2012年6月26日火曜日

サイキス・タスク (岩波文庫)

フレイザー著 永橋卓介訳
(カバー裏より抜粋) 政治、結婚といった社会制度の成立に俗信が果たす役割を厖大な民族史的資料を駆使して明快に説明する。

 1939年初版のままの再販。古い漢字を覚えていく自分って凄いと思わせてくれました。内容は、西欧から視た蛮族と呼ばれる民族の俗信を書いているのだけれど、まーすごい。不倫や近親婚が災いをもたらすと信じていて…これは仕方ないことかもしれない…義理の両親とは顔を合わさないとか、自分の子供でも異性とは顔を合わせないとか、その他諸々。で、不倫が発覚したら、大概死刑かリンチ…。いったい何人が無実の罪で…。王様というのも大変。家から出られないな、これは…。死んだら死んだでまた…。この著作に書かれていることが全て真実とは限らないことを一応念頭に置いて、その上で興味深いです。ただ、同じような内容がひたすら繰り返される傾向がある…この著者の作品ではよくあることだけど、ので退屈してしまう部分も多い。

ゴジラ・ファイナルウォーズ (2004 東宝)

監督 北村龍平

 映画館で観た作品。まー、いろいろと笑える。主役級の大根ぶり、その脇を固める役者が演技ができる人だとそれが浮き彫りに…いや、逆にうまい役者の演技が臭くなって…。で、X星人。映画館で仰け反ったのは未だに覚えてる。X星人だよ、2004年は数年前といってもそれはないでしょレベル。酷い映画?? いや私的にはOK…というか、あまりのことに大好きな映画となりました。戦闘シーン、過去の作品へのオマージュがパロディになってるぞ、おい!マグロ食ってる奴ってハリウッドゴジラ??簡単にゴジラにやられたけど。風呂屋の富士山っぽい絵バックのゴジラは素敵だけど。モスラも頑張った!ゴードン大佐のいかにもキャラ大好き!熊坂教官もいい!臭さがいい!!ミュータントって私はテレビ特撮育ちだからOKだけど、普通のゴジラファンはどうなの?で、ミュータントも存在し、またぎという職業も存在する。なんでもあり。このまたぎの連れてる孫とミニラが大伏線。一番好きなシーンは滅びることを覚悟で、ゴジラを甦らせることを決定するシーン。脇役がかっこいいよー!!!
 っていうか、この先続けるの大変じゃないかな。キングギドラ戦の最期なんて地球一気に氷河期の勢いなんだけど。ファイナルウォーズだからいいのか、もう。で、何か足りないと思っていたのだが、改めて気がついた。自衛隊…。

2012年6月24日日曜日

イメージの歴史 (ちくま学芸文庫)

若桑みどり著
(カバー裏より抜粋) 有名芸術家の作品はもとより、版画や挿絵、広告や記念碑に至るまで、美術作品が、何のために、どのように描かれてきたかーそれが「イメージの歴史」だ。

 正直ジェンダーに対して、良いイメージがない。 男女の差別はいろいろ議論はあるのは理解できるけど、小学校高学年の男女の着替えや身体測定を一緒とかは理解できない。区別は必要でしょう。で、この著作を手に取って迷ったんだけど、ジェンダーを笑ってやろうという気分で買ってみた。
 考えていたのとは違ったかな。歴史の中で現れるイメージに対して、それを解析している。納得できる内容で、成る程、と思うところ然り。エバとマリアの話は中々興味深い。っていうか、教会はこんなこと真面目に考えていたのか…。まあ後世の、異教徒が言っても意味ないのだろうけど。その他西欧中心の植民地主義や第二次世界大戦、日本に目を向けて、東京周辺の彫刻に目を向けている。ま、ヌードの彫刻を造る意味を芸術家という人達に考えて欲しいし、まともな答えが欲しいとは思う。

2012年6月20日水曜日

贓物大展覧会 (角川ホラー文庫)

小林泰三著
(カバー裏より抜粋)グロテスクな序章を幕開けに、ホラー短篇の名手が、恐怖と混沌の髄を、あらゆる部位から描いた、9つの暗黒物語。

 映画でよくあるグロを売りにした作品、といった感じ。文体が軽いので、グロが苦手でなければ、気楽に読めると思う。ホラーのライトノベルかな…ライトノベル読んだことないからイメージだけだけど。作品に深みを求める人はやめたほうがいい。

河童が覗いたニッポン (新潮文庫)

 妹尾河童著
(カバー裏より抜粋) 見慣れているから見落としたもの。近づけないから見ることができなかったもの。いままで多くの人々が見落としていたニッポンが、立体的に鮮やかに浮かび上がって見える。

 河童氏の視点は面白い。細かいイラストも楽しい。この著作は刑務所が多く取材されている。中々興味深い。ただ、この著作自体がかなり古いので、今はまた変わっているのだろう。昨今話題の入れ墨の話もあり。彫り物を入れ墨というな!!という主張。読んでみると成る程と思う。CF作成の舞台裏もある。ここで大林監督がでてくるのだけど、「決して相手に強要したり、命じたりしないそうだ」とある。違和感あるなー。ニュースで大林監督が尾道のまちこわしと戦う、というのがあったから。年をとったのかねー。

2012年6月19日火曜日

モスラ対ゴジラ (東宝 1962)

監督本多猪四郎
(DVD紹介文より)超大型台風が去った浜に巨大な卵が流れ着く。インファント島双子の小美人がその卵がモスラの卵であることを告げたとき、干拓地からゴジラが出現!

 この時代の映画らしく、悪役は悪役らしく、主人公は主人公らしく。特撮はどうしてもちゃちく見えるけど、仕方のない事で気にすることではない。しかし、ゴジラの顔は可愛すぎ。インファント島に上陸時に後ろにいる亀、可愛すぎ。名古屋を破壊するのだけれど、破壊行為中もお間抜けしている。破壊王らしくして欲しいな…。今回はモスラに華を持たしたのか、ゴジラはやられっぱなし。お母さんモスラもゴジラにやられたのではなく、寿命で死亡だし、卵から生まれたばかりの双子のさなぎモスラには、振り回されっぱなし。尻尾に噛み付かれてゴジラはひたすら尻尾を振り回すゴジラには笑った。地形を生かしたモスラの戦闘はよかった。自衛隊はお約束の黄金失敗パターン。ゴジラの敗戦だったけど、ラストは生死不明だった。

今日の積ん読

ゴジラ ファイナル ウォーズ 北村龍平監督
柳宗悦 民藝紀行 水尾比呂志編 岩波文庫
贓物大展覧会 小林泰三 角川ホラー文庫

 ネットで小林泰三氏の作品の内容が書かれていたのを見て、ちょっと興味を引かれたので買ってみた。面白いといいけど。ゴジラ ファイナル ウォーズは映画館で観てきて、余りのことにのけぞった作品。評価はいろいろそういうサイトを見て下さい。私はどうしようもない作品でも、限界を越えると却って面白くなってしまうことがありまして、そういう意味でゴジラ ファイナル ウォーズはツボに入った作品でして。ただ、邦画は高いから手をだすのを躊躇っていたのだけど、思い切って買ってみた。
 最近積ん読はともかく、読んだ本が溜まりまくって、どうしようもなくなってきている。特に興味を引かれなかった本は自炊するつもりでやってはいるけど、中々進まない。思い切って裁断業者に裁断を頼もうかと思っている。裁断機は保管場所取りそうで二の足踏んでいるし、カッターは時間がかかるし。今溜まっている分を業者に出して、これから出てくる分はカッター処理にしようかと。それに、文庫はともかく、書籍がばらすのが大変そうで…。 

現在の積ん読 本:205冊 DVD:129枚 

 少し前に暇つぶしに「クロワッサン」を買った。下半身の筋トレの特集に引かれて。腰がだめなんですよ、ちょっとでも対策をと。結果は良さそうなのがあり続けてみよ うと思ったので価値はあったのですが、雑誌自体については…。何、この広告ばっかりの雑誌…。特集と読者ページ以外は広告の気がする。購読する価値はない と思うけど、いるんだろうな、きっと。

2012年6月15日金曜日

アイルランド 世界史と風土 (岩波文庫)

オフェイロン著 橋本槙矩訳
(カバー裏より抜粋)現代アイルランドを代表する作家オフェイロンの手になるアイルランドの基本文献。

 序盤、若干文章が読みにくかった。難しいとかではなくて、文章自体が…。読んでいくうちに慣れたけど。 アイルランドというと内乱、テロ、IRA、宗教戦争のイメージ。イメージだけで実際はよく知らない国かな。この著作は知らないアイルランドを分かり易く読ませてくれた。大衆に対して厳しいな…。大衆の愚かさは時代が変わっても国が変わっても大して変わらないけど。p266の「世界中の政治家には一つのルールしかない。それは野党の時の発言を与党の時に口にするなということである。さもないと対立党が不可能だとみなしたことを実行しなければならない羽目になる」さてさて日本の与党は…。大衆は野党のときの発言を信じたな…。ま、私も大衆ですけど、あれは信じなかったし、やばくね?みたいな…。この作品は読んで欲しい。決してアイルランドだけのことではなく、自分自身の諌めになると思う。

ロウソクの科学 (岩波文庫)

ファラデー著 竹内敬人訳
(カバーより抜粋)一本のロウソクに火をともせば、深遠な科学の世界への扉が開く。

 理系に強い子供なら、ロウソクなんて今更…なんだろうけど、科学の事始めとして楽しめると思う。時代の違いはあるけど、とても分かり易く説明されているし、時代を感じさせるイラストがいいなー。家で実験するのは危険ではないか?と思うところもあるけど。

2012年6月10日日曜日

逸楽と飽食の古代ローマ (講談社学術文庫)

青柳正規著
(カバー裏より抜粋) 『トリマルキオの饗宴』は、古代ローマが生んだ風私小説の金字塔『サテュリコン』の最も有名な場面である。…(中略)… 解放奴隷の成金富豪の催す饗宴の一部始終を解読。

 解放奴隷の存在は知っていたけど、こういう存在なのか、とちょっと理解できた。ユダヤ人に近い??マジョリティがやらない仕事…金貸しとかを引き受けているところとか。料理はおいしそう…丸焼とか一度食べてみたい。饗宴自体は品が無いというか、出席したくはない。見てみたいとは思うけど。
 内容は『トリマルキオの饗宴』を抜粋しながら、それを解説していく形をとっている。登場人物の立場や時代背景が解説されていて、分かり易くて面白い。

2012年6月9日土曜日

パロマーの巨人望遠鏡 上・下 (岩波文庫)

D.O.ウッドベリー著 関正雄 湯澤博 成相恭二訳
(カバーより抜粋) 二十世紀、新時代の天文学の発展は、望遠鏡の進化とともにあった。その基礎を築いたヘールは、資金・材料集めや技術上の様々な困難を乗り越え、次々と巨大望遠鏡の建設を進めた。

 技術的な部分はサッバリです。でも、面白い、面白い時代だったんだな、と。ヘール氏、天は二物…どころか、どれだけ与えたのやら。理系はばっちりで、セールスマンの才能もあって、熱意も情熱もあって…。周りを巻き込む力…凄い人がいたんだ。周囲の人々も凄い。基盤のために殉職した人、トラックの運転手からガラスの技術者になった人…。今、こういうのってあるのかな。ちょっといいことしか書いてないのかな…という気もしなくはないけど、読んでいてちょっとがんばろうか、と思わせられる一冊です。

パリの風俗 (白水社)

鹿島茂著
 バルザック、ユーゴー等々、パリを舞台とした小説の登場人物の職業。理解して読んでますか?私は適当に理解したつもりで読んでいます。あくまでつもりです。その職業についての一冊。

 で、書籍、そこそこの値段です…が、なんかカバーもカバー外した表紙、全然頑張っていない。こういう書籍ってもうちょっと…ね…。内容は結構楽しく読めました。小説の登場人物を題材にしてその職業について解説してあります。難しくないし、蘊蓄になるかな、という一冊。

2012年6月2日土曜日

プロディーの報告書 (岩波文庫)

J.L.ボルヘス著 鼓直訳
(カバー裏より抜粋)「鬼面ひとを脅かすバロック的なスタイルは捨て…やっと自分の声を見いだした」ボルヘス後期の代表作。

 ボルヘスにしては読み易い…というか分かり易い。でも、ボルヘスの持つ香りは残っていて、私は好きだけど。もしかしたら抵抗を持つ人もいるかもしれない。
 「じゃま者」は別の本で読んだ気がする。「ロセンド・ファレスの物語」連作の最期かな。そうだったのか…という感想。今までボルヘスは分かりにくいと思っていた人でも大丈夫だと思う。

明治劇談 ランプの下にて (岩波文庫)

岡本綺堂著
(カバーより抜粋)  劇評記者綺堂が見た数々の舞台の名優たちの思い出を綴り、明治の息吹を伝える。

 明治時代の歌舞伎を中心とした舞台、役者を実際に見てきた著者の随筆集。歌舞伎は余り詳しくはないけど落語が好きなので、話の内容はだいたい理解できるかな。歌舞伎を知らない人でも楽しめるとは思うけど。いざという時はGoogle先生もいらっしゃるし。歌舞伎をご存知の方は、今と昔を比較するのも面白いかもしれない。
 知らないこともたくさんあって、書生芝居…こういうのってどちらかと言うと左のイメージがあるけど、戦争便乗しているとか右左うまくやっているな。あと女だけの歌舞伎もあったのは知らなかった。宝塚みたいなもの?女だけというのは、うまくいかないのでは…という偏見を持つ私。
 明治を感じられる一冊と思う。