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2019年1月1日火曜日

アガサ・クリスティー完全攻略 (ハヤカワ文庫)

霜月蒼著
(カバー裏より抜粋)1册でクリスティー100作を網羅した傑作評論集。

 裏面の内容通りの評論集です。私はクリスティーは有名どころしか読んではいないライトファンです。というか作品多過ぎて読み切れません。本屋でこの評論集を見掛けて衝動買いしてしまいました。今まで読んだ以外でどれを読むべきかの参考になるかな?と思いまして。

 もう少し各作品のあらすじを詳しく載せて欲しかったかな。あと黒塗りはどうよ??あれは読む気が失せる。(著者がネタバレになると考えた部分が黒塗りにされてある。後のページで黒塗りの部分が分かるようにはなっています) それなら軽いネタバレ有りでも良くない??とか思いました。が、推理ものだと知りたくない人も多いでしょうから…難しいなー。とにかく黒塗りは止めて欲しい。

 どうしてもネタバレを避けているので、内容の上っ面を掬っている感じが否めない。今ひとつクリスティーの面白さが伝わらない。
 あと著者は短篇に苦言を呈してみえますが、私みたいに短篇面白いみたいな者もおります。個人の元々の嗜好もあります。クリスティーの著作を読んだことのない方には参考になるとは思いますが、参考程度にですね。

2018年1月9日火曜日

明日は舞踏会 (中公文庫)

鹿島茂著
(カバー裏より抜粋) フロベール、バルザックなどの作品を題材に当時の女性たちの夢と現実を鮮やかに活写。

 女の子の憧れの世界ですよ!!舞踏会!!王子様!!その華やかな世界の舞台裏は?…寄宿舎で生涯を過ごす貴族女性は多かったのでは?どうなのでしょうね。既婚の貴族女性が多産とは思えませんし、死産・夭折も多かったでしょう。生き残って舞踏会に立った勝ち組女性の人生を時代背景とともに軽い感じで紹介されています。 
 主人公は二人。勝ち組街道まっしぐら、母親は社交界の女王であるルイーズ。その親友のルネは政略結婚で年寄りの旦那と地味ながら堅実な生活。その理由や貴族女性の現実。どうしても華やかなルイーズの生活が中心となります。華やかなルイーズの生活を手紙で読むルネ。私なら無理。 
 読み易くて軽く楽しめる内容です。フロベール、バルザックは読んだ事はありませんが(ちょっと苦手分野)、読んだ気にさせてくれます。

 そしてこの本の何よりの魅力は挿絵です。文庫ではなくて書籍で買ったほうが良い著作かだと思います。どうしても舞踏会、お姫様ドレスというとディズニーのシンデレラ、白雪目のイメージが強いのですが、実際は意外と靴がしっかりみえているタイプもあります。そして、ヘアスタイルの多様な事。ドレスより頭のほうがスゴい。挿絵だけでも十分楽しめると思います。お姫様好きな方はぜひ。

2016年12月25日日曜日

アルファ・ラルファ大通り (ハヤカワ文庫)

コードウェイナー・スミス著 伊藤典夫/浅倉久志訳
 (カバー裏より抜粋) 〈人類補完機構〉未来史中、最大のイベントである〈人間の再発見〉期の珠玉の7短篇を収録する短篇全集・第二弾

 「スキャナーに生きがいはない 」に続く第二弾です。第一弾を先に読んでいたので、第一弾よりは世界に入り込みやすかった。短篇毎の順序は気にしない事。全体のテーマは〈人間の再発見〉。これは難しいですね。苦しみ、哀しみ、悲しみ、病、危険、悲嘆から解放された世界。逆に実は管理社会である。何を人間の幸せとするか?ですね。

 いくつかを簡単に紹介。「クラウン・タウンの死婦人」ジャンヌ・ダルクものです。テーマはキリスト教的。途中が平坦で退屈気味でした。「ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち」主人公の盗賊に感情移入できない。ママ・ヒットン頑張れだった。盗賊の追いつめ方と負わせた借金。面白かった。表題作「アルファ・ラルファ大通り」。〈人間の再発見〉の混乱期、もしくは過渡期。人類補完機構の保護下にある二人が、それ以外の地域にちょっと出掛けたら…。当たり前の事が当たり前でない現実。主人公は愚かにみえるけれど、自分が同じ立場に置かれたら…。

 第三弾は「三惑星の探求」。近日発売です。

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2016年10月15日土曜日

あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫)

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著 伊藤典夫・小野田和子訳
(カバー裏より抜粋) 地球からの異星調査隊が不思議な共生生物と出会い深い関係を結ぶ「いっしょに生きよう」神の死の報を受け弔問に来た悪魔の考えた「天国再活性化計画」

 個人的なお勧めは「アングリ降臨」。異星人の来地球の目的は??副主人公的なアングリがゆったりとしたイメージに読めるので、作品自体にのんびりとした雰囲気が漂っています。ゆったりとした内容ではないのですが。アングリに何もかもコントロールされて、それを受け入れるしかない人類。しかも生け贄(だと思う) を連れ去られて。でもアングリが性善説で天使的(ひたすら平和主義) なので頭を気持ちよく混線させてくれます。
「天国再活性化計画」も中々。作者は宗教テーマが好きなのかなー?初めての一冊なので分かりませんが。悪魔が亡くなった神の弔問へ。旧知の天使と色々話をして…なのですが、新たな創造主が…。宗教の知識がないのでちょっと理解できない部分も多いです。「もどれ過去へ」も私的好みの良作。タイムマシンで未来に旅立つ若人。ただし戻ってきても未来での記憶はない。未来で得た全ては戻った時点で失われてしまう。自分の未来を知った高慢な女子の決断。非常に愚かな。でもその愚かさが理解できます。自分の「嫌」に逆らえない。仕方がない、性格だから。ちゃんと惨めな最後を遂げてしまう。仕方ないのです。他も良作が揃った逸品。

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2016年6月29日水曜日

遊びと人間 (講談社学術文庫)

ロジェ・カイヨウ著 多田道太郎・塚崎幹夫訳
 (カバー裏より抜粋) 遊びのすべてに通じる不変の性質として競争・運・模擬・眩暈を提示し、これを基点に文化の発達を考察した。遊びの純粋な像を描き出した遊戯論の名著。

  アゴン(競技)、アレア(賭け)、ミミクリ(模倣)、イリンクス(渦巻き←肉体的な錯乱・混乱)という遊びの要素から、色々な視点を導きだしていく…遊び とはこんなにも学問だったのか!と考えさせられました。遊ぶほうはただ楽しければOKですが、それを著者は学問として、社会学その他様々な視点から捉えて います。うーん、奥が深い…。

 今の時代の遊び…過去と違ってきているものは何かあるのかな。TVゲーム系(電子頭脳というか)も多少触れていたような。著者が「ホイジンガ」の著作と自己の考察をうまく交差させて著書を書いているように、誰か「カイヨウ」の考察から今の時代の新たな遊び論を
 導いてほしいな。

 内容は、私程度でも何とか理解できます。遊び論の古典として、興味のある方はご一読を。

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2016年2月7日日曜日

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫)

テッド・チャン著 浅倉久志他訳
 (カバー裏より抜粋) 地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、全く異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく…

 どの作品も凄いなーと。表題作 「あなたの人生の物語」…最初は理解できなかった。娘の思い出の回想かと思ったら…。辛すぎる…。でもそのまま生きて行くんだ…。「理解」は K・ディックっぽい。超能力合戦は大好き。「顔の美醜について」も面白い。美醜を意識しなくなるよう脳に細工する(?) でいいのかな。私はぜひ受けたい!!自意識過剰の人間には必須だ!!他の作品も面白かった。お勧め。残念なことに、私は物理・数学の知識が非常に哀しい人間なので、難しい説明は全くダメでしたww

2014年5月18日日曜日

アントニーとクレオパトラ (新潮文庫)

シェイクスピア著 福田 恒存訳
 (カバー裏より抜粋)多様な事件と頻繁な場面展開を用い、陰謀渦巻くローマ帝国を舞台に、アントニーとクレオパトラの情熱と欲情を描いて四大悲劇と並び称される名作である。

 アントニーが実に人間らしく描かれている。強さと弱さ、海戦の最中、女の尻を追っていくなんて本当に情けなくてそして人間臭い。シーザーは逆に魅力を感じないな。主役じゃないから仕方ないか。クレオパトラは…ここで描かれている限りは根っから女といった雰囲気。実は国を守るために…という話もあるけど、シェイクスピアの戯曲の中ではの印象。私は面白かった。今時の人にはどうかな??

2012年12月14日金曜日

アジャストメント (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 大森望編
(カバー裏より抜粋) ディックが生涯にわたって発表した短篇に、エッセイ集「人間とアンドロイドと機械」を加えた全13篇を収録する傑作選。

 この短篇集で私の一番は「凍った旅」。コールドスリーブ中なのに意識だけ目覚めてしまったら…。考えただけでゾッとする。肉体は眠っているのに、意識だけがある。で、宇宙船(コンピュータが制御している)は夢をみさせて何とかしようとするのだけれど…。ひたすらループ、ではなく夢が繰り返される度に状況が悪くなっていく。最期は現実が認識できなくなって…いや現実として描かれているけれど、本当に現実なのか?? 「電気蟻」も良かった。自分がロボットだと知ったら?ロボットに現実を提供する装置を消去したら?「おお、フローベルとなりて」もそうだけれど、現実や自身の存在をテーマにした作品が多かった。私の好きな分野なので、充分楽しめた。

2012年10月16日火曜日

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

知里幸惠編
(カバーより抜粋) アイヌの一少女が、アイヌ民族のあいだで口伝えに謡い継がれてきたユーカラの中から新謡13篇を選び、ローマ字で音を起こし、それを平易で洗練された日本語訳を付して編んだのが本書である。

 謡だけれど、童話として楽しむことができる。独特の特徴のあるお話。悪いことをしたので罰があたった、あたった側も当てた側も神様。民族の教育…というか道徳の一つとして謡い継がれてきたのかな、と思った。

2012年7月27日金曜日

アクロイド殺人事件 (新潮文庫)

クリスティ著 中村能三訳
(カバー裏より抜粋) 財産家アクロイド氏が刺殺された書斎から消えた一通の手紙ー。それは事件の前日の謎の自殺を遂げたファラーズ夫人からのものであった。

 発表当時議論を呼んだ作品だそうで。今では普通に使われるトリック(でいいのかな) なんだけど、その先駆けとなった作品と考えると、やはりアガサ・クリスティはすごい。作品としてもとても面白い。結末を知ってからもう一度読み返すと、また別の味わい…というか、登場人物の心理状態をいろいろ想像して楽しい。一冊で二度面白い作品。

2012年7月25日水曜日

アガサ・クリスティー99の謎 (ハヤカワ文庫)

早川書房編集部編

 クイズ形式のアガサ・クリスティの雑学集。うーん…微妙。暇つぶしにはいいかな。著者の作品を読み込んでいる人には不要だと思う。もうちょっと内容が濃ければいいのに。残念。

2012年6月15日金曜日

アイルランド 世界史と風土 (岩波文庫)

オフェイロン著 橋本槙矩訳
(カバー裏より抜粋)現代アイルランドを代表する作家オフェイロンの手になるアイルランドの基本文献。

 序盤、若干文章が読みにくかった。難しいとかではなくて、文章自体が…。読んでいくうちに慣れたけど。 アイルランドというと内乱、テロ、IRA、宗教戦争のイメージ。イメージだけで実際はよく知らない国かな。この著作は知らないアイルランドを分かり易く読ませてくれた。大衆に対して厳しいな…。大衆の愚かさは時代が変わっても国が変わっても大して変わらないけど。p266の「世界中の政治家には一つのルールしかない。それは野党の時の発言を与党の時に口にするなということである。さもないと対立党が不可能だとみなしたことを実行しなければならない羽目になる」さてさて日本の与党は…。大衆は野党のときの発言を信じたな…。ま、私も大衆ですけど、あれは信じなかったし、やばくね?みたいな…。この作品は読んで欲しい。決してアイルランドだけのことではなく、自分自身の諌めになると思う。

2012年5月18日金曜日

アレクサンドロスとオリュンピアス (ちくま学芸文庫)

森谷公俊著
(カバー裏より抜粋) 激動の時代を毅然と生き抜いた大王母の波乱と悲劇の生涯を通して、古代地中海世界の真実に迫る。

 オリュンピアスを中心とした、アレクサンドロスの周辺の女性事情かな。アレクサンドロスのことを読みたい人は止めておいたほうがよいです。内容は初心者向けかな。読み易いのはいいと思う。詳しい人には今更な内容かも。面白いと思ったのは一夫多妻制での、女性側の身分の考え方。どうしても正妻もしくは王妃がいて、後は第二妃とか側室とか妾みたいに考えてしまうけれど、著者によるとそういう概念はなくて、基本的は横並び、みんな同じ身分の奥さん。もちろん背後の勢力によって立場の強弱はある。なるほど、と思った。

2011年4月5日火曜日

アラマタ美術誌 (新書館)

荒俣宏著
荒俣氏の描く、美術の歴史。

 荒俣氏の美術史、とても分かり易く楽しめる一冊。本当に博識な人だなあ。本職は小説家だったよね。章ごとのテーマに、日本の美術とその他の国の美術との比較がなされている。「カゲ」に「鏝絵」に「バサラ大名」。テーマから大きな広がりをみせてくれます。気になったのは神社の話。木材にみえるけど、中身はコンクリート??知らなかった…。あと、日本の美術が西洋美術に触れて太りだしたこと…。p165辺りは気持ち悪いのだが…。逆に西洋美術は痩せだしたとか。現代は両方とも痩せているように思うけど。美容整形がかなり古い時代から行われていたことにも驚いた。なぜ現代のアメリカで美容整形に抵抗がなくなってきたのか、分かり易く説明してある。欧米はキリスト教の影響、本当に強いと改めて感じた。この一冊通して、欧米は必ずキリスト教がテーマの底に置かれているから。
 

2011年2月22日火曜日

阿Q正伝・狂人日記 (岩波文庫)

魯迅著 竹内好訳
中国の下層を巣食う病理を描く。

 表題作「阿Q正伝・狂人日記」とも所謂一般人から乖離した視線で世間を描いている。それは「普通」という状態からみると異様、しかしその視線に「普通」の人々に巣食っているやっかいな根っこをみることかできる。でも、その視線を面白くも感じた。
 その他の作品も含めて、その時代の中国の下層が描かれている。厳しくむなしく哀しい現実。読んでいると胸が痛むし、未だ形は違えど、どこの国にも残っている現実では?とも思った。

2010年11月19日金曜日

悪霊論 (ちくま学芸文庫)

小松和彦著
「異人論」をメインに、それに関連した著作を掲載。日本人の「闇」を探る。

 まず思ったこと。情報の採取について。これが聞き手次第で元の形を損なってしまうということ。民俗学や人類学などの採取においてはもちろんのこと、何気ない日常の会話でもあり得ることだから、考えないとと思った。
 「村はちぶのフォークロア」…思い出したのが「名張毒ぶどう酒事件」。犯人云々は置いといて、分かんないし、ここでの村八分の件は、私程度が知っているのだから有名といっていいんだろうな。典型的な例と言っていいと思う。Wikiで読んだだけだし、どこまで本当か分からないけど。
 節分の話は興味深かった。というか、某スーパーが節分は年に二回とか宣伝していたという話を聞いたけど、半分本当で半分嘘。実際は四回だそうです。立春、立夏、立秋、立冬…節分だったのか。この中でたまたま行事として大きくなったのが立春。やっぱり春だしね。で、この著作を読む限り、巻き寿司はやっぱり近年のものだろうなという印象。こうやって行事の意味も内容も変わっていくのかな、良くも悪くも。
 日本人の「闇」…外国とはひと味違う闇を垣間みることの出来る一冊。今はかなり表面上薄れてはいるけれど、無いとは言えない。一般人でもちょっと濃いエッセイとして楽しめる一冊。

2010年9月8日水曜日

アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫)

リチャード・マシスン著 尾之上浩司訳
突如蔓延した疫病で人類は絶滅の危機、恐らくただ一人の生き残りであろうネヴィルは絶望と自暴自棄とヤツらと戦いながら、生き抜くのだが…。何度も映画化されている名作。

 元々のタイトルが「I AM LEGEND」だったのか。1964年版の映画はかなり原作に近かったんだ。ラストが違ったような気がするけど…覚えていない。映画版より主人公の感情が行ったり来たりしているのが理解できていいと思う。犬の辺りは切なくなった。ラストはどうなんだろう。結局人間という種族の愚かしさでいいのかな。

2010年6月26日土曜日

アメリカ紀行 上巻・下巻 (岩波文庫)

ディケンズ著 伊藤弘之、下笠徳次、隈元貞広訳
ディケンズの半年間のアメリカ旅行を描く紀行文。下巻にはジョン・フォスターの「ディケンズの生涯」のアメリカ紀行と関係ある部分が掲載されている。

 まず、奥さんのことを訳者は平凡な女性としているけど、こんな大変な旅行についてきている人を平凡で片付けるのか。本文読んでいて「旦那に付き合わされて大変そう」と思ったが、「ディケンズの生涯」を読んで、よく我慢できたものだと感心した。この時代の旅が、これほど困難とは思っていなかった。船は沈没・遭難が多いという記述があるし、設備も悪そう…。嵐で救命ボートが壊れるとか…乾いた笑いがこぼれる。馬車も道が悪過ぎて中で混ぜ繰り返されている様子が述べられている。ディケンズは上流階級、特別扱いでこれなのに、当時の移民の人はどれほど…馬車が泥濘で動けなくなって赤ん坊と母親が残されてとか、読んでいて胸が痛む。
 これの前に「イタリアのおもかげ」を読んでいるが、「アメリカ紀行」のほうが読みやすい。内容は政治、思想等に関する事が多くみられる。監獄、障害者施設への訪問についても多く述べられている。始めはボストンについてで、施設、監獄について高く評価している。視覚・聴覚・味覚・嗅覚の障害者について多くページを割かれているが、教育内容が素晴らしい。ヘレン・ケラーより前なんだ。これはアメリカのいいところなんだと素直に関心。実はここ辺りを読んで「アメリカよいしょ本?」とか思ってしまった。…違った。これはアメリカで不評だろう。現代から見たらディケンズの言っている事は正論なのだが、時代だからね。監獄、これは酷過ぎ。こういう問題は難しいから何も言いたくないけど、これは酷い。奴隷制度も17章の例を読んでいて気分悪くなった。というか南部無法地帯かよ…酷い。あとつばと痰…噛みタバコの弊害?アメリカは元は移民なんだから、どこかの国の風習だった?生理的に気持ち悪い。で、集団の中では気にならなくても、第三者の目から晒されると、気になるし腹も立つよね。アメリカは今も昔も USA!USA! な国だったと。マナーや制度は変わっても本質は変わっていないのかも。
 「ディケンズの生涯」読んで、マスゴミってやつは今も昔も…。ディケンズと奥さん、同行者の体力、精神力、忍耐力に敬意を表します。よく耐えたものだ。もちろん、特別扱い受けている部分も大きいのだけど、やり過ぎ。船室を覗くって…。今ならもう少しマシ…でもないか。携帯、デジカメ、その他諸々、一般人もマスゴミ化しているから。著作権問題も取り上げられている。これについてもアメリカって変わってないのでは?いや、世界的に酷くなってしまったのでは…と。で、取り締まる側も変になってきているし。
 じつはディケンズは「アメリカ紀行」「イタリアのおもかげ」以外読んでいないのです。クリスマスキャロルはTVで映画(モノクロ)観た。あれは好き。(モノクロDVD、廉価版出ていたのに…チクショー!) 本は積ん読になってる。ちょっと読んでみるかな。

2010年5月28日金曜日

あこがれの遠い土地 ムーミン・コミックス2巻 (筑摩書房)

トーベ・ヤンソン ラルス・ヤンソン著 冨原真弓訳
ロンドンの新聞で連載された漫画版「ムーミン」。

 相変わらず皮肉がいっぱい。力一杯周囲に引っ張り回されているムーミン一家。スノークのお嬢さんの俗物ぶりがいい。本当によくいる女の子。 逆にムーミンママは天然だし。スナフキンは小説版と変わらぬキャラクター。スティンキーは悪党なんだけど「ムーミンママの小さなひみつ」の最後シーンのような憎めなさが好きだ。

2010年5月27日木曜日

アンデルセン童話集6,7 (岩波文庫)

大畑末吉訳
「子供部屋で」「茶びん」など可愛いお話も多い巻。7巻最後にアンデルセンの解説がある。

 最後2巻まとめて。批判的な感想が続いたけど、あくまで個人の好き嫌いの範疇としてみてもらえるように。文学作品としては価値があるのは分かっているけれど、どうにも抹香臭さに抵抗があってダメだ。キリスト教徒的にはOKなんだろうけど。好きなお話もある。「銀貨」とか「ノミと教授」など、ちょっと滑稽なものが好み。
 時代の違いを考えなくてはならないのは承知の上で、ギリシア神話の神様はやたら人間臭くて我がまま、残酷だけれど、アンデルセンの描くキリスト教の神様は別の意味で残酷だ。ものすごく抵抗を感じた。
 面白いと思ったのは「緒言と解説」p306で アンデルセンが「初期のものは意義があるが、のちのものはそれにおとる、という人がままある。これはもちろん事実ではない」と述べている。続けて弁明を述べているのだけど、今の時代もよくある "読者が悪い" ときた。今も昔もだな。もちろん実際はどうなのかは私には判断がつかないけど、ちょっと笑えた。