2014年3月19日水曜日

一枚の絵から 日本編・海外編 (岩波書店)

高畑勲著
(内表紙より抜粋) 漫画映画監督である著者は、美術への強い関心から、こまめに展覧会に足を運びー中略ー思いと興味はいろいろに、一枚の絵から広がる豊かな世界。

 まず、内表紙の「漫画映画監督」に引っかかった。漫画とアニメは別物だろ…。全然分かってない奴が紹介文書いてるだろ…。
 日本編・海外編それぞれ一冊になっている。 著者が自分の気に入っている作品について考えを述べている…というかエッセイっぽいかな。私は油絵はあまり好まないので、どうしても日本編のほうを面白く思った。絵巻っていいよねー。一度私自身も現代絵巻みたいなものを作ってみた経験があるのだけど、難しかった。でも、漫画やアニメと違う良さがあるのよ。あと、徳川家康の肖像画。なにかで観た覚えがあるのだけど、その由来を初めて知った。他にもこんな面白い作品があるんだ、と興味を湧かせてもらった。あー美術館とか行きたい。本当にご無沙汰だ。海外編もインド、中国の作品はいいなー。エル・グレコの「受胎告知」、誰か漫画家の絵に似ている。この作品自体が漫画チックに思えた。他にも幅広く収められているので、興味のある方、監督のファンの方はぜひ。

2014年3月13日木曜日

短篇 小説日和 英国異色傑作選 (ちくま文庫)

西崎憲編
(カバー裏より抜粋) 短編小説はこんなに面白い!十八世紀半ば〜二十世紀半ばの英国短編小説のなかから、とびきりの作品ばかりを選りすぐった一冊。

 ホラーっぽいものからファンタジーっぽいものまで、幅広く収められている。純文系はないけど。お気に入りは「羊飼いとその恋人」。主人公のミス・ギレスピーは苦労の中で頑張ることに生き甲斐を感じる人。平穏な人生の中では彼女は、空気の読めないおせっかいなんだけど、苦労を背負うことによってその性格が良い方向に生かされる。ミス・ギレスピーの気持ちわかるわー。で実は導きが…みたいなお話で、オチもよかった。「八人のみえない日本人」もいい。こういう女いるよねー、みたいなお話。日本人の存在がよく効いている。特に気に入ったのを上げてみたけど、他のお話も良質。同じ編者の「怪奇小説日和 黄金時代傑作選」は正直いまひとつだったのだけど、こちらはわたしにとっては当たり。

2014年3月12日水曜日

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)

イサク・ディーネセン著 桝田啓介訳
(カバー裏より抜粋) 女中バベットは富くじを当てた1万フランをはたいて、祝宴に海亀のスープやブリニのデミドフ風など本格的なフランス料理を準備する。その料理はまさに芸術だった…。

 淡々とした文章なかに隠された登場人物たちの人生。人は芸術に触れるとき何を想うだろう。絵や音楽に心を打たれるように、登場人物たちは、料理に心を打たれ、長い間の小さなしこりを溶かしていく。そしてそれを読む私も、文学という芸術に触れて、心温かになった。
 で、同時収録の「エーデンガード」。実は表題作よりこちらの方が長い。物語というか童話といってもいいかもしれない。心強き乙女の忠誠の物語。カゾッテ氏の赤くなった顔を想像して楽しかった。

2014年3月11日火曜日

バイオハザード5 リトリビューション (ソニー)

監督 ポール・W・S・アンダーソン
主演 ミラ・ジョヴォヴィッチ
(カバー裏より抜粋)アンブレラ社が開発したT-ウイルスが蔓延し、地球はアンデッドに覆いつくされようとしていた。人類最後の希望であるアリスはアンブレラ社に囚われ、ある極秘施設の中で目覚める。

 とにかくアクション!ストーリーなんて添え物です。流れていればOK。メインはアクション、時々ドラマでいいのです。特に舞台が海中施設で、完全な箱庭状態。下手に広い舞台…砂漠や制限なしの街中より、バイオハザードには合っていると思う。1、2が楽しめた人なら楽しめるのでは?と。ちょっとアクションが冗長かなと思うところもあったけど。ラスボスが意外な人だった。最後のゾンビの群れ…吸血蝙蝠化した鳥たちが中々よい。でも何もかもがいいというわけではなくて、吹き替え…。特にエイダ…。棒読みにも程があるだろ。あと、ジルは黒髪のほうがよかった。レオン、美青年…(泣)。
 しかし、登場人物がコロコロ変わる。Kマートやクリスはどこ??

2014年3月9日日曜日

時は乱れて (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 山田和子訳
(カバー裏より抜粋) レイグル・ガム。新聞懸賞クイズに2年間ずっと勝ち続けてきた全国チャンピオンだ。ある日同居する弟夫婦の子供が、近所の廃墟からひろってきた一冊の古雑誌が引き金となって、彼を驚くべき真実へと誘ってゆく。

 ディックだなー、良い意味で。読み始めはごく普通の生活…懸賞で生活できるのかは疑問だけど…。その中に綻びができ始める。作られた箱庭、出口がない。考えると気が狂いそう。でも今作の主人公は正常。正常のまま自分の決めた道を歩んでいく。ディックの作品としては珍しい??箱庭の中に居た参加者が気の毒。マーゴ、ヴィック、サミーなんて子供で…。レイグルが居なくなった後、元に戻れるのか??ま、余計なこと考えずに箱庭からの脱出と真実 (ちょっとうーんだった) を楽しもう。