2016年2月10日水曜日

カーデュラ探偵社 (河出文庫)

ジャック・リッチー著 駒月雅子訳
  (カバー裏より抜粋) 超人的な力と鋭い頭脳で難事件を解決する、黒服の私立探偵。ただし営業時間は夜間のみ。その正体はー

  軽快な読み心地の推理小説、主人公は吸血鬼で一部の弱点を除けばスーパーマン。意外なことに正義感が強く、自分の保護下にあるもの達を守るために殺人を犯そうとするものを止め、また盗品の美術品を持ち主の美術館に戻したり。でも、そのために自ら殺しも行う。主人公が魅力的なのがなにより。「カーデュラの逆襲」でヴァン・イェルシング教授は吸血鬼にされてしまったのか??そういうことなのだろうか。その他収録されている短篇も軽快な軽さ(内容は重くても) で楽に読めるのが魅力。

2016年2月7日日曜日

クライム・マシン (河出文庫)

ジャック・リッチー著 好野理恵訳
 (カバー裏より抜粋) 殺し屋の前に自称発明家が現れた。自分の発明したタイム・マシンで、殺害現場を目撃したというー

 最後のどんでん返しがいい!!表題作「クライム・マシン」SFか?と思わせておいて実は…。「エミリーがいない」も良かった。「アクロイド殺人事件」っぽいけど結末は…。後味の悪いはずの作品もあるのだけど、著者の持ち味か訳者がうまいのか、嫌な感じを受けなくて読み易い。他の作品も良作。ぜひ自分で味わってみてほしい。

サキ短編集 (新潮文庫)

サキ著 中村能三訳
 (カバー裏より抜粋) 豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような風刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい。

 「O・ヘンリと並ぶ短篇の名手」?しまった、私の趣味と違うの買ってしまった…。とりあえず読んでみたら面白い…というか黒い。結末が悲劇ではないのだけれど(悲劇もあるけど) うわー…みたいな感じで。推理ものではないけど、それに近いひねりのある結末。黒いのがお好みの方にお勧め。

ママは何でも知っている (ハヤカワ文庫)

 ジェイムズ・ヤッフェ著 小尾芙佐訳
 (カバー裏より抜粋) 安楽椅子探偵ものの最高峰と称される〈プロンクスのママ〉シリーズ、傑作短篇8篇を収録。

 マザコン気味の刑事がママに事件の話をし、ママはそれを聞いて解決に導く。ママと息子(刑事)及び息子嫁との掛け合いが楽しい。特にママと息子嫁とは仲が悪いのか??と思いきや実はそうではない。掛け合いを楽しんで、息子のダメっぷりとママの洞察力の深さを比較して楽しみましょう。さて、ママとミルナー警部(息子上司)はこの先うまくいくのでしょうか?結論が出ていないのでちょっとモヤモヤ。
 安楽椅子探偵もののなかで、私の読んだものの中では一番身近な感じです。

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫)

テッド・チャン著 浅倉久志他訳
 (カバー裏より抜粋) 地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、全く異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく…

 どの作品も凄いなーと。表題作 「あなたの人生の物語」…最初は理解できなかった。娘の思い出の回想かと思ったら…。辛すぎる…。でもそのまま生きて行くんだ…。「理解」は K・ディックっぽい。超能力合戦は大好き。「顔の美醜について」も面白い。美醜を意識しなくなるよう脳に細工する(?) でいいのかな。私はぜひ受けたい!!自意識過剰の人間には必須だ!!他の作品も面白かった。お勧め。残念なことに、私は物理・数学の知識が非常に哀しい人間なので、難しい説明は全くダメでしたww