2015年5月29日金曜日

ザップ・ガン (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 大森望訳
 (カバー裏より抜粋) 西側陣営の兵器ファッション・デザイナーであるラーズ・パウダードライと、人民東側のリロ・トプチェフは、日々、超次元に意識を浮遊させ、独創的で戦慄すべき殺戮兵器を開発していた。

 始まりは良かった。トランスして武器を設計、一般人を騙して実は両陣営はそれなりに仲良し。いいよいいよ。でもそのあとが…。なんというか思いつきのつぎはぎというか…。伏線の回収がおざなりー。迷路のゲームで敵を撃退はいいけど、なんというか撤退しましたーで終わりだし。フェブスは本編と絡みがなさ過ぎだし。でも、そこはディック節。なぜか面白く読める。ラスト、迷路の標的がKACH??私がなにか読み落としているのか??

2015年5月23日土曜日

太陽の黄金の林檎 (ハヤカワ文庫)

レイ・ブラッドベリ著 小笠原豊樹訳
 (カバー裏より抜粋)  冷えきった地球を救うために太陽から"火"を持ち帰ろうとする宇宙船を描いた表題作「太陽の黄金の林檎」ー中略ー詩情にあふれる22篇を収録した短編集。

 「人殺し」が私の好み…というか、私も音があまり好きではないので、共感できます。昼休みも誰もいなければTVは切ります。「目に見えぬ少年」も面白く読めました。自分で自分を追いつめてしまって、途方に暮れる様子がよいです。「空飛ぶ機械」は賢い王様なんだろう…でも、終焉がみえているような気がします。全体にSFくささはありません。SF苦手な人でもOKです。「夜の出来事」など通常とは違う意味で考えさせられる作品が多いと思いました。

2015年5月18日月曜日

黒いカーニバル (ハヤカワ文庫)

レイ・ブラッドベリ著 伊藤典夫訳
 (カバー裏より抜粋) ブラッドベリの幻の作品集として名高い処女作品集「黒いカーニバル」から精選した作品に〈ウィアード・テールズ〉などのパルプ雑誌に発表された作品を加えた初期傑作選。

 SFというよりはファンタジーです。だから難しいSFは分からない私にも楽しめました。「ほほえむ人々」…あー現代でも実際にありそうな話ー。「再会」哀しい。でも気持ちは痛い程分かる。「全額払い」読んでどうかしている、とは思うけれど、彼らの行動は理解できてしまう。他にも多く収録されています。 ブラッドベリファンはもとより幅広く楽しめる作品集です。

2015年5月15日金曜日

SFマガジン700【海外篇】(ハヤカワ文庫)

山岸真編
(カバー裏より抜粋)1959年の創刊から、つねにSF界を牽引してきた〈SFマガジン〉の創刊700号を記念する集大成的アンソロジー【海外編】。

 うーん、正直いうと好みの作品がありませんでした。唯一は「息吹」。主人公の設定と世界観が面白かったです。あと「小さき供物」。環境汚染の進んだ世界での妊娠をテーマにした作品…環境汚染がテーマなのかもしれません。この「小さき供物」の意味が…。「耳を澄まして」と「孤独」も良かったですね。あれ?結構好きな作品多いかも。

逆転世界 (創元SF文庫)

クリストファー・プリースト著 安田均訳
(カバー裏より抜粋) 〈地球市〉と呼ばれるその世界は、全長1500フィート、七層からなる要塞のごとき都市だった。ー中略ー月も太陽もいびつに歪んだ異常な光景だった。

 序盤・中盤とグイグイと読ませてくれます。主人公ヘルワードが外に出ることを許可されて、状況が少しずつ明らかになりつね世界の異常性が暴かれていきます。なぜ?という疑問のヒントは原住民という形ででてきますので、物足りなさを感じるかたも多いでしょう。でも、SF部分だけではなく読ませる力のある作品です。ヴィクトリアの存在は序盤中盤、終盤初めまでは効いていました。ただ…非常に残念なのが終盤…。エリザベスの存在。ネタばらしがこういう形というのは納得できません。ヘルワード自身に解いて呈示して欲しかったです。もっともヘルワードはエリザベスのネタばらしに納得していません。私もヘルワードの納得のしなさに、この小説内での事実はエリザベスの言う通りでいいの?という疑問を持っています。