2010年7月31日土曜日

エトルリヤの壺 (岩波文庫)

メリメ著 杉捷夫訳
「カルメン」の著者メリメの短編集。

 やりきれない話ばかりなのだが…。何なんだ?この絶望感と空虚。訳者が著者をペシミストと評してみえるけど、本当に…何というか。全ての作品が悲劇で終わる、もしくは悲劇を予感させる終わり方をしている。気持ちが落ち込んでいる人は読んではダメ。作品自体は良いものと思うのだけど。元気なペシミストの人、どうぞ。

2010年7月30日金曜日

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

ミラン・クンデラ著 千野栄一訳
 「プラハの春」トマーシュ、テレザ、サビナ、フランツの辿る悲劇。恋愛小説というより、哲学小説?のような。

 その時代を通った人でしか描けない作品。恋愛小説なんだけど、底に流れるものが深過ぎて何も言えない。トマーシュ、テレザの行動は理解できない部分が多い。テレザはとことん女過ぎて、共感もあるけど同族嫌悪を感じる。トマーシュ…よく分からない。秘密警察とか絡んでくると、混乱してしまって。善かれとやったことも味方に悪く跳ね返ってきて、何もできないじゃないか。実際そういう場にいたら、頭真っ白になりそう。サビナとフランツのパートが面白かった…というか共感を持てた。フランツは日本にもいそうなタイプ。武装地域で亡くなっている人とか共通する部分あるんじゃないのかな。彼の最後の行動って、絶対やってはいけないと云われているパターンだよね。安全な国の人間の思考。しかし外国の人って行進が好きだなー。サビナは、チェコというバッグラウンドを通して視られることへのあがき?でも、それで儲けている部分もあったような。あと小説等に描かれるアメリカ人って、本当にパターン踏んでいて笑えるのだが。
 文章が淡々としていて、内容にあっている。訳者の人、R.U.Rの訳の人だよね。幅広いな。「冗談」も読みたいのだが、文庫になってない、高い!

2010年7月29日木曜日

今日の積ん読

ビーグル号航海記 上・中・下 チャールズ・ダーウィン 岩波文庫

 岩波大量復刊シリーズ、あと一冊は来月かな。来月は岩波の復刊で一冊欲しいのがあるけど、程々にしておかないと結局ブックオフ行きになってしまう。やはり電子化にがんばってもらうしかないのか。話題のスキャナサービス利用したい。特に漫画。数は少ないけど場所空けたい。今は人気でかなり混み合っているようなので、時機をみて注文したいな。個人でばらしてスキャナすればいいんだけど、さすがに手間が掛かるし、専用の器械…そこまではしたくないし。

現在の積ん読 本:205冊 DVD:82枚

2010年7月28日水曜日

ピーウィーの大冒険 (1985 アメリカ)

監督 ティム・バートン ワーナー
盗まれた自転車を求めて、ピーウィーがテキサスまで珍道中…大冒険を繰り広げる。

 なぜワーナーでゴジラとキングギドラの撮影をしている??いかにも怪しい日本語で笑えた。まともに考えて観てはいけない。頭を空っぽにして楽しんで下さい。性格の偏った主人公。高性能過ぎの自転車。ご都合主義の展開。非日常コメディ。ちょっと途中観るのにだれるけど、最後の撮影所で盛り上がります。そして上手く締められている。恐らくいろいろなところに名作へのオマージュがあるんだろうけど、映画に詳しくないので分からないのが残念。

2010年7月27日火曜日

今日の積ん読

オデュッセウスの世界 フィンリー 岩波文庫
創世記機械 J・P・ホーガン 創元SF文庫
鳥 ダフネ・デュ・モーリア 創元推理文庫

 「オデュッセウスの世界」7ネットが重版未定のままなので、アマゾンショッピングカード買ってきて、垢取って購入。ついでに読みたいかな、と思っていた本も。で、とにかく速いのにびっくり。日曜日の午前中注文して月曜日の午前中到着。こんな山奥なのに。アマゾンはゆうパックか佐川だと思っていたら、黒猫さんできました。何というか、アマゾン使っている人が他の通販使って不満持つ理由はよくわかった。早いに越したことはないし、それに慣れたらね…。正直、アマゾンの購入するときの分かりづらさ、とにかくお勧め商品をあれこれ押し付けるように表示するのにウンザリしたけど、この速さで不満相殺だ。私は宅配があまり好きではないので、7にない商品がある時だけアマゾンを使うことにしよう。ローソン?潰れた。  

現在の積ん読 本:204冊 DVD:84枚

2010年7月26日月曜日

鳥 (1963 アメリカ)

監督 アルフレッド・ヒッチコック ユニバーサル
弁護士ミッチの屋敷に愛の鳥を届けたメラニーは、カモメに襲われる。それをきっかけに鳥は町を覆い、攻撃を始めた。

 云わずと知れた名作。何百羽という鳥が人間を襲う。笑い事じゃない。私の家の周囲は最近カラスが変な鳴き声して飛び回って、数増えてきているし。恐怖がものすごく身近。
 どうしても今から見ると思いっきり合成でセットもちゃちく感じるかもしれない。でも、それで質が損なわれる作品ではないと思う。人間のトラウマのようなものも描かれているのだけど、見過ごされ易いかも。私も昔からの批評を見ていなければ見過ごしていた。魔女狩りまでいくか、と思ったけどストップしてしまった。余分なものは削ぎおとしているのかな。
 といいながら、やっぱり突っ込みながら観てた。リディア、ダンの死体を見つけて、なぜ家まで行ってしまう?新聞王はさっさと娘の救出に軍隊出動させるように政府を動かせよ、定番通り保安官、町の人はなかなか信用しないな、とか。 結局鳥がなぜこうなったかの原因が今イチ。町に入り込んだよそ者…とかだと、サンフランシスコの時点で鳥が多かったのは?になるし。逆に原因なんて不必要なのかもしれないけど。で、原作の小説を読んでみようと思う。レベッカの原作者の作品なのか。

2010年7月25日日曜日

星を継ぐもの (創元SF文庫)

ジェイムズ・P・ホーガン著 池 央耿訳
月面で宇宙服を着た遺体が発見された。死体は何と5万年前のものだった。彼は何者なのか?ジェイムズ・P・ホーガン、先日亡くなられました。非常に残念です。

 悪人が出てこない。意見の対立、学説による派閥の対立はあるけれど、本当に嫌な奴はいない。始めダンチェッカーがその役目を担っているのかと思ったら、最後にかっこ良く意趣返し。え、この人重要人物だったの?とびっくり。逆にハントとペアを組んでいくのかと思っていたグレイが、大した役回りではなかった。ちょっとコールドウェルがスーパーマン過ぎ。地球の状況、ルナリアンの調査の進展が理想的なパターンなんだな。著者の望みというか願いが透けて見えるような気がする。
 派手なアクションがあるわけではなく、推論、議論を繰り返しなのだけど、真実を極める一歩一歩が面白い。出てくる推論を自分なりに「これは変だ」「ヘエヘエ」しながら読んだ。一晩で読みました。すっかり寝不足です。ハードSFというとかまえるかもしれないけれど、理系サッパリの私でも大丈夫、適当に流しても態勢に影響無し。さて、続編を買うか、どうしよう。この心地よい余韻のままでいるのがいいのかな。

2010年7月24日土曜日

新ナポレオン奇譚 (ちくま文庫)

G・K・チェスタトン著 高橋康也訳
1984年ロンドン、籤引きで選ばれた国王の「自由市憲章」を信じ、土地を守るために一人の男が立ち上がった。

 最初読み始めたときは、何だか曖昧でペースがつかめなく、失敗したかと思ったのだが、序盤から中盤に入る辺りから面白くなってきた。解題の人はオーベロンを推していたけど、私は周辺の人物の方が面白かった。ウェインの偏り方がいい!自分に与えられた仮面を見事に演じきった、という感じ。バーカーとバックの典型的ブルジョアぶり、戦争での敗者がやってしまうことを見事にやってみせた。何というか、登場人物全員が如何にも演じているというように読めてしまう。悪い意味ではなく、そこがいいのだ。でも、最後の長い会話はちょっとだった。読むのにダレてしまった。
 デビューでこの作品とは凄い作家だ。楽しんで読む限りには宗教臭さもそれほど感じない。癖があるから、人によっては…かも。ま、誰でも面白い本なんてないからね。

2010年7月23日金曜日

博物誌 (新潮文庫)

ルナール著 岸田国士訳
身の回りで生きる様々なもの、動物、植物を瑞々しく歌い上げる。

 自分の目で見た動物たちの生態を、詩的に童話のように短文で綴っている。訳者が俳文を思わせると述べているが、確かに納得。挿絵もいい!本文と相まって、想像力をかき立てられる。原文も読みたい、などと思ったのだが、フランス語ですね…。こういう作品は訳者の人も大変だろう。感性のものだから。
 長閑で穏やかな作品。間違っても起伏盛りだくさんの作品が好きな人は手に取らないように。

2010年7月22日木曜日

今日の積ん読

ガニメデの優しい巨人 ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫
トリフィド時代 ジョン・ウィンダム 創元SF文庫

 「星を継ぐもの」が面白かったので続きを一冊。どうもこれ以降はウタウダのようなので、良いところでストップ。「銀河ヒッチハイクガイド」を最後まで読んで後悔したことで懲りた。「トリフィド時代」は評判が良さそうで、これが原作になった映画も観ていたので買ってみた。 

現在の積ん読 本:205冊 DVD:84枚

 今月の岩波文庫の復刊に「オデュッセウスの世界」があるのだが、なぜかセブンネットとe-honでは重版未定になっている。アマゾンと楽天ブックスは発送OKなのに。セブンネットとe-honは取次が同じトーハンのようなだから、そっちの問題?どうなっているのやら。通販サイトによって、とか、今までもあったのかな。もうちょっと様子見て、アマゾンの垢とって買うか。昔は岩波の指定店が近くにあって、岩波に直接注文、本屋受け取りできたのに。本屋なくなりました。
 本の棚卸実施中。既読も積ん読も興味から外れている、この先読まないと思われるものはブックオフ行きにして、量減らし中。今は積ん読が気になって、読み返したい本が読めない気分。良くない状態に陥っている。おまけに暑くて読書進まないし。エアコンないんだよ。

2010年7月21日水曜日

火星年代記 (ハヤカワ文庫)

レイ・ブラッドベリ著 小笠原豊樹訳
火星への植民の過程を短篇の連作で描き出す、SFの名作。

 なぜ名作と云われるか、読んで納得した。現代から視ると、火星人が没個性のような気もするけど、これは古典の宿命ですね。名作に影響されて模倣していくのだから。(批判ではないよ) 火星人の存在は人間をあぶり出すための道具のようだし。この人間が面白いのだ。「華氏451度」を思わせる短篇もある。
 アメリカ人がいかにもアメリカ人過ぎて笑った。パークヒルとかティースとか、もうね…。ちょっと疑問に思う部分もあった。地球に核戦争が起こって、みんなが地球に戻ってしまうところ。戻るかな??一般アメリカ人の核爆発の放射能に対する認識が甘さを描いているようにも読めないし。みんなが戻るから戻った?私なら戻らないけど。最後、女の子の家族が来なかったらどうなるんだろう。何となく他には誰も来ないまま…というエンディングを頭に描いてしまった。
 「火星年代記」品切れ表示の中で一冊手に入れたと思ったら、リニューアルされた新版が発売されました。ちょっと「ちくしょー」な気分。新版より100円安いからいいけどさ。

2010年7月20日火曜日

マルセイユのユニテ・ダビタシオン (ちくま学芸文庫)

建築家ル・コルビュジエの建物に対する思想。ユニテ・ダビタシオンに近代の住居の一つの原形を視る。

 とにかく、なぜこれが反対されたのだろう?という不思議。時代を支配した風潮がよく理解できない。利権等の跋扈があったのかな。マスコミと対立してたとか?
 表紙の写真をみると、とても可愛らしいヨーロッパらしい色合いのアパートメント。どうして建物以外の背景を切り取ってしまったのだろう。建物以外は白で潰されている。近隣の雰囲気も合わせてみたいのでグーグル先生のお世話になりました。建物の周囲は植樹。中身は雰囲気良さげで住みたい。一戸の中に二階があって、家族でも十分。
 ユニテ・ダビタシオンにはル・コルビュジエの思想がつぎ込まれている。今これほどの思想をもった集合住宅はあるのかな。住むということを突き詰めて設計された住宅。ル・コルビュジエはユニテ・ダビタシオンで一つの共同体が出来上がることを期待していたように読めるのだけれど、ちょっと息が詰まりそうにも感じる。もちろん生活のほとんどが一つの場所で完結するのは便利だし、通勤時間が短縮はいいことだ。田舎の人間は通勤時間が本当に…(泣) だけど特に世界遺産に登録ということになると、規制がきつくなって大変じゃないか?ヒッキーの気がある人間にはきついかも。

2010年7月19日月曜日

生物から見た世界 (岩波文庫)

ユクスキュル/クリサート著 日高敏隆/羽田節子訳
生物の環世界、その多様さ、世界像を考察する。

 人間の観察者が視る生物の世界ではなく、生物から視た世界。それぞれが別の空間を持っている。それぞれ空間認識、時間の概念に違いがある。生物の行動は物理作用のみではないのだ。難しそうだけど、いや、きちんと考えるととても深いのだけど、面白く読める。いろいろな生物の例を用いて分かり易く説明されている。その生物を用いた例が楽しい。本当に生物の行動は不思議。だけど、その生物にとっては単なる自然の行動。あの動物は賢いとか何とかは結局人間視線の後付け。考えてみると生物学は難しい。実験だけでは解明されることはないのだから。人間は人間であって、決して他の生物の視点に立つことは不可能なのだから。
 薄い本なので、難しく考えず、動物の行動を楽しむということで読んでみては?そして、考えることがあれば、それを広げていけばいいと思う。

2010年7月18日日曜日

ナイト ミュージアム (2006 アメリカ)

監督 ショーン・レヴィ 20世紀フォックス
バツイチ無職のラリーは、博物館の夜警の仕事についた。ところが、その博物館は夜になると展示物が動き出す不思議な空間だった。

 ファミリー向け映画としてよくできていると思う。大衆娯楽向けの映画をバカにする声があるけれど、きちんと娯楽映画に徹している作品は、半端なオナニー芸術映画よりよほどいいと思う。そういう意味では良作。アイデアがいい。博物館の展示物が動き出す、というだけでワクワクする。ただ、序盤がちょっと平坦で退屈した。でも、やはり展示物が動き出すと嬉しくなる。泥棒が登場する辺りから俄然盛り上がる。展示物が街を横断するシーンとかありがちだけど好きだ。猿が生意気で可愛い。で、銅像の人がコロンブスということが、子供の台詞まで分からなかった…。で、ちょっと思ったのは、受付姉ちゃん必要?ハリウッドでは、お色気担当は必須なのだろうか?

2010年7月17日土曜日

うるしの話 (岩波文庫)

松田権六著
漆の歴史、他蘊蓄いろいろ。

 漆…一般庶民の手から失われた伝統の一つ。プラスチックの漆風紛い物はいっぱいあるんだけど。私も前から一つ、自分用のよいお椀が欲しいと思っていたのだが、これを読んだのを機会として探してみるかな。
  とにかく知らなかったことばかり。漆って木に塗るものだとばかり決めつけていた。布、紙、皮、相性がよければ何でもありなんだ。しかも本当に良い漆は、中身の木等が腐っても外面の漆だけは何千年も残っている。凄い…甘く見てた。面白いと思ったことは「乾く」の概念にはたくさん種類があるということ。漆の乾くは酸化作用で、冬の乾期より梅雨の方が乾きがいいとか。ほか、ナメクジを擂り鉢で擂粉木にてつぶして糊に…イヤー!もし器の状態で漆かぶれになったとしたら、それはしっかり乾いていないまま、商品になってしまったものだそう。他に漆芸の種類等もあり、いろんな意味で楽しめます。失われたものあり、紛い物になってしまったものあり、本来庶民の物だったのが、今はすっかり高級品とか…。
 著者自身の歴史も良かった。本当に漆芸に尽力されたのだ。p276で、「日本人相手にすべからず」「私の相手はたった一人でよいから具眼の外人」「日本人は、西洋人が感心すると、はじめて鵜呑みに感心するくせがある」いつの時代も日本人の悪いくせ…。 p287でお椀屋を企画したとあるけど、どうなったのだろう。素晴らしい企画だと思うのだけど。
 一般にも分かり易く書いてあり、読み易い。この著作で漆の魅力を確認してほしいと思う。

2010年7月16日金曜日

クリスマス・キャロル (1970 イギリス)

監督 ロナルド・ニーム パラマウント
ディケンズの名作の二回目の映画化。金融業者のスクルージの元に幽霊が現れ改心させる。

 クリスマスに観るには良い映画だとは思う。私はかなりひねてしまっているので、うーんと思う部分もあるのだけど。クラチット、子供生み過ぎ。生活レベルに合わせて家族計画を立てるべき。でもティム可愛いからいいかな。借金している人、ここで帳消しになっても、また同じように借金繰り返すと思う。改心したスクルージ、破産するぞ。と、他にもチクチク突っ込みながら観ていた。過去・現在・未来から悔恨を誘うという設定はいいのだけど、地獄で苦しむから悔恨しろというのは好きになれない。時代も違うし、こんな風に見る映画ではないのだけど。
 改心したスクルージの弾けっぷりは観ていて楽しい。甥夫婦に会うところとクラチット家にプレゼントを届けるところは顔がほころぶ。最後の〆もいいな。
 映画としては盛り上がりも少ないし、退屈に感じる人はいるかもしれない。お子様と観るには良い映画と思う。

2010年7月15日木曜日

表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)

ロラン・バルト著 宗左近訳
哲学の本。表現体と表徴について。

 すみません、よくわかりませんでした。私が読むのは無謀だったようです。解説も読んでみて、何となくは理解できるのだけれど、この何となくがくせ者。大概理解できていない。ただ、著者の視る日本は面白い。これは昭和のころの日本だろうか。パチンコが取り上げられていて驚いた。どんなものも哲学になる。で、その項のp48の写真のタイトル「飼いば桶と公衆トイレ」。写真はパチンコの風景なのだけれども、何このタイトル?誤植?と思ったが、でも何となく合っているかも、とも思う。笑えました。所々で西洋との比較がされているが、違いを納得し理解できる。包みのところ、海外も包装はあるよね?贈り物とか大きなリボンとかのイメージあるけど。中身が大した事ないのはお互い様では?などとちょっと突っ込んだ。SMの緊縛も取り上げられている。確かにあれは縛りの美学で魅せるものだから、一つの包装かもしれない。( 中身は素晴らしいと思うぞ )残虐とは違うと思うけど。
 この著作を読んで思い出したのは、牛若丸の「変」という本。あちらは哲学ではないのだけれど、何となしに頭に浮かんだ。

2010年7月14日水曜日

今日の積ん読

新ナポレオン奇譚 G・K・チェスタトン ちくま文庫

 チェスタトンの作品を宗教臭いとかさんざん言っておきながら、買ってしまった。 本屋で買ったのだが、紙袋の中に何やらたくさん入ってる。いつもなら訳の分からない結婚相談なんだけど、今回は小冊子3冊。新潮文庫・集英社文庫・角川文庫の夏のキャンペーン用の冊子でした。「ご自由にお持ちください」の文字が悲しい。持っていってもらえないので、文庫買った客の袋に入れているんですね。オマケもらえるし、たまには自分のテリトリー外を読むのもいいかな、と見てみたけど、食指動かん。小野不由美氏の「屍鬼」面白いかな。で、十二国記はどうなっているのでしょう?
 余計なことだけど、古典作品のカバーを変えて若い人にも読んでもらおうというのは理解できるのだけど、でももうちょっと何とかならないか?引いてしまうのだが。 

現在の積ん読 本:227冊 DVD:86枚

 某掲示板で「続・猿の惑星」のエンディングの話題を見つけた。最後に地球が爆破するシーンがあるかないか、で罵り合いが。観たというほうが少数派かな。DVDやVHSにもそういうシーンはないという。では私が観たエンディングは一体何だったのか?爆破シーン覚えているのだけど。媒体は多分テレビ。レンタルではないと思う。HDに録画していないのでかなり前かな。暗い宇宙の真ん中に地球があって、その端、向かって右上、円の一部から爆発した白い煙みたいなのが上がって、ナレーションが入ったような覚えがある。因みに吹き替え版。「トータル・リコール」でテレビ局が勝手に、最後にシュワちゃんが現実に戻ってきて夢落ちにしてしまったバージョンがあったそうだが、それと同じようなことかな。間違いなく観たのか、と言われるとウーンだし、さて真実はどこに?

2010年7月13日火曜日

茶の本 (講談社学術文庫)

岡倉天心著 樋谷秀昭訳
茶道を通じ、西洋の文明を良しとする風潮に警鐘を鳴らす。

 前々から一度読んでおこうと考えていた一冊。本を買う時に、自分の頭の中で作品の雰囲気を描いているのだが、この作品は頭の中と全く違っていて驚いてしまった。何という激しさ。西洋への批判としては的を得ていると思うが、これは実は日本人への批判だ。文化は交流によって刺激を受け進化するのだけれど、p18にあるように「キリスト教の伝道師は授けようとするが、受けとろうとしない」、そして日本人は受けとり過ぎた。文化は受けとって咀嚼し自分たちの文化とするべきだと思うのだけど、咀嚼が十分でなかった。芸術に関してp74からは、よく言われる内容なのだけれど、すぐ心から抜け落ちる事柄なので、しっかり留めておく必要がある。
 茶に関する話は面白い。「花」の項は、さんざん人間の惨さを論じていたのに、後半掌返し…。これは「おいおい」だろう。「茶室」、簡素なものほど難しいものはない。そして物に溢れる時代だからこそ、茶室に憧れを抱く。
 これは全訳でよいのかな。前にフランク・ロイド・ライトの「自然の家」を読んだ時「茶の本」の一節が掲載されていたのだか、それが見当たらない。訳者による違いだろうか。

2010年7月12日月曜日

島暮らしの記録 (筑摩書房)

トーベ・ヤンソン著 冨原 眞弓訳
トーベ・ヤンソンがフィンランドの小さな島で暮らした時の様子を綴る。

 以前に雑誌で、ヤンソンさんの暮らした島の様子が特集されていた。岩ばかりですぐ近くに海が迫っているという場所だった。この作品の解説p150に写真が掲載されている。60代でこのような場所で、お母さん80歳代も一緒に暮らそうというのだから驚いてしまう。素晴らしいバイタリティだ。安易なロマンだけで暮らせはしない。暮らしの様子は御自身で読んで味わって欲しい。私自身は田舎育ちなので、どうして都市で安穏と暮らせる立場の人がここまで…と思うところがあるのだが、文化の違いなのだろう。最後で、ヤンソンさんが怖いと言い出している。この変化に興味がある。どういうふうに心境が変わるのだろうか。
 家はこの辺りを航行する船、ボートの乗員が使えるように、必要なものを置いて去っていくところで終わる。登山者の無人の山小屋のようなものかな。私が読んだ雑誌の特集は2〜3年前だったので、きっと今も家は小さな寄港所としての役割を果たしているだろう。
 フィンランドやヤンソンさんを詳しく知らない方でこの本を手に取る人は、先に解説を読むことをお勧めする。背景にある文化 が理解し易いと思う。もしかしたら、人によっては退屈な作品かもしれない。作品全体が淡々としすぎていると感じるかもしれない。何となく、そのうちにちくま文庫になりそうな予感。

2010年7月11日日曜日

和辻哲郎随筆集 (岩波文庫)

哲学者和辻哲郎の随筆集。25篇を収録。

 哲学者の著作というと難しい文章が並べられているというイメージがあるけれど、これは読みやすい。もちろん読み易い=内容が無いというわけではなく、読みながら考えたり、思い出したりさせられる作品だった。一番好きなのは「文楽座の人形芝居」。実際見た事ない…テレビでは好きで観てたな。浄瑠璃からサンダーバード、ナイトメア( も入れていいよね )等等、人形劇大好き。この短文で述べられている浄瑠璃の世界にうっとり。成る程と思うところが多い。「世界の芸術と変革」…。この後第二次世界大戦。短文の始まりを読んで胸が痛む。著者の願いだったのかな。「埋もれた日本」述べられている事はもっともで理解できるけど、鎖国によって守られたものもあるしね…。哲学者にとって大切なのは思想だろうけど、もしあの時代の時点で思想の自由を大きく許していたら、キリスト教によって多くの文化財は破壊されただろうし、アフリカと同じような運命を辿る事になったのではないかと。もちろん迫害が正しいとは思わないけど。うーん、ま、素人の戯言です。「露伴先生の思い出」のところの「なければならない」は興味深い。今は当たり前に使っているだけに、そうなのかと驚いた。
 この時代の著者は総じて文章が美しい。日本語が丁寧で、今は使われない言い回しの持つ美しさ。それに触れるだけでも価値があると思う。こういう文章を書きたいものだ。

2010年7月10日土曜日

「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)

九鬼周造著
「いき」についての哲学的考察。青空文庫にもあるよ。

 「いき」、頭では分かっているつもりでも、説明するとなるとできない。江戸時代のいい男と女で、涼しげな目つきで気っ風がよくって…。基本、町のものかな。で、読んでみて成る程と。そうなの?と思うところがないではないけど、考えてみたら私の「いき」のイメージってテレビや映画の時代劇からきているからね。模様についてのところが興味深かった。平行線か。平行線って数学やら哲学やらに取り扱われていて奥が深い。「諦め」という観念が意外。何というか、「いき」に対して、もっと前向きのイメージを持っていたから。
 他に「風流に関する一考察」と「情緒の系譜」が収録されている。「風流」も奥が深い、というか、「いき」よりややこしいかも。「風流」も「いき」も、今はもう死んでしまった日本の美学ですね…。いや「風流」は半死半生かな。「情緒の系譜」はデカルトの「情念論」を思い起こさせる内容だった。読み比べても面白いかも。

2010年7月9日金曜日

愚行の世界史 上・下巻 (中公文庫)

バーバラ・W・タックマン著 大社淑子訳
トロイアからベトナムまで、施政者たちの愚行を考察する。

  白状します。アメリカ独立戦争とベトナム戦争についてほとんど知りませんでした。勉強になりました。歴史は好きだけど、近代は興味なくて…。この本に書かれている事が全て真実だとは思わないけど、どういうことが起こっていたかは理解できた。トロイアは本当に何が起こっていたのかは謎なのでともかく、教皇庁は改めて酷いものだと。で、近代。よくヒトラーの残虐は喧伝されるけど、他の国も変わらない。十分肩を並べられると思うのだが?人は数字の1でしかないのか?プロパガンダと思い込みの怖さを改めて思い知らされる。911の後のアフガニスタン紛争、イラク戦争…結局ベトナムと同じ事をやってない?最近アフガニスタンの資源についてのニュース流れてたね。陰謀説は信じてないけど、信じたくないし…うーん。結局国益ではなく個人の利益だからね。将来、真実に近い事が表に出てくる日がくるのかな…。
 結局大衆は踊らされるままなのかな。よく「今は昔と違っていろいろ情報が得られるから」というような意見があるけど、情報は多ければ良いというものじゃない。取捨選択できているのか?取捨選択している自分を客観視できなくては、情報が得られても何の意味もないよね。それができている人がいても結局少数で、やはり愚行は繰り返されるのだろうけど。

2010年7月8日木曜日

今日の積読

火星年代記 レイ・ブラッドベリ ハヤカワ文庫
茶の本 岡倉天心 講談社学術文庫
島暮らしの記録 トーベ・ヤンソン 筑摩書房

 入荷お知らせ( 通販によって呼び名違うかも。品切れの本が入荷したらメールもらえるサービス )で「火星年代記」が来た!!諦め半分だったので嬉しい。ついでに欲しかった本も注文しておいた。「火星年代記」私が注文した後、また品切れに戻ってた。どこかからの返品だったのかな。本の状態は良かったので文句はない。そういえば梱包がボール紙にラップではなく、昔のに戻っていた。こっちのほうが本に変な折り目ついたり、角が潰れたりする率が少ないからいい。ずっとこのままにして欲しい。
 積ん読の棚卸してみた。どうもDVDは勘違いして観終わった分もカウントしていたらしい。 

現在の積ん読 本:233冊 DVD:88枚

 ゆうパック、ワロス状態のようで。お客様も現場の人もお気の毒。ゆうメイトの人まで駆り出され、郵便のほうに支障がという記事も読んだような。じゃあ次は保障・賠償問題で金が必要で、郵便貯金に支障が…。いや冗談です。一応別会社だから大丈夫。私も貯金しているし、下ろしてませんから、冗談ですから。しばらく通販では買い物できないね。法人はゆうパック多いようだから。そういえばバイト募集もかけているらしいけど、時給の安さに泣いた。繁忙期の短期だともうちょっと自給高くしないか?690円はないだろ?
 そういえば、毎年親戚が高級お肉送ってくれるのだけど、今年まだ来ないな…。

2010年7月7日水曜日

こころ (岩波文庫)

夏目漱石著
言わずと知れた名作。自殺した「K」。罪の意識の中で生きる「先生」。重体の父を残し、「先生」の元へ急ぐ「私」。読み始めはちょっと退屈を感じるかもしれないけど、遺書に入るととたん面白くなるので、ぜひ読んでもらいたい一冊。青空文庫にもあるよ。

 いろいろ考察されている作品。いまさら何も書けない。とりあえず、作品中の人物として「K」はおいしいとこ取りしてる。心中の備写が無い分、考えてしまう人物だからかな。「私」も気にかかる。「私」が「先生」の元へ駆けつけている途中で父親が死んだら?「私」も業を背負うんだよね。みんな背負い過ぎだし、自ら背負ってしまうのだから始末が悪い。みんなここまで深く突き詰めて生きているの?深く思索できない私には理解できないけれど、自分のできない生き方には憧れる。
 この作品を読んでどう考えるか、その人の思想…まではいかなくても人生観が映し出される。私は…「お嬢さん(妻)」気の毒過ぎ。「K」も「先生」も身勝手。「K」は死ぬなら世話になった他人の家ではなく、他の場所にしろ、と言いたい。「K」は「先生」に強い人間と書かれているけど、強くはないよね。強い人間なら、自分の矛盾、道の脆さに気づいたら、もう一度築き直すよね。それができない弱さが自殺につながってしまったと…。「先生」にしろ「K」にしろ、人の欠点…まではいかなくても人の愛すべき弱さを表している。ん…いかにも頭の悪い感想になってしまった。

2010年7月6日火曜日

自然の家 (ちくま学芸文庫)

フランク・ロイド・ライト著 富岡義人訳
フランク・ロイドの建築論。彼の美学、信条、民主主義への思想が語られている。

 私は芸術に関してはサッパリなので、そういう話の部分は置いといて、実際の住宅に関する部分は面白い。彼の関わる建築は上流階級向けが多くて、私には一生縁がない家ばかりなんだけど、考え方等は庶民の家にも十分活かせるものがある。私は雪国に住んでいるので、屋根の雪に対する考え方、p203辺りで雪を屋根に載せておくことを好ましいとしていることに目がいった。断熱効果か…家が頑丈なら可能だけど。数年前の大雪の時、家の軒が折れたところが続出だったから、日本の木造では無理か…。床暖房についても述べられている。ずいぶん昔からあったことに驚いた。床暖房は屋根の雪状態が重要。屋根の雪の溶け具合で屋根の断熱がうまくいっているか分かるとか。これは納得。台所の天井の話も良かった。p212辺りで、台所の天井を他より高くして、匂いの拡散を防ぐ…。私の家を含めてそういう構造見た事ない。他にもいろいろと考えることが多かった。「有機的建築と東洋」のところで日本の事も言及されている。自分の家について再考。
 p260から建築物の写真(モノクロ)が載っているけど…こういう家は富豪に相応しいよね、という感じだった。でもネットで検索したら出てきた落水荘はいい!
 p89「我らが政府は住まいを欲し、住まいを建てようとしている人々を、強制的に不動産ビジネスに追いやろうとしているのだ」…昔からこの状態だったのか…。

2010年7月5日月曜日

瞬きよりも速く (ハヤカワ文庫)

レイ・ブラッドベリ著 伊藤典夫・村上博基・風間賢二
レイ・ブラッドベリ短編集。表題作「瞬きよりも速く」他20編。

 不思議な話が多い。実はSFと思って買ったのだけど違った。SFでいいの?好きなのは「究極のドリアン」。始めはフルーツのドリアンの話と思って読んでいたら、あっちでしたか。そういえば最近のタレントさん、みんな凄い可愛いんだけど、顔が同じパターンだね…。著者の事はSF作家としてしか知らないのだけど、オスカー・ワイルドの信者なの?「最後の秘跡」の最後はオスカー・ワイルドでいいのかな。「優雅な殺人者」も好きだ。実はもの凄く愛し合ってる夫婦なのかも。「フィネガン」なぜか映画の「スリーピー・ホロウ」思い描いた。

2010年7月4日日曜日

木綿以前の事 (岩波文庫)

柳田国男著
学問上取り上げられる事の少ない、地方の名もない庶民の生活についての考察。

 全部を読んでみて、テーマは変化かなと思った。表題作の「木綿以前の事」木綿が普及する以前( 恥ずかしながら、木綿って大昔からあったと思っていた )麻やそれに類するもの、その作られ方の考察、そこからなぜ木綿の使用へと変わったのか。決して変化を責めるのではなくて、その功罪両面の意味を述べている。表題作以外に19作収録されているが、どれも変化の意味を考えている、考えさせられる内容。戦前でも既に消費に踊っていたのか…。
 「女性史学」食べ物のことは耳が痛い。汁物、柔らかいものが多くなっている事を著者は危惧している。玄米から白米へ進化して、また白米から玄米へ戻す人がでてきているのは良い傾向だよね。私もそうしたいのだけど、家族持ちはなかなか簡単にはいかない。嫁姑の話も取り上げている。家に二人主婦がいるのはダメだよね…。夫が妻の自宅に通う通い婚はとても良いシステムだったのかも…嫁姑的に。家庭の主婦の座について述べてあるけど、こんな風習では地方が若い女性に敬遠されても無理ない。さすがに今はないよね…。
 「生活の俳諧」p282辺りから俳諧の人について述べられているのだけど、俳諧が担ってきた役割の一部分を今はブログ等が担っているように思った。

2010年7月3日土曜日

今日の積ん読

にぎやかな部屋 星新一著 新潮文庫
おみそれ社会 星新一著 新潮文庫
どんぐり民話館 星新一著 新潮文庫
漱石書簡集 岩波文庫
イタリア古寺巡礼 和辻哲郎著 岩波文庫
古寺巡礼 和辻哲郎著 岩波文庫
うるしの話 松田権六 岩波文庫

 7月そうそうやってしまった感がある。やっと220冊台に載ったと思ったのに…。7月は岩波文庫の復刊が多いし…でも、復刊は通販に並ぶのは8月位かな。取り寄せはしない。出版社取り寄せにすると、少しして通販サイトのページは当日〜2日とかの表示になって、それなのに注文した分は取り寄せ中という非常に腹立たしい状態になる。どういうシステムになっているやら…。他にも欲しい本が出てきているから、空きができてきた本棚が再び積ん読で埋まりそう…。今月と来月は絶対本屋とブックオフに近づいてはダメだ。 

現在の積ん読 本:236冊 DVD:100枚

 選挙カーがうるさい。それでも田舎だから国政選挙はマシだけど。読書を邪魔されるたびに私は心に誓う。邪魔した奴には絶対投票しないから!!そして誰もいなくなった…ではなく、投票する人がいなくなる。2010年参議院選、取り合えず二人力一杯邪魔して下さったので、こいつらと所属政党は除外されました。だいたい、お願いしますの連呼に何の意味があるんだ!!
 iPadが少々落ち着いてきたようで。美容院で女性週刊誌を読んでいたら、iPadの特集がありました。かなりふざけた感じの記事だけど、週刊誌だし仕方ないか。でもね…何でもできるというようなニュアンスはどうなの?そろそろ批判とまではいかなくても、後悔記事を見かけるようになってきた。踊らされた人、多いのかな。マニアやコレクター、金持ちは別として、道具は使ってなんぼ、なんぼの価値があるか考えないとね…これは私自身への警句でもある。あ、あと、Apple製品は日本製品に比べて、基本的に「重い」ということを知らない人多そう?

2010年7月2日金曜日

化学の歴史 (ちくま学芸文庫)

アイザック・アシモフ著 玉虫文一・竹内敬人訳
古代から20世紀まで、化学の歴史を紐解く。化学者の人物像ではなく、化学そのものの歴史に重点を置いている。正直、中盤から後半は読むだけで理解できませんでした…。理系ダメダメな私がなぜこの本を買ってしまったのか…。アシモフにつられて、つい。

 知らない名前がぞろぞろ。理系大好きな中学生くらい向けかな。数学にしろ化学にしろ、長い間の積み重ねなのだと改めて考えさせられる。さて、今はどういう時代なのだろう?
 ギリシャ時代、理論だけで突き詰めていくといのは今の時代からみたら「うーん…」だけど、そこから「原子論」が出てきているのだから恐るべし。錬金術って経済面から禁止されていたのか。金って希少価値以外ないってイメージあるものね。工業製品にも使われていたっけ。( 錬金術にしろタイムマシンにしろ、万が一開発されたとしても、困る人たちが多過ぎて消されそう) ローマはやっぱり理系に関してはダメダメのようです。キリスト教にとどめさされたか…。
 海外の本は訳者によってかなり雰囲気変わるものだと、分かっている事だが、再度考えさせられた。訳者が悪いとかではないよ。SF系の訳者と学者系の訳者の違いかな。私の頭にあるアシモフ調とはかなり違った感じ。こういう時、原文読める英語力あれば、としみじみ思う。

2010年7月1日木曜日

偉大な数学者たち (ちくま学芸文庫)

岩田義一著
数学を進化させた偉大な数学者の伝記。学芸文庫のサイエンスだが、中学生位を対象にしているので読みやすい作品。

 アルキメデスからガロアまで、数学者たちの功績を描いている。あー、知らない名前ある。恥ずかしい。どのような分野でも、積み重ねなのだと改めて実感。
 数学者の人は、良くも悪くも偏っている。この偏りが一つの事への集中力を生み出すのだろうけど。ガウスって天才だったのか。知らなかった。なんで研究を出し惜しみしていたんだろ。後追いの学者に対して優越感持ちたかったのかな。若くして亡くなっている人、もったいない。特にガロアは、性格の偏りがもうちょっと…うーん、せめて政治にのめり込まなければ…。時代もあるから仕方ないのか。今の時代にも、その天才を認められずに埋もれている人、迫害されている人いるのかな。
 しかし、ローマは理数系関係ではボロクソに言われてる。この著者も、アラビア民族にギリシア文化が伝わらなかったら、ギリシア文化は後世に伝わらなかっただろうと述べている。他に「πの歴史」でも糞味噌に言われてたな…。アレクサンドリアの大図書館の焼失で恨みを買っているようだ。ローマは享楽と殺戮とキリスト教…数学が発展する余地は少ないね、確かに。