 
 読んでみてどうだったかというと、凄い成り上がり!!褒め言葉ですよ。どうやって病気治したの?? プラシーボ効果にしても限界があるだろうし。誰かが煽動してたの??それが一番の疑問です。
 他人を惹きつける魅力はあったのでしょうね。虚言癖と上昇志向の塊で口が旨い。フリーメーソン内でチマチマしていたら、王家を敵に回さなかったら、もう少しマシな最期だったのでしょうが、それが我慢できない人物。
 
 そしてマリーアントワネットの首飾り事件にも関わっていたのかー!!ジャンヌさんは有名人ですが、この女性もなかなか凄い!!
 
 カリオストロ伯爵の生誕の地が観光地になっていないことも驚きでした。これだけ有名人なら祭り上げそうだと思うのは日本人だから??かな。
 
 ちょっと思ったのは最愛の奥方セラフィーナ、他の男に差し出されたり愛人作ったり、でもカトリック教徒な女性。最後はカリオストロを裏切るのですが。カリオストロと知り合わなければ、貴族か裕福な庶民の愛人で終われただろうに…と思ってしまいました。

2024年2月1日木曜日

スパイス戦争(ちくま学芸文庫)

 (カバー裏より抜粋)莫大な富を求め、命を賭して未到の地へ向かった大航海時代。とりわけ東南アジア島バンダ諸島を産地としていた香辛料ナツメグは黄金を凌ぐ価格で取引されるようになり、島の覇権をめぐってオランダとイギリスが凄惨な争いを繰り広げることになる。
 
 グロ注意。個人的R15指定。初めはスパイスを求める困難な航海、この時代は壊血病がやばすぎる。そして航路は噂頼り。今の時代からは「なぜ北極行っちゃう??」ですが、夢見る時代だった…そして覇権争い。物語風で楽しく読めていたのですよ。途中までは。
 
 あ、この作品はイギリス目線です。オランダ憎しです。
 中盤から終盤にかけて、拷問の様子がこれでもかと描かれます。物語風が悪く出ている気が…。私は無理。ホラーは平気でもスプラッタは無理。 マジ「オランダ人ってやべー」になります。しかも登場人物の中に明らかなサイコパスがいるー!!
 ごめんなさい。途中気持ち悪くて読めなくて飛ばしました。まさかこんなシーンが連続で…。
 これはイギリス目線なので、オランダから見たらきっとイギリスだってやってるぞ、になるのでしょうね。私もやってると思うけど。
 
 そしてスパイス戦争から現在世界一(だと思う)の都市となる地域をイギリスは手に入れます。この辺りは「へー」でした。こういう経緯があったのかと。

 面白い著作ですがスプラッタがなー。耐性のない人は絶対ダメです。