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2017年7月18日火曜日

時をとめた少女 (ハヤカワ文庫)

ロバート・F・ヤング著 小尾芙佐他訳
(カバー裏より抜粋) 千一夜物語に登場するシェヘラザードに恋した時間旅行員の物語「真鍮の都」ほか、愛と叙情の詩人ヤングの名品全7篇を収録。

 著者の作品「真鍮の都」を別の短篇集で読んだ事があります。その時は甘い恋がいい感じと思ったので、他の作品も読んでみようと購入しました。
 表題作「時をとめた少女」はタイムパドラックスをテーマにしています。作品で使われている理論は、私のような素人が読むと「マジできそう?」なんて思ってしまいます。実際はどうなんだろう。恋をした少女(異星人)が別の異星人に恋した片思いの相手を取り戻すためにタイムパドラックスを利用するお話。同じタイプで「わが愛はひとつ」も収録されています。千一夜物語をテーマにした「真鍮の都」もですが、むず痒くなりそうな愛のお話が多いです。なんというか小説というより「物語」といったふうに感じました。「真鍮の都」を別の短篇集で読んだと言いましたが、これはテーマで集めた作品集(著者はバラバラ)だったので、他の作品とのバランスで甘さを心地よく感じたのかな…。正直私の好みからは外れていました。これは好みの問題ですね。

2016年4月23日土曜日

特技監督 中野昭慶 (ワイズ出版)

中野昭慶・染谷勝樹著
(カバー裏より抜粋) 日本特撮映画史上にその名を残す中野昭慶監督の世界を、作品ごとにインタビューし解説した、特撮ファン必読の書『特技監督中野昭慶』を再編集

 中野昭慶監督へのインタビュー集。私はおたく、マニアではないけど、さすがにその名前は知っている有名監督。『爆発の昭ちゃん』だったかな、派手な爆発シーンの監督というイメージを持っていた。特撮というとゴジラ・ウルトラマンなどを筆頭にした怪獣映画というイメージだけれど、一般映画・ドラマ(という言い方も変だけど) でも活躍している。…ということをこれを読んで知った。考えてみれば当たり前なんだけど、全然頭に浮かばなかった。あと、ディズニーランド等のアトラクションや舞台にも関わってみえるとか。奥が深い。特撮映画は観ていなくてもタイトルはある程度知ってるかな私、とか思っていたけど、まだまだひよこでした。とにかく特撮…映画を観せることに対するこだわり、リアリティに対する考えなど、非常に興味深いインタビューです。映画の裏側も面白い。特撮にちょっと興味あるという方も全然OK。お勧めします。

2014年10月21日火曜日

都市 (ちくま学芸文庫)

増田四郎著
(カバー裏より抜粋) 西ヨーロッパにおける近代資本主義社会の幕開けのきっかけともなった「市民」とは、どのような概念なのだろうか。

 基本的にヨーロッパ万歳の内容です。さすがに今の時代に読むと「あいたた…」感は強いです。ただ古代から中世にかけては面白いですよ。ものすごく「市民」に拘っていて、権利の行使を謳っているのですが、対局の義務は?みたいな。日本についても、指摘されている事にあてはまる事も多いと思います。そして…何というか著者が喜びそうな市民の権利の主張の状況になってきているとは思います。あと、現代の北アメリカ、ヨーロッパの状況を知っていてこの著作を読むと…。仕方のない事です。先の事なんてだれも予見できないのですから。

2014年3月9日日曜日

時は乱れて (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 山田和子訳
(カバー裏より抜粋) レイグル・ガム。新聞懸賞クイズに2年間ずっと勝ち続けてきた全国チャンピオンだ。ある日同居する弟夫婦の子供が、近所の廃墟からひろってきた一冊の古雑誌が引き金となって、彼を驚くべき真実へと誘ってゆく。

 ディックだなー、良い意味で。読み始めはごく普通の生活…懸賞で生活できるのかは疑問だけど…。その中に綻びができ始める。作られた箱庭、出口がない。考えると気が狂いそう。でも今作の主人公は正常。正常のまま自分の決めた道を歩んでいく。ディックの作品としては珍しい??箱庭の中に居た参加者が気の毒。マーゴ、ヴィック、サミーなんて子供で…。レイグルが居なくなった後、元に戻れるのか??ま、余計なこと考えずに箱庭からの脱出と真実 (ちょっとうーんだった) を楽しもう。

2013年9月21日土曜日

時を生きる種族 (創元SF文庫)

ロバート・F・ヤング他著 中村融訳 
(カバー裏より抜粋) 時間エージェントは、9世紀の宮殿から「千一夜物語」の語り手シェヘラザードを連れ去ろうとした矢先ー 本邦初翻訳2編を含む全7編。

 「真鍮の都」がお気に入り。ドニヤザードかっこいい!スレイマーン最強!で、魔人は情けなかった。でも、ドニヤザードも重要人物では?という気も。彼女の声掛けでシェヘラザードのお話が始まるし、大円団のとき、王様の弟と結婚するし。 物語の終わり方も千一夜物語らしくてよかった。「緑のベルベットの外套を買った日」も好きだ。先祖と恋をし、子孫と結ばれる…ロマンだ。あと「努力」。本当に過去を観ることのできる装置があればいいのに。不可解な事件の多い昨今、いや、昔からあったのだろうけど、真実を知りたい。

2013年9月7日土曜日

時の娘 (創元SF文庫)

ジャック・フィニィ他著 中村融訳
(カバー裏より抜粋)時という越えることのできない絶対的な壁。これらに挑むことを夢見てタイム・トラヴェルというアイデアが現れて一世紀以上が過ぎた。ー中略ー心温まる恋の物語から作品の仕掛けに技巧をこらした傑作まで名手たちの9編を収録。

 時を題材に個性的で趣向を凝らした物語。ロマンチックなお話が多い。誰もが時に望むこと…子供の頃に戻ってやり直したい、あの時間に戻りたい、時を隔てた恋。それをいかに面白く読ませるか。個人的な好みでは「むかしをいまに」ブラピだったかが主演の映画によく似たテーマの作品があった。「かえりみれば」 ああー、誰でも望むこと。もっと勉強しとけば…。それを皮肉たっぷりに読ませてくれます。他の作品も良作ですので、この分野に興味のある方は手にとってもいいかも。

2012年10月14日日曜日

トータル・リコール (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 大森望編
(カバー裏より抜粋)本邦初訳作「ミスター・スペースシップ」に「非O」「フード・メーカー」の短篇集初収録作ほか、全10篇を収録した傑作選。

 わざわざ映画に媚売ってタイトル変えなくてもいいのに。仕方ないか、出版社も大変だろうし。この短篇集は地球は誰のものか?みたいなテーマが多いような気がした。個人的に好きだったのは「訪問者」「地球防衛軍」。核のために原地球人は防具なしでは活動できなくなった世界、かたや論理的なロボットが地球を守っていた世界。面白いな、と思った。「吊るされたよそ者」他の短篇集で読んだ気がするけど、後味悪いというか、怖いよー。

2012年8月26日日曜日

トータル・リコール (1990ユニバーサル)

ポール・バーホーベン監督
(カバーより抜粋)平凡な建築師ダグは、行ったこともない火星の悪夢に悩まされていた。思い詰めた彼は、人工的に旅の記憶を植え付けるリコール社を訪れる。

 大好きな映画。シュワちゃん、主役に嵌ってる。シャロン・ストーンもかっこいい。有名なおデブおばさんの顔が割れるシーンは必見。あれは面白い。タクシーの運転手もちゃちさがよい。特に複雑なストーリーではないし、シュワちゃんのアクションを楽しむ映画です。で、これは結局夢だったのか、現実だったのか…。どっかのTV局が勝手に最期に映像をくっつけて、夢落ちにしたのは有名。

2010年8月30日月曜日

トルストイ民話集 イワンのばか (岩波文庫)

トルストイ著 中村白葉訳
トルストイの短篇。民話をモチーフに改作している。

 うーん、説教臭い、宗教臭い。私はこの作品ダメです。「洗礼の子」は何が言いたいのか理解できない。洗礼父、性格悪くないか?って30年間も子供を親の元に帰さず…誘拐ですか?民話なんて矛盾とお約束の集まりなんだけど、トルストイが改作しているので突っ込みたくなる。「イワンのばか」で手にマメを作って働く事を奨励しているのに、「洗礼の子」は何やっているのだか…。「人はどれほどの土地がいるか」は良かった。

2010年8月9日月曜日

鳥 デュ・モーリア傑作集 (創元推理文庫)

ダフネ・デュ・モーリア著 務台夏子訳
表題作「鳥」他7篇。

 映画の「鳥」を観て原作を読んでみたくなって購入。どちらも鳥の恐怖を描いているのだけれど、こちらは救いがない。小さな地域の、特に個人宅を描いているんだけれど、周囲の描写からだんだんと追いつめられていく様が分かる。逆に主人公はやたらと精力的になっていくのが怖い。一応原因らしい描写はあるけど、原因は重要ではなく、追いつめられる過程が面白いのだ。で、やはり「アメリカが」…大変だなー、世界の警察は。
 他の作品はゾゾッと云う風ではなくて、奇妙な怖さを持っている。「番」やられた。「林檎の木」日本の怪談にもこういう感じの作品なかったっけ。「裂けた時間」もだけど、追いつめられていく様が面白い。「写真家」は主人公が間抜けすぎて…。「動機」自殺の動機を解明していくのだけど、意外性がいい。「モンテ・ヴェリタ」ちょっと私の趣味ではなかった。「恋人」主人公のこれから先に興味を持たせてくれる。歯車を壊した感じ。
 何というか色々な形の恐怖…とまではいかないけど怖さが詰め込まれています。

2010年8月2日月曜日

トリフィド時代 (創元SF文庫)

ジョン・ウィンダム著 井上勇訳
緑の大流星群を観た人たち全員が、翌日視力を失った。混乱が世界を覆う、そして第二の脅威「トリフィド」が人々を襲い始めた。

 日本だとヒッキーの視力は助かるか?!でも、家から出ずにトリフィドに囲まれて終了。実際起こったらどうなるのだろう。作品に描かれる以上の状況となるか。北斗の拳の世界?もっと火事が起こりそうとは思うけど。トリフィドがイメージしきれない。映画版観たけど、あまり覚えていないんだ。読んでる途中は、サガフロンティアというゲームに出てきたサボテンモンスターが鞭もっている姿を思い浮かべていた。主人公はこういう作品に出てきそうなタイプ。ヒロインが意外に逞しくて好感が持てた。登場人物それぞれの考え方も納得できる。「救援が…アメリカが…」私もこういう事態が起こったらそう思うだろう。序盤はちょっとかな…と思ったけど、徐々に引き込まれていった。SFの古典として推されるに相応しい作品。
 視力を失った原因、トリフィドの正体などは作品の中で解明されていない。序盤に衛星兵器に触れているし、主人公の口から出ているから、まあそういうことだろう。彗星だとイギリスの裏側は無事じゃね?とか思うし。兵器としてもちょっと疑問あるけど。とりあえず、流星群等のイベントは絶対観ないと心に誓った。

 筑摩書房でちくま文庫の復刊リクエストが始まりました。読みたい本が絶版で涙している方は投票を。願!復刊「トイレの文化史」!!

2010年7月26日月曜日

鳥 (1963 アメリカ)

監督 アルフレッド・ヒッチコック ユニバーサル
弁護士ミッチの屋敷に愛の鳥を届けたメラニーは、カモメに襲われる。それをきっかけに鳥は町を覆い、攻撃を始めた。

 云わずと知れた名作。何百羽という鳥が人間を襲う。笑い事じゃない。私の家の周囲は最近カラスが変な鳴き声して飛び回って、数増えてきているし。恐怖がものすごく身近。
 どうしても今から見ると思いっきり合成でセットもちゃちく感じるかもしれない。でも、それで質が損なわれる作品ではないと思う。人間のトラウマのようなものも描かれているのだけど、見過ごされ易いかも。私も昔からの批評を見ていなければ見過ごしていた。魔女狩りまでいくか、と思ったけどストップしてしまった。余分なものは削ぎおとしているのかな。
 といいながら、やっぱり突っ込みながら観てた。リディア、ダンの死体を見つけて、なぜ家まで行ってしまう?新聞王はさっさと娘の救出に軍隊出動させるように政府を動かせよ、定番通り保安官、町の人はなかなか信用しないな、とか。 結局鳥がなぜこうなったかの原因が今イチ。町に入り込んだよそ者…とかだと、サンフランシスコの時点で鳥が多かったのは?になるし。逆に原因なんて不必要なのかもしれないけど。で、原作の小説を読んでみようと思う。レベッカの原作者の作品なのか。

2010年5月12日水曜日

遠野物語 山の人生 (岩波文庫)

柳田国男著
有名な「遠野物語」と山人についての考察。

 簡単に人を殺していたんだな、と。山人は大きな猿と思って怖くて鉄砲を撃ったのだろうけど、それだけではないのでは?とちょっと疑ったり。赤ん坊も恐らく奇形だったので悲観してというのもあるだろうけど、でも歯が生えてたからってそれだけで…。時代が違うといえばそれまでだし、私も自分とは明らかに違う人間の形をしていても、そうとは看做せない者がいたら防御するだろう。でもね…。
 何百歳という長寿を名乗る人の考察には納得。彼等の話すのが「平家物語」「義経記」等有名な話で暗記していたから田舎の人は信じてしまったと。ありえるかも。こういうの今もあるのでは?他、神隠しについての考察なども面白かった。
 柳田国男の著作は前に読んだ本がすごく嫌な感じだったのだが、この作品は普通に面白かった。

2010年5月3日月曜日

時の娘 (ハヤカワ文庫)

ジョセフィン・ティ著 小泉喜美子訳
ベット探偵がリチャード三世の真実を探る。

「歴史は勝者によって作られる」「トニィパンディ」私は歴史学者でもないし、詳しい歴史の事実は分からないけど、これもありえるよね、とは思った。遥か昔〜現代、今この時にも日本で世界で歴史は操作されているのかもしれない。メディアの発達は真実を知る機会よりも歪める機会を与えた。そして人は一度信じた事を否定されるのを嫌う。p181のローラの手紙が響いた。
 物語としては歴史を追っていくだけで、設定された舞台上で殺人が起こるわけでも事件が起こるわけでもない。唯一の事件は、主人公がマンホールに落ちた事だけ。なのに読むのがやめられないのだ。トマス・モア、ボロクソにされてるので、信者は読まない方がいいかも(笑)。
 p19に「積んどく」という表現がでている。この本は1977年改版発行なのだが、「積ん読」も30年以上の歴史を持つのか…。

2010年4月8日木曜日

隣の病 (ちくま学芸文庫)

中井久夫著
広栄社から刊行された「精神科医がものを書くとき」に収録されたエッセイ群の文庫化。

 ちくま学芸文庫「精神科医がものを書くとき」の続編。解説の人が前著は硬で今回の文庫が軟と述べてみえるが、私は逆の印象。前半はお手上げだった。面白いのは分かるんだ。もっと知識があればな…。ロールシャッハ、箱庭、コラージュ等を用いた治療の話は興味深い。
 後半は少し軟になる。「阪神大震災後四ヶ月」が心に残った。どうしても大掛かりな救出や火災などが優先で報道されて、精神科医の先生の地道な活動は余りニュースに載らないから、よく知らなかった。考える事の多いエッセイだ。
 最後のギリシャ現代詩、1%になれなかった。飛ばし読みになってしまった。

2010年3月20日土曜日

トーヴェ・ヤンソンとガルムの世界 (青土社)

冨原眞弓著
「ガルム」という雑誌の歴史をヤンソン親子の挿絵、風刺画を交え、フィンランドの歴史とともに述べられている。

「ムーミントロールの誕生」という副題に釣られて買ってしまった。でも内容はフィンランドの歴史とガルムという雑誌の役割、関係がメイン。半分はトーヴェ・ヤンソンのお母さんの関連のお話。これはこれで面白い。フィンランドの歴史ついてまったく知らなかったし、読み物としてよくできている。けどムーミンを期待して買った身としてはちょっとガッカリ。もちろんムーミントロールの誕生に関しても書かれているし、ムーミントロールが登場する挿絵や風刺画も掲載されている。この本を読んで、ムーミンの持つ毒気の意味がちょっとだけ私にも理解できたような気がした。
  残念だったのは、図が多くて本当に素晴らしいのだが、参照が別のページというのが多くて見づらかったこと。仕方ない事かな。