2010年10月29日金曜日

食卓の賢人たち (岩波文庫)

アテナイオス著 柳沼重剛訳

料理、その他いろいろ、宴に招かれた客が蘊蓄を披露する。一応対話篇で奇書らしい。作者については、名前以外は分かっていない。


 こういう本当かどうか分からないような蘊蓄本、大好き。楽しい。料理のことを中心に、様々な話題がでてくる。しかし、この著者はプラトンが嫌いだったのかな。とにかく否定しようとしているような。
 解説も面白い。訳の人は別に面白く書こうとは思ってみえないだろうに、何だか笑えた。訳の人も述べてみえるのだが、この「食卓の賢人たち」にしか引用されていない作品が多々あるようだ。歴史に埋もれた作品たち…。もしかしたら傑作もあったかもしれないのに残念。
 中略が多かったのも残念。編集部の都合や( 多分こっちの理由が大きいんだろうな )、内容がつまらない部分をカットしたようだけど、読んでみたかった。貧乏人には文庫が頼りなんだー。

今日の積ん読

王の二つの身体 上・下 E・H・カントーロヴィチ ちくま学芸文庫
好物漫遊記 種村季弘 ちくま文庫

 ちくま復刊は買い納め。しばらくは読む方に専念。来月欲しいのは岩波の復刊一冊だけだし、うん…たぶん。 

現在の積ん読 本:191冊 DVD:80枚

 絶対200冊台の積ん読は阻止だ。来月は絶対ブックオフには近づかない…たぶん。

2010年10月26日火曜日

今日の積ん読

貧困の文化 オスカー・ルイス ちくま学芸文庫
売春の社会史 上下 バーン&ボニー・ブーロー ちくま学芸文庫
江戸人の生と死 立川昭二 ちくま学芸文庫
悪霊論 小松和彦 ちくま学芸文庫
ケルト/装飾的思考 鶴岡真弓 ちくま学芸文庫
歌舞伎 渡辺保 ちくま学芸文庫
古代大和朝廷 宮崎市定 ちくま学芸文庫
江戸のはやり神 宮田登 ちくま学芸文庫

 筑摩書房復刊のまとめ買い。あーあ、読む速度が買う量に追い抜かれている。最近は新しく買ったものから手を出す癖がついて、昔買ったものは積まれたまま。いつか読む日が来るのか…。
 筑摩書房が復刊フェアみたいなのやってる。復刊された文庫の帯に付いている応募券を2枚で応募するとブックマークがもらえるとか。できればプレゼントの種類がもっとあればなーと思った。同じブックマーク4つもらっても…。

現在の積ん読 本:189冊 DVD:80枚

SFメカニック・ファンタジー 小松崎茂の世界 (ラピュータ)

サンダーバード、プラモデルの箱絵で有名な小松崎茂の作品集。

 うーん、昭和の匂い、いいなー。どうしてもプラモデルの箱絵のイメージが強いのだけれど、いろいろなところで描いてみえたんだ。
 夢が広がる時代のノスタルジーを思う。こういう未来を夢みていたんだ。はっきり云って荒唐無稽、突っ込みどころも多いのだけれど、そんなのどうでもいいのだ。創作された別世界に浸って下さい。作品解説がもう少し詳しかったら、もっとよかったのに。
 昔の荒唐無稽SFが大好きな私は、こういうのにはまってしまう。絵がかなり濃いし、あくが強いので、好き嫌いが出ると思う。購入を考えられるかたで小松崎茂氏の作品をご存じない場合は、グーグル先生の画像検索なりで確認してからのほうがいいでしょう。そして小松崎茂ワールドを楽しんで下さい。

2010年10月22日金曜日

世事見聞録 (岩波文庫)

武陽隠士著 本庄栄治郎校訂 奈良本辰也補訂
江戸時代の身分制度の中に起こる矛盾、それに伴う風俗の乱れに対して、ひたすら嘆き怒っている本。

 読んでいると憂鬱になる。ひたすら階級の堕落、風俗の乱れを嘆いている。実際目に余るものがあったのだろうし、それに対しての提言としての作品なんだろうけど。どの階級もメッタ切りです。正直同じようなことをクドクド述べられているように思えて、読むのに疲れてしまった…。私向きではなかった。江戸の風俗等を考えるにはよい本とは思うけど。

今日の積ん読

食卓の賢人たち アテナイオス 岩波文庫
銅版画 江戸川乱歩の世界 多賀新 春陽堂

 「食卓の賢人たち」入荷お知らせが着たので購入。ついでに余分も買っている…。 

現在の積ん読 本:181冊 DVD:80枚

 筑摩書房の復刊が重版されました。 でも通販サイトはお取り寄せのままだったので、仕方ない少しずつお取り寄せするかと注文した次の日、出版社取り寄せから当日〜2日発送に変わった…!!もういいです…。重版されたばかりだから出版社の品切れはないだろうし、時間がかかるにしても手に入るだろうし、万が一手に入らなかったときは縁がないものと諦めましょう。…でもムカつく。

2010年10月17日日曜日

俠客と角力 (ちくま学芸文庫)

三田村鳶魚著 柴田宵曲編
俠客と角力、それぞれの成り立ちからその共通項を見いだせるのでは?というテーマ。時期的にタイムリーな作品が出版されたなと。

 角力と俠客、それぞれの歴史、主に風俗の面を取り上げている。本の裏表紙に共通項うんぬんと書いているけど、それを見いだすのは読者の仕事かな。柴田宵曲が解説を書いているので読んでみるとよく分かると思う。
 俠客も角力も始まりは身分の高いところからというのは驚いた。時代が下るに従って質が落ちて、最期はただのDQ…。角力の方は江戸時代にある程度の組織ができたようだけれど、それができていなかったらどうなっていたんだろう。K1とかみたいな見世物格闘技系になったのかな。いや、相撲も見世物だと私は思っているけど。今の角力は偉そうなだけで、格闘技系と裏は変わりなさそうだし。落語の角力の話…例えば「阿武松」「花筏」とか大好きだけど、この本読んでみた限りは創作なんだろうな…ちょっとがっかり。
 俠客は映画やドラマ、小説とはかなり違っていたのね。まともに信じる方もバカなんだろうけど。有名どころがこき下ろされています。逆に知らない名前の人が、仲間のために…だったとか。そうそう、元々博打打ちと俠客は別物だったそう。始めからセットなのかと思っていた。
 とても面白い作品だった。私は蘊蓄として楽しんだけれど、俠客と角力の歴史風俗に興味のある人にも楽しめると思う。最期に捌きものという作品が掲載されていたけど、これも面白い。大岡越前の話って、他の人の裁きも入っていたんだ。

2010年10月16日土曜日

古代への情熱 (新潮文庫)

シュリーマン著 関楠生訳
トロイア遺跡で有名なシュリーマンの伝記。

 いろいろ云われている人物。彼が成したことは偉大なことも事実だし、遺跡にかなりのダメージを与えたことも事実。正直言うと、この本は賞賛に偏りが大きいかなという印象。読んだあと、どこまで本当かな??と疑問が湧いてしまう。何とか素晴らしい人物にみせようと無理しているような…。首をひねりっぱなしの一冊でした。

2010年10月14日木曜日

今日の積ん読

ダンピア最新世界周航記 上下 岩波文庫
江戸はこうして造られた 鈴木理生 ちくま学芸文庫
俠客と角力 三田村鳶魚 ちくま学芸文庫
渚にて 人類最期の日 ネヴィル・シュート 創元SF文庫
SFメカニック・ファンタジー 小松崎茂の世界 ラピュータ
阿Q正伝・狂人日記 魯迅 岩波文庫
近代日本人の発想の諸形式 伊藤整 岩波文庫
河童が覗いたニッポン 妹尾河童 新潮文庫
クリスティ短編集(一) クリスティ 新潮文庫
クリスティ短編集(ニ) クリスティ 新潮文庫 
アクロイド殺人事件 クリスティ 新潮文庫
七つの時計殺人事件 クリスティ 新潮文庫 

 ストレスが溜まっている可哀相な私…と自分を誤摩化してみた。また積ん読が…。せっかく本棚がすっきりしたのに、元の木阿弥。でも、溜まっている本を見るのも一つの快楽なのだ。ストレスが溜まっていたので…といって犯罪行為に走るおバカさんたちよりも積ん読の快感のほうが健全だろう…うん、絶対。

現在の積ん読 本:183冊 DVD:80枚

 何だか最近アマゾンが調子悪そうで、発送が遅延しているよう。アマゾンのいいとこって速いことだと思っている。サイト自体は見にくいし(マケプレと混在してるしね…)、特に注文画面はとにかく余分に買わせたいのか余計な画像やメッセージ満載で分かりづらい。この辺りはe-hon、7の方がいいと思う。でも何より速さが魅力…だったはず。ユーザーが多いのだし、早く解消するといいな、と思う。
 最近電子書籍はどうなったのかな。一時の盛り上がりが一気に冷めた気がする。真面目にe-inkの欲しいんだけど。ソニーが米で出している機種の日本発売のニュースがあったけど、どうなんだろう。期待しているんだよ…。

サラダパン

 職場の同僚に教えてもらったサラダパン。変哲のないコッペパンの中身は漬け物のマヨネーズ和えです。Popにテレビで紹介されたウンヌンと書いてあったので、有名なのかな。初めてこのパンの話を聞いた時は「ええ…ちょっと」みたいな感じだったけれど、たまたま売っている店に行ったので買ってみました。
 袋はいかにも田舎のパン屋さんのパンといった風で、良い味を出していると思います。素朴さがいい。袋を開いてとりあえず具を見てみた。…うじ…見ない方がよかったかも。で、試食。…意外と普通の味です。マヨネーズ味。漬け物の風味はありませんが、コリコリしてその歯触りがいい。普通のマヨネーズのパンでした。
 …なのになぜ私はリピーターになっているのだろう??何というか歯触りが癖になるのです。私はTVで紹介とかいうのはあまり信用しないのだけれど、これは当たりでした。でも、好き嫌いはあるかもしれない。もしお近くでお見かけになったらお試しください。130円でした。

エジプト神イシスとオシリスの伝説について (岩波文庫)

プルタルコス著 柳沼重剛訳
エジプトの神、イシスとオシリスについて、プルタルコスがギリシャの視点から述べる。

  イシスとオシリスの伝説からエジプトについて色々と考察している。神話に興味のある人なら楽しめると思う。訳注もよくできていて、本文と合わせて楽しめた。内容としては、プルタルコスがエジプトを第三者の視点から見ているのではなく、ギリシア人の観点から述べている、何とかギリシアと結びつけようとしているという印象を持った。
 プルタルコスは学識の深さで有名な人だけど、自分で色々こじつけているのだということに驚いた( 訳注p190辺り参照 )。でも考えてみたら、近代から現代にかけての偉い学者さんも、自説に拘ってトンデモ言ったりする人もいたよね。いつの時代も…ということか。

2010年10月11日月曜日

園芸家12ヵ月 (中公文庫)

カレル・チャペック著 小松太郎訳
園芸家を揶揄しながら、実はこよなく園芸と園芸家を愛しているチャペックの園芸本。

 どの世界でもマニアの凝り方は凄い。園芸家もその中の一つ。私自身はさっぱりなんだけど、父がさつき育てているから何となく理解できる。月ごとの園芸家の様を皮肉っぽく、でも楽しく描いている。この方面に興味のある人は楽しめそう。p71のトルストイへの皮肉がいい。そしてこの一文、「主義のため、あるいは道徳的な動機から労働をするということは、たいして価値のない労働をすることだ」ものすごく同意。
 この本はブックオフで買ったのだが、以前の持ち主が蛍光ペンでやたらラインを引いている。この本を真面目に参考にしようとしたのだろうか。ちゃんと参考になる本なのかな。解説の人も述べてみえるけど、チェコと日本では気候等条件が違うからどうなんだろう。

2010年10月8日金曜日

今日の積ん読

私の個人主義 夏目漱石 講談社学術文庫
菊と刀 ルース・ベネディクト 講談社学術文庫
イルカの島 アーサー・C・クラーク 創元SF文庫
アイヌ神謡集 岩波文庫

 久々のブックオフ、買ってしまった。最近全然読むほうが進んでいないのに。最近読んでいても寝てしまって…。ちょっと気合い入れないと。
 今月は「侠客と角力」「食卓の賢人たち」を買いたいのだけれど、「食卓の賢人たち」は岩波文庫の復刊なので通販サイトも遅れるとして、7とe-hon「侠客と角力」はちくま学芸文庫の新刊なのにお取り寄せになっているのはなぜ??アマゾンは当日発送マークなのに。
 筑摩書房の復刊の決定がサイトに掲載された。「王の二つの身体」これは復刊を望む声が高かったし当確と思ってた。「トイレの文化史」はダメか…残念。でも面白そうなのが復刊されるので非常に楽しみ。そしてまた積ん読が…。一応「好物漫遊記」「王の二つの身体」「貧困の文化」「売春の社会史」「江戸人の生と死」「悪霊論」「ケルト/装飾的思考」「歌舞伎」「古代大和朝廷」「江戸のはやり神」購入予定。

 現在の積ん読 本:171冊 DVD:80枚

ほら男爵 現代の冒険 (新潮文庫)

星新一著
ほら吹き男爵の子孫が繰り広げる冒険譚。はてさてどこまでが真実やら。 

 ミュンヒハウゼン男爵は実在の人物だったのか。「ほら吹き男爵の冒険」は読んだけど、ちゃんと解説観てなかったようだ。その子孫である現男爵が冒険を繰り広げる設定だけれど、原作とはひと味違う星新一色がいい。所々に出てくる、ちょっとした現代社会への皮肉が利いている。私は「地下旅行」編が好きかな。男装のお色気ウサギ…いいねー。元の話を知らなくても楽しめるので、星新一のほら男爵を楽しんで下さい。

2010年10月4日月曜日

夢魔の標的 (新潮文庫)

星新一著
腹話術の人形のクルコちゃんが、人間のように話し始めた。どうやら秘密の指令があるらしい。追い込まれていく主人公に救いはあるのか?

 星新一氏の作品は短篇は好きなんだけど、長編は苦手。中盤退屈してしまうことが多いから。この作品がそれに当たってしまった。 クルコちゃんのキャラ好きだし、序盤は盛り上がってきて面白かったんだけど。軽快さが足りないような。ま、あくまで私の好みの問題です。

2010年10月1日金曜日

ブランコのむこうで (新潮文庫)

星新一著
僕そっくりの少年に出会った。彼についていった先の知らない家で起こった出来事。それは不思議な夢の世界への入り口だった。

 星新一版「不思議の国のアリス」かな。迷い込んだ夢の世界は、願望の世界であり惟一残された憩いの場であったり。「皇帝バンザイ」最近裁判のあった秋葉原の無差別殺人思い出した。作品の登場人物の方が悲惨な設定だけど。夢の中で皇帝になっていた男は心の一部に救いを残していたけど、秋葉原の犯人にはなかったのだろうか。「道」ちょっと哲学的で好き。
 主人公の少年がいろんな夢を渡って行く過程を、短篇の連作の形で綴っている。序盤正直退屈かなと思ったけど、読んでいくうちに面白くなっていった。少年が良い子すぎるのが鼻につくかな。