2024年4月16日火曜日

イギリス貴族(講談社学術文庫)

小林章夫著
  (カバー裏より抜粋)政・海・軍のリーダーとして大英帝国を支えつつ、空前の豊かな生活を送った貴族たち。世界中に広がった「英国的」な文化には、彼らが育んだものが多い。
 
  貴族のイメージというと…現代は税金対策が大変のようですが、最盛期は?
 
 とりあえず貴族の説明があります。種類多い…日本のファンタジー系に登場する伯爵とか色々が中国発端とは知らなかった。外国のルール等を日本語で紹介するのは難しいということですね。そして、侍女、メイドとか立場違うんだー。しかもブラック企業!!これは主人の当たり外れでいろいろ変わりそう。
 そして目眩く贅沢な生活。ファンタジー系時代小説を書く方にはお勧め。貴族的な生活の参考になります。
 
 それが現代になると…ですね。もともと貴族は金儲け(商人とか) を卑しい行為としていたようで、そこから方向転換できたらいいのですが、できなかったら…。それでも一般庶民よりは…とか思うのですがどうでしょう。

 国によって違いがありますが、貴族入門書としては最適です。その方向に興味がある方にはお勧めです。

蜻蛉日記(講談社学術文庫)

 全訳注 上村悦子
(カバー裏より抜粋) 美貌と歌才をもち、権門藤原氏に求婚された才媛が人生の苦悩を赤裸々に告白する、平安王朝の代表的日記文学。
 
 愛が重いわー…という第一印象。源氏物語の六条御息所を思い出してしまった。美貌と才能とそれなりの家柄(一応貴族かな??藤原氏家門が正妻にするのだから)を持って生まれてしまったからのプライド。
 読みながら「ツンデレ」のツンだけでどーする!!!と。ライバルがいるのに ダメだろと。平安時代の女性の立場から考えると余計に…。もう一人の北の方が絶対一枚上手だったのだろうな。

 本当に女性の立場の弱さ。幸い子供が産まれたから…でなかったら…。本当、釣った魚に餌をやらないとはこの時代にピッタリと。あ、著者の実名は伝わっていない。藤原道綱の母とだけ。

 読んでいて辛い。楽しい記述より苦しみの記述が多いから。特に訪れない夫への想い。著者の家の前を通っているのに素通りとか、辛すぎる。夫のプライドから出家も許されない。
 
 これを手に取ったのは、時代の貴族の事情を垣間見たいと思ったからですが 、辛すぎました。マジで。

2024年3月12日火曜日

帳簿の世界史(文春文庫)

 ジェイコブ・ソール著 村井章子訳
  (カバー裏より抜粋) 歴史の裏には全て、帳簿を駆使する会計士がいた!

 帳簿というか複式簿記の歴史です。かなり古い時代から使われていたのは驚き。イタリアが発祥というのは納得。商人には必須でしょう。オランダで盛んだったのも納得。
 時代の流れの中で簿記が果たした役割…メディチ家の没落、ルイ16世、マリーアントワネットの処刑までの流れ、スペインの没落。どうしても王様は予算の実態を見たくはないでしょうから…気持ちは分かる。公開なんて絶対したくないよね。

 そして近代からリーマンショックへ。改めて今の時代の簿記や会計の複雑さを考えた。頭痛くなってきた。会社を運営するのってどれだけ複雑???国内だけでなくて海外にも会社あって。全ての流れを把握ってできるの???

 本としては面白かったです。前半は。歴史上の人物との関わりとか楽しかったけど、近代に入ってくると…現実が近づいてくる感があって。私が古い方の歴史好きだからなのもありますが。

2024年2月20日火曜日

カリオストロ伯爵(草思社文庫)

イアン・マカルマン著 藤田真利子訳
  (カバー裏より抜粋)錬金術師、医師、預言者、詐欺師、フリーメイソン会員と幾つもの顔を使い分け、〈理性と啓蒙の時代〉の18世紀を妖しく彩った男の生涯を追う。
 
 カリオストロ伯爵というと、いろいろな時代に現れる時を超越した人物、 小説、映像作品でも使い易い人物のイメージです。これを手に取ったのも怪しげな人物の実像を知りたいと思ったからです。
 
 読んでみてどうだったかというと、凄い成り上がり!!褒め言葉ですよ。どうやって病気治したの?? プラシーボ効果にしても限界があるだろうし。誰かが煽動してたの??それが一番の疑問です。
 他人を惹きつける魅力はあったのでしょうね。虚言癖と上昇志向の塊で口が旨い。フリーメーソン内でチマチマしていたら、王家を敵に回さなかったら、もう少しマシな最期だったのでしょうが、それが我慢できない人物。
 
 そしてマリーアントワネットの首飾り事件にも関わっていたのかー!!ジャンヌさんは有名人ですが、この女性もなかなか凄い!!
 
 カリオストロ伯爵の生誕の地が観光地になっていないことも驚きでした。これだけ有名人なら祭り上げそうだと思うのは日本人だから??かな。
 
 ちょっと思ったのは最愛の奥方セラフィーナ、他の男に差し出されたり愛人作ったり、でもカトリック教徒な女性。最後はカリオストロを裏切るのですが。カリオストロと知り合わなければ、貴族か裕福な庶民の愛人で終われただろうに…と思ってしまいました。

2024年2月1日木曜日

スパイス戦争(ちくま学芸文庫)

 (カバー裏より抜粋)莫大な富を求め、命を賭して未到の地へ向かった大航海時代。とりわけ東南アジア島バンダ諸島を産地としていた香辛料ナツメグは黄金を凌ぐ価格で取引されるようになり、島の覇権をめぐってオランダとイギリスが凄惨な争いを繰り広げることになる。
 
 グロ注意。個人的R15指定。初めはスパイスを求める困難な航海、この時代は壊血病がやばすぎる。そして航路は噂頼り。今の時代からは「なぜ北極行っちゃう??」ですが、夢見る時代だった…そして覇権争い。物語風で楽しく読めていたのですよ。途中までは。
 
 あ、この作品はイギリス目線です。オランダ憎しです。
 中盤から終盤にかけて、拷問の様子がこれでもかと描かれます。物語風が悪く出ている気が…。私は無理。ホラーは平気でもスプラッタは無理。 マジ「オランダ人ってやべー」になります。しかも登場人物の中に明らかなサイコパスがいるー!!
 ごめんなさい。途中気持ち悪くて読めなくて飛ばしました。まさかこんなシーンが連続で…。
 これはイギリス目線なので、オランダから見たらきっとイギリスだってやってるぞ、になるのでしょうね。私もやってると思うけど。
 
 そしてスパイス戦争から現在世界一(だと思う)の都市となる地域をイギリスは手に入れます。この辺りは「へー」でした。こういう経緯があったのかと。

 面白い著作ですがスプラッタがなー。耐性のない人は絶対ダメです。

2024年1月24日水曜日

ルネッサンス夜話(平凡社ライブラリー)

高階秀爾著
 (カバー裏より抜粋) ルネッサンス美術の繁栄に大きな役割を果たしたメディチ家とはどのくらい金持ちだったのか。当時の人間像を代表する傭兵隊長なるものは、どのくらい球菌を貰い、どのような戦争をしたのか…。
 
 私の大好きな一冊です。ルネッサンスをテーマにしたエッセイ集…みたいな、ちょっと違うかな。
 まずはルネッサンスといえばメディチ家。成り上がってフランス王妃まで輩出した一族。その 一族がどのくらい金持ちだったのか?当時の納税から確認すると意外な事実が。有名なロレンツォが最盛期と思っていましたが、その頃には落ち目だったとか。フィレンツェの特殊な政治形態も面白い。二ヶ月で議員交代とか、長期的な政策とかやりにくくないのか??とか。

 特に興味深いのが市民であったルカ・ランドウィッチという人物の日記。淡々とした視線で時代を見つめる内容が面白そうで。どうしても歴史においては有名人の動向がメインとなり、市民の目線は大きくしか捉えられません。その中のこのような日記はすごく有用です。
 
 他ルネッサンス期のイタリアの戦争とか←正直他のルネッサンスの歴史読んで「戦争ばっかやってる」というイメージだったのですが、実際は…戦闘パレードもどきだったと。
 時代の学者、占い←人相学がなかなかで、有名な絵画も出てきます、そして時代を彩る女性たち… 持参金が興味深い。ルカ・ランドウィッチの日記にも出てきていたのですが、この時代の女性の持参金、そして男性側からの支度金。結婚って今も昔も金が掛かるのね。
 
 他、いろいろと興味深い内容満載です。そして文章が上手いのです。読みやすい。学者先生の本は読みにくいことも多いですから。気楽に読める一冊で、おすすめです。

2024年1月2日火曜日

世界をつくった貿易商人 地中海経済と交易ディアスポラ(ちくま学芸文庫)

フランチェスカ・トリヴェッラート著 玉木俊明訳
(カバー裏より抜粋)  しかしなぜ国家の後ろ盾のない民間商人が世界経済網を構築することができたのか?膨大な史料をもとに気鋭の歴史家がその謎を解き明かす。そして商業組織の歴史をたどり、資本主義の起源に迫る。
 
 ディアスポラの貿易、経済に関する論文集かな?一般向けではありません。一般人の私の感想「ユダヤ人すげー」でした。はい、正直に申告しますと最終章はリタイアしました。
 専門用語だらけです。その筋の人向けです。
 なぜ買った?と言いますと、もう少し柔らかい貿易の歴史の本かな?と思ってしまったのです。これからはもう少し読んでから買います。←本屋で買った。

 でもつまらないというわけではありません。合名会社(会社に対する責任無限というか全部)は面白いなーと。というか私のイメージするユダヤ人に近い。基本は親族で固めて、外部に任せた方がいいことは契約を交わして使う。
 いろいろな国で活動を制限されたり迫害される民族が何かあった時に頼れるのは、外国の付き合いのある親族。親族を基本にしたネットワークが広がるのは当たり前というか、防衛ですよね。

 多分専門家の人には面白いのだと思います。でも一般人は手にとってはいけません。税抜1300円ですよ。他の本買った方がいいと思います。