2014年10月24日金曜日

宇宙の眼 (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 中田耕治訳
 (カバー裏より抜粋) 観測台から見下ろしていた見学者たちを、突然災厄が襲った。ー中略ー彼の知る現実世界とは、ほんの少し違っていた。

 カバー裏の解説に一言、ほんの少し違っていた…ってほんの少しかな??ディックの長編作品にしては珍しくラストが不気味に明るい。救いのなさがディックなのに。ちゃんとストーリーが通っているのも変…いや、小説として当たり前なんだけど。
 なぜマーシャが憎まれたか?理由は理解できる。本当に己の信念に基づいて生きている人間は、それができない人間に憎まれる。さて私は…マーシャの性格設定は理想だけど、なれないし憎む事もないけど、普通なら。でも憎む人間がいる事も理解はできる。マクフィークの弱さは普遍のもの。…で、精神世界では殺された人達は、現実では生きていた??でいいのかな。

2014年10月21日火曜日

都市 (ちくま学芸文庫)

増田四郎著
(カバー裏より抜粋) 西ヨーロッパにおける近代資本主義社会の幕開けのきっかけともなった「市民」とは、どのような概念なのだろうか。

 基本的にヨーロッパ万歳の内容です。さすがに今の時代に読むと「あいたた…」感は強いです。ただ古代から中世にかけては面白いですよ。ものすごく「市民」に拘っていて、権利の行使を謳っているのですが、対局の義務は?みたいな。日本についても、指摘されている事にあてはまる事も多いと思います。そして…何というか著者が喜びそうな市民の権利の主張の状況になってきているとは思います。あと、現代の北アメリカ、ヨーロッパの状況を知っていてこの著作を読むと…。仕方のない事です。先の事なんてだれも予見できないのですから。

2014年10月11日土曜日

日本数寄 (ちくま学芸文庫)

松岡正剛著
 (カバー裏より抜粋)著者の博識に身を委ね、歴史と現在を大胆に横断しながら見えてくる、無情迅速、日本のダンディズムの歴史。

 日本について知らないことがまだまだ多いのは分かっています。この著書を読んで、本当に物知らずなのだと思い知らされました。例えば仏壇。実家は田舎の浄土真宗で、それなりの仏壇があります。その仏壇の構成の意味…正直仏壇ってキンキラで趣味悪いと思っていましたが、構成の意味とか考えると確かに面白いものです。そして、私の長年の謎であった阿弥陀仏。なぜお釈迦様ではないのか??と子供の頃から非常に不思議でした。あと興味を持ったのは織部です。一時美濃の近くに住んでいたせいでしょうか。他にも興味深いお話ばかりでした。頭の固まったおばさんに、物を考える、繋げていくことをもう一度再考させてくれる内容でもありました。