2014年7月8日火曜日

泉光院江戸旅日記 (ちくま学芸文庫)

石川英輔著

 文化九年九月(1812年10月)、一人の修験者が日向国佐土原を旅立った。

 言ってしまえば旅の日記。でも面白い。江戸時代、六年もの長い間の旅、すごいのは野宿がなかったこと。どこかの家、安い宿に泊まっている。江戸時代の農民のイメージはただひたすら貧乏で苦しくて…なのだけど、いや酷いあばら家もあったようなのだけど、余裕というか、(でも現代人の私では耐えられない生活だろうけど) 感じる事が出来る。以外と緩い感じがある。江戸という時代を見つめ直させてくれる一冊。個人的には平四郎…大変だったろう…同情した。

2014年7月5日土曜日

ヴァリス (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 山形浩生訳
(カバー裏より抜粋)友人グロリアの自殺をきっかけにして、作家ホースラヴァー・ファットの日常は狂い始める。ー中略ーさらに自らの妄想と一致する謎めいた映画「ヴァリス」に出会ったファットは…

 二重人格、しかも実在化??普通の二重人格は体はひとつだけど、どうも二人になっていて、友人も二人である事を認識していて、そして特殊な子供の一言で一人に戻る??また二人になる…。神学的な話はパス。理解できない。難解というか、見方を変えると厨二病になってしまいそうなお話。で、実際にこういう状態に嵌っている人がいそうで怖い。著者の自伝みたいな側面もあるし。ディックの小説といえば小説なんだけど、他の作品に比べると私には退屈だった。シェリーとかのあたりは面白かったけど。