2010年2月28日日曜日

有閑階級の理論 (ちくま学芸文庫)

 ソースティン・ヴェブレン著 高哲男訳
有閑階級の文化と経済との関係…でいいのかな。「顕示的消費」がポイント。

 ( 私の脳みそには )難しかった。私程度が読みこなせるレベルではないが、私なりの楽しみ方で読んでみた。例えば日本と比較したり当てはめてみたり、現代の有閑階級を考えてみたり。いろんな職業が酷い言われかたしてる。弁護士なんて「委曲を尽くした略奪的な詐術行為にもっぱら従事するものであり」(p256より) 。まあ、その通りなんだろうけど。今も昔も変わらない。カフカとか読んでいて、なぜ生活が苦しいのに女中を置くのか不思議だったが、この本を読んで理解できた。
 「野蛮文化」というのがよくでてくるのだけど、定義がよくわからなかった。どの辺りの時代だろう。ローマ以前? ギリシャ神話時代かな。その頃は英雄的行為が尊敬を受けたけど、文明化で富が尊敬を受けるようになった。自分は金を持ってるぞーと「顕示的消費」を頑張ったそうだ。それが庶民にも影響を与えたというような事が述べられていたけど、クレジットカードとの関係を考えるとなかなか面白い。クレジットカードで「顕示的消費」がガンガンできる時代なんだから。もちろんそれが破綻している真っ最中でもあるのだが。日本もブランド品でがんばってたな。昔、自治体に1億円配ってたっけ。それも結局「顕示的消費」に大半が使われてなかったか?? 議員さんという有閑階級はやたら銅像立てたがるよね。ちょうど今オリンピックをやっているのだが、これも国単位の「顕示的消費」だよね。スポーツに関しては、もっと色々述べられている。別にいい悪いじゃない。( 銅像はブサくだからやめてほしいけど ) 一つのお金の回り方なんだと。著者自身は文章中に「批判ではない」とのことを述べられている。( でも刺がある )
 もう一度自分の生活を見つめ直してみよう。何のためにこれを買うのか、これを行うのか。一つ一つ考えるのも楽しいかもしれない。

2010年2月27日土曜日

ピープス氏の秘められた日記 (岩波新書)

臼田昭著
ピープスという17世紀の有閑階級のイギリス人の日記を著者が軽快な語り口で伝えている。ピープス氏の日記の直訳ではない。

 もう少し重い読み物だと思っていたら、軽かった。気楽に楽しめた。しかし何という俗物。人間らしい人間。金、女、地位。賄賂が当たり前のように横行している。本人は日記の上でさえこれは好意で賄賂ではないと取り繕っているが、いや賄賂だしと突っ込みたくなる。自分の依頼をピープス氏に聞き入れてもらいたい庶民は、妻、娘を差し出すし。読んでいる分には笑ってられるけど、知人にいてほしくは…。いや、今も昔も変わってはいないだろう。読んでいて驚いたのは、九九を習ったというとこ。九九できなくても秘書とかできるのか…。 
 時代の世相や宮廷の事も描かれていて、中々興味深い。手軽に読める一冊。

2010年2月26日金曜日

今日の積ん読

「嬉遊笑覧 1~5」喜多村 イン庭著 岩波文庫
「伽藍が白かったとき」ル・コルビュジエ著 岩波文庫
「指輪物語 追補編」J・R・R・トールキン著 評論社
 「西洋挿絵見聞録」気谷誠著

DVD
「ふしぎの国のアリス」 ディズニーアニメ版
「ミッキーマウスDVDBOX vol2」宝島社

 今月のちくま学芸文庫の新刊で「古文の読解」を買った。( もちろん積んである ) で、せっかくだから岩波の黄色に挑戦してみようと思い立った。とりあえず積むのだが。同じく学芸文庫の新刊で ル・コルビュジエ著の本があった。( もちろん積んである )  たまたま読んでいた岩波文庫の後ろに付いていた既刊本の一覧で ル・コルビュジエ著を見つけてしまった。で、買ってみた。もちろん積むのだ。
 最近蔵書印が欲しくて、いろいろサイトを見て回っていたのだが、 「西洋挿絵見聞録」という本が目に留まった。すごく欲しくなって買ってしまった。でも積むのだ。考えていたより文章が多かったし。「指輪物語 追補編」はずっとブックオフで105円コーナーに並ぶのを待っていた。待ったかいがあった。でも積む。
 宝島社のDVDシリーズ、ミッキーマウス第2弾でた。買った。しかしあの馬鹿でかい箱いらない。目立たせたいのか、それとも本扱いだから? 通販の検索では、あのシリーズは書籍扱いなんだよね。「アリス」は何となく買ってしまった。で、積まれるのだ。

現在の積ん読 本:256冊
DVD:98枚

蔵書印

 
蔵書印購入。ずっと欲しかった。自分で消しゴムを彫るか、シャチハタかオリジナルで作ってくれる通販か迷った結果、シャチハタに決定。値段と見た感じ悪くないと思ったから。 今回は一心堂印刷という通販サイトを利用。実店舗で買い物した時、店員さんいい感じだったし。さあ、押しまくるぞ。

2010年2月25日木曜日

異常心理の発見 (ちくま学芸文庫)

クリフォード・アレン著 小林司訳
精神療法の歴史が分かりやすく述べられている。ただし原著が1953年刊行( この時点で改版 )なのでかなり古いようだ。

 心理学の入門編として、私のような一般人にも分かりやすい。元々は公開講座の原稿だったと述べられている。
 読み出して驚いたのは催眠術が神経症等の治療に用いられていた事。おまけに外科手術…気分が悪くなるので考えない。
 フロイトの持ち上げ方がすごい。現在はそうでもないとか読んだ覚えもあるけど、どうなのかな。ユングの項は分かりずらかった。文章が難解になったというか。ユング、クレッチュマーの分析が雑誌の占いに似ていて笑えた。いや、もちろん雑誌が真似ているんだけど。「あなたは○○タイプ」とか分類するのはこれが元になってるのかな? あと、パブロフの功績の大きさに驚いた。パブロフ=条件反射のイメージしかなくて。考えてみれば条件反射は脳に関係あるのだから、心理学とも通じていて当然なのか。犬を用いての実験は、なんか人間との共通点も多くて人間も動物だなと改めて思った。
 神経症の睡眠療法に興味あり。ネットで過眠に悩んでいる人の書き込みをみたことある。思いっきり寝てよくなったと。どの位だったかな、一週間かな。私も過眠で悩んでいたので試したかったけど今の環境じゃ無理。それに風邪で一日寝込んだだけで腰痛くなるんじゃとてもとても。
 読みながら、出てくる事例を自分の周囲の人に当てはめてしまう。あれこれ推測するのも楽しい。嫌な奴だな、私。

2010年2月24日水曜日

ギッシング短篇集 (岩波文庫)

ジョージ・ロバート・ギッシング著 小池滋訳
ロンドンの下層の人たちを中心に据えた短編集。8話収録。

 登場人物が自分の鏡のようだ。「境遇の犠牲者」「塔の明かり」「クリストファーソン」…、ああ、嫌だ嫌だ。彼等の滑稽さ、愚かさは笑えない。「境遇の犠牲者」、自分を客観視できず悲劇の主人公という妄想に生きる男、「塔の明かり」も似たような主人公、現実を見つめられない。「ルーとリズ」何という自己中。「クリストファーソン」、本の話は積ん読趣味の者には他人事ではない。妻の命か本か? 当然命なんだけど、それまでにやはり葛藤はある…クリストファーソンの気持ちは理解できてしまう。
 何だか悲壮な話ばかりみたいだけど、そんな事はない。読みやすくて面白い、けれど胸がズキズキしてしまうのだ。

2010年2月23日火曜日

りんごの木・人生の小春日和 (岩波文庫)

ゴールズワージー著 河野一郎訳
青春の日々よ、もう一度。若き日の回想を廻らす爺さんと、青春の日を買えるならという爺さんのお話。

 こういう純文学( でいいと思うけど )は私には向かないな、と改めて感じた。主人公がに共感できない。特に「りんごの木」の主人公、むちゃくちゃを承知で言うと「中二病野郎が自分に陶酔しながら世間知らずの少女を傷つけ自殺に追い込み、最後まで自分のした事を認めない。ジョーのことをバカにしていたけど、お前も同じじゃね? さんざん世話をかけた相手にあいさつもしないの? 」。「人生の小春日和」も、結局自分の思い通りの美しい人形を手元においておきたかっただけ、他人の人間性を認めていない。最後は嫌みの手紙を送って死んでいくと。どちらの主人公も有閑階級で、その体面から抜け出す事ができなかった。「人生の小春日和」の主人公はそれ自体を認めていて、その上で残りの時間を自分の楽しみに使いたいと思っている。このあたりの主人公の気持ちのあり方はすごくよく理解できた。「りんごの木」の主人公はだめだ。…なんて、フィックションの登場人物に何を真剣に怒っているのだか。怒らせるなりなんなりと感情を持たせられる事が著者の力量なんだな。( 本当に読む価値がない本は時間の無駄と放棄して終了だから ) ムカつきながらもずんずん読んでいるのだから。作品としては素晴らしいと思う。文章が美しい。原文が読めたらなー。

2010年2月22日月曜日

死にカタログ (大和書房)

寄藤文平著
死のデータベース。死について考えよう。

 死に向き合おうとする書籍は重々しくなる傾向があるのだが、これは黄色と緑色が使われていて( メインは黄色 )とても明るく軽くみえる。でも軽そうなイラストに対して内容は真面目。宗教、死に方、死因などを楽しいイラストで説明しているが、決して茶化しているわけではない。不謹慎と捉える人もいるかもしれないが、これも一つの向き合い方。でも死に直面している人にとってどうなのかはわからない。死を考える入門編にはいいのではないかな。
 死後の世界について、宗教別に簡単な説明があるけど、なぜキリスト教がない? ユダヤ教もない。イスラム教はある。大御所なのに。何かあるの? と勘ぐりたくなる。
 日本は火葬で自分の死体に対する選択肢がなさ過ぎる。私の希望はダイヤモンドになる事。だめなら、肥料になるか食物連鎖のなかで栄養になりたい。
 ちなみに私は土葬をみたことがある。大きな醤油の桶のような棺桶の中に遺体が体育座りで入れられていた。白い着物、頭には白い三角の布、昔ながらの幽霊スタイルに衝撃を受けた事を覚えている。

2010年2月21日日曜日

ウンココロ (実業之日本社)

寄藤文平 藤田紘一郎著
ウンコと楽しく向き合おう。ウンコの蘊蓄本。ウンコのデータベース。

 良いウンコライフを送るためにぜひ読んで頂きたい本。良いウンコ、悪いウンコの作られ方からウンコカラーをWebとか印刷で用いられる色見本( っていうのか? )みたいに並べたり。イラストで分かりやすく説明されていて、見てるだけでも楽しい。子どもと一緒に見るのもいいかも。
 ラベル分けするのにe-honのサイトを利用しているのだが、「女性の本棚」って…。念のためセブンネットショッピング見たけど同じだった。よくわからん。

完訳 グリム童話集2 (岩波文庫)

金田鬼一訳
第2巻には57話、「コルベスさま」「青ひげ」などが収められている。


  鍵の話はバリエーションが多い。シチュエーションが違うだけだが。なぜみんな開けてしまうんだろう。開けなければ開けないなりの面白い話が作れないかな。「木の馬」は千夜一夜にあった。こういうのは片方から片方に伝わったということなのか? 各地で自然発生するの?? 「水のみ百姓」は日本にも類話があると注釈に書かれているが、ヨーロッパと日本、伝わるには遠くないか? 大陸経由で時間をかけて伝わったのかな? 日本の昔話とよく似た話といえば「死神の名付け親さん」。これは落語に同じような話があった。落語のオチはロウソクに火がつかず寿命を終えるのだが、童話の方はオチが2種類あるらしい。死神から逃げ仰せるオチが収録されていないのが残念。どこかで読んだ記憶があるので別の出版社で掲載されているかも。
 最後に収録されている「のんきぼうず」の聖ペートルス、使徒は他の話では嫌な感じなのだが、この話では妙に優しい、というか世話好き。主人公ののんきぼうずに振り回されているのが面白い。

紋切型辞典 (岩波文庫)

フローベール著 小倉孝誠訳
辞典の体裁をした著者の皮肉集。

 解説には、この作品は元々「ブヴァールとペキュシェ」のという作品の一要素だったと述べられている。作品は未完で、「紋切型辞典」が独立して刊行された…でいいのかな。
 書かれた時代の知識がないので読んでいて戸惑った。訳者が注釈を入れてみえるのだが、それでも厳しい。受け取り方も難しい。本に書かれている内容が紋切型という事だが、フムフムと頷いている自分がいる。つまり私は紋切型ということ…。例えば「詩 全く無用のもの」と述べられている。私は迷わず、まあ無用と言えば無用かな、と考えるがこれが紋切型の思考。ではどう考えるんだろう? と頭がグルグルしてしまうのだ。詩は有用でもいいんだけど。でもそれなりに楽しめる。

2010年2月20日土曜日

今日の積ん読

THE PINK PANTHERピンク・アニマル編
THE PINK PANTHERピンク・パニック編

昔のアニメが好き。でも積まれる。

現在の積ん読 本:250冊
       DVD:96枚

信州わさびの柿の種 (亀田製菓)

 亀田製菓の柿の種コンビニバージョン。スーパーで売っているのは見た事がないから、多分コンビニ専用だと思う。近所のファミリーマートで何年も継続して売られているので、隠れた人気商品ではと思っている。なぜか亀田製菓のHPには掲載されていない商品。スーパーで売られている柿の種わさび味(袋にキャラクターが印刷されているもの )と比べて味はどうかというと、コンビニVerのほうがわさびが少しきつい。( 前に食べ比べをして確認した ) このきつさがいい。お薦め商品。

変身 (新潮文庫)

カフカ著 高橋良孝訳
朝、目が覚めたら大きな虫になっていた。でも誰もなぜ虫になったかは考えない。大切なのは自分が生活できるかどうかだし。

 後味が悪いような何とも言えない作品。登場人物がみんな変。まともなのはさっさと逃げ出した支配人ぐらいか。普通の人間がおいおいと突っ込みたくなるような、それでいて人間の底にある浅ましさもにじみ出ていて。でも、その浅ましさがものすごく人間らしい。グレーゴルが可哀相、家族は酷い、とも思うけど、家族の側に立ったら気持ちの悪い巨大な虫は邪魔に決まってるし。そういう自分のイヤーな部分もちらちら。
 私みたいにまともに正面からしか読む事のできない人間向きではない。でも不条理は面白い。

聖書の起源 (ちくま学芸文庫)

山形孝夫著
聖書のお話がどのように発生したかを、他の宗教の古い神話から考えてみよう。 

 まあこういう風に編み出されていったのだろうなと思うことが述べられていた。特にイエスに関しては。つまらないという意味ではない。イエス関連は特に面白いと思う。初心者の入門編としてはいい。様々な神話とのつながりが判りやすく述べられている。ただそうではないと著者は述べてみえるけど…。

超・美術鑑賞術/お金をめぐる芸術の話 (ちくま学芸文庫)

森村泰昌著
 角度の違う物の見方の提案かな。

 角度の違う物の見方の提案、よくあるテーマといえばテーマだけど、さすが面白く述べてみえる。デザインや芸術に興味のある人たちへの入門編といったところ。でもそちら方面に詳しい方には今更かもしれない。
 正直に書くと自分は今イチだった。森村氏の作品は有名でいろいろな場所( ネット、雑誌等 )で論じられているし、だから余計今更感が感じられた。

2010年2月19日金曜日

黒後家蜘蛛の会1(創元推理文庫)

アイザック・アシモフ著 池 央耿訳
男性だけのクラブ黒後家蜘蛛の会のメンバーの素人探偵、でも真相を言い当てるのは給仕のヘンリーだった。

 アシモフについて、SFの作家程度しか知らなかったのだが、幅の広さにびっくり。博識、多才、多彩だ。しかも面白い。解決までのパターンが決まっていて、水戸黄門のような心地よさ。私は推理小説は苦手なんだけど( 途中でわけが分からなくなる )、短編で理解しやすい。ただ「ヤンキー・ドゥードゥル」のような作品はわかりづらい。歌が出てきているので、こういうのはネイティブな人でないと厳しい。アメリカで出版された小説なので仕方ないのだが。

2010年2月18日木曜日

ゴンクールの日記 上 (岩波文庫)

斎藤一郎編訳
ゴンクール兄弟の私生活、取り巻く世相、宮廷、芸術家の面々が日記に描き出されている。

 若干読みにくさを感じた。何となく文章にまとまりがないというか。訳だといろいろ難しいのだろうけど。でも内容は面白い。なかなかに偏った性格の兄弟で、不快に感じる部分もあるけど、それを入れても読む価値はある。交流のあった作家たちの生の部分、戦争時の備写( 適度な生々しさがいい )、ナポレオン3世の宮廷の様子等々。兄弟は貴族主義( 保守というのか? )で、無知蒙昧な大衆を見下していて選挙権などにも厳しい目を向けている。教養のある者たちからみれば、その時の状況や興奮に流されやすい大衆は余りにも危険に映っただろう。そして自分たちの気に入らない方向へ流れるのも…。まあ、こういうのは時代を経ても変わってないかな。
 本当に仲のよい兄弟だったようで、別行動はほとんどなかったようだ。愛人も共有。息苦しくはなかったのだろうか。弟の方は40歳で梅毒で他界しているが、愛人も兄も感染しなくてよかったな、と思った。

2010年2月17日水曜日

精神科医がものを書くとき (ちくま学芸文庫)

中井久夫著
広英社から刊行された同タイトルの著作に収録されていた作品を編み直したもの。
雑誌への寄稿、インタビュー等から構成されている。エッセイ集。


 読み物として面白いし、初心者の半端な知識でもわかりやすい。日本の精神医学の脱宗教化は早かったのは意外だった。憑物をおとすお祓いなどが横行していたのかと思っていた。江戸幕府は日蓮宗の狐憑きを例外として、他は禁止していたと述べられている。いい事だと思う。でも近代になって逆行してる面はないだろうか。私の親戚が病気の原因が分からずお祓いに頼っていたことがあった。( 結局腫瘍のできた位置が悪くてレントゲンに映っていなかった。霊とか憑物のせいではない ) 馬鹿馬鹿しいと思っていたが、親戚は必死だったから笑えなかった。精神や神経の病気なら、尚更そちらに走る気持ちは理解できる。でも信仰とお祓いとかとは別物じゃないかな。
 しかし、有名人の統合失調症が多いのに驚いた。しかも治さないって…。麻薬に頼って創作活動というのはよくあるけど、統失の症状で創作活動とは。周囲の人間はたまったものじゃないだろう。金のなる木ならそれもありなのかな。この病気の人たちの絵画は結構好きなんだけど、全体に傾向が似ている気がする。脳みその作用が同じだからかな、と思ってた。「統合失調症問答」はお薦め。理解しやすい。
 精神医学の見地から著されているが、普段の生活にも考えさせられることが述べられている。「微視的群れ論」「危機と事故の管理」。私は「群れ論」を読んでお風呂で足の裏のマッサージをするようになった。

今日の積ん読

「理想の書物」ウィリアム・モリス著 ちくま学芸文庫
「ユートピアだより」ウィリアム・モリス著 岩波文庫

 両方とも「ファンタジーの歴史」を読んで買ってみようと思った。 ウィリアム・モリスがファンタジーに関係していたとは全然知らず、芸術運動の人とだけ知っていた。恥ずかしい。「ユートピアだより」は岩波文庫の白なので、かなり迷ったが( 白は私には難しすぎ )、思い切って買ってみた。読むのはいつになるのやら…。

現在の積ん読 本:250冊
       DVD:94枚

2010年2月16日火曜日

完訳 グリム童話集5 (岩波文庫)

金田鬼一訳
第5巻には59話、聖者物語、断片( あらすじだけの作品もあり )、グリム兄弟遺稿中の童話と題されたものが収められています。


 後半の児童の読む聖者物語、神様ひどすぎ。平気で人を殺す、というか天にお召しなる。キリスト教徒には神の元に召されるのが一番の救いとはいえ、なんとなくだ。というか、グリムの時代の人はこの話に納得していたのか? まあ、日本の今昔物語でも着ている衣服までお釈迦様に差し出す話もあるし、時代ということにしておこう。もちろん普通に救われるお話もある。
 マイナーなお話が多いような気がした。私が知らないだけかもしれない。

完訳 グリム童話集4 (岩波文庫)

金田鬼一訳
第4巻には53話、「星の銀貨」他…何が有名なんでだろう。知っている話もあるが、メジャーなものは少なそう。

 最後の「苦楽をわかつ」落語にできそうな話。探したら類似の話がありそうだ。( 女房に乱暴を働く亭主が役人に怒られ、でもまた繰り返し裁判官を口でごまかそうとする話 )
 読んでいて思ったのは、ジャックと豆の木系の話( 人食いと奥さんもしくは母登場 )の場合、女性が主人公をかばうパターンが多いこと。なぜだろう。女性でも継母は酷い奴扱いなのに。あと、アリババと盗賊の類似話もあった。中東でできた話かヨーロッパが先か、はてさてどちらだろう。

完訳 グリム童話集1 (岩波文庫)

金田鬼一訳
第1巻には44話、「ラプンツェル」「灰かぶり」「ヘンゼルとグレーテル」など有名な話も収められている。

 全世代に向けなので、ひらがなが多く使われている。挿絵が全くないのが少々寂しい気がした。内容は滑稽な話から残酷な話まで多彩。何というか、平気で目を潰すし、自分の脚の指を切って鍵にしたり、妃になるために脚削りますか…想像してはいけない。キリスト教の色合いが濃い話に出てくる神様、マリア様も中々酷いことをなさる。愛ではなく恐怖で支配。多分キリスト教以前から伝わっていた話にキリスト教で脚色したものがあり、また神様の言う事聞かないと罰が下るぞ、と生活の中で押さえつけられていた事もあるのだろう。これはキリスト教に限った事ではないが。角川文庫版も持っていますので、いずれ読み比べてみたい。

2010年2月15日月曜日

ファンタジーの歴史 空想世界 (東京創元社 KEY LIBRARY)

リン・カーター著 中村融訳
ファンタジーの著者や作品の歴史について。ギルガメッシュ神話から1970年代イヴァンジェリン・ウォルトンの作品位まで、著者その作品の評価、著作の影響、つながり等が述べられている。


 作者の好き嫌いがずいぶんはっきりした内容。熱弁が空回りしている印象をうけた。ファンタジーが文学として扱われず、見下されていた時代と考えれば納得はできるが。マニアには良い本なのだと思う。少し興味のある程度の人にはどうだろう。つまらないとか言うわけではない。「コナン」のシリーズの熱の入った説明などアメリカ人らしくていいと思うし、ウィリアム・モリス、ルイス・キャロルについての話は興味深く読んだ。後半の創作についての云々は中々面白く読ませてくれる。誰かに人間型以外の主人公のファンタジーをぜひ書いてほしい(猫耳とかは違うぞ)。 思考とかも人間ではないものを提示してほしい、難しいだろうけど本気で願っている。
 指輪物語に関して、女性キャラクターが弱いと述べられてるが、自分はガラドリエルとかエオウィンの印象が強いので遺憾。彼女たちの登場している部分は読み直す事が多い。好みの問題かな。ガラドリエル様は2次創作では面白…ゴホンゴホン。
 正直、読んでいて頭に入りにくい文章だった。この訳者の他の作品の訳ではそんな印象なかったのだが。人物名が多くてカタカナの量が増えてるせいかと思ったが、同じKEY LIBRARYで良く似た内容の「SF雑誌の歴史」ではそんな印象はなかった。この読みにくさがなければ良かったのだが。

SF雑誌の歴史 パルプ雑誌の饗宴 (東京創元社 KEY LIBRARY)

マイク・アシュリー著 牧眞司訳
 SF雑誌の編集者、著者、作品、雑誌の歴史について。1900〜1950年代までが述べられており、アシモフ、ハインラインなど有名人も登場している。本の表紙も多く挿入されている。

 時代は変われど出版業界は変わらない…読者も変わってない。成功した雑誌があれば二匹目のドジョウ狙い、乱発、質の低下。読者もそれに引きずられていく。もちろん私もそうした読者の一人である事は自覚している。
  あまりSFの事は知らないのだが、とても楽しく読めた。で、どうなったの? と引っ張ってくれる。雑誌の運命が中心だが、編集者にも重きが置かれている。
面白いと思ったのは、「シェイバー・ミステリー」。なんというムー…。こんな事があったんだ。細木和子氏、宜保愛子氏、インドで手から粉出していた人とかを、もっとカルトにしてしまった感じ、いや血液占いを過激にした状況かな。こういうのはお遊びとしては楽しいのだが。
  あとガーンズバック氏、著者は持ち上げているけど、金の亡者のように受け取れる。功績は理解できるし凄い人なのだが、ちょっと金に汚すぎる印象を受けた。
 で、P82の「ぺちゃんこの胸をした、乗馬姿の女性にうんざり」、P171「さまざまなきわどいポーズのヌードだ〜略〜蒐集価値を持つ大きな理由の一つもこの表紙にある」ワロタ…アメリカ人って…。結局そこですか!?
 第二巻の著者の原稿はきているんですよね? 訳者の方、東京創元社の中の人、どうか宜しくお願いします。絶対買いますから。