2013年12月21日土曜日

明治富豪史 (ちくま学芸文庫)

横山源之助著
(カバー裏より抜粋) 富国強兵、殖産産業といった言葉で語られることの多い明治日本の「近代化」。ー中略ー 社史には決して書かれることのない明治裏面史。

 カバー裏を読んでみると、起業家たちの搾取を描き出しているのか?という印象を持つが、そんなことはない…と私は思った。もしかしたら描かれているのかもしれない。私が読み取れないだけで。どっちかというと、立身出世とまではいかなくても、現在も残る、また既に消えた企業の始祖が成り上がっていく様子が描かれているだけでは。内容は普通に面白い。ま、汚いことをして…みたいなことを描きたかったのかもしれないけど、こんなものだろうね、といった感想だけかな。ただ私がこういう感想を持つ過程には、こういう著作を世に出し続けた人々の労は確実にあると思う。あと、海外編はちょっと退屈だったかな。

2013年12月20日金曜日

今日の積ん読

 過去カラ来タ未来 アイザック・アシモフ パーソナルメディア
ジェイン・オースティンの読書会 カレン・ジョイ・ファウラー ちくま学芸文庫
短篇 小説日和 英国異色傑作選 ちくま文庫
怪奇小説日和 黄金時代傑作選 ちくま文庫
空飛ぶ円盤地球襲撃す フレッド・F・シアーズ監督
地球へ2千万マイル ネイザン・ジュラン監督
水爆と深海の生物 ロバート・ゴードン監督

 「過去カラ来タ未来」未来を描いたイラストが多数掲載されているのだけど、こういうテーマのものが大好き。今の時代から見たらばからしいかもしれないけど、過去の人々はこのイラストにどれほどトキメイタだろう。
 DVD (ブルーレイは持っていない) は全てハリー・ハウゼンによる特殊効果作品。7のセット売り。後は昨今オカルト話に凝っている (いい歳して師匠シリーズが好きというか加奈子ファン) のでちくま文庫二册と本屋で欲しくなった「ジェイン・オースティンの読書会」。会社の合併で思ったよりボーナスが出た記念で、久しぶりたくさん購入。本はともかくDVDが全然観れていない。
 本屋をブラブラしていたら、美術手帖のかぐや姫特集が目に入った。というか、表紙イラストが好みだった。手に取って内容を見ると、鬼気迫るかぐや姫の表情。これは買わねばなるまい…。かぐや姫以外の特集は興味持てなかった&おっさんのグラビア (監督の高畑氏の写真はともかく) いらないし。他のアーティストのイメージイラストもなー…。美術手帖の読者に問いたい。自分の興味以外があるのは雑誌として仕方ない、当然だ。でも、意味不明のおっさん (有名イラストレーターだけど) のグラビアっている? あー、誤解ないように言っとくと、アニメーターの人とかの写真の話じゃないよ、そういうのは別に何とも思わない。ニューヨークだったっけ、警察に叱られたイラストレーターのことww。私は超一般人だから余計そう思うのかもしれない。

2013年12月7日土曜日

文章心得帖 (ちくま学芸文庫)

鶴見俊輔著
(カバー裏より抜粋) 「余計なことはいわない」「紋切型の文章を突き崩すこと」等、現在でもそのままあてはまる実践的かつ本質的文章論が展開された、一般人向け文章教室を再現。

 「紋切型」…耳が痛い。書かれている内容は、趣味であれ仕事であれ文章を書こうとする人にはとても役に立つ。分かりやすい例文を用いてみえる、かつ理解しやすい解説。大人ばかりでなく、中高生にも読んでもらいたいかな。

狂人日記 (岩波文庫)

ゴーゴリ著 横田瑞穂訳
 (カバーより抜粋) 長官の娘に恋してしまった小心な小役人の「おれ」。日記につぎつぎと吐き出される主人公の滑稽かつ悲痛きわまりない饒舌の中に人間の悲劇がうかびあがる。

 「肖像画」を目当てで買ったんだけど、「狂人日記」がなかなか面白くて良かった。人は急に狂いだすのではなく、少しずつ何かがずれていくものではないかと思っているのだけれど、この主人公40代小役人、いかにも自尊心高そう (日記の中では誰でもそういう傾向あるだろうけど) で、でも現実はそれに見合ったものではない。そして決して手の届かない令嬢。最後のおっ母さんへの言葉…と思ったら…落ちが効いている。

2013年11月20日水曜日

ロボットの帝国 上・下 (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 小尾芙佐訳
 (カバー裏より抜粋) 惑星ソラリアから人間が消え失せた。無数のロボットを残して、ソラリア人はいったいどこへいったのか?

 実は最後まで鋼鉄都市の続編と気づきませんでした…。ファウンデーションに続くのか。まだ読んでいないので楽しみ。
 スペーサー、セツラーとかいっても、人間の根源の感情からは逃げ切れなかった。理性ではなく感情の物語のように感じた。主人公の一人グレディア、嫌な感じのヒロインと思っていたけど、その変化の速さにびっくり。物語事態があれよあれよと言う間に進んでいく。 正直ラストがあっけなくて、ちょっと物足りない。ジスカルドが万能過ぎの気もする。

イメージ 視覚とメディア (ちくま学芸文庫)

ジョン・バージャ著 伊藤俊治訳
 (カバー裏より抜粋) 美術史上の名画や巷に流布する広告など、多種多様なイメージ群を提示しつつ、それらを等価に論じ、「見ること」そのものの再検討を迫ったロングセラー。

 「イメージ」について、油絵を中心に多岐にわたって述べられている。始めはよくある話かな、と思って読んでいたけど (例えば過去の名画における女性の扱いとか、油絵から写真へとか) 、広告と油絵について述べられている部分がとても面白いと思った。 なるほどと。この部分だけでも読む価値はあると思う。

2013年11月15日金曜日

今日の積ん読

文章心得帖 鶴見俊輔 ちくま学芸文庫
明治富豪史 横山源之助 ちくま学芸文庫
狂人日記 ゴーゴリ 岩波文庫
変数人間 フィリップ・K・ディック ハヤカワ文庫
市に虎声あらん フィリップ・K・ディック 平凡社
夢幻諸島から クリストファー・プリースト 早川書房

 久しぶりに本を買った。欲しい本なかったし。フィリップ・K・ディックはやっぱり買ってしまう。「狂人日記」は「肖像画」を無くしてしまったので収録されている文庫を買い直し。あとは何となく。

2013年11月7日木曜日

こごかウィネトカなら、きみはジュディ (ハヤカワ文庫)

大森望編
 (カバー裏より抜粋) 時間に囚われた究極の愛の形を描いたプリーストの名作ほか、永遠の叙情を残す傑作全13篇を収めた時間SFのショーケース。

 時間をテーマにしたSF傑作集。私の頭はクルクルしてしまいました。で、あまり時間のからくりを突き詰めて考えると混乱するので、考えずに読むことにしました。なので時間の織りなすトリックについてはついていけない部分もあり。普段私が好むSFよりちょっと固い感じでした。 個人的な好みでは「夕方、はやく」未来は明日ではない。一日の中、時間の向こう…でも最後でわけがわからなくなった。「去りにし日々の光」哀しすぎる…。私の頭が悪いだけで、全て傑作です。

2013年11月3日日曜日

スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 浅倉久志訳
 (カバー裏より抜粋) おとり捜査官フレッドことボブ・アークターは、上司にも仮の姿を教えず、秘密捜査を進めている。ーーだが、ある日、上司から麻薬密売人アークターの監視を命じられてしまうが…。

 まず、やく中の連中にイライラしてしまう。いかれてる行動に自分を正常とする私は腹が立ってしまう。で、いかれた連中と暮らしているアークター。本人も物質Dをやっている。そして、同一人物であるはずの捜査官フレッドとボブ・アークターが、乖離し始める。一人の人物の脳の中で。この乖離していく状況が面白い。読んでいる私に軽い混乱をもたらす。最後に彼は捜査官としての任務を果たす…。元には戻らないのに…。やっぱりディックは面白い。

2013年11月2日土曜日

ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 三川基好訳
(カバー裏より抜粋) 残忍な殺人事件は平穏な海辺の館で起こった。ー(中略)ー人の命を奪う魔の瞬間 "ゼロ時間" に向けて着々と進められてゆく綿密で用意周到な計画とは?

 登場人物それぞれが実際現実に存在するタイプだ。ミス・アンフリー…いるいるこういう人。カーミラ、ネヴィル、ケイ、トマス…。で、犯人もよく聞くタイプ。まさかあの人が…みたいな。こういう人は本当に怖い。最後は脆さをみせたけど、この系統の実在の人物はどうなんだろう。で、好きなタイプではないけど気の毒なのがケイ。いい笑い者じゃないか…。マクワーターとバトル警部はお見事でした。

2013年11月1日金曜日

五匹の子豚 (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 山本やよい訳
(カバー裏より抜粋) 16年前、高名な画家だった父を毒殺した容疑で裁判にかけられ、獄中で亡くなった母。でも母は無実だったのです。ポアロが探り当てる事件の真相とは?

 事件の周辺にいた人々の証言。それぞれが、その立場から当時を振り返る。当然矛盾や考えの違いから起こる誤解、それを解き暴くポアロ。真相が結構ありがちな話だったのは、ちょっと残念。

終わりなき夜に生まれつく (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 矢沢聖子訳
(カバー裏より抜粋) 誰が言いだしたのか、その土地は呪われた〈ジプシーが丘〉と呼ばれていた。そしてその場所で、僕は一人の女性と出会った。

 「アクロイド殺人事件」に 似てる。犯人的に。エリーにとって、マイケルとはどういう存在だったのか。どうしようもないクズな男を愛してしまう女はいる。よくある話だ。だけど、読んでいる限りでは、異性に対する情ではなく、親子的な、保護者的に感じた。マイケルは、自分に酔って自分の業に逆らえず、全てを壊し去った。マイケルはすごく嫌なやつなのに、結末はすっきりしなかった。

2013年10月29日火曜日

ネクロノミコン (学研M文庫)

ドナルド・タイスン著 大瀧啓裕訳
(カバー裏より抜粋)魔物の咆哮が響き渡るロバ・エル・ハリイェーの大砂漠を、孤独と絶望のうちに彷徨う狂詩人アブドゥル・アルハザード。ーアルハザードが凝視した暗黒の邪心世界が、その全貌を明らかに。

 恥ずかしながら私、「ネクロノミコン」がラグクラフトの世界において造られたものとは知りませんでした。そういう都市伝説たぐいのものが前提として存在して、ラグクラフトの世界が構築されたものと…。ごめんなさい。ラグクラフトのファンとして恥ずべきことです。
 で、当然としてラグクラフトの世界を知らない人は手に取ってはいけません。退屈なだけです。これは完全なマニア本。私はライトユーザーなので、ディープな方達の意見は存じませんが、少なくともオカルト本と勘違いして手に取ってはいけません。私も正直退屈だった…。

2013年10月26日土曜日

葬儀を終えて (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 加島祥造訳
(カバー裏より抜粋) リチャードは殺されたんじゃなかったのー末の妹コーラが無邪気に口にした言葉。ー要請を受けて事件解決に乗り出したポアロが、一族の葛藤の中にみたものとは?

 これはまさかのどんでん返し。やられたなー。正直、ヘレンかな?と思っていた。家政婦はたんなるちょっと鬱陶しい中年女性といった印象だけだった。人の思い込みというのは怖いね。それだけで全ての…事件の印象がガラッと変わってしまうのだから。 これはお薦めの一冊。

2013年10月19日土曜日

カーテン (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 田口俊樹訳
ヘイスティングズは親友ポアロの招待で懐かしきスタイルズ荘を訪れた。ー中略ー 全盛期に執筆され長らく封印されてきた衝撃の問題作。

 ポアロ最後の事件。ヘイスティングズ…彼は最後までヘイスティングズであった。そして一番辛い役回りでもあった。内容は一種のマインドコントロールのようなことをテーマにしている。これはね、殺人を上手にそそのかすとまではいかなくても、ちょっとした悪意を他人に注ぎ込む、近所付き合い、職場でもよくあることです。だから怖い。私はすぐに他人からのうわさ話にフラフラしてしまうので、常に自分で確認すること、一方からの見方に固執しないことを旨としているのだけれど、そう簡単にはいかないということ。みんな振り回される。…犯人は何となく分かった。どういう展開になるかと思いきや…。
  別の作家によってポアロのシリーズが書かれるというニュースがあった。海外ではよくあることなんだろうけど、ちょっと複雑。たぶん、「カーテン」までに起こっ事件を描くのだろうけど。でも著者が綺麗に終わらせてるのにな…。

2013年10月1日火曜日

春にして君を離れ (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 中村妙子訳
(カバー裏より抜粋) 優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。ー 女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

 最初に、これは推理小説ではありません。いわゆる自己中な女性が自分を見つめ直し、でも結局元に戻ってしまうお話。よくあることです。よくある言葉に「明日からがんばる」「来月からがんばる」とかありますが、結局元に戻ってしまう。個人のことならいいのだけれど、他の人も関わることだと…。自己中な奥さんと諌めることのできない夫。子供たちはさっさと逃げ出して。さてさて、あなたは大丈夫ですか??面白かったけど、ただ、ちょっと全てが大げさで唐突すぎるような印象もあった。

2013年9月25日水曜日

鏡は横にひび割れて (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 橋本福夫訳
(カバー裏より抜粋) アメリカの女優がいわくつきの家に引っ越してきた。彼女の家で盛大なパーティが開かれるが、ー中略ー 呪われた事件に永遠不滅の老婦人探偵ミス・マープルが挑む。

 マープルばかり読んでる。面白いから一気に読んでしまうんだ。マープルの日々の生活が幅をとって描かれている。ああ、ナイトみたいなタイプは鬱陶しいよね。いつの時代にもいる。このお話のなかでは新人類のチェリーのほうに好感を寄せている。そして、新時代との握手。で、今回は犯人は何となく予想はつく。女優にはあまり同情できない私がいる。子供って何だろう??と考えてしまう。ハリウッドの女優さんにも養子いっぱい迎えている人いるけど、成長した後の養子さんの本音が聞きたい。ま、私も養子にしてー!な俗物な私なのだが。犯行の理由は、最後の謎解きまで分からなくなっている。この事件で一番ラッキーだったのは、アーサー・バンコックだと思う。あと、歳を取りすぎたマープルは読んでいてやはりちょっと哀しい。

2013年9月21日土曜日

時を生きる種族 (創元SF文庫)

ロバート・F・ヤング他著 中村融訳 
(カバー裏より抜粋) 時間エージェントは、9世紀の宮殿から「千一夜物語」の語り手シェヘラザードを連れ去ろうとした矢先ー 本邦初翻訳2編を含む全7編。

 「真鍮の都」がお気に入り。ドニヤザードかっこいい!スレイマーン最強!で、魔人は情けなかった。でも、ドニヤザードも重要人物では?という気も。彼女の声掛けでシェヘラザードのお話が始まるし、大円団のとき、王様の弟と結婚するし。 物語の終わり方も千一夜物語らしくてよかった。「緑のベルベットの外套を買った日」も好きだ。先祖と恋をし、子孫と結ばれる…ロマンだ。あと「努力」。本当に過去を観ることのできる装置があればいいのに。不可解な事件の多い昨今、いや、昔からあったのだろうけど、真実を知りたい。

予告殺人 (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 田村隆一訳
 (カバー裏より抜粋) その朝、新聞の広告欄を目にした町の人々は驚きの声を上げた。「殺人お知らせ申し上げます。ー大胆不敵な殺人事件にミス・マープルが挑む。

 マープルのシリーズは面白い。マープルのキャラクターが良いからだと思う。で、今作、マープルが出張る量が少ない気がした。クラドック警部が全面に押し出されていて、マープル量が少ないのが残念。でも面白い。これは最後の方まで犯人分からなかった。名前のトリックにしっかり引っかかったし。既成概念に弱いな。最後、少しずつ犯人が壊れていくさまがよかった。ミッチーはキャラが突出していて面白いと思った。

今日の積ん読

葬儀を終えて アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
予告殺人 アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
都市景観の20世紀 エドワード・レルフ ちくま学芸文庫
ずっとお城で暮らしてる シャーリイ・ジャクスン 創元推理文庫
アール・ヌーヴォーの華麗なファッションイラスト グラフィック社
こごかウィネトカなら、きみはジュディ ハヤカワ文庫

 昨今文庫の値段が上がっておりますが、ちくま学芸文庫の高騰ぶりには開いた口が塞がらない状態。このシリーズは、ちょっと齧ってみたい一般人には、内容が手頃なのですよ。しっかし、この値段の上がりっぷりは…。
 で、アマゾンと7で同じ本を注文するという超オバカをやってしまった。以前買った本を忘れていて、また買ってしまったという話ではない。同じ日に別々のネットショッピングで同じ本を発注したのだ!しかも、届くまで気づかなかった!!そして、別の本なのだが、よく似た名前の本を間違えて発注していた!!届くまで気づかなかった!!ああ…絶対酔っぱらった状態で買い物してはいけないと心に誓った…。

2013年9月14日土曜日

スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 綾川梓訳
 (カバー裏より抜粋) 若妻グエンダはヴィクトリア朝風の家で新生活を始めた。だが、奇妙なことに初めてみるはずの家の中に既視感を抱く。ミス・マープルが、回想の中の殺人に挑む。

 記憶を手がかりに、一つ一つ謎を順に解いていく。マープルは、あくまで脇役に徹しているのだけれど、ポイントポイントを上手に押さえている。楽しく読ませてくれた。ポアロのシリーズもいいけど、マープルのほうが好きだな。ただちょっと御都合主義を感じなくもない。あと、その他容疑者になる人たちの印象が弱い気もした。拝啓の書き込みが薄いせいかな。必要ないといえばそれまでだけど。もう一つ、始めから犯人が誰か分かってしまうのが、この物語の困った点だと思う。

2013年9月11日水曜日

中世ヨーロッパの家族 (講談社学術文庫)

ジョセフ・ギース/フランシス・ギース著 三川基好訳
 (カバー裏より抜粋) ノーフォークの紳士階級・パストン家に残された千通を超す書簡から描き出す。十五世紀の社会と一族の生活。

 西欧が契約社会になった理由の一つが理解できた気がする。なんという無法状態。読んでいるうちに訳が分からなくなる。戦争、略奪、結婚…そして金、金、金…。私文書だけに生々しく伝わってくる。この時代は夫婦別居の期間が多いのかな。旦那への奥方の手紙が目に付く。お金の話、息子の取りなし、細々した必需品の請求。紳士階級というといまでこそ裕福といった印象だけれど、そうでもなかったんだ。もちろん使用人はもっとたいへんだったのだろうけど。

丘の屋敷 (創元推理文庫)

シャーリィ・ジャクスン著 渡辺庸子訳
(カバー裏より抜粋) 博士の調査のため、幽霊屋敷と恐れられる〈丘の屋敷〉に招かれた三人の協力者。ー中略ー次々と怪異が起きる屋敷に、協力者の一人エレーナは次第に魅了されていく。

 映画「THE HAUNTING たたり」の原作本ということで読んでみた。映画は良作で、とても面白かった記憶がある。でも原作には叶わない。とても面白かった。怪異現象自体が怖い訳ではない。エレーナがヤバすぎ。屋敷にたどり着くまでの行動…というより感情の動きがヤバい。置かれていた環境のためにかなり歪んでいる。で、対照的なセオドラが登場。仲良し期から反目、そして依存。セオドラへの依存の空想にゾッとする。セオドラ、逃げてー状態。モンターギュ夫人の登場で加速していく、エレーナの感情の動きが怖い…人の怖さだと思う。でもね、エレーナの性格、自分と似ていて哀しい。理解できるてしまうのだ、感情の動きを。最後の方の行動は、既にエレーナは屋敷になってしまっているのだ。で、結末の責任は博士にあると思う。セオドラの部屋に血でエレーナの名前が書かれた時点で、帰さないか?普通…。

2013年9月7日土曜日

時の娘 (創元SF文庫)

ジャック・フィニィ他著 中村融訳
(カバー裏より抜粋)時という越えることのできない絶対的な壁。これらに挑むことを夢見てタイム・トラヴェルというアイデアが現れて一世紀以上が過ぎた。ー中略ー心温まる恋の物語から作品の仕掛けに技巧をこらした傑作まで名手たちの9編を収録。

 時を題材に個性的で趣向を凝らした物語。ロマンチックなお話が多い。誰もが時に望むこと…子供の頃に戻ってやり直したい、あの時間に戻りたい、時を隔てた恋。それをいかに面白く読ませるか。個人的な好みでは「むかしをいまに」ブラピだったかが主演の映画によく似たテーマの作品があった。「かえりみれば」 ああー、誰でも望むこと。もっと勉強しとけば…。それを皮肉たっぷりに読ませてくれます。他の作品も良作ですので、この分野に興味のある方は手にとってもいいかも。

2013年9月6日金曜日

謎のクィン氏 (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティ著 嵯峨静江訳 

(カバー裏より抜粋) 事件の陰にドラマあり。神秘の探偵ハーリ・クィン氏と、人生の観察者サタースウェィト氏の名コンビ登場。

 短編集です。それぞれの物語にクィン氏が登場、もしくは陰がちらつくといった感じ。サタースウェィト氏を通して見える人間模様が面白い。読後もいい感じだったのだけど…最終話がね…かなり後味が悪い。

WORLD WAR Z 上・下 (文春文庫)

マックス・ブルックス著 浜野アキオ訳

(カバー裏より抜粋) 中国で発生した謎の疫病ーそれが全ての発端だった。急死したのちに凶暴化して甦る患者たち。 ー中略ー 世界を覆いつくす死者の軍勢に、人類はいかに立ち向かうのか。

 映画化されて大ヒット中。映画は観ていないので (1000円になったら買う) 何ともいえないのだけど、映画化するタイプの作品ではないだろう、と思った。色々な立場にある人々が自分が体験したこと、Z(ゾンビ)に対する考えを取材されていくという形式。それぞれの証言の中から、浮かび上がる戦争、ただただ増え続けるZの恐怖。Zだけではなく、人間自体の怖さ。これが凄く面白い。たぶん浮かび上がるWARは読んだ人それぞれで違いがあるのではと思う。日本人がいかにも日本人で笑えてしまった。「レデガープラン」には納得させられてしまった…けど、私は犠牲者側に入るだろうな…。「レデガープラン」をもっと掘り下げてほしかった気も。で、この作品の映画化って…予告編とか観たけど、ただのゾンビ映画のように思えたけど。原作が面白いだけに微妙な気分。

フライング・コップ (フルモテルモ)

監督 ジム・エイブラハムズ/デヴィット・ザッカー
主演 レスリー・ニールセン 

(カバー裏より抜粋) 日本でも大ヒットした映画「裸の銃を持つ男」のベースとなった伝説のTVシリーズ!!

 本当に「裸の銃を持つ男」のTVドラマ版。セットがちゃちいのはご愛嬌。基本パターンが決まっていて、安心して笑っていられる。でも、人がギャグで意味もなく人がバタバタ死んでいく、今日本で放送したら人権団体が騒ぐであろうキャラクター多数登場、そういうのが嫌いな人は観ない方がいい。私のお気に入りは情報屋ジョニー。ただの靴磨き屋さんと思いきや、知識、情報のスペシャリスト!事件を解決しているのは実は彼。彼の登場が待ち遠しい位に好きなキャラクター。 ただ、アメリカン・ジョークが分からないのが悔しい。

今日の積ん読

WORLD WAR Z 上・下 マックス・ブルックス 文春文庫
丘の屋敷 シャーリィ・ジャクスン 創元推理文庫
 THE HAUNTING たたり 監督ロバート・ワイズ ワーナー

 WORLD WAR Z、公開中の映画の原作。映画、観に行きたいけど、「パシフィック・リム」のほうが観たいから…原作読んでおこうかと。「たたり」は何かを読んでいて急に観たくなった。一度観たことがあるんだけど。結構面白かった記憶がある。「丘の屋敷」は「たたり」の原作。
 調理師試験合格!!答え合わせしてみたら、自分が思っていた以上に点が取れてた…というか余裕じゃん、私。くだらない引っかけ問題に見事に引っかかったけど。すぐに免許申請。嬉しくて仕方ない。調理師関連の勉強は続ける。料理も面白いけど、その周辺の色々に興味がある。

2013年8月20日火曜日

今日の積ん読

時の娘 ジャック・フィニィ他 創元SF文庫
時を生きる種族 ロバート・F・ヤング他 創元SF文庫
終わりなき夜に生まれつく アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
鏡は横にひび割れて アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
五匹の子豚 アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
杉の柩 アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
春にして君を離れ アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
茶色の服の男 アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
スリーピング・マーダー アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
スキャナー・ダークリー フィリップ・K・ディック 創元SF文庫
空飛ぶモンティ・パイソン4〜7 SONY

 ローゼンメイデン買ってきた。新装版は見つからず。ネットでもほとんど入荷待ち。だいたい覚えてはいるけど、手に入らないとなると余計に欲しい…。もちろん、続編はとても面白い。でも、事件が連続していて、もう少しのほほんとした日常も欲しい。あと、頑張れ、大学生のジュン。

黄金の驢馬 (岩波文庫)

アープレーイユス著 呉茂一/国原吉之助訳
(カバー裏より抜粋) 唯一完全な形で伝わるローマ時代のラテン語小説。梟に化けるつもりが驢馬になってしまい、おかげで浮世の辛酸をしたこま嘗める主人公。

 始めは人生を楽しんでいる主人公。でも魔術に関わってしまったために…辛酸をしたこま嘗めることに。本当にしたこま、繰り返し辛いことばかり。その繰り返しにちょっと飽きてしまった。最後は神頼みか…。時代が時代だし仕方ないけど。

2013年8月16日金曜日

売笑三千年史 (ちくま学芸文庫)

中山太郎著
(カバー裏より抜粋) 歴史を追って、つきせぬ情熱で売買春の諸相を総覧する。長らく入手不可能であった幻の書の文庫化。

 どこの国、地方にも売笑は存在する。前にギリシア辺りの売笑についての著作を読んだことがある。これもそういうたぐいの著作かな、と購入してみた。正直なところ古文は読み飛ばした。ごめんなさい、無理です。内容は中々興味深かった。古代から近世まで、時代に沿いながら、売笑の変化を様々な資料から読み解いている。綺麗事はなし。そこがいい。

晩餐会の13人 (創元推理文庫)

アガサ・クリスチィ著 厚木淳訳
(カバー裏より抜粋) ロンドンに住む富豪エッジウェア卿がある夜、何者かに刺殺されるという事件が発生した。

  エッジウェア夫人が「メソポタミヤの殺人」のルイーズと同じタイプ。同性には非常に嫌われる、こんな女性が周囲にいたら私も嫌。この作品はさすがに私でも犯人も使用したトリックもみえてくる。正直、ポワロの推理の遠回りが多すぎて、退屈してしまう部分あり。もちろん他の作品にもそういう部分はあるのだけど、この作品は、そこがちょっとだった。

ABC殺人事件 (創元推理文庫)

アガサ・クリスティ著 深町眞理子訳
(カバー裏より抜粋) ポワロの許に、ABCと名乗る奇妙な犯人から殺人を予告する挑戦状が届けられる。

 単純な私は見事に引っかかった。ちょっとおかしいかなとは思ったのに。悔しい。いろんな証拠・状況がちりばめられているのに。別に犯人がいるとしても、気の強いお姉ちゃんだと思ってた。カストの人と成りの描写がいい。犯人か!!と思わせてくれる。なぜそうなったのかも、一応それなりの納得は得られる。代表作の一つであるこの作品、とても面白かったです。

今日の積ん読

黄金の驢馬 アープレーイユス 岩波文庫
ABC殺人事件 アガサ・クリスティ 創元推理文庫
ナイルに死す アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
ゼロ時間へ アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
カーテン アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
謎のクィン氏 アガサ・クリスティ ハヤカワ文庫
バベットの晩餐会 ガブリエル・アクセル監督
アダムス・ファミリー バリー・ソネンフェルド

 アダムス・ファミリー!!発売されて本当に嬉しい。最近は物欲がフツフツ湧いてきて大変。ローゼン・メイデン揃えたい…。前に連載休止のとき、売っちゃったんだ。揃え直そうか…。実をいうとセーラームーンも欲しい。なぜか乙女戦闘ものが好き。最近はアガサ・クリスティが面白くて仕方ない。本来推理ものは苦手なんだけど、この著者は別格。といっても、いまいちの作品もあるけど。作品の平均レベルは高いなー。映画も全然観てなかったけれど、パシフィック・リムとワールド・ウォーZは面白そう。夏休み終わったら観に行きたいよー。ワールド・ウォーZの原作小説欲しいと思ったけど、7も尼も出版社取り寄せ状態。売れてるのね…。本屋さんも品切れかな。

2013年7月26日金曜日

メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティー著 石田善彦訳
(カバー裏より抜粋) 考古学者と再婚したルイーズの元に、死んだはずの先夫から脅迫状が舞い込んだ。ー中略ー 過去から襲いくる悪夢の正体をポアロは暴くことができるのか?

 クリスティーの名作の一つ。主人公はルイーズではなく彼女付きの看護婦のレザランです。でも、個性的…いや意外といそうなタイプ、芸能人なんて基本こういう人たちだろうし、一般にもみられるタイプの、女性から見ると非常に嫌なタイプのルイーズがよく描けていると思います。嫌なタイプだから、余計生き生きと感じられるのかも。うん、シーラも嫌な意味でよかったし。で、私は見事に引っかかってしまいました。てっきりルイーズの自作自演と思ってしまった。犯人は…だろうなとは思ったけど、のめり込ませてくれるのは、さすがと思います。ポアロはおまけ。

宇宙気流 (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 平井イサク訳
(カバー裏より抜粋) カート貿易独占を死守せんとするサーク人と、それに対抗して暗躍するトランター帝国との対立を激化させ、ついに全銀河を震撼させる大事件へと進展した!

 主人公が乱立している…。一応リックが主人公なんだろうけど、テレンスに食われているような。サミア嬢、好きなタイプなのに、出番が今ひとつなのが残念。何となく詰め込みすぎの印象もあり。でも、やはりアシモフ、読ませてくれます。
 で、意外な人物が…。私は全然分からなかった。

ゲーテとの対話 上中下 (岩波文庫)

エッカーマン著 山下肇訳
著者エッカーマンとゲーテの対話。ゲーテという人物の第三者からの視線。

 …といっても、ゲーテの崇拝者の視点であるから、ゲーテがいかにすばらしい人物であるか、その周辺の人物も素晴らしい人格者ばかりで…ちょっと本当かな?と疑問を持ちたいところ。っていうか、何という格調高い生活。ま、読者の人生に対する格言集と思っておけばいいのでは。正直、最後の方は飽きてしまった。

2013年7月16日火曜日

空間亀裂 (創元SF文庫)

フィリップ・K・ディック著 佐藤龍雄訳
(カバー裏より抜粋) 時間理論を応用してつくられた超高速移動機の内部に亀裂が発見された。そこからは別の時間、別の世界が覗き見られるという…。 

 ディックの日本未発表作品!!ということで飛びつきました。で、感想は?作品という鍋の中に色々材料と言う名の要素を放り込んで、とりとめが無くなったのでは?という印象でした。面白いといえば面白いのだけれど。有色人種と白人、人口冬眠、別の進化を遂げた世界、移民、異世界の住民への徹底した差別意識…面白いキーワードだらけなんだけど。しかし、ビル・スミスはこちら側に残ってどうするつもりだろう。

表と裏 (弘文堂)

土井健郎著
(カバーより抜粋) 甘えの観点を下敷きにして、新たに「表と裏」「建前と本音」の観点から人間の現象を鋭く捉え、秘密や愛についても言及する。

  始めに…これから興味を持ってちょっと読んでみようかという方たちに。ちょっと文章読みにくいです。難解とはちょっと違う読みにくさがあります。
  中井久夫作品に名前が挙がっていたのと、「甘えの構造」は有名なので、ちょっと読んでみようかと。日本人についての考察は、常に自分自身を考察することになって面白い。建前と本音とは言うけれど、建前に守ってもらっているのが本音ではと思うし、本音も本音という建前だし。結局本音なんて本人にも分からないのではないかな。私がころころその時の気分で建前から距離を置いた本音をかえていくからそう思うのかもしれないけど。しかし「坊ちゃん」の主人公ボロクソですね。坊ちゃんは読み始めて好みではなかったので放棄しているのだけど、なるほど、こういう主人公なのか。実際自分で読んでみないとわからないけど。あと、秘密について、なかなか面白いことを書いてみえると思いました。

岡本綺堂随筆集 (岩波文庫)

千葉俊二編
(カバーより抜粋)江戸の風情の残る東京の町と庶民の日常生活、旅の先々で出会った人々、自作の裏話ー穏やかな人柄と豊かな学殖を思わせる。情感あふれる随筆集。

 淡々とこの著者らしい語り口…でも内容は中々…関東大震災に被災されていたんだ。旅の話、生活での話、海外留学、劇団、歌舞伎…恐ろしく幅広い。でも、別に肩肘はって読む物ではない。拷問や敵討ちの話は興味深く読んだ。思っていたのとはちょっと違うな。どうしてもドラマ、小説の影響を受けてしまうからね。

今日の積ん読

売笑三千年史 中山太郎 ちくま学芸文庫
中世ヨーロッパの家族 ジョセフ・ギース 講談社学術文庫
ネクロノミコン ドナルド・タイスン 学研M文庫

 調理師試験を受けにいったついでに買い物…なんてしてるやつの試験の結果は…。発表は来月だけど、「ダメダこりゃ」。来年に向かって一年かけて勉強しよう。それくらいやらないと私は無理だ。調理師の勉強自体はとても面白いと思ってます。
 で積ん読、上二つは買う予定だったけど、「ネクロノミコン」は何か買ってしまった。ま、試験終わったし、読むぞ、観るぞ!

聖なる酔っぱらいの伝説 (岩波文庫)

ヨーゼフ・ロート著 池内紀訳
(カバー裏より抜粋) ある春の宵、セーヌの橋の下で、紳士が飲んだくれの宿なしに二百フランを恵むー。

 なんというか、主人公は所謂非常に嫌なやつです。ただ、この嫌なやつに、いつ自分もなるか分からない危険性に満ちています。よくあること、ありそうなこと、自分が主人公の立場にあれば、同じ行動を取るのではないかということ。人間の弱さか強さか。どのお話も明るい調子なのですが (原著もそうなのかは分からないけど) 非常に嫌な感じなのです。そして悲劇的で…。個人的には「皇帝の胸像」がよかったかな。

2013年6月24日月曜日

私の「本の世界」 (ちくま学芸文庫)

中井久夫著
(カバー裏より抜粋) 高校時代以来六十余年、精神科医となってからも、著者の傍らにはいつもヴァレリーの書があった。
コレクション最終巻。

 精神科医だからそういう著作を読んでみえるのは当然で…私とは世界が違うわ…。でも、本の紹介を読んでいると読んでみたくなるのですよ。多分、いや絶対読んでも難しくて投げ出すだろうけど。で、現在「表と裏」土井健郎著を読んでる途中。難しいけど、投げ出さずには済んでいます。読んでみようと思わせるのも、著者の物を書く力量なんだろうなと改めて思った。

今日の積ん読

カレル・ゼマン プレミアムDVD-BOX
表と裏 土井健郎
ゲーテとの対話 上・中・下 エッカーマン

 中井久夫著の中で土井健郎の著作が出てきていたので購入。「甘えの構造」で名前は知っていたけど、精神科医だったのか。いや、「甘えの構造」は未読なんだ。カレル・ゼマンは思い切って購入。ストレージアニメ?っていうのかな、こういうアニメ大好き。もちろん普通のアニメも好きだけど。
 B’zのベスト、1988-1998を買った。デビュー当時の歌は良いわー。DVD付きの初回限定か通常盤か迷ったけど、限定盤を購入。これは何となく。ただ、昔の歌を聞きたいと思っただけだし。で、そのときチラッと観た、金髪白人のねーちゃんの夏の曲を集めたアルバムが目に付いたのだけど、視聴すればよかった…。気になって仕方ない。タワーレコードだったけど、車で一時間かかるのだよ…。7、尼にもあるだろうけど、タイトルも名前も分からないし。ああー、気になる。

戦国時代のハラノムシ (国書刊行会)

長野仁・東昇編
『針聞書』のゆかいな病魔たち。『針聞書』という古書から抜粋した形の本…といっても薄いけど。厚さ1cm弱くらいです。

 イラスト…と言っていいのかわからないけど、可愛らしい!!絵本として楽しむのがいいかも。今も昔も国を問わず、こういうことに関しては人は想像力豊かになれるね。実際こんなのが体の中で動きまくっていたら怖いけど。イラスト自体は子供さんにも楽しめるけど、いかんせん内容が…。18禁かな。

2013年5月27日月曜日

フィリップ・K・ディック・リポート (ハヤカワ文庫)

早川書房編集部編
(カバー裏より抜粋) 夢と現実の区別、本物と偽物の境界が曖昧になった世界の恐怖を描き、人間心理の奥深さを追求してきた幻視者ディック。

 原作映画の紹介、マイ・ベストPKD、関連映画ガイド、全邦訳長編改題が面白かった…というか、あくまでガイドブックを求めていたから、座談会とかいまいちだった。観てない映画、長編多い。紹介を読むと、どれも面白そうで。私が読み切るまで、絶版しないでね、とお願いしたいところ。

今日の積ん読

たべもの起源事典 岡田哲 ちくま学芸文庫
フライング・コップ
裸の銃を持つ男
裸の銃を持つ男 2 1/2
裸の銃を持つ男 33 1/3

 フライング・コップを買うついでに、裸の銃を持つ男のシリーズ購入。コメディ好きなんだよ。で、私としては大ニュース到来。権利問題で発売されていなかった「アダムス・ファミリー」の再販決定!! 大好きな映画なんだ。嬉しくてたまらない。早速予約を入れました。

2013年5月12日日曜日

大聖堂・製鉄・水車 中世ヨーロッパのテクノロジー (講談社学術文庫)

ジョセフ・ギース/フランシス・ギース著 栗原泉訳
(カバー裏より抜粋) 西洋中世の新たな実像を描いて定評のある著者による、テクノロジーの中世史。

 中世、思っていたより長い時代を指すんだ。だいたいコロンブスの頃までのようだけれど、もっと短い期間…いわゆる甲冑・鎧を着た騎士の時代のことだと思っていた。時代ごとに進化してきたテクノロジーを分かりやすく説明されていて、とても読みやすいのだけれど、同じようなパターンの繰り返しで後半読むのにダレてきてしまった。どうしても著作の論じている内容上仕方ないことなんだけれど。でも、甲冑を着た騎士の時代の裏側で、着々と進む工業技術は面白い。水車に横型があったとは…。あと、中国との関わりの深さ。古代・中世の中国は凄かったんだ、と改めて感じさせられた。

2013年4月23日火曜日

今日の積ん読

フィリップ・K・デッィク・リポート 早川書房編集部編 ハヤカワ文庫
聖なる酔っぱらいの伝説 他四編 ヨーゼフ・ロート 岩波文庫
戦国時代のハラノムシ 長野仁・東昇 編  国書刊行会

 全然読んでいない、最近。いや、読んではいるんだけど時間がなくて…。いい訳だな、情けない。父の財産相続でやること大杉。あと、調理師免許の試験のための勉強を始めたこと。これが大きい…。でも、参考書が中々に面白い。読みやすく作られていて、好感がもてる。終わったら、この参考書の感想も書こうと思う。本を読むことが全然平気な性格でよかった。

2013年3月26日火曜日

オリエント急行殺人事件 (岩波文庫)

アガサ・クリスティ著 長沼弘毅訳
(カバー裏より抜粋) 豪雪のため、オリエント急行内に閉じ込められてしまった乗客たち。翌朝、その中の一人が無数の傷を受けて死んでいた。

 ポワロシリーズ、クリスティの名作です。さすが面白い。限られた空間で犯人は逃げられようがない状況。乗客の中に必ず犯人が存在する。提示されるいかにもな証拠。全員のアリバイ。私の可哀想な脳細胞では中々ついていくのが難しかった。元々推理小説が苦手でして、アリバイ、証拠、容疑者が混乱して分からなくなってしまう。そんな私でも混乱をきたしながら、楽しく読めた。さすが名作と言えると思う。推理小説ではあるけど、物語性が強いからかもしれない。

スペイン文学案内 (岩波文庫)

佐竹謙一著
(カバー裏より抜粋) スペイン文学の豊穣な世界を案内する文庫版文学史。

 スペインの小説というと…有名なのは「ドン・キホーテ」… くらいしか思いつかない。そのドン・キホーテも読んだことはない。中丸明著の「丸かじりドン・キホーテ」を読んで分かった気分になっている程度。(丸かじりドン・キホーテ」はとても面白い良い作品です。念のため)  西洋の歴史の中では重要な国で、そちらの方なら何とか分かるのだけれど。しかし、中々奥が深く濃い。なぜ一般に取り上げられないのか不思議…濃すぎるからかな?…。私みたいに、濃い作品を読むのはちょっと…だけど、スペイン文学齧ってみたい人にお薦め。もちろん、これから本格的に学ぼうという人の入門編としても良いと思います。

2013年3月16日土曜日

ゴッドファーザー (パラマウント)

監督 フランシス・フォード・コッポラ
主演 マーロン・ブランド
(カバー裏より抜粋) フランシス・フォード・コッポラの名を一躍有名にした傑作。…中略…マリオ・プーゾのベストセラー小説に基づき、アル・パチーノ、ジェームズ・カーン、ロバート・デュバルらが名俳優としての地位を築いた迫真の演技に支えられ、この燃えたぎるような激しい作品は10部門でアカデミー賞のノミネートを受け、1972年度作品賞ほか3部門を獲得した。

 私の大好きな作品の一つ。もちろん実際のマフィアがこんなものだとは思ってはいないけど。あくまで映画だよね。とにかくマーロン・ブランドが渋い。かっこいい、こんな老け方をしたいものだ。あと、トム役のロバート・デュバルもいい!正直私にはアル・パチーノは今ひとつだった。
 小説版を読んで、改めて見直したのだけど、よくわからなかった部分がなるほどと理解できて、より面白くなった。ネリとか、ただのボディガードと思ってたけど、重要な人物だったんだ、とか。どうしても映画ではここの人物を掘り下げるのは無理だしね。うん、小説版も映画もとてもよい作品だ。

茶の本/日本の目覚め/東洋の理想 (ちくま学芸文庫)

岡倉天心著 岡倉古志郎他訳
(カバー裏より抜粋) 岡倉天心が英文で書いた主著三部作(付『東洋の目覚め』)を収録。…中略…これらの著書で西洋思想に対する東洋思想の優位を説いて東洋の再生を宣言する。

 「茶の本」茶室という名のハイソな人たちのための劇場。何かなー…。庶民に向かって書かれた著作ではないので、上から目線も仕方ないのだけれど。茶の文化がもたらしたことの大きさは認めるけど、他の文化を貶めている印象が強くて…。例えばP57。同意できることも多いけれど、結局花を折る行為自体に何の違いもないのに、茶に関してのみ高尚になるって…??他を貶めることに排他的な印象と卑しさを感じてしまう。考え過ぎだろうけど。
 「日本の目覚め」あれ?と思う部分がいくつか…。歴史に詳しいわけではないけど、p160の女帝についての記述で、「女帝は男子の世継ぎがいても男女平等の序列にしたがって即位された」??そうだっけ?女帝は男子の世継ぎの繋の役割では…?他にもちらほらと。海外向けの著作なので、わざとこのように書いているのかな?とは思った。
 「東洋の理想」仏教のあたりは面白かった。  

今日の積ん読

私の「本の世界」 中井久夫 ちくま学芸文庫
小説の森の散策 ウンベルト・エーコ 岩波文庫

 本をゆっくり読みたい…ただそれだけ。茶とちょっとお菓子を置いて、寝転んだり座ったり好きな格好で、疲れたらちょっと寝てみたり。今欲しいのはそういう時間。
 私、相当疲れてる…。旅行もいいな。本をたくさん持っていって、ホテルでひたすら読むんだ。時々ホテルのロビーに移動してみたり。美術館とかも全然行ってない。行きたい。環境を変えたい。とにかく四十九日が終われば一息つけるだろう。相続が片付いたら、旅行しよう。
 で、最近塩まじないやってる。ググる先生に調べてもらえば、簡単にヒットします。ただの気休めなんだけど、今の自分が抱えている問題、悩みを書くことで、では何をしていけばいいのか考えることができる。しばらく放置しなければ仕方ないこと、行動が必要なこと、それぞれ自分自身で解決の糸口を探るきっかけになる。高い占い師に頼る前にお試しあれ。

2013年3月3日日曜日

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 福島正実訳
(カバー裏より抜粋) 突然、警視総監に呼びされたニューヨーク・シティの刑事ベイリは。宇宙人惨殺という前代未聞の事件の担当になったことを知らされた。しかも指定されたパートナーはロボット、R・ダニールであった。

 読んでいて、映画の「アイ・ロボット」思い出した。ロボット嫌いといい、ラストの部分といい、かなり似ている。原作と言われてもおかしくない。あの映画もアシモフ原作だったような。とにかく、ベリィのダニールに対する感情の激しさには読んでいてウンザリする。ベリィの奥さんも何かなー。それだけにラストの引っ繰り返り具合が面白い。犯人も意外だった。いつも思うのだけれど、SF作家の人は、宇宙人の思考について、どのような定義をもっているのだろう?ロボットの思考は、アシモフはとてもわかりやすい。宇宙人もロボットに近い描き方されているのよね。興味深いところです。

2013年3月2日土曜日

今日の積ん読

空間亀裂 フィリップ・K・ディック 東京創元社
レディーの赤面 坂井妙子 勁草書房
ゴッドファーザーPART3 パラマウント

 家が忙しくて、2月は更新しないまま終わってしまった…。まだしばらくは落ち着かないけど、ボチボチ読んで書き込んでいこう。
 フィリップ・K・ディック、未訳分がでてきて嬉しい。ゴッドファーザーはPART3はいろいろ言われているけど、私も1,2に比べるとウーンと思うところが多いけど、酷い作品というわけではないし、揃えておいてもいいかなと思って購入。
 最近Macbook proを購入。…使いにくい…。ユーザーの自由度が減ってきているな…という印象。もちろん、いろいろ詳しい人や内部までいじれる人はそんなことはないと言うだろうけれど、ただ気楽に使いたいユーザーにはちょっと…だった。…寂しいけど、Mac買うのはこれが最後になりそう。…といっても新しいWin8だっけ、店頭で観たけど非常に微妙!!

ゴッドファーザー 上・下

マリオ・プーヅォ著 一ノ瀬直二訳
(カバー裏より抜粋) 全米で最も強大なマフィアの組織を築き上げた伝説の男、ヴィトー・コルレオーネ。…中略…独自の非合法な社会に生きる者たちの姿を赤裸々に描き映画かもされた名作。

 実は「ゴッドファーザー」に原作があることを最近まで知りませんでした。恥ずかしい…。映画版は大好きなので、原作も面白かろうと読んでみた。面白い!!映画版で今ひとつわかっていなかったこと、人間関係とか登場人物の立場とか…ルカ・ブラージとかやっと理解した。内容はそれほど映画版と変わらないけれど、観ることとは違う、読む楽しさを味あわせてくれる。成り行きはわかっているのに、次を読みたくさせてくれる。楽しめました。ただ、ルーシーとジュールズの成り行きは、ここまで必要だったのか?という疑問もあった。

2013年1月29日火曜日

流れよわが涙、と警官は言った

フィリップ・K・ディック著 友枝康子訳
(カバー裏より抜粋) 三千万の視聴者から愛されるマルチタレントのタヴァナーはある朝見知らぬ安ホテルで目覚めた。やがて恐るべき事実が判明した。身分証明書もなくなり、世界の誰も自分のことを覚えていない。

 「スィックス」って何?という疑問が最後まで残った。特殊なのは分かった、話の重要なポイントのような気もする。でも、うーん…。主人公はその「スィックス」で、性格はかなり悪い。いつも他人を見下している。で、もう一人の主人公バックマンにのせられる。でも、世渡り上手。外見でもの凄く特をしているタイプ。いかにもの芸能人。…私、この主人公嫌いなのかしら?かもしれないけど、物語は面白い。読んでる方が麻薬をやっている気分になって混乱する。…いや麻薬やったことないから気分も適当だけど。で、最後はあっさりだった。バックマンがメインに躍り出て、主人公タヴァナーはお役御免になってる。二回目を読んだら、印象が変わりそう。

最期からニ番目の真実 (創元SF文庫)

フィリップ・K・ディック著 佐藤龍雄訳
(カバー裏より抜粋) 世界を二分して終わりなくつづく核戦争。…略…戦争は10年以上前に終結しており、少数の特権階級の支配する世界ができあがっていたのだ。 

 始めに登場人物の紹介があるのは助かる。名前覚えるの、苦手で困る。で、主要な登場人物は主人公ニコラスとアダムス、ランターノ。他にも確かに登場はしているのだけれど、影が薄い。主要人物のはずなのに影が薄いんだ。正直、主要な登場人物三人も何か影の薄さを感じる。最後あたりの物語が、主人公の目の前ではなく、遠くで起こっているから、余計にそう感じるのだろうか。で、つまらないのか?と云われたら、すごく面白い。次がどうなるのか気になって、先を知りたくて読み続ける。でも、何だか読者が蚊帳の外、みたいな印象なんだ。不思議な作品。

書国探検記 (ちくま学芸文庫)

種村季弘著
(カバー裏より抜粋) はてしなき書物の大森林におくすることなく分け入り、からみあった複雑な迷宮の謎を解き明かすスリリングな大冒険。おいしいぞ! 

 かなり古い時代に書かれたもので、昭和の空気が漂っている。古本屋か…詳しくはないけど、今はせどりに取って代わられているのかな?で、知らない本の話がいっぱい。今更ながら自分の教養のなさにがっくり。軽いお話から難しいお話までいろいろ詰め合わせ。ドイツの本屋の話で、カタログ、電話、テレックスだけの本屋があってもいい、というのがあったけど、これって今の通販だよね。

今日の積ん読

ゴッドファーザー 上・下 マリオ・プーヅォ ハヤカワ文庫
ブラック・スワン ダーレン・アロノフスキー FOX
ゴッドファーザーpart2 コッポラ パラマウント

  ゴッドファーザー、原作あったのか…知らなかった。で、買ってみた。なんだかんだ買ってるな…私。読まないと。頭痛と眠気が酷くて、困ったもんだ。

2013年1月18日金曜日

今日の積ん読

ヨオロッパの世紀末 吉田健一 岩波文庫
イメージ 視覚とメディア ジョン・バージャー ちくま学芸文庫

 ちょっと本の整理にかかろうと思っている。本当にこの本に興味が持てるのか?正直勢いで買った本もあるし、私の頭のレベルでは読みことが不可能な内容の本もある。あと、読み方の問題。雑読みしていることに対する反省。BBAなのに、とにかく本の量を読んでいこうというのは、文字が目の前を走っているだけだし。そういう読み方は若い人の特権だから。もっと考えることをしよう。勢いに乗せられる前に考えよう。新年の目標の一つ。

謹賀新年!!

古代仕事大全 (原書房)

ヴィッキー・レオン著 本村凌ニ訳
古代ギリシャ・ローマの仕事を網羅することで、時代の生活を想像して楽しもう!!

 この手の本が大好きで…。本屋で目について迷ったあげく購入。かなり厚みがあって大きい。挿絵も多い。内容はかなり難しいのかな…と思いきや、かなり軽い。気軽に読めます。そして楽しい。いろいろな職業の紹介から感じる古代ギリシャ・ローマの生活。別に憧れているわけではないけど、違う時代の空気は現実逃避にもってこいなのです。