2010年6月29日火曜日

バガヴァッド・ギーターの世界 (ちくま学芸文庫)

上村勝彦著
インド叙情詩「マハーバーラタ」の中の一編「バガヴァッド・ギーター」を日本の宗教観と照らし合わせて解説する。

 「マハーバーラタ」の原典訳の人。惜しい人が亡くなった。本当に残念。で、この著作は「バガヴァッド・ギーター」の教えを丁寧に解説しているのだが、何というか漫画やアニメ、ゲームで見たような名前や言葉が…。著者の考えとは別の意味で日本人に浸透していたりして。教えは昔の日本人の宗教観というか考え方に近いものがあるようだ。その辺りを丁寧に説明してある。現代の人には反発を感じる教えも多い。個性を認めないから。
 私がこれは大事かなと思ったのは、p49の「あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にない。行為の結果を動機としてはいけない。また無為に執着してはならぬ。」大概の人は( 私も含めて )こういう結果を得られるだろうという予測から、その行為を行う。で、うまくいかないと失望、怒り、妬みを溜め込む。まあ、社会自体が結果を動機とする体制だから仕方ないのだけど、心に留めておく言葉だと思った。どのページかちょっと失念したけど、ギーターでは死後の事を願うのも欲( 執着だったかな )として認めないということが述べてあった。確かに輪廻転生とか審判による永遠に命とか人間の欲に根ざしたものだよね。p58辺りに執着について述べてあるけど、積ん読の人には耳が痛い。
 「バガヴァッド・ギーター」自体はちょっと読む気は起こらないのだけど、どんなものかを知りたい人には良い著作だと思う。

2010年6月28日月曜日

ムーミン パペット・アニメーション DVD-BOX (1979 オーストリア ポーランド)

監督 ルツィアン・デンビンスキ アスミック
トーヴェ・ヤンソンの原作「ムーミン」をパペットアニメで制作。全78話。岸田今日子のナレーション。残念ながら通常版です。収録されているアニメには違いは無いからOK。

 パペットアニメーションは素晴らしいのだ。私が観たかったムーミンの世界。セルアニメより絶対いい!と思う。好みの問題だけど。本当にアニメはね…うん。でも眠いんだ。何というか、ストーリーから小説のムーミンの毒気が抜かれてしまっていた。小説版ムーミンを期待していたので、がっかりしてしまった。おまけに岸田今日子さんの声、心地よいし…。スティンキーがでてくる話はちょっと刺激があって面白い。
  穏やかでほのぼのとしたお話なので、お子様にはお薦め。親子で楽しむにはとてもいいアニメだと思う。
 で、3Dは思いとどまってほしい…。

2010年6月27日日曜日

コーヒー・ハウス (講談社学術文庫)

小林章夫著
コーヒーハウスの成り立ちから衰退まで。
 

 この著者の作品は手軽に読めるから好きだ。表紙はコーヒー・ハウスなのか? 酒場のようにみえる。コーヒー・ハウスの歴史に絡めて、時勢、政治、ジャーナリズムが述べられている。判りやすい入門編。カフェとはまた違うんだな。情報発信基地、世論を動かそうとする場所。真実の虚偽も入り交じっている場所という意味では、某大型掲示板のようだと思った。

2010年6月26日土曜日

アメリカ紀行 上巻・下巻 (岩波文庫)

ディケンズ著 伊藤弘之、下笠徳次、隈元貞広訳
ディケンズの半年間のアメリカ旅行を描く紀行文。下巻にはジョン・フォスターの「ディケンズの生涯」のアメリカ紀行と関係ある部分が掲載されている。

 まず、奥さんのことを訳者は平凡な女性としているけど、こんな大変な旅行についてきている人を平凡で片付けるのか。本文読んでいて「旦那に付き合わされて大変そう」と思ったが、「ディケンズの生涯」を読んで、よく我慢できたものだと感心した。この時代の旅が、これほど困難とは思っていなかった。船は沈没・遭難が多いという記述があるし、設備も悪そう…。嵐で救命ボートが壊れるとか…乾いた笑いがこぼれる。馬車も道が悪過ぎて中で混ぜ繰り返されている様子が述べられている。ディケンズは上流階級、特別扱いでこれなのに、当時の移民の人はどれほど…馬車が泥濘で動けなくなって赤ん坊と母親が残されてとか、読んでいて胸が痛む。
 これの前に「イタリアのおもかげ」を読んでいるが、「アメリカ紀行」のほうが読みやすい。内容は政治、思想等に関する事が多くみられる。監獄、障害者施設への訪問についても多く述べられている。始めはボストンについてで、施設、監獄について高く評価している。視覚・聴覚・味覚・嗅覚の障害者について多くページを割かれているが、教育内容が素晴らしい。ヘレン・ケラーより前なんだ。これはアメリカのいいところなんだと素直に関心。実はここ辺りを読んで「アメリカよいしょ本?」とか思ってしまった。…違った。これはアメリカで不評だろう。現代から見たらディケンズの言っている事は正論なのだが、時代だからね。監獄、これは酷過ぎ。こういう問題は難しいから何も言いたくないけど、これは酷い。奴隷制度も17章の例を読んでいて気分悪くなった。というか南部無法地帯かよ…酷い。あとつばと痰…噛みタバコの弊害?アメリカは元は移民なんだから、どこかの国の風習だった?生理的に気持ち悪い。で、集団の中では気にならなくても、第三者の目から晒されると、気になるし腹も立つよね。アメリカは今も昔も USA!USA! な国だったと。マナーや制度は変わっても本質は変わっていないのかも。
 「ディケンズの生涯」読んで、マスゴミってやつは今も昔も…。ディケンズと奥さん、同行者の体力、精神力、忍耐力に敬意を表します。よく耐えたものだ。もちろん、特別扱い受けている部分も大きいのだけど、やり過ぎ。船室を覗くって…。今ならもう少しマシ…でもないか。携帯、デジカメ、その他諸々、一般人もマスゴミ化しているから。著作権問題も取り上げられている。これについてもアメリカって変わってないのでは?いや、世界的に酷くなってしまったのでは…と。で、取り締まる側も変になってきているし。
 じつはディケンズは「アメリカ紀行」「イタリアのおもかげ」以外読んでいないのです。クリスマスキャロルはTVで映画(モノクロ)観た。あれは好き。(モノクロDVD、廉価版出ていたのに…チクショー!) 本は積ん読になってる。ちょっと読んでみるかな。

2010年6月24日木曜日

ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行 東日本編 西日本編 (ちくま文庫)

都築響一著
まさしく日本の珍名所案内。なぜ日本人はギリシアとモアイが好きなのか、考えさせられる一冊でもある。意外と地元も掲載されていたりして。私のご近所もあった…。

 奇妙なもの一杯、写真眺めているのが楽しい一冊。失礼な物言いになってしまうけど、切れている人は凄い。奇妙な物を作るエネルギーが羨ましい。とことん突き進めるって素晴らしい。…近所に住みたくはないけど。ミロのヴィーナス、ストーンヘッジ、モアイ( これなんで多いんだろ、日本人なら埴輪だろ )等たくさんあるけど、今から何千年後の考古学者の頭を悩ますのではないか、なんてバカなことを想像する。石は残るからね。あと、関西はエロ多い。やたら男性器を祭ったのがある。
 個人がやっているのは笑っていられるけど、公共機関がやっているものは微妙な気分。ふるさと創生資金、バカな使い方してるとこもある。町おこしって死亡フラグかも。金の延べ棒等は潔くて宜しいと思う。売り時を間違えるなよー!
 この本を見ていて行ってみたいと思うけれど、どうなんだろう。実物見て楽しめるかな。本は面白く編集しているから…こうやって余計な事ごちゃごちゃ考えるから突き進めない小市民なんだ、私…。
 これは1990年代後半に取材されたものが大半なのだが、今はどうなっているのだろう。私のご近所は残ってるから、観光地は残っているかな。北海道の自動車の中の公衆電話は流石になくなっただろうけど。秘宝館は絶対残っていると信じている。あれがなければ日本の観光地は名乗れないと思う、思うだけ。

2010年6月23日水曜日

人さまざま (岩波文庫)

テオプラストス著 森進一訳
ギリシアの市民の性格を分類し、描く。いつの時代も人はそう変わらないものだと思わせてくれる。手軽に楽しめる小品。

 ギリシア関係の本というと、どうしても神話や英雄、政治家、哲学者となってしまうけど、これはそこら辺にいる人の性格を分類し、描き出している。時代、国、文化によって礼儀作法、風習、しきたりは違うけれど、 人間の根本ってそう変わらないのだと思わせてくれる。今でも「いるいる、こういう奴」と思えるし、自分自身にも当てはまったり。身構えずに楽しめる一冊。

2010年6月22日火曜日

蜘蛛の巣の家 上巻 下巻 (岩波文庫)

ギッシング著 吉田甲子太郎訳
ギッシングの短編集。人間に対する皮肉に満ちている。上巻の始めに「ジョージ・ギッシングの業績」と題してとマス・セコームの作品(っていうの?)が収められている。 

 漢字が読めない…1946年初版か。昔は難しい漢字使っていたんだ。何となく読みの推測つくけど、恐ろしく変わっている漢字もある。体とかびっくり。
 ギッシングの作品の登場人物は性格が極端に偏った人が多い。その偏りというのが、誰でも性格の欠点として多少は持ってい部分を肥大させたような感じ。肥大した部分に自分自身を重ねてしまって、胸がズキズキする。「ゆかしい家族」(今ならおかしい家族となるのかな?) は、読んでいて悲鳴あげたいというか、穴に入り込みたい気分にさせられた。何て愚かなんだろう、でも私も女主人公と同じような目に遭いそうになっていなかったか?幸い周囲に注意を喚起してくれる人がいたけど。「クリストファ」、これは「ギッシング短編集」にも収録されていたけど、積ん読の愛好者はクリストファに同情と嫌悪を感じそう。本を読み進めていると、自分がMのような気がしてきた。
  この著者の作品は同じパターンの繰り返しのようなところがあって、飽きる人もいるかもしれない。登場人物の性格も同じパターンが何度も用いられている。「ジョージ・ギッシングの業績」に述べられている事は大体同意かな。ギッシングの貧民、教育のない人に対する軽蔑は作品の中にありありと出ている。女性に対しても厳しい。めでたしめでたしの結末の作品あるのだけど、どこかそらぞらしく冷たいのだ。

2010年6月21日月曜日

まぼろしの市街戦 (1967 フランス/イギリス)

監督 フィリップ・ド・ブロカ  20世紀フォックス
コミカルでロマンチックな反戦映画。精神病患者が、戦争で誰もいなくなった街へ繰り出す。

 反戦映画というけど、別に気にせずに楽しめる。皮肉っているというかバカにしているというか、表現が軽いので、戦争映画・反戦映画が嫌いな人でも問題ないと思う。この映画を初めて観たときは、反戦とか全然思わなかった。戦争を皮肉った楽しい映画だなと。私が街とみんなを守ろうとする主人公のイライラに対して、患者たちの楽しそうなこと。一時の夢の世界。人生も夢。でも、決して街から外には出ては行けない。そこは現実だから。で、イギリス兵のスカート、実戦でもはいてたのだろうか。足下が無防備。
 映画としては単調。盛り上がりは期待してはダメ。メリハリを期待する人は観ない方がいいと思う。私はこのメリハリの無さが好きなのでOKだけど。
 で、廃盤になっていたのが再販されて購入したのだが、エコケース何とかしろよと言いたい。廉価版のDVDなら文句は言わない。でも、これ高いし!!通販で買ったんだが、ケースが凹んで湾曲していて、中身凄い不安だった。

2010年6月20日日曜日

世界史的考察 (ちくま学芸文庫)

ヤーコプ・ブルクハルト著 新井靖一訳
世界史というタイトルがついているけど、ヨーロッパの歴史についての考察がほとんど。歴史をパターンで分けて述べている。ヤーコプ・ブルクハルトがメモとして残したものをヤーコプ・エーリが編纂した。

 読みにくい…。もちろん内容が難しくて私の頭がついていけてないのだけど、p277「全体として見たとき、モンゴル人たちは(彼ら自身のうちにトルコ人が含まれていないかぎり)、精神的により劣った、他とは異なった種族であった、彼らの種族の最高度に精神的文化所産、すなわち中国がそのことを証明しているように。」…??日本語でおk、と言いたくなった。訳者の人も難しいという旨を解説に書いてみえたけど。白人中心主義の臭いがプンプン。ギリシア万歳、ローマ万歳。イスラムへの評価が少し低すぎないか?この著者の嫌悪感とか入ってないか?高貴な○○とか真の○○とか、精神の解放とか…ごめん中ニ病?とか思ってしまった。精神の解放ってプツっと切れた感じ思い浮かべるけど。
 でも、読み物として面白い。歴史を分類してその分類に当てはまる歴史での状況を述べている。この辺りはなるほどと読んでいた。革命、テロ等についても納得がいく。えー?と思うところも多いけど。時代の感覚の差があるから仕方ないかも。
 なるほどと思う格言が混じっている。独創性…p214「現代の精神的疫病」「この独創性なるものは、これを受け取る側の、感動を得たいという疲弊した人たちが抱いている欲求に答えるものである」、p328「至極平穏な時代においては…略…ただ才能があるだけという連中が第一等の地位へしゃしゃり出るが…略…彼らにとって芸術や文学は投機の部門、センセーションを巻き起こすための手段」現代はますますひどくなってますよ、ブルクハルトさん。 あなたが憂いていたように、単なるビジネス化しました。
 読む価値はあると思う。現代への警鐘ともなる作品。過去の時代から現代を再考するのに良い一冊と思う。

2010年6月19日土曜日

ギリシア案内記 下 (岩波文庫)

パウサニアス著 馬場恵二訳
2世紀後半( ローマ最盛期 )に書かれたギリシアの紀行文の下巻。抄訳。コリント・アルゴリス・フォキス編。

 今回の訳注は1/3。訳者は涙をのんで妥協したらしい。ん…文庫の読者は専門外の一般人が多数だろうから仕方ないだろう。訳者のこだわりが感じられて私は好きなんだけど。
 著者はホメロスの詩歌をまるごと信じていたのか?伝承についての考察で、ホメロスが歌っているから、という理由付けが多々見られる。この時点で10世紀前でいいのかな、そして現在まで残っているのだから、ホメロス恐るべし。人類最強の文学者かも。
 面白いのは「○○はこの土地発祥」とか「○○はこの土地の生まれ」とか多い事。いつの時代も…発祥の地争い、笑える。
 今から1800年前…でいのかな…の紀行文が残されている、しかも著者が自分で歩いて見た正確なものが残されているのは素晴らしい事だ。そして、この時代に既に廃墟となっていたものが廃墟のまま今の時代まで残っているとか、石、恐るべしなのだ。

2010年6月18日金曜日

今日の積ん読

人さまざま テオプラストス 岩波文庫
ミクロの決死圏 アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫

 今月はこれ以上は買わない。絶対だ、自信ないけど。通販の梱包、勘弁してほしい。折れ曲がりやすいだろ。昔のプチプチ袋の方が良かった…。

現在の積ん読 本:241冊 DVD:101枚

 小学館がコミックのiPhoneへの配信を開始するそうで。どうせならサンデー本体などの雑誌にすればいいのに。雑誌は最後は資源ごみなどの回収に出される率が高いから、メディアの好きなエコになるでしょうに。それは置いといて、高いな。現行の紙のコミックスより高いって、どうなんでしょ?筑摩書房だけど、eBooksだと、100円~安いんだよね。(ざっとみたとこでは紙媒体より300円安いのがあった) 活字媒体と漫画、つまり絵付き媒体の配信の違いは?疑問符だらけだ。結果を楽しみにしたいと思います。京極氏の本は売れているみたいだし、もしかしたら化けるかもしれない。通勤通学の電車の中で漫画をちょっと読むとかありだろうから。

2010年6月17日木曜日

われはロボット (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 小尾芙佐訳
映画「アイ ロボット」の原案 (でいいのか? 原作ではないし) 。アシモフの描くロボットの歴史。有名なロボット三原則について作品中に考察されている。

 「アイ ロボット」は映画館で観て "まあ、面白いかな" とい感想を持っていた。今回この作品を読んで、何となく曖昧に観ていた部分が補充された感がある。中々奥が深い。作品は「キャルヴィン博士」が関わってきたロボットに纏る事件を短篇の連作の形で掲載している。読み進むにつれ、だんだんとロボット三原則の解釈が複雑になってくる。人間の脳が進化して感情の面で複雑になってきたように。最後はロボットの支配か…。アシモフはこれを肯定的に描いてみせてるようにみえるけど、私には逆を述べているようにも感じた。特に好きな作品は「うそつき」。キャルヴィン博士、怖い…。でも気持ちは理解できる。
 この作品はいまタイトルに「完全版」とついて出版されてるけど、どこか変更があるのだろうか?

2010年6月16日水曜日

ギリシア案内記 上 (岩波文庫)

パウサニアス著 馬場恵二訳
2世紀後半( ローマ最盛期 )に書かれたギリシアの紀行文。抄訳。学術的に貴重な作品らしい。著者については名前以外詳しい事は分かっていない。 

 "この本の成分は半分注釈でできています" な作品。パウサニアスがきちんと自分の計画した順路に従い、当時有名だった名所旧跡を解説していくのだが、それに対して訳者が詳しい解説をつけている。その建物、美術の現在の状況、発掘現場等、解説の正否など丁寧にされているので読む価値はあると思う。
 石は強いな。この紀行文が著されたのは2世紀、それよりも以前の作品が、完全な形でないにしろ現在にも残っている。パウサニアスが観ていたものを観る事ができるのはすごい事だ。何世紀後にも残したければ、やはり石最強か。そして面白いと思うのは、パウサニアスの間違いや勘違い( 酷い時は騙されている )を今の調査で指摘できる事。技術が進んで細かい検証ができるようになったとはいえ、不思議に感じてしまう。
 ギリシャは現在一般人がなぜこうったの?状態になっているけど、この2世紀後半ローマの支配下のギリシャで、パウサニアスもギリシャの状況を残念に思っていたのだろう。

2010年6月15日火曜日

今日の積ん読

アメリカ紀行 上・下 ディケンズ 岩波文庫
ヘリオット先生の動物家族 J・ヘリオット ちくま文庫
珍日本紀行 東日本編 西日本編 都築響一 ちくま文庫
宇宙気流 アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫
瞬きよりも速く レイ・ブラッドベリ ハヤカワ文庫
マグニチュード10 アーサー・C・クラーク マイク・マクウェイ 新潮文庫
園芸家12ヵ月 カレル・チャペック 中公文庫
河童のおしゃべりを食べる 妹尾河童 文春文庫
ほら男爵 現代の冒険 星新一 新潮文庫


 ああ、気晴らしにブックオフに行ったばかりに…。緑字はブックオフで購入。「珍日本紀行」と「瞬きよりも速く」以外は105円だったのでついつい…。「宇宙気流」は運が良かった。絶版本!すごく嬉しい。「珍日本紀行」はよく本屋さんで時間つぶしに立ち読みした。半値なら買うかな…と。本屋さんでは目的の本がなかったので、やはりネットで購入か。積ん読、220冊台を目前にして、240冊台に逆戻りと相成った。あーあ…。

現在の積ん読 本:241冊 DVD:101枚

不二家ミルキーロール


 不二家のミルキーロールです。ニュースで見てから食べたいと思ってたのだけど、残念ながら行動範囲に不二家がない。今日たまたまスーパーの一角に出店していたので購入、嬉しかった! パッケージ可愛い、本体も良い良い。写真下手です。実物はもっとおいしそう。さっそくブラックコーヒーを用意して大人食い。たっぷりクリームを口に頬張る。クリームがミルキーだ。ミルキーと生クリームを上手に混ぜた味。おいしい、良いバランス。スポンジは周囲だけで、中身は全部クリームです。カロリーは覚悟して下さい。私?ちょうど徹夜などで体重減っていたので、増やす良い機会…と言い訳する。うまーです。スポンジも程よくしっとり。ミルキーの味が嫌いな人にはお勧めしないけれど、そうでない人でまだ食べた事がないようでしたら、お試しください。消費税込み1000円です。幸せの大人食いでお腹いっぱいです。

2010年6月14日月曜日

夜来たる (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 美濃透訳
SF短篇の古典といわれる表題作の「夜来たる」他4編。アシモフの解説付き。

 「夜来たる」暗闇というのはそんなに怖いものだろうか、と考えたが、昼と夜が毎日訪れる世界に住んでいる私もやはり暗闇は怖いし、二千年毎にしか夜が訪れない世界の住人ならば恐怖はよりいっそう深まるのだろう。ここで述べられているのは日蝕による闇でいいんだよね。ということは数時間で終わる?その数時間に凝縮させられる恐怖、人間の理解の許容を越えた恐怖とは実際どんな感じなのか…文明が火事で滅びるというのはちょっと無理がないかな?とは思った。
 どの短篇も面白かったけど、あと特に「ホステス」がよかった。寄生体は一種のバクかな、夢を食べるという動物。実はオチの意味がちょっと理解できてはいない。夫に利用(寄生) されて、目的を果たしたので捨てられた、でいいのか?「人間培養中」もいい。どちらも形は違うけど、人間の生を支配する別の存在があるというお話。こういのが私の好みなのかも。
 アシモフの解説も面白い。「緑の斑点」は「不名誉な任務」というタイトルより絶対良いと思う。アシモフの話の中にタイトルが変えられるということがよく述べられているけど、現在もあるのかな。

2010年6月13日日曜日

母なる地球 アシモフ初期作品集3 (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 冬川亘、他訳
アシモフの初期短篇集の第3弾。作品ごとにアシモフの解説が付いている。

 1巻から3巻まで、大御所に対して失礼なものいいになるけど、成長がよくわかる。これに収録されている作品は「チオチモリン」以外はどれも好きだ。「再昇華チオチモリンの吸時性」は理系の知識があればきっと面白いのだと思う。論文のパロディだから。面白みの分からない私、涙目。この作品に関するエピソードがアシモフの解説に述べられているが、これは面白い。表題作にになっている「母なる地球」、地球万歳的な作品にも見れるけど、白人優位主義に対する批判を感じた。風味に関して、今現在、地球に住みながら失われかけているような気が…大袈裟かな。「赤の女王のレース」卵が先か、鶏が先か?こういうタイムマシンものを読むと頭が混乱する。では、その化学の教科書が古代ギリシャになかった場合の世界が存在してこそ、現在の届いた世界が存在するのであって…あれ?わかんない。
  アシモフが名前が通った存在になっても、自分をプロの作家と認識していなかったのは意外だった。すごい現実主義。著者の経歴を改めて読んでみると、作品の見方も変わってくる。

2010年6月11日金曜日

日本の民家 (岩波文庫)

今和次郎著
今和次郎による東北から九州まで、日本民家についての入門書。解説に合わせて多数のスケッチが収録されている。「民家」という言葉が普及したのは、この作品からだそうだ。

 その地域によっての家の造りの違い、その意味。生きるための知恵を知らしめられる。日本は小さな島国なのに、これだけの差があるんだ。東北はやはり雪への対処に重点が置かれているし、海辺は家が船の倉庫になっている。また、蚕に家を占領されている地域、あと、神様の行事を主眼に置いた家。若夫婦は畳に布団で寝てはいけない( 土間で寝る )地域がある反面、逆に若夫婦に家を譲って年寄りが別の小さな家に移る場合もある。違いがすごく面白い。鑑みて、今の時代は同じような家ばかりになってきている。これは厳しい環境に対して、建築が柔軟に対処できるようになった証明であって良い事なんだけど、寂しい気もする。
 著者のスケッチがそれぞれの民家の解説を分かりやすくしている。妹尾氏の作品を思い出した。ちょっと目的とか違うけど。写真等よりも作品の持つ雰囲気にあっている。写真には写真の効果、スケッチにはスケッチの効果があることを認識させられる。
 私の家も建て直す前は明治の頃からの家だったので、ちょっと懐かしくもあった。土間に竃、薪で焚く風呂、風呂桶は醤油の樽みたいなのだったんだよ…。トイレはもちろん外のポッチャン便所。戻りたいかと言えば絶対嫌だけど。

2010年6月4日金曜日

ガニメデのクリスマス アシモフ初期作品集2 (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 冬川亘・浅倉久志訳
アシモフの初期短篇集の第2弾。作品ごとにアシモフの解説が付いている。

 おお、第1集より面白みが格段に増している。違いが分かってしまう。表題作の「 ガニメデのクリスマス」好きだ、こういうちょっと滑稽なの。7日毎のクリスマスか…ありがたみが薄れる気もする。人間の感覚かな…でも7日でいっさい歳をとるのは嫌だ。「幽霊裁判」「スーパーニュートロン」「決定的!」もいい。難しい事はさっぱりだけど、どんでん返しが楽しい。「スーパーニュートロン」の会議方式は「黒後家蜘蛛の会」などの作品につながっていくのかな。「幽霊裁判」のオチは判例主義への皮肉でいいのか。
 そして、アシモフの解説があり作品がより楽しめる。今回は一般から見ての荒唐無稽が減っている気がした。

2010年6月3日木曜日

城 (新潮文庫)

カフカ著 前田敬作訳
測量師さんでしかない男が、招聘された村で八分にされ翻弄されていくさまを描く。

 読んでいてイライラする。つまらない作品という意味ではなくて、同じところをループしながら、少しずつ沈んでいくような感じにイライラ。自分がKならさっさと出て行くぞ!と思いながらも、普通の常識で読む作品ではないのはないので、ああ頭がついていけない。不条理ここに極まれりかな。最後まで執筆されずに終わっているが、どうなるのか想像がつかない分余計に気になる。

2010年6月2日水曜日

カリストの脅威 アシモフ初期作品集1 (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 冬川亘訳
アシモフの初期の短篇を収録。作品ごとにアシモフの解説が付いている。

 さすがに初期作品だけあって、私程度のレベルの人間でも "ちょっと…" と思うところは多い。火星、金星に知的生物がいて環境が地球並みというのは時代背景もあるので置いといて、設定が甘いというか、人間性を甘くみている。アシモフ本人もそれは述べてみえる。「恐ろしすぎて使えない武器」どう考えても金星人がその武器を破棄したら人間は総攻撃するよね、人間だもの。「焔の修道士」等もうーんだけど、でもこれらの作品がアシモフの基礎となっていると考えるととても興味深い。「時の流れ」はこの作品に書かれているそのままの事は起きなくても、よく似た事がこの先あるのではないかという不安をかき立てる。マスメディアのコントロール程怖いものはない。で、正直なところ、アシモフの解説のほうが面白いので困る。
 私は古いSFの荒唐無稽が好きなので、現在ではびっくり設定でも問題ないのだけど、そういうのが許せない人はやめておいたほうがいいかも。

2010年6月1日火曜日

心 (岩波文庫)

ラフカディオ・ハーン著 平井呈一訳
小泉八雲の日本への深淵なる思索。

 元首相の著作で「美しい日本」といのがあったっけ、読んではないのだけど。美しい日本というのは小泉八雲の描く日本だろう。現在非常に残念な結果になっている。もちろん私も含めてだけど。美しすぎて、ちょっと贔屓し過ぎだとは思う。この時代の仏教や神道はそんなに素晴らしかったのかな?この二つの宗教が日本人に影響を与えた道徳観は好きなんだけど。極楽地獄とかは嫌いだけどね。大切にしなくてはならないものがあったのは本当だと思う。
 ニュースで浄土真宗の系列でキャラクタービジネス始めたというのを見た。もう、何ていうか言葉無かったな。古い感覚といわれようがやってほしくなかった。まじ、私の代で浄土真宗とはさよならです。