2015年12月30日水曜日

天使と宇宙船 (創元SF文庫)

フレドリック・ブラウン著 小西宏訳
(カバー裏より抜粋) 鬼才ブラウンの、SFとファンタジイの名品16編をよりすぐった傑作集。

 ショートショートと短篇が収録されています。軽く楽しめる作品集です。お気に入りは「悪魔と坊や」。オチが良かったです。「不死鳥への手紙」アメリカの死んでも生き返る検死官(?) のドラマ思い出しました。「挨拶」ブラックジョークっぽいですね。差し込まれているイラストが、懐かしい感じがします。初版が1965年ですからなるほどと思いました。私の生まれた年だww 考えてみると、ここまで再版されているのは時代を超えて読み易い作品だということでしょう。でも、著者の作品は絶版も多くて残念です。

2015年12月25日金曜日

水鏡奇譚 (ちくま文庫)

近藤ようこ著
(カバー裏より抜粋) 鏡子の家を探す旅の途中、護法童子、白比丘尼、外道丸…などによるさまざまな怪しい事件に出会う。そして二人は…。

 さまざまな怪異のなかの人間模様。絵柄がサラリとしているので、嫌らしい面も不快にならずに読めます。ワタルは決して正義の味方というわけではないけど、でも私も彼の立場ならこうしただろうと共感が湧きます。そして鏡子。無垢な少女。ぼんやりしているようで、決して守られているばかりではない。二人の旅が終わるとき…。気持ちのいい終わり方で良かった。

汝、コンピューターの夢 (創元SF文庫)

ジョン・ヴァーリイ著 大野万紀訳
(カバー裏より抜粋)性別変更や身体改造、記憶の移植とコピー、惑星環境の改変すら自由な未来を描く天才作家の代表シリーズ。

 未来で何ができるかという下敷きがしっかりしている(全短篇共通している) ので世界に入り易いです。訳者の方が巧いのかな?とても読み易い。小説だと理解しながらも考えてしまいました。性別を変えることや夫婦関係、親子関係、政治宗教観などはそういう世界だで理解できるのですが、クローンへの記憶の移植は?です。クローンに移植しても別個の個体だからクローン元の人間ではないし、意味あるの??生き返ったと言えるのか??「カンザスの幽霊」で答えはあったような。今ひとつでした。 といっても作品全て面白かったです。これはシリーズになるのかしら。続けて読んでいこうと思います。

2015年12月22日火曜日

招かれざる客たちのビュッフェ (創元推理文庫)

クリスチアナ・ブランド著 深町眞理子訳
(カバー裏より抜粋) 英国史上、ひときわ異彩を放つ重鎮ブランド。本書には、その独特の調理法にもとづく16の逸品を収めた。

 うわー…すごい後味の悪い作品ばかり…。ちょっと参った。私の好みとはかけ離れてた。今まで読んだことのない作者の作品をネットで注文しているのだから仕方ないのだけど。作品のレベルは高いのは間違いない。高いから後味の悪さも高い…。後味の悪さは「婚姻飛翔」「もう山査子摘みもおしまい」「この家に祝福あれ」最高!!もう、マジでうわーな気分にしてくれた。「ジェミニー・クリケット事件」は最後のオチが面白かった。これは好き。「バルコニーからの眺め」もオカルトというかメンヘルちゃん系で面白い。「スコットランドの姪」「目撃」も良作。「囁き」の自己中女子がザマーでよい。あれ、かなり気に入ってる作品もある。とにかくハッピーエンド好きには絶対にお勧めできない作品集。

2015年12月18日金曜日

街角の図書館 (創元推理文庫)

(カバー裏より抜粋) 本書には翻訳アンソロジーの名手が精選した作品ー異色作家の埋もれた名作、スタインベックら大家によるユーモア譚、SF界の鬼才の本邦初訳作など18篇を収めた。

 タイトルがいいですね。作品セレクトも良かった。不条理の怖さを味合わせてくれる作品が主だけど、微笑ましい作品もある。…微笑ましいのは「お告げ」くらいだったww不条理好きな方にはお勧め。個人的に(良い意味で)胸糞悪くさせてくれる作品もあった。「ディケンズを愛した男」とか(良い意味で)最悪。気分が悪くなった。人間の怖さを味合わせてくれた。他も良作品ばかりで気に入った。

手斧が首を切りにきた (創元推理文庫)

フレドリック・ブラウン著 青田勝訳
(カバー裏より抜粋) 1940年代後期のアメリカ地方都市を舞台に、ブラウンが趣向を凝らして描く初期長編異色作。

 「著者は小説の合間に、ラジオ、映画、スポーツ放送、ビデオ、講演等の台本の形式を挟みストーリーを展開させ…」裏表紙に結果書くなよww 「形式を挟み」で読者を軽い混乱に陥らせてくれる。良くも悪くもなのかもしれないけどストーリーがぶつ切りになっているような気がする。元々短篇を好む私のようなタイプには読み易い。登場人物が少ないのも○。で、何が現実だったのか??が私の疑問。彼から観た現実は、エリーにとっての現実だったのか?? 理由はラスト。伯父さんの証言は彼の現実と食い違っている。真実は?父親の死も実際はどうだったのか??ま、何が真実なのかを追求するタイプの作品ではなくて、その混乱を楽しむ作品なのだろう。