2015年1月28日水曜日

美術手帖11月号増刊「特集トーベ・ヤンソン」

 あー買ってしまった…。内容はよくあるものです。それほど新鮮味はありません。イラスト・写真多めです。トゥーリッキさんのことをはっきりパートナーと書いてあるのは新鮮でした。私の読んだ本ではっきり書いてあったのはこの雑誌が初めてだったので。ファンにはこういう本や雑誌は何冊あってもいいものだと思います。
「黒いムーミントロール」の複製画が欲しい…。

今日の積ん読

召使心得他四篇 ジョナサン・スウィフト 平凡社ライブラリー

 本屋さんで見かけて衝動買い。面白いといいなー…。

2015年1月20日火曜日

美術手帖2014/11月号 ティム・バートンの世界へ、ようこそ!

世界ツアー展がついに日本上陸!ティム・バートン インタビュー

 はい、ティム・バートン目当てです。表紙はティム・バートン、広告・目次があって編集長のティム・バートン特集の挨拶…まではOK。で、いよいよ…って何で関わりのないアーチストの作品が6ページも続くの??そしてやっと本編。本当にこういうのが嫌。ご本人や関係者のインタビューはよかった。関係ある建築物、作品、特に影響を受けた作品…本人のインタビューで出てきた「怪獣第戦争」が載ってないの?…やエドワード・ホッパーの「線路わきの家」これは欲しくなった。ティム・バートンの世界は楽しい。私の大好きな「マーズ・アタック」にこんな深い意味を捉えることもできるんだ。でも、セバスチャンいらない。何か自分の作品のアピールばっか。つまんない。
 他の特集もザッと読んだけど、興味引いたのは「ホドラー」という画家の作品くらいかな。好きなタイプの絵。
 私はアートや芸術に興味のないのでこういう感想になりました。

2015年1月16日金曜日

戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

デーブ・グロスマン著 安原和見訳
(カバー裏より抜粋) 戦場というリアルな現場の視線から人間の暗部をえぐり、兵士の立場から答える。

 驚いたのは第二次世界大戦以前の発砲率は低かったと。どうしても映画などの影響で鉄砲をバンバン撃って人がバタバタ倒れるイメージが強い。そして「突く」という行為への嫌悪感。へーへーへーでした。自分が死ぬことではなく、人を殺すことへの嫌悪感。実際の現場に立ったことのない人間には当然理解できないことです。そして、その嫌悪感を減らすためのプログラム…。映画やゲームの影響も述べられています。そこら辺りはどうなんだろ?みたいな感じもあります。…ゲームにもよるけど。薬剤も使われている…。ゾッとする。間に空間があると嫌悪感が減るというのは理解できます。最近の戦争…のイメージは米国・欧州側が空爆で、その相手側がテロ・白兵ですね。
 良書です。でも非常に気分が悪くはなりました。

2015年1月12日月曜日

服従の心理 (河出文庫)

スタンレー・ミルグラム著 山形浩生訳
(カバー裏より抜粋)権威に服従する際の人間の心理を科学的に検証するために、前代未聞の実験が行われた。通称、アイヒマン実験

 人間の服従について調査する「アイヒマン実験」。すごく興味深い。簡単に説明すると、参加者が先生の指示に従って、犠牲者に電撃を加えるというもの。さて、私ならどうするのか??参加者によっては、ちょっと「ゾッ」とすることも…。逆にきっちり抗議する人もいる。私は…きっと「こんなことするの嫌だ」といいながら、言われた通りやるかも…。きっちり拒否できる自信がない。
 実験は条件を色々変えて行われますが、基本は同じ。その結果から色々考察されています。この実験に関して色々批判があったようで、「アメリカ人はこんな非人道的なことはしない」というのが根本にあったようです。…マジで言ってるのか??アメリカ人…本当にそう思いました。こうした批判は論外として、訳者が後書きで批評をしてみえます。それもまた興味深い。お勧めの一冊。で、今「戦争における「人殺し」の心理学」を読み始めました。続けて読むと色々考えさせられて、可哀想な頭脳の私を混乱させてくれています。

2015年1月5日月曜日

古代文明と気候大変動 (河出文庫)

ブライアン・フェイガン著 東郷えりか訳
(カバー裏より抜粋) 洪水や干魃などの大災害に対する現代文明の脆弱さに警鐘を鳴らす、壮大な人類史。

 「頻繁に起こる小規模な気候の脅威から身を守ろうとして、われわれはむしろ稀にしか起こらない大災害にたいして、いっそう無防備になりつづけているのである。」(p17より)
この文章が全てを現している。
 私が実感しないところで少しずつ変化は起こっているのだろう。日本は大きな変化のなかで、どのように変わっていっているのだろうか。変化が本当に実感となったとき、私には…大半の日本人には逃げ場はないだろう。
 気候の大変動と歴史…人類の移動、文明の崩壊との関係について書かれているのだけれど、とても分かりやすく面白い内容です。なるほどと思うところあり、もうちょっと考えたいところあり。どうしても生活の中では現在の気候に振り回されてしまいますが、たまには大きな視点で考えるのも悪くないと思います。

2015年1月3日土曜日

人間以前 (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 大森望編
(カバー裏より抜粋) 人間と認められるのは12歳以上、12歳未満の子供は人間と認められず、狩り立てられてしまう…

 正直再録が多いです。表題作も読んでいますから。私程度で読んだ作品が多いのですから、詳しい方にはどうなんだろ。でも初めて読む作品も多い。 「この卑しい地上に」は好きになった作品です。ありきたりのラストでは、と言われそうだけど、ストーカーの究極ですよね。ストーカーの理想型なのかも。
 再録が多いとは言いましたが、ディックの狂った感は堪能できます。でも「新世代」はちょっとありきたりかな。

2015年1月1日木曜日

蜘蛛巣城 (1957 日本)

黒澤明がシェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えて映画化した戦国絵巻。難攻不落を誇る蜘蛛巣城の城主・都築国春に仕える武将・鷲津武時と三木義明は、城の前にある蜘蛛手の森でひとりの老婆と出会い、ある予言を聞かされる。
(「キネマ旬報社」データベースより)

 初見はTV放映でしたが、山田五十鈴がヤバすぎて、もの凄く印象に残っていました。今回改めて観てみたのですが、三船敏郎だけ顔が濃すぎ、他の武者はのっぺりの日本人顔なのに。山田五十鈴顔の化粧ヤバすぎ。実は物の怪の化身では??と思わざるを得ない迫力です。鷲津=三船は顔は迫力なのですが、奥さんの尻に敷かれている小心者。奥さんと物の怪に踊らされて、自滅してしまいます。奥さんも死産で気が狂ってしまいます。最後がどうなったのかは分かりませんが、狂ってしまった以上、武家の妻としての自害もなさそう。圧巻はラストの鷲津への弓矢攻勢。これは素晴らしい出来です。全体に間が長過ぎて、人によっては退屈してしまうかもしれません。お話自体もマクベスの焼き直しですから、特にドラマチックというわけでもありません。あと、何言っているのかわからない部分も多いです。万人に勧められる作品ではありませんが、自ら狂気に陥って行く主人公夫婦とラストだけは一見の価値はあります。

バペットの晩餐会 (1987 デンマーク)

ガブリエル・アクセル監督
ただひたすらに牧師の父の教えを守り続け、慎ましく生活を送る姉妹。
そこに現れた一人の女性により、姉妹、そして周りの人間が幸せを感じ始める。
食べることの幸せ、そして心と体が温まる逸品! 


 ああ、海亀ちゃんうずらちゃん、なんという哀れな姿…!!運ばれてきた姿と料理された姿のギャップに笑ってしまった。牛の頭にも…ごめんなさい。信者のみなさんの見たこともない食材へのビビりっぷり。誰もが未知への恐怖は当然。でも基本が優しい。料理のことは何も言うまいと。で、そこから生まれる晩餐会でのギャップ。うまくできてるなー。

 姉妹の父である牧師さん、神のためなら娘の幸福は犠牲。村人も何とも思っていない様子。ある意味狂信的なんだけど、そういう集団につきものの怖さがない。優しいのです。フランス革命で追われてきた女性も受け入れる。

 小説版もとても良いです。もっと細かい事情や状況も分かりますし。でも料理自体の描写、また料理が進むにつれての村人の表情の変化などは映画の強みですね。 ようはどちらも良作なのでお勧めです。あ、力一杯のドラマを求めておられる方はパスした方がいいと思います。