2019年11月26日火曜日

交易の世界史 (ちくま学芸文庫)

ウィリアム・バーンスタイン著 鬼澤忍訳
(カバー裏より抜粋) 絹・スパイス・木綿・茶・砂糖、そして奴隷…。人類はたえず新奇なもの、希少なものに魅了され、あるいはさらなる豊かさを求めて、砂漠を越え、海を渡り、無数の交易を重ねてきた。

 副題の「シュメールから現代まで 」のシュメールに惹かれて買ってしまった。古代の交易!!ロマンだー!!みたいな感じで。そして上巻は面白かった。交易を主題にすると観る観点が変わってくる。古代の戦争や争いの別の一面が見えてくる。それが面白かった。
 中世になるとオランダが登場。まさかここまで重要な国だったとは。
 で、私が面白かったのはこの辺りまでです。現代に近付くと興味失いました。これは個人の趣味なのでごめんなさい。現実の世界とリンクし始めると…。うーん。

2019年10月11日金曜日

古代アテネ旅行ガイド (ちくま学芸文庫)

フィリップ・マティザック著 安原和見訳
(カバー裏より抜粋) ヨーロッパ文明の源たる古代都市。タイムスリップしてそこを訪れるとしたら?そんな想定のもとに作られたトラベル・ガイドブックシリーズから、大人気「ローマ篇」に続いて古代ギリシャ篇が登場!

 このシリーズの良いところは、歴史に詳しくない読者でも楽しめるところです。歴史に興味を持つ入り口にもなります。私は大まかな歴史と大きな戦争・事件は分かるのですが、細かい部分は…なタイプ。(聖闘士星矢に毒されている部分もあり) 細切れな知識が結びついていくのは、読んでいて楽しいです。
 歴史の題材にはなりにくい庶民の生活も取り上げられているのも面白いところです。
 遺物の写真は文庫なので基本白黒ですが、一部カラーも有り。豆知識や古代ギリシャ語のページもあり、工夫が凝らされています。まったく歴史に興味の無い人はともかく、ちょっと軽い歴史の本を読みたい人にはお勧めです。

 このシリーズは続けて欲しいなー。

2019年7月24日水曜日

夜想曲集 (ハヤカワepi文庫)

カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳
(カバー裏より抜粋) 音楽をテーマにした5篇を収録。人生の夕暮れに直面して心揺らす人々の姿を、切なくユーモラスに描き出したブッカー賞作歌初の短篇集。

 ノーベル文学賞の頃に買いました。一読して「誰だ?SFとかのたまった奴…」私の読むタイプの作品ではないので放置。少し気が向いたので再度読んでみました。

 あれ、思っていたより面白い。予め私のタイプの作品ではないという心構えの上で読んだためかもしれません。ちょっと心理描写が多過ぎで私には退屈な部分がありますが(あくまで私にとって)、内容は面白い。

 お気に入りは「チェリスト」11歳から一度もチェロを弾いていないのに「私は一流チェリスト。私は知られていて当然」という完全に中二病、もしくはメンヘラ、ありがとうございました的キャラの師匠が、正規の音楽教育を受けた若きチェリストを指導…というお話。とりあえずピーター逃げてー(師匠の婚約者)。若きチェリストは師匠から持ち上げられて傲慢に。ま、音楽家には必要なスキル?主人公はそう言っている。ちなみに主人公は第三者的立場。
 「モーバンヒルズ」も中々。文句言うなら出て行けよ的なキャラな主人公。金も住むところも無くてねーちゃん夫婦の世話になってるのになー。若き日の傲慢、他人を格下に見る傲慢。誰でも記憶にあるところではないでしょうか。
 「降っても晴れても」…友達止めろよ…。親友とか言って利用されてるぞ!!と言いたくなる人の好い主人公。夫婦二人にバカにされてるのに。だいたい「レイモンド、月曜日来訪。嫌だ、嫌だ。」「レイは明日。どう生き延びる?」「ぐちぐち王子にワインを」とか自分が手に取る範囲のノートに(これ見よがしに置かれている)書かれてたら、私なら帰る。縁切る。それをしない主人公にイライラ。こういう主人公だから利用されてへらへらしてるのか…。

 …もしかして私、かなり気に入ってる??

2019年7月23日火曜日

危険なヴィジョン2 (ハヤカワ文庫)

ハーラン・エリスン著 浅倉久志他訳
(カバー裏より抜粋)奇才ハーラン・エリスンが、英米SF界の変革を試みた、原書で全23万9000語におよぶ書き下ろしアンソロジー。

 これは…好き嫌いが別れそうな短篇集です。うーん、収録されている作品は面白いです。でもエリスンの序文が鬱陶しい…。これが掲示板、SNSの書き込みだったら「自分語りウザい」と言われそうな…鬱陶しさです。だったら読まずに飛ばせ、ですが、いや途中から飛ばしていましたが「このページ数、勿体ない!!」とか思ってしまって。

 作品は好きなものが多いです。好きな話だけ挙げてみると「わが子、主ランディ」現代の神の子、過去の神の子とは違う現代の子。彼に許しはない。「ドールハウス」預言をする巫女を譲られた主人公←屑人間。ギリシア神話等に出てくる預言はどうにでも解釈可能じゃね?みたいなものが多いですが、この巫女もその類い。ただし預言は読み解けば当たる。前の持ち主はそれなりの生活をしていた…が、主人公は借金まみれでひちすら一攫千金。巫女に対して癇癪を起こして…。この巫女下さい。でもラテン語なんて無理だからだめか。

 他も面白いです。序文が無ければ3も買ってもいいのだけど買わないかな。

2019年2月1日金曜日

イブのいないアダム (創元SF文庫)

アルフレッド・ベスター著 仲村融訳

 (カバー裏より抜粋) 第一回ヒューゴー賞受賞作「分解された男」やオールタイムベストSFとして名高い「虎よ、虎よ」など、実験的かつ先鋭的なスタイルで知られるアメリカSFの鬼才は、短篇に於いてもその実力を存分に発揮している。

 お勧めは「ごきげん目盛り」視点はキチガイアンドロイド…のはず。「わたし」は一応アンドロイドになっているのですが、文章によってはアンドロイドになっています。そしてもう一人の主人公ヴァンデルアーも時々「わたし」になります。この混乱ぶりがこのお話のスタイル。次々と凄惨な殺人が起きるのに、すごくポップな感じで話が進む、軽く楽しめる(軽くはないのかな?)作品です。

 「旅の日記」あーいるいる迷惑な観光客…の典型な主人公の宇宙旅行。「くたばりぞこない」うーん、昔ながらのがんこじいさん(悪い意味で)。改良された人間…たぶん個性の喪失とかをイメージするタイプかな??どっちもどっちなお話。「選り好みなし」タイムトラベルなお話。主人公の妄想「色々な情報を持って過去へ行って大もうけしたり、事件をくいとめて英雄になったり」分かるよ、リーマンショックを始めとする事件を知って過去へ行って株で大儲け!!でも、実際はそうはいきませんよ+隣の芝生は青い的なお話。

 あくまで私の印象…好き嫌い…ですが、玉石混交かな。面白い作品もありますが、ピンとこない作品もあります。アルフレッド・ベスターのファン向けですね。

2019年1月29日火曜日

帝国の陰謀 (ちくま学芸文庫)

蓮實重彦著
 (カバー裏より抜粋) 純粋な「形式性」と期限なき「名前」の流通によって現実が作られる時代。それはいかにして生まれたのかー。

 あー、スターウォーズの本ではありません。あと歴史の本でもありません。私は出だしをちょっと読んで歴史関連と思って買ってしまいました。いや、歴史も関係あるのですが、歴史をメインにした内容ではありません。蓮實重彦氏の時点で気が付けばいいのに…私のバカ。

 そんな頭の悪い私が何とか理解した内容はー。ナポレオン3世の治世。大統領から皇帝へのジョブチェンジ。暗躍する父違いの弟「ド・モルニー」。国民議会の解散を布告する印刷物。署名は無名の(次期内務大臣)のド・モルニー。その時点で無名の彼の署名に強制力はないはず。しかし布告は国民議会の解散という結果をもたらし、結果によって「ド・モルニー」の名前に権威がもたらされた。普通逆じゃないの??有名人、権力者の名前があってこそ布告は結果をもたらす…と思うのだけど、「ド・モルニー」の場合は違った。
 たぶん間違ってるかも…。ま、こんな感じの内容だと思って下さい。

 全体には、私の悪い頭でも面白いと思えます。ちょっと途中退屈もしましたが。帝政辺りの歴史も関わっていますし、興味のある方は是非。ただし、歴史のみ興味がある人は止めておいた方がいいです。

2019年1月22日火曜日

ジーヴスの事件簿 才知縦横の巻 (文春文庫)

P・G・ウッドハウス著 岩永雅勝・小山太一訳
 (カバー裏より抜粋) 気はいいが少しおつむのゆるい金持ち青年バーティには、厄介事が盛りだくさん。ー ーだがバーティには嫌みなほど優秀な執事がついていた。

 事件簿と言っても殺人事件等は起きません。日常の厄介事に主人公が巻き込まれて、それを執事が解決するというお話です。この優秀な執事が完璧。主人公の主人は有閑青年。叔父さんの財産で毎日を楽しく暮らしいてるボンボン。ボンボンらしく鷹揚でいい人だけどおつむが…。この主人公の語りで話は進みます。(ただし1話だけ執事目線)

 主人公の周囲がクセのある人物ばかりで、殺人事件は起きませんが、いろいろな厄介事が持ち上がります。ちょっと主人公にイライラします。イライラして感情移入できない…。スゴくテンポが良くて、内容が軽くて、短編で、と私の好みなはずなのに。

 主人公が私の好みから外れていました。ただそれだけです。他の人が読めば間違いなく楽しめる作品です。はい。

2019年1月1日火曜日

アガサ・クリスティー完全攻略 (ハヤカワ文庫)

霜月蒼著
(カバー裏より抜粋)1册でクリスティー100作を網羅した傑作評論集。

 裏面の内容通りの評論集です。私はクリスティーは有名どころしか読んではいないライトファンです。というか作品多過ぎて読み切れません。本屋でこの評論集を見掛けて衝動買いしてしまいました。今まで読んだ以外でどれを読むべきかの参考になるかな?と思いまして。

 もう少し各作品のあらすじを詳しく載せて欲しかったかな。あと黒塗りはどうよ??あれは読む気が失せる。(著者がネタバレになると考えた部分が黒塗りにされてある。後のページで黒塗りの部分が分かるようにはなっています) それなら軽いネタバレ有りでも良くない??とか思いました。が、推理ものだと知りたくない人も多いでしょうから…難しいなー。とにかく黒塗りは止めて欲しい。

 どうしてもネタバレを避けているので、内容の上っ面を掬っている感じが否めない。今ひとつクリスティーの面白さが伝わらない。
 あと著者は短篇に苦言を呈してみえますが、私みたいに短篇面白いみたいな者もおります。個人の元々の嗜好もあります。クリスティーの著作を読んだことのない方には参考になるとは思いますが、参考程度にですね。