2013年10月29日火曜日

ネクロノミコン (学研M文庫)

ドナルド・タイスン著 大瀧啓裕訳
(カバー裏より抜粋)魔物の咆哮が響き渡るロバ・エル・ハリイェーの大砂漠を、孤独と絶望のうちに彷徨う狂詩人アブドゥル・アルハザード。ーアルハザードが凝視した暗黒の邪心世界が、その全貌を明らかに。

 恥ずかしながら私、「ネクロノミコン」がラグクラフトの世界において造られたものとは知りませんでした。そういう都市伝説たぐいのものが前提として存在して、ラグクラフトの世界が構築されたものと…。ごめんなさい。ラグクラフトのファンとして恥ずべきことです。
 で、当然としてラグクラフトの世界を知らない人は手に取ってはいけません。退屈なだけです。これは完全なマニア本。私はライトユーザーなので、ディープな方達の意見は存じませんが、少なくともオカルト本と勘違いして手に取ってはいけません。私も正直退屈だった…。

2013年10月26日土曜日

葬儀を終えて (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 加島祥造訳
(カバー裏より抜粋) リチャードは殺されたんじゃなかったのー末の妹コーラが無邪気に口にした言葉。ー要請を受けて事件解決に乗り出したポアロが、一族の葛藤の中にみたものとは?

 これはまさかのどんでん返し。やられたなー。正直、ヘレンかな?と思っていた。家政婦はたんなるちょっと鬱陶しい中年女性といった印象だけだった。人の思い込みというのは怖いね。それだけで全ての…事件の印象がガラッと変わってしまうのだから。 これはお薦めの一冊。

2013年10月19日土曜日

カーテン (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 田口俊樹訳
ヘイスティングズは親友ポアロの招待で懐かしきスタイルズ荘を訪れた。ー中略ー 全盛期に執筆され長らく封印されてきた衝撃の問題作。

 ポアロ最後の事件。ヘイスティングズ…彼は最後までヘイスティングズであった。そして一番辛い役回りでもあった。内容は一種のマインドコントロールのようなことをテーマにしている。これはね、殺人を上手にそそのかすとまではいかなくても、ちょっとした悪意を他人に注ぎ込む、近所付き合い、職場でもよくあることです。だから怖い。私はすぐに他人からのうわさ話にフラフラしてしまうので、常に自分で確認すること、一方からの見方に固執しないことを旨としているのだけれど、そう簡単にはいかないということ。みんな振り回される。…犯人は何となく分かった。どういう展開になるかと思いきや…。
  別の作家によってポアロのシリーズが書かれるというニュースがあった。海外ではよくあることなんだろうけど、ちょっと複雑。たぶん、「カーテン」までに起こっ事件を描くのだろうけど。でも著者が綺麗に終わらせてるのにな…。

2013年10月1日火曜日

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 中村妙子訳
(カバー裏より抜粋) 優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。ー 女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

 最初に、これは推理小説ではありません。いわゆる自己中な女性が自分を見つめ直し、でも結局元に戻ってしまうお話。よくあることです。よくある言葉に「明日からがんばる」「来月からがんばる」とかありますが、結局元に戻ってしまう。個人のことならいいのだけれど、他の人も関わることだと…。自己中な奥さんと諌めることのできない夫。子供たちはさっさと逃げ出して。さてさて、あなたは大丈夫ですか??面白かったけど、ただ、ちょっと全てが大げさで唐突すぎるような印象もあった。