2013年11月20日水曜日

ロボットの帝国 上・下 (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 小尾芙佐訳
 (カバー裏より抜粋) 惑星ソラリアから人間が消え失せた。無数のロボットを残して、ソラリア人はいったいどこへいったのか?

 実は最後まで鋼鉄都市の続編と気づきませんでした…。ファウンデーションに続くのか。まだ読んでいないので楽しみ。
 スペーサー、セツラーとかいっても、人間の根源の感情からは逃げ切れなかった。理性ではなく感情の物語のように感じた。主人公の一人グレディア、嫌な感じのヒロインと思っていたけど、その変化の速さにびっくり。物語事態があれよあれよと言う間に進んでいく。 正直ラストがあっけなくて、ちょっと物足りない。ジスカルドが万能過ぎの気もする。

イメージ 視覚とメディア (ちくま学芸文庫)

ジョン・バージャ著 伊藤俊治訳
 (カバー裏より抜粋) 美術史上の名画や巷に流布する広告など、多種多様なイメージ群を提示しつつ、それらを等価に論じ、「見ること」そのものの再検討を迫ったロングセラー。

 「イメージ」について、油絵を中心に多岐にわたって述べられている。始めはよくある話かな、と思って読んでいたけど (例えば過去の名画における女性の扱いとか、油絵から写真へとか) 、広告と油絵について述べられている部分がとても面白いと思った。 なるほどと。この部分だけでも読む価値はあると思う。

2013年11月15日金曜日

今日の積ん読

文章心得帖 鶴見俊輔 ちくま学芸文庫
明治富豪史 横山源之助 ちくま学芸文庫
狂人日記 ゴーゴリ 岩波文庫
変数人間 フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫
市に虎声あらん フィリップ・K・ディック 平凡社
夢幻諸島から クリストファー・プリースト 早川書房

 久しぶりに本を買った。欲しい本なかったし。フィリップ・K・ディックはやっぱり買ってしまう。「狂人日記」は「肖像画」を無くしてしまったので収録されている文庫を買い直し。あとは何となく。

2013年11月7日木曜日

こごかウィネトカなら、きみはジュディ (ハヤカワ文庫)

大森望編
 (カバー裏より抜粋) 時間に囚われた究極の愛の形を描いたプリーストの名作ほか、永遠の叙情を残す傑作全13篇を収めた時間SFのショーケース。

 時間をテーマにしたSF傑作集。私の頭はクルクルしてしまいました。で、あまり時間のからくりを突き詰めて考えると混乱するので、考えずに読むことにしました。なので時間の織りなすトリックについてはついていけない部分もあり。普段私が好むSFよりちょっと固い感じでした。 個人的な好みでは「夕方、はやく」未来は明日ではない。一日の中、時間の向こう…でも最後でわけがわからなくなった。「去りにし日々の光」哀しすぎる…。私の頭が悪いだけで、全て傑作です。

2013年11月3日日曜日

スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 浅倉久志訳
 (カバー裏より抜粋) おとり捜査官フレッドことボブ・アークターは、上司にも仮の姿を教えず、秘密捜査を進めている。ーーだが、ある日、上司から麻薬密売人アークターの監視を命じられてしまうが…。

 まず、やく中の連中にイライラしてしまう。いかれてる行動に自分を正常とする私は腹が立ってしまう。で、いかれた連中と暮らしているアークター。本人も物質Dをやっている。そして、同一人物であるはずの捜査官フレッドとボブ・アークターが、乖離し始める。一人の人物の脳の中で。この乖離していく状況が面白い。読んでいる私に軽い混乱をもたらす。最後に彼は捜査官としての任務を果たす…。元には戻らないのに…。やっぱりディックは面白い。

2013年11月2日土曜日

ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 三川基好訳
(カバー裏より抜粋) 残忍な殺人事件は平穏な海辺の館で起こった。ー(中略)ー人の命を奪う魔の瞬間 "ゼロ時間" に向けて着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?

 登場人物それぞれが実際現実に存在するタイプだ。ミス・アンフリー…いるいるこういう人。カーミラ、ネヴィル、ケイ、トマス…。で、犯人もよく聞くタイプ。まさかあの人が…みたいな。こういう人は本当に怖い。最後は脆さをみせたけど、この系統の実在の人物はどうなんだろう。で、好きなタイプではないけど気の毒なのがケイ。いい笑い者じゃないか…。マクワーターとバトル警部はお見事でした。

2013年11月1日金曜日

五匹の子豚 (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 山本やよい訳
(カバー裏より抜粋) 16年前、高名な画家だった父を毒殺した容疑で裁判にかけられ、獄中で亡くなった母。でも母は無実だったのです。ポアロが探り当てる事件の真相とは?

 事件の周辺にいた人々の証言。それぞれが、その立場から当時を振り返る。当然矛盾や考えの違いから起こる誤解、それを解き暴くポアロ。真相が結構ありがちな話だったのは、ちょっと残念。

終わりなき夜に生まれつく (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 矢沢聖子訳
(カバー裏より抜粋) 誰が言いだしたのか、その土地は呪われた〈ジプシーが丘〉と呼ばれていた。そしてその場所で、僕は一人の女性と出会った。

 「アクロイド殺人事件」に 似てる。犯人的に。エリーにとって、マイケルとはどういう存在だったのか。どうしようもないクズな男を愛してしまう女はいる。よくある話だ。だけど、読んでいる限りでは、異性に対する情ではなく、親子的な、保護者的に感じた。マイケルは、自分に酔って自分の業に逆らえず、全てを壊し去った。マイケルはすごく嫌なやつなのに、結末はすっきりしなかった。