2010年12月28日火曜日

明治百話 上・下 (岩波文庫)

篠田鉱造著
明治時代の庶民の実話集。

 もう明治を直接知る人は少ないのだろう。明治後半生まれでも90歳は軽く過ぎてる?それだけに一般庶民の語る庶民の目線の話は貴重。どうしても歴史上の人物ばかりクローズアップされるから。
 話の内容も、今の時代では考えられないことが多くて、蘊蓄としても楽しめる。 いつの時代も…なんていうのもあるけれど。娘義太夫なんて、今のアイドルにそのまま置き換えられるし。人間の根本何てそう変わらないのかも…とも思う。

今日の積ん読

四人の申し分なき重罪人 G・K・チェスタトン ちくま文庫
黄金の壺 ホフマン 岩波文庫
残酷な方程式 ロバート・シュクリー 創元SF文庫 


現在の積ん読 本:189冊 DVD:80枚

  今年最期の積ん読購入。今年はどれだけの本を買ったのだろう…。読む方は進んでいないし、積ん読用本棚は埋まるばかり…。自炊も進んでないから、読み終わった方の本棚も埋まってきている。来年は読むペースあげたいな…。

2010年12月24日金曜日

食卓歓談集 (岩波文庫)

プルタルコス著 柳沼重剛訳
著者が友人たちと宴の席で交わした会話。四方山話に華が咲く。抄訳。

 一つのテーマが設定されていて、それをそれぞれの立場から議論する。重々しいものではなくて、会話を楽しむといった風情のもの。私でも楽しめたので、知識の無い人でも十分OK。解説にどのような姿で宴の会話を楽しんだか説明されているので、そちらも読んで下さい。ローマ・ギリシア時代に思いを馳せるのによい一冊。蘊蓄集と考えてもいいかも。全編読みたかったかな。

2010年12月20日月曜日

歌舞伎 (ちくま学芸文庫)

渡辺保著
歌舞伎についてのエッセイ集。ある程度の知識が必要かも。

 ちょうど海老蔵事件が起こっていて、読んでいても白ける。この著作が悪いわけではないんだけど…何となくねー。
 歌舞伎はのイメージ…日本の伝統、好事家と金持ちと芸術家と外国人に人気、くらい。庶民の文化ではないよね。著作の中の歌舞伎はもの凄く高尚で至高の存在みたいな感じで述べられている。ヒッチコックの映画との比較が述べられてたけど、ヒッチコック何度も観る人いるだろ普通に、と言いたい。何か著者の歌舞伎サイコーみたいな部分が鼻についた。興味深く面白い話もあるんだけど。歌舞伎がもの凄く好きな人のみにお薦めの一冊。

2010年12月17日金曜日

アレクサンドリア (ちくま学芸文庫)

E・M・フォースター著 中野康司訳
アレクサンドリアの歴史を綴る。

 アレクサンドリアの歴史、担った役割を初心者にも分かり易く述べられている。歴史の華はアレクサンドロス大王からクレオパトラまでかな。プトレマオス朝のような保護が続いていたら、科学の進歩はどのような向きに変わっていただろう。キリスト教のみを悪者にするつもりもないけれど、この宗教がなかったら…とは思ってしまう。図書館…。キリスト教徒がやらなくても、残ることは無かったのだろうけど。あー、私はイエス・キリストは意味のある存在だと思ってるし、嫌いなのは後継者を名乗った人間たちの作った宗教なので誤解のないように。中盤〜後半あたりでキリスト教の神学について簡単に触れられているけど、その辺りは退屈。近代に入ってからのことは全く知らなかった。今は工業都市か。何となく残念のような。

2010年12月10日金曜日

タイタニック号の最期 (ちくま文庫)

ウォルター・ロード著 佐藤亮一訳
いまなお、色々な場面で語られることの多いタイタニック号の沈没。その真相にせまる。

 読んでいてイライラした。何やってるの?何で呑気なの?と、最期どうなるかは、いろいろな番組や映画 (ディカプリオの観た) で知っているから余計にね…。対処が早くてもどうにもならなかったのかもしれないけど。三等船室の扱いは酷い。そういう時代といっても…。あと、安全に対する意識は本当に近代に入って様々な事故を経て出来上がったものなんだ…と。
 いままでにテレビ等でタイタニック号の番組を観ている人には、特に新鮮さはないかもしれない。いままで名前だけは聞いていたけど、という人にはお勧め。

今日の積ん読

食卓歓談集 プルタルコス 岩波文庫
ねじの回転 デイジー・ミラー 岩波文庫

 本屋で腹の立つことがあった。レジで何かレジ係が話をしていた。私がレジに本を置いても無視。4人いて分かっててだよ。信じられない。後から、そのままレジに本置いて行ってしまえばよかったと思った。販売業として最低じゃね?これならネットで買った方がいいわ。本屋が不信になっている原因に確かにネットはあるけど、自分たち自身にも原因あるだろ。というわけで、これからは本屋でチェックだけしてネットで買うことにする。

現在の積ん読 本:189冊 DVD:80枚

2010年12月3日金曜日

ヘリオット先生の動物家族 (ちくま文庫)

J・ヘリオット著 中川志郎訳
獣医のヘリオット先生の奮闘記。

 獣医さんというと、どうしてもペットの病気を診てくれるお医者さんのイメージが強いけど、家畜のお医者さんも当然みえる。ヘリオット先生は両方を扱っている。でも今時の小綺麗なお医者さんではない。牛や馬に蹴られたりしたら命も危ない現場で、汗と泥と糞やらいろいろにまみれて…でもほのぼのしているのだ。大変そうなのに、でも顔がにこやかになってしまうのだ。疲れた時にのんびり読みたい一冊。こういうの読むとイギリスに憧れてしまうんだよね。現実はモニョモニョだろうけど。ペットのコンテストは笑えた。今ならもっと陰険になっていそう。

2010年11月29日月曜日

売春の社会史 上・下 (ちくま学芸文庫)

バーン&ボニー・ブーロー著 香川檀・家本清美・岩倉桂子訳
売春の歴史を綴りながら、男女間の社会問題を浮き彫りにしていく。

 アフリカで、処女とセックスするとエイズが治るみたいな迷信があるそうだが、迷信の発祥は欧州かよ…。少女売春に関しては、マジ吐き気する。p242の匿名の手記の内容って、某巨大掲示板の書き込みと変わらないレベルじゃね?こういうのが今もいるんだろうと思うと…プロ市民の運動は嫌いだけど、何とかならないかとは思う。
 売春の歴史と男女間のことは面白かった。時代が進むにつれての男女の関係の変化、二重規範、当然宗教や性病も関わってくる。金で囲われている愛人と売春婦の違い…改めて考えると確かにどこが違うのかと。ま、美貌、知識、礼儀作法を兼ね備えた娼婦って憧れてしまうのも本音だけど。で、既にというか大昔から身動きがとれない状態が出来上がっていた。要は売春は無くならないし、対策も無い。p352に著者が結論を述べているけど、個人の裁量に任せるというような内容。ここまで引っ張ってこの結論??と思った。

2010年11月26日金曜日

幕末百話 (岩波文庫)

篠田鉱造著
幕末の庶民の生活を採集。激変期の日本の大衆が浮き上がる。

 うーん、大変な時代だったんだ。江戸末期当時の 思い出話を採取しているので、記憶に個人的な修正は入ってはいるのだろうけど、それを差し引いても怖くて面白い…語弊があるかもしれないけど興味深い時代だと思った。町人の話だけではなく、大名の生活の話もあり、戦争もある。第三者として読んでいるから、官軍幕府軍どっちもどっちだと思えるけど、この時代に生きた人は必死だったのだろう。軽い語りで綴ってあるが、中々重い話もある。これは江戸を中心とした話ばかりで、地方はどうだったのだろう?
 現代は?と考えれば、形を変えて繰り返しているような気もする。侍は…威張っているところが議員とか、商人はやっぱり商人だし、町人は大衆として生きている。私たちも大変な時代を生きているなんて思っているけど、この時代に比べれば…かな。ま、戦争だけは勘弁かな。…別に私は左でも九条信者でもないので念のため。

今日の積ん読

幕末百話 篠田鉱造 岩波文庫
明治百話 上・下 篠田鉱造 岩波文庫
アレクサンドリア E・M・フォースター ちくま学芸文庫

 アレクサンドリア、文字が大きい。見た目、スカスカなのだが…。
 ソニーが本当に電子書籍リーダーを発売するとのニュースが。嬉しい!!ちょっと様子みて買うつもり。キンドルの日本発売はなさそうだしね…。

現在の積ん読 本:190冊 DVD:80枚

2010年11月23日火曜日

私の個人主義 (講談社学術文庫)

夏目漱石著
夏目漱石の講演から五本収録。

 講演が収録されているのだけれど、決して難しいことを述べているわけではなく、分かり易く理解し易い。だが、夏目漱石の理想とするところを実践できる人間はどれほどいるだろうか。「道楽と職業」のp25はとても良い例。要約すると、夏目漱石は博士の授与を断った。理由は博士というのは偏っているから。ここで会場から拍手…そうだよねという同意の拍手だろうけど、それに対して漱石は、「明石に医学博士が開業する、片方に医学士があるとする。そうすると医学博士の方へ行くでしょう。いくら手を叩いたって仕方ない、誤摩化されるのです。」はい、すいません…としかいいようがない。
 漱石は明治時代の人だけれど、現代にも十分通用する内容。こういう講演ならぜひ聞きたいなと思う。ま、私はちょっと意見が違うかな、とか思う部分もあったりするけど、そういうのも明治と現代、個人の背景を考えて考察してみるのも面白いと思う。

2010年11月19日金曜日

悪霊論 (ちくま学芸文庫)

小松和彦著
「異人論」をメインに、それに関連した著作を掲載。日本人の「闇」を探る。

 まず思ったこと。情報の採取について。これが聞き手次第で元の形を損なってしまうということ。民俗学や人類学などの採取においてはもちろんのこと、何気ない日常の会話でもあり得ることだから、考えないとと思った。
 「村はちぶのフォークロア」…思い出したのが「名張毒ぶどう酒事件」。犯人云々は置いといて、分かんないし、ここでの村八分の件は、私程度が知っているのだから有名といっていいんだろうな。典型的な例と言っていいと思う。Wikiで読んだだけだし、どこまで本当か分からないけど。
 節分の話は興味深かった。というか、某スーパーが節分は年に二回とか宣伝していたという話を聞いたけど、半分本当で半分嘘。実際は四回だそうです。立春、立夏、立秋、立冬…節分だったのか。この中でたまたま行事として大きくなったのが立春。やっぱり春だしね。で、この著作を読む限り、巻き寿司はやっぱり近年のものだろうなという印象。こうやって行事の意味も内容も変わっていくのかな、良くも悪くも。
 日本人の「闇」…外国とはひと味違う闇を垣間みることの出来る一冊。今はかなり表面上薄れてはいるけれど、無いとは言えない。一般人でもちょっと濃いエッセイとして楽しめる一冊。

2010年11月16日火曜日

最新世界周航記 上・下巻 (岩波文庫)

ダンピア著 平野敬一訳
 十七世紀海賊が、航海を重ねながら綴った手記。

 海賊の手記、イギリスという国自体が海賊を奨励していた時代だったような。文章自体は淡々とした印象。訳の人がそういう文章を書く人なのか、元々そんな感じなのか分からないけど。略奪やら戦闘やらをやっているのだけれど、簡単に物事が起こりすぎているような感じを受けてしまう。実際は酷い状態なんだろうな。内容は海賊行為の他自然、風俗やらの記述が多く、とても興味深い。ウミガメさん、食べられ過ぎ。ダーウィンも航海の手記を書いているけれど、こちらの方が読み易いかな。著者の「自分はこんなに判断力等に優れているぞ」という感がちょい鼻につく気もした。

2010年11月12日金曜日

銅版画 江戸川乱歩の世界 (春陽堂)

多賀新
多賀新の銅版画とともに、江戸川乱歩の作品の世界を覗きみる。

 江戸川乱歩の作品解説とともに、春陽堂が出版している江戸川乱歩文庫の表紙を飾る多賀新の銅版画が掲載されている。江戸川乱歩の作品は短編の一部しか読んでいないのだけれど、多賀氏の作品の雰囲気とよく合っていると思う。どちらも美しいグロテスクかな。

2010年11月9日火曜日

江戸のはやり神 (ちくま学芸文庫)

宮田登著
既存の宗教から離れた、民衆が生み出した宗教。一時的に熱狂と衰退から民衆の宗教意識や民俗を考察する。

 ずっと不思議に思っていたこと。なぜお賽銭を置く?私は外国のことは知らないのだけれど日本人の習性?以前ある百貨店で仏像展みたいなのが開催されていた。展示物の前にはお賽銭…。人面犬や人面魚にもお賽銭あげていたのか。いったい何のご利益を求めているのだろう??物には神が宿るみたいな一種の信仰があったけど (この考えは私は好きだ。今はすたってるけど) どんなものにも神様求めてしまうのね。
 祟るものや怖いものを福に変えてしまうのも面白い。歯の抜けたお婆さんに祈って、なぜ歯が良くなるのか理解に苦しむ。ただ、昔は医学も科学の発達がないから、そういうのに頼らざるを得なかったのは仕方ないことだけど。頼るものを発想で造り上げて熱狂していくようにも読めた。で、信仰…今の時代でいうと話題を集めているもので金儲け。いつの時代もこれは一緒。
 都市伝説の類いには触れて、新興宗教…オウムとかがまだ新しいのなら天理教でもいいけど、その辺りについての考察がないのが残念。著者の考えを読みたかった。…60代で亡くなったのか…残念。

2010年11月5日金曜日

江戸人の生と死 (ちくま学芸文庫)

立川昭二著
江戸後期を生きた六人の生き方にスポットを当てる。

 小林一茶って…。知っている作品が少ないせいかもしれないが、もっと穏やかな人かと思っていた。梅毒…。本の裏に「死生観を」とか書いてあるけど、あまりそういう感じには受けとれなかった。様々な死に際があるな、と。私が底浅い人間だからだろうけど。一番凄いなと思ったのは、滝沢みち。時代が違うのだろうけど、ここまでとことん尽くすんだ…。共依存か、人が必要とされることに対する快感か…。底知れないわ。私が好きなのは上沢杜口。現代人にも共感もたれるのではないかな。p20「公務を常として、出来栄もせず、越度もなきがよし。出来したがり誉められたがるは、皆求めたる私なり。故にては怪我をする」 要は仕事は誉められる必要は無い、確実にこなしておけ、ということかな。この言葉が好きだ。
 結論。死ぬ時はぽっくり。苦しむのは嫌だ…。

2010年11月2日火曜日

江戸はこうして造られた (ちくま学芸文庫)

鈴木理生著
江戸はどうやって造られていったか。私たちが知る江戸が形成される以前の江戸は?そして消された江戸前島は?

 どうしても都市が造られる時には平面から語られることが多いのだけれど、それを立体として論じていこうという主旨でいいのかな。実は鎌倉時代〜の日本史はさっぱりでして…。有名どころの名前は知っている程度。徳川家康はこんなに土木工事やったんだ。海運はこんなに大切だったんだ。っていうか、江戸って水路だらけ…。何というか、大名の経済力を削ぐこと、江戸の経済の基盤を築くこととか巧く噛み合って回っている。江戸前島…こんな事実あったのかと。興味深い、日本史も面白そうだ。
 お墓の利用も巧くできていて驚いた。骨もゴミも埋め立ての材料ですか。なんというエコロジー。
  笑えたのは、やっかいな法律ができた後遺物の発見がなくなったという事実。まーねー、建築業者の気持ちもわかるけど、あーもしかしたら自治体も見て見ぬ振り?開発遅れたら困るしね。
 天下普請が金で代納されるようになって江戸幕府の基盤が崩れ始めた、というようなことが述べられていたけど、小さいながらも自分たちの生活も振り返らないと。とても面白く読めた。土地勘がある人なら、もっと楽しめるんじゃないかな。

2010年10月29日金曜日

食卓の賢人たち (岩波文庫)

アテナイオス著 柳沼重剛訳

料理、その他いろいろ、宴に招かれた客が蘊蓄を披露する。一応対話篇で奇書らしい。作者については、名前以外は分かっていない。


 こういう本当かどうか分からないような蘊蓄本、大好き。楽しい。料理のことを中心に、様々な話題がでてくる。しかし、この著者はプラトンが嫌いだったのかな。とにかく否定しようとしているような。
 解説も面白い。訳の人は別に面白く書こうとは思ってみえないだろうに、何だか笑えた。訳の人も述べてみえるのだが、この「食卓の賢人たち」にしか引用されていない作品が多々あるようだ。歴史に埋もれた作品たち…。もしかしたら傑作もあったかもしれないのに残念。
 中略が多かったのも残念。編集部の都合や( 多分こっちの理由が大きいんだろうな )、内容がつまらない部分をカットしたようだけど、読んでみたかった。貧乏人には文庫が頼りなんだー。

今日の積ん読

王の二つの身体 上・下 E・H・カントーロヴィチ ちくま学芸文庫
好物漫遊記 種村季弘 ちくま文庫

 ちくま復刊は買い納め。しばらくは読む方に専念。来月欲しいのは岩波の復刊一冊だけだし、うん…たぶん。 

現在の積ん読 本:191冊 DVD:80枚

 絶対200冊台の積ん読は阻止だ。来月は絶対ブックオフには近づかない…たぶん。

2010年10月26日火曜日

今日の積ん読

貧困の文化 オスカー・ルイス ちくま学芸文庫
売春の社会史 上下 バーン&ボニー・ブーロー ちくま学芸文庫
江戸人の生と死 立川昭二 ちくま学芸文庫
悪霊論 小松和彦 ちくま学芸文庫
ケルト/装飾的思考 鶴岡真弓 ちくま学芸文庫
歌舞伎 渡辺保 ちくま学芸文庫
古代大和朝廷 宮崎市定 ちくま学芸文庫
江戸のはやり神 宮田登 ちくま学芸文庫

 筑摩書房復刊のまとめ買い。あーあ、読む速度が買う量に追い抜かれている。最近は新しく買ったものから手を出す癖がついて、昔買ったものは積まれたまま。いつか読む日が来るのか…。
 筑摩書房が復刊フェアみたいなのやってる。復刊された文庫の帯に付いている応募券を2枚で応募するとブックマークがもらえるとか。できればプレゼントの種類がもっとあればなーと思った。同じブックマーク4つもらっても…。

現在の積ん読 本:189冊 DVD:80枚

SFメカニック・ファンタジー 小松崎茂の世界 (ラピュータ)

サンダーバード、プラモデルの箱絵で有名な小松崎茂の作品集。

 うーん、昭和の匂い、いいなー。どうしてもプラモデルの箱絵のイメージが強いのだけれど、いろいろなところで描いてみえたんだ。
 夢が広がる時代のノスタルジーを思う。こういう未来を夢みていたんだ。はっきり云って荒唐無稽、突っ込みどころも多いのだけれど、そんなのどうでもいいのだ。創作された別世界に浸って下さい。作品解説がもう少し詳しかったら、もっとよかったのに。
 昔の荒唐無稽SFが大好きな私は、こういうのにはまってしまう。絵がかなり濃いし、あくが強いので、好き嫌いが出ると思う。購入を考えられるかたで小松崎茂氏の作品をご存じない場合は、グーグル先生の画像検索なりで確認してからのほうがいいでしょう。そして小松崎茂ワールドを楽しんで下さい。

2010年10月22日金曜日

世事見聞録 (岩波文庫)

武陽隠士著 本庄栄治郎校訂 奈良本辰也補訂
江戸時代の身分制度の中に起こる矛盾、それに伴う風俗の乱れに対して、ひたすら嘆き怒っている本。

 読んでいると憂鬱になる。ひたすら階級の堕落、風俗の乱れを嘆いている。実際目に余るものがあったのだろうし、それに対しての提言としての作品なんだろうけど。どの階級もメッタ切りです。正直同じようなことをクドクド述べられているように思えて、読むのに疲れてしまった…。私向きではなかった。江戸の風俗等を考えるにはよい本とは思うけど。

今日の積ん読

食卓の賢人たち アテナイオス 岩波文庫
銅版画 江戸川乱歩の世界 多賀新 春陽堂

 「食卓の賢人たち」入荷お知らせが着たので購入。ついでに余分も買っている…。 

現在の積ん読 本:181冊 DVD:80枚

 筑摩書房の復刊が重版されました。 でも通販サイトはお取り寄せのままだったので、仕方ない少しずつお取り寄せするかと注文した次の日、出版社取り寄せから当日〜2日発送に変わった…!!もういいです…。重版されたばかりだから出版社の品切れはないだろうし、時間がかかるにしても手に入るだろうし、万が一手に入らなかったときは縁がないものと諦めましょう。…でもムカつく。

2010年10月17日日曜日

俠客と角力 (ちくま学芸文庫)

三田村鳶魚著 柴田宵曲編
俠客と角力、それぞれの成り立ちからその共通項を見いだせるのでは?というテーマ。時期的にタイムリーな作品が出版されたなと。

 角力と俠客、それぞれの歴史、主に風俗の面を取り上げている。本の裏表紙に共通項うんぬんと書いているけど、それを見いだすのは読者の仕事かな。柴田宵曲が解説を書いているので読んでみるとよく分かると思う。
 俠客も角力も始まりは身分の高いところからというのは驚いた。時代が下るに従って質が落ちて、最期はただのDQ…。角力の方は江戸時代にある程度の組織ができたようだけれど、それができていなかったらどうなっていたんだろう。K1とかみたいな見世物格闘技系になったのかな。いや、相撲も見世物だと私は思っているけど。今の角力は偉そうなだけで、格闘技系と裏は変わりなさそうだし。落語の角力の話…例えば「阿武松」「花筏」とか大好きだけど、この本読んでみた限りは創作なんだろうな…ちょっとがっかり。
 俠客は映画やドラマ、小説とはかなり違っていたのね。まともに信じる方もバカなんだろうけど。有名どころがこき下ろされています。逆に知らない名前の人が、仲間のために…だったとか。そうそう、元々博打打ちと俠客は別物だったそう。始めからセットなのかと思っていた。
 とても面白い作品だった。私は蘊蓄として楽しんだけれど、俠客と角力の歴史風俗に興味のある人にも楽しめると思う。最期に捌きものという作品が掲載されていたけど、これも面白い。大岡越前の話って、他の人の裁きも入っていたんだ。

2010年10月16日土曜日

古代への情熱 (新潮文庫)

シュリーマン著 関楠生訳
トロイア遺跡で有名なシュリーマンの伝記。

 いろいろ云われている人物。彼が成したことは偉大なことも事実だし、遺跡にかなりのダメージを与えたことも事実。正直言うと、この本は賞賛に偏りが大きいかなという印象。読んだあと、どこまで本当かな??と疑問が湧いてしまう。何とか素晴らしい人物にみせようと無理しているような…。首をひねりっぱなしの一冊でした。

2010年10月14日木曜日

今日の積ん読

ダンピア最新世界周航記 上下 岩波文庫
江戸はこうして造られた 鈴木理生 ちくま学芸文庫
俠客と角力 三田村鳶魚 ちくま学芸文庫
渚にて 人類最期の日 ネヴィル・シュート 創元SF文庫
SFメカニック・ファンタジー 小松崎茂の世界 ラピュータ
阿Q正伝・狂人日記 魯迅 岩波文庫
近代日本人の発想の諸形式 伊藤整 岩波文庫
河童が覗いたニッポン 妹尾河童 新潮文庫
クリスティ短編集(一) クリスティ 新潮文庫
クリスティ短編集(ニ) クリスティ 新潮文庫 
アクロイド殺人事件 クリスティ 新潮文庫
七つの時計殺人事件 クリスティ 新潮文庫 

 ストレスが溜まっている可哀相な私…と自分を誤摩化してみた。また積ん読が…。せっかく本棚がすっきりしたのに、元の木阿弥。でも、溜まっている本を見るのも一つの快楽なのだ。ストレスが溜まっていたので…といって犯罪行為に走るおバカさんたちよりも積ん読の快感のほうが健全だろう…うん、絶対。

現在の積ん読 本:183冊 DVD:80枚

 何だか最近アマゾンが調子悪そうで、発送が遅延しているよう。アマゾンのいいとこって速いことだと思っている。サイト自体は見にくいし(マケプレと混在してるしね…)、特に注文画面はとにかく余分に買わせたいのか余計な画像やメッセージ満載で分かりづらい。この辺りはe-hon、7の方がいいと思う。でも何より速さが魅力…だったはず。ユーザーが多いのだし、早く解消するといいな、と思う。
 最近電子書籍はどうなったのかな。一時の盛り上がりが一気に冷めた気がする。真面目にe-inkの欲しいんだけど。ソニーが米で出している機種の日本発売のニュースがあったけど、どうなんだろう。期待しているんだよ…。

サラダパン

 職場の同僚に教えてもらったサラダパン。変哲のないコッペパンの中身は漬け物のマヨネーズ和えです。Popにテレビで紹介されたウンヌンと書いてあったので、有名なのかな。初めてこのパンの話を聞いた時は「ええ…ちょっと」みたいな感じだったけれど、たまたま売っている店に行ったので買ってみました。
 袋はいかにも田舎のパン屋さんのパンといった風で、良い味を出していると思います。素朴さがいい。袋を開いてとりあえず具を見てみた。…うじ…見ない方がよかったかも。で、試食。…意外と普通の味です。マヨネーズ味。漬け物の風味はありませんが、コリコリしてその歯触りがいい。普通のマヨネーズのパンでした。
 …なのになぜ私はリピーターになっているのだろう??何というか歯触りが癖になるのです。私はTVで紹介とかいうのはあまり信用しないのだけれど、これは当たりでした。でも、好き嫌いはあるかもしれない。もしお近くでお見かけになったらお試しください。130円でした。

エジプト神イシスとオシリスの伝説について (岩波文庫)

プルタルコス著 柳沼重剛訳
エジプトの神、イシスとオシリスについて、プルタルコスがギリシャの視点から述べる。

  イシスとオシリスの伝説からエジプトについて色々と考察している。神話に興味のある人なら楽しめると思う。訳注もよくできていて、本文と合わせて楽しめた。内容としては、プルタルコスがエジプトを第三者の視点から見ているのではなく、ギリシア人の観点から述べている、何とかギリシアと結びつけようとしているという印象を持った。
 プルタルコスは学識の深さで有名な人だけど、自分で色々こじつけているのだということに驚いた( 訳注p190辺り参照 )。でも考えてみたら、近代から現代にかけての偉い学者さんも、自説に拘ってトンデモ言ったりする人もいたよね。いつの時代も…ということか。

2010年10月11日月曜日

園芸家12ヵ月 (中公文庫)

カレル・チャペック著 小松太郎訳
園芸家を揶揄しながら、実はこよなく園芸と園芸家を愛しているチャペックの園芸本。

 どの世界でもマニアの凝り方は凄い。園芸家もその中の一つ。私自身はさっぱりなんだけど、父がさつき育てているから何となく理解できる。月ごとの園芸家の様を皮肉っぽく、でも楽しく描いている。この方面に興味のある人は楽しめそう。p71のトルストイへの皮肉がいい。そしてこの一文、「主義のため、あるいは道徳的な動機から労働をするということは、たいして価値のない労働をすることだ」ものすごく同意。
 この本はブックオフで買ったのだが、以前の持ち主が蛍光ペンでやたらラインを引いている。この本を真面目に参考にしようとしたのだろうか。ちゃんと参考になる本なのかな。解説の人も述べてみえるけど、チェコと日本では気候等条件が違うからどうなんだろう。

2010年10月8日金曜日

今日の積ん読

私の個人主義 夏目漱石 講談社学術文庫
菊と刀 ルース・ベネディクト 講談社学術文庫
イルカの島 アーサー・C・クラーク 創元SF文庫
アイヌ神謡集 岩波文庫

 久々のブックオフ、買ってしまった。最近全然読むほうが進んでいないのに。最近読んでいても寝てしまって…。ちょっと気合い入れないと。
 今月は「侠客と角力」「食卓の賢人たち」を買いたいのだけれど、「食卓の賢人たち」は岩波文庫の復刊なので通販サイトも遅れるとして、7とe-hon「侠客と角力」はちくま学芸文庫の新刊なのにお取り寄せになっているのはなぜ??アマゾンは当日発送マークなのに。
 筑摩書房の復刊の決定がサイトに掲載された。「王の二つの身体」これは復刊を望む声が高かったし当確と思ってた。「トイレの文化史」はダメか…残念。でも面白そうなのが復刊されるので非常に楽しみ。そしてまた積ん読が…。一応「好物漫遊記」「王の二つの身体」「貧困の文化」「売春の社会史」「江戸人の生と死」「悪霊論」「ケルト/装飾的思考」「歌舞伎」「古代大和朝廷」「江戸のはやり神」購入予定。

 現在の積ん読 本:171冊 DVD:80枚

ほら男爵 現代の冒険 (新潮文庫)

星新一著
ほら吹き男爵の子孫が繰り広げる冒険譚。はてさてどこまでが真実やら。 

 ミュンヒハウゼン男爵は実在の人物だったのか。「ほら吹き男爵の冒険」は読んだけど、ちゃんと解説観てなかったようだ。その子孫である現男爵が冒険を繰り広げる設定だけれど、原作とはひと味違う星新一色がいい。所々に出てくる、ちょっとした現代社会への皮肉が利いている。私は「地下旅行」編が好きかな。男装のお色気ウサギ…いいねー。元の話を知らなくても楽しめるので、星新一のほら男爵を楽しんで下さい。

2010年10月4日月曜日

夢魔の標的 (新潮文庫)

星新一著
腹話術の人形のクルコちゃんが、人間のように話し始めた。どうやら秘密の指令があるらしい。追い込まれていく主人公に救いはあるのか?

 星新一氏の作品は短篇は好きなんだけど、長編は苦手。中盤退屈してしまうことが多いから。この作品がそれに当たってしまった。 クルコちゃんのキャラ好きだし、序盤は盛り上がってきて面白かったんだけど。軽快さが足りないような。ま、あくまで私の好みの問題です。

2010年10月1日金曜日

ブランコのむこうで (新潮文庫)

星新一著
僕そっくりの少年に出会った。彼についていった先の知らない家で起こった出来事。それは不思議な夢の世界への入り口だった。

 星新一版「不思議の国のアリス」かな。迷い込んだ夢の世界は、願望の世界であり惟一残された憩いの場であったり。「皇帝バンザイ」最近裁判のあった秋葉原の無差別殺人思い出した。作品の登場人物の方が悲惨な設定だけど。夢の中で皇帝になっていた男は心の一部に救いを残していたけど、秋葉原の犯人にはなかったのだろうか。「道」ちょっと哲学的で好き。
 主人公の少年がいろんな夢を渡って行く過程を、短篇の連作の形で綴っている。序盤正直退屈かなと思ったけど、読んでいくうちに面白くなっていった。少年が良い子すぎるのが鼻につくかな。

2010年9月30日木曜日

こいつらが日本語をダメにした (ちくま文庫)

赤瀬川原平、ねじめ正一、南伸坊著
諺、格言を嬲って遊ぼう。

 知らない諺がある…情けない…。諺等の意味を言葉通にストレートに捉え( もちろん元々の意味とは違う )、そこから発想を逞しく色々な方向へ話を延ばしていく。例えば「首を長くして待つ」ろくろ首から歌手の話へととりとめなく進む。エロ系、下ネタにくるとがぜん盛り上がるのは男性の性なのか。真面目な本ではありません。お気楽に読んで下さい。日本語の再発見にもなるかも。

2010年9月29日水曜日

どんぐり民話館 (新潮文庫)

星新一著
奇妙な味わいの短篇を民話風に読ませる。そして最後にオチが。

 バラエティに富んだ短編集。SF、童話調、現代ものの作品まで幅広い。この幅広さは著者の魅力の一つ。この短編集に収められた作品は、人間の奥底をくすぐっているような感じだった。「王様」主人公の息子は、主人公と同じような道を歩みそう。「影絵」何が何だか。「さもないと」たたりとかこんなものかも。童話等とは違って。
 気楽に楽しめる作品ばかりです。

2010年9月25日土曜日

中世賤民の宇宙 (ちくま学芸文庫)

阿部謹也著
中世賤民の外部観に関する著作。宇宙といっても所謂宇宙ではないので注意。

 基本は現代の時間感覚や空間感覚を、中世に持ち込んで物事を測ってはダメだ、ということ。私たちの今の文化感覚も、後世の人々には理解仕切れない部分があるに違いない。こういうふうに考えると、歴史について絶対確実な事はないのではないかと思えてしまう。タイトルに宇宙とあるが、これは自分たちの内部を小宇宙とし、その外部を大宇宙と設定している。排泄物も宇宙から宇宙に送り出されたもの。正直言うと、本当にその時代の人が述べられているように感じていたのかちょっと疑問だけど、これが現代感覚なのでしょう。感覚が違うのに、その物差しで死生観など文化を測っては勘違いの元ととなるよ、と。遺言書の話は面白かった。っていうか、教会って清貧…。現代の日本の寺と張る貪欲さ。
 で、著者が西洋には賄賂がないと述べてみえるけど、本当なの?日本に本物の無礼講が存在するの?存在するとは思わないけど。無礼講は建前で、ぜーったい何だかの報復やらがあると思う。

2010年9月24日金曜日

にぎやかな部屋 (新潮文庫)

星新一著
高利貸しといんちき占い師夫婦、娘一人が商売をする一室。住んでいるのは三人だけ?長編。

 生きている人間が欲望に忠実に生きる様を観ている死者たち。夫婦に取り憑いた心中カップル、娘に取り憑いた老紳士。騒ぎをもたらす連中にも死者が憑いている。けれど彼らは決して現世に口出しする事はできない。ちょっとだけ通じる事もあるけど。ただ観ていて、あれこれと話しているだけ。で、それを観ている…もとい読んでいるだけの読者…で私たち読者を観ているのは?部屋の中は実はギュウギュウ詰めかも。

2010年9月23日木曜日

スケッチ・ブック (新潮文庫)

W・アーヴィング著 吉田甲子太郎訳
各地の風習や伝説を集めた一冊。スリービー・ホローの元ネタが収録されている。

 とりあえずタイトルを「スリービー・ホロー」に変えられなくてよかったな、と。日本の出版社ならやりかねないから。各地の不思議な話や風習を、著者がロマンチックに歌い上げているといった感じ。個人的には「幽霊花婿」が好きかな。何となく他でよく似た話を読んだ気がするけど。「ジョン・ブル」もいい。映画で有名になった「スリービー・ホロー伝説」、原作とはいえない。原案かな。短いお話。主人公はかっこ良くはない。…というか首切られてるし。

2010年9月21日火曜日

お世継ぎのつくりかた (ちくま学芸文庫)

鈴木理生著
江戸時代の後継者事情を描くことで、江戸時代のシステムを浮き上がらせる。

 江戸時代の大店は娘に婿を取って後継者としていた。…意外だった。落語や時代劇で、商人の放蕩息子の話を観て聞いていたので、まさか叩き上げのシステムだったとは思わなかった。とにかく一般人には意外な話が一杯。…もしかして私が物知らずなだけなのか?あ、「藩」が明治以後の呼び方だと知らなかったのは物知らずかも。
 以前「生む機械」が話題になったことがあったけど、江戸時代はまさしくそのもの。男のほうもただの注入器。製造することが仕事。p149の「武士道とは死ぬことをみつけたり」の下りは笑えた。大人はそれでいいけど、「生む機械」といっても見返りは大きいし、でも殺された赤ん坊のことはつらいね。いったいどのくらいの人数だったのだろう…。読んでいると、十分有り得ることと思える。
 後継者についてのことだけではなく、そこから江戸時代の様々なシステムに話が広がっている。読み物として十分楽しめた。

2010年9月19日日曜日

今日の積ん読

エジプト神イシスとオシリスの伝説について プルタルコス 岩波文庫

 出版社取り寄せだったんだけど、思ったより速く届いた。ちょうど読書の秋、虫の声をBGMにして本を読みたい。最近購入する本の数が減った。意識的に減らそうとしているのと、ブックオフへ行く暇がないのと、どうも興味のある新刊がでないのと…。来月は2冊購入予定。

現在の積ん読 本:172冊 DVD:80枚

2010年9月17日金曜日

きまぐれ体験紀行 (角川文庫)

星新一著
星新一のアジアを中心とした旅行記。

 ソ連、東南アジア、香港、韓国を巡る旅。ソ連の小説は純文学とSFだけ、は驚いた。SFはアリか。アメリカと競争していたし、小説であろうと科学への発想は貴重と考えたのかな。フィリピンの心霊治療も面白い。実際体験しようとする姿勢がすごい。私は興味はあるけど、挑戦する度胸はないから。一応星氏は手品の類いだろうと述べてみえる。ただし非難はしてみえない。私も星氏の理論に納得。他にも占い等いろいろ体験してみえる。ただ、昭和56年以前の旅行だから、その辺を差し引いて読んで下さい。

2010年9月16日木曜日

河童の手のうち幕の内 (講談社文庫)

妹尾河童著
エッセイ集。タイトルの通り、いろいろ詰まってます。

 妹尾河童氏節のエッセイ集。取材の記録から自伝、雑学まで詰まっている。本の旅は興味深かった。本屋の悩みは今も昔も変わらないんだ。配本がされない、客が離れる。これは1992年に単行本として発刊された作品。今はネット通販が、地方で日にちが多少かかっても配達してくれる。ここに紹介された本屋さん、どうなっているんだろ。他旅の記録はこの著者らしくて楽しい。著者の頭の中どうなっているんだろ。羨ましいような、ないような。河童氏の自伝のパートは「河童のおしゃべりを食べる」とダブっている部分あり。最後に河童氏の俯瞰図の描き方が掲載されている。簡単そうに述べているけど…。

2010年9月13日月曜日

宇宙への序曲 (ハヤカワ文庫)

アーサー・C・クラーク著 山高昭訳
月への旅の準備が着々と進む。現代の"ギボン"たる主人公は、それを歴史として後世に残すため、取材を行う。

 その時何が起こっていたか。ドラマチックな展開などはまったくない。淡々と起こる事や人間模様を描いているといった感じ。私はこういうの好きだけど。解説の人が述べてみえるように「幼年期の終わり」みたいなクラーク作品を求める人は読まない方がいいと思う。あー、この作品、特別な悪人はいなかったな。ちょっといってる人が一人いたけど。
 現実に月への旅は行われているのだけれど、だからこの作品が古くさいかといえば、そうではないと思う。宇宙への憧れ、初めての一歩、群がる人々、興味はそこにあるから。実際はもっと凄まじいのだろうな。一つのパラレルワールドとして楽しんでみるといいかも。

2010年9月12日日曜日

華氏451度 (ハヤカワ文庫)

レイ・ブラッドベリ著 宇野利泰訳
本を持つ事を禁じる時代、焚書官の主人公は、不思議少女と手にした本によって運命を変える。

 主人公が酷く間抜けに感じた。感情だけで走って冷静な判断ができないタイプ。読みながら「何だ、こいつ」状態。ごめん、私の嫌いなタイプだったんだ。自分を一つ上において、人を見下しいるのがどうにも…。奥さんのほうが理解できる。こんな亭主、つきあってられないし。最近、レイ・ブラッドベリが デジタル書籍批判したっけ。私はこの「華氏451度」という作品は、紙云々より思想弾圧への批判と受けとっていただけに、ちょっと…だった。本の形ではなく中身だろ。( 絵本やアート系の本の形からの表現物は別 ) 読む事とそこから考える事が大切であって、形ではないと思うんだけど。言っておくが、私は本の形は好きだし、読むなら紙の本がいいと思っている。けれど、デジタル書籍の利便性やそちらの方が読み易いという人がいるのは当たり前だとも思う。で、日本人は自炊を始めました。
 最後に解説が載っているんだけど、ちょっとズレてる気がした。とりあえず本を読む読まないと人間性は関係ないだろ。私は一般よりは読むとは思うけど、嫌な人間だぞ。私は本は娯楽と考えているから、叡智とかどうでもいいし、解説の人とは相容れないかも。

2010年9月11日土曜日

今日の積ん読

お世継ぎのつくりかた 鈴木理生 ちくま学芸文庫

 お世継ぎというと陰謀…学術文庫でこういう話はではないだろうけど、下世話な一般市民には興味深いところ。
 「エジプト神イシスとオシリスの伝説について」(岩波文庫) 7月の復刊なのだが、全然入荷されないので意を決して出版社取り寄せというので注文した。岩波書店のHPでは在庫ありのようなので、1ヶ月程度待てば入荷されるだろうと期待したいところ。 

現在の積ん読 本:172冊 DVD:80枚

 最近は少々忙しくて、寝る前や空いた時間に手軽に読める本や薄い本に偏っている。自炊は進んでないし…やっと47冊…。はやく通常に戻りたい…。

2010年9月9日木曜日

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫)

アガサ・クリスティー著 清水俊二訳
全く面識のない、経歴、出自が違う十人が、オーエン氏を名乗る人物に「インディアン島」に招待された。そして殺人が始まる。何度も映画化された名作。

 映画版を先に観ていたのは失敗。頭に映画の方の絵が浮かんでしまう。私としては、小説のほうが面白いと思った。ああ、観てなかったらもっとドキドキできたのに!!で、一番酷い奴を最後に殺すとなっていたけど、秘書さんが一番罪深いと判断されたのか。純粋な金目当ての執事夫妻のほうが上と思ったけど。
 実はアガサ・クリスティーの著作読んだのは初めて。推理ものが苦手で、手を出さなかった。もったいない事してたな。何というか、途中で止められない面白さがある。これからちょっとずつ読んでいきたいと思った。

2010年9月8日水曜日

アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫)

リチャード・マシスン著 尾之上浩司訳
突如蔓延した疫病で人類は絶滅の危機、恐らくただ一人の生き残りであろうネヴィルは絶望と自暴自棄とヤツらと戦いながら、生き抜くのだが…。何度も映画化されている名作。

 元々のタイトルが「I AM LEGEND」だったのか。1964年版の映画はかなり原作に近かったんだ。ラストが違ったような気がするけど…覚えていない。映画版より主人公の感情が行ったり来たりしているのが理解できていいと思う。犬の辺りは切なくなった。ラストはどうなんだろう。結局人間という種族の愚かしさでいいのかな。

2010年9月7日火曜日

蝸牛考 (岩波文庫)

柳田国男著
蝸牛を表す方言から、言葉の分布を考察する。方言周圏論。「かたつむり」ではなく「かぎゅう」と読む。

 私が使うのは「でんでんむし」「かたつむり」かな。「マイマイ」は知識として知っているだけ。考えてみると不思議。蝸牛にこんなにたくさんの呼び方があるとは。それがどうようにして発生したか、影響されているかを考察しているのだが、蝸牛のほかの方言を考えてみても面白い。自分の住んでいる地域の呼び方を探してみるといいかも。
 現代の言葉はメディア、ネットの影響で全国でそれほどの違いはなくなっているのだろうけれど、新しい呼び方や隠語は発生している。隠語が一般に広まって使われるのは今も昔も変わらない。そういえば本の自炊も隠語だったとか。ネットがあるので、昔より広まるのも廃るのも早いかもしれない。
 蝸牛の話なんて退屈そうに思うだろうけれど、中々面白い。 今まで読んだ柳田国男氏の作品の中では一番好みに合った。

2010年9月6日月曜日

ビーグル号航海記 上・中・下巻

チャールズ・ダーウィン著 島地威雄訳
有名なガラパゴス群島での記録を含む旅行記。

 ダーウィンというと「種の起原」(もちろん積んであります) 、その元として有名なガラパゴス群島。ガラパゴス群島での記録はとても興味深く面白いけれど、他にもブラジル、ペルーなどオーストラリアなどの記録も面白い。動植物、地形、気候はもちろん、人種、その性質、西洋から移住した人々の事などにも言及がある。現地人に対する視線は、基本的に冷たいかな。イギリス万歳西洋万歳みたいなところが多い印象。仕方ないか。土地の記録としてだけではなく、旅行記として十分楽しめる。

2010年9月5日日曜日

おみそれ社会 (新潮文庫)

星新一著
短編集。表題作ほか11篇。

 じつは星氏のファンだったりする。この著者の作品は子供から大人まで楽しめるところがいい。長編より短篇がいい!他のイラストレーターの方には申し訳ないけどこの著者の作品は和田誠氏の挿絵がとてもよく似合うと思っている。あくまで個人的な意見。
 この短編集の中では「はだかの部屋」と「ああ祖国よ」がよかった。「はだかの部屋」どんどん同じ場所に閉じ込められる話は古い物語によくあるけど、興奮した男女が裸ですよ。どうなるかは自分の想像力で。 「ああ祖国よ」は皮肉。古いジョーク集にアメリカに宣戦布告して、さっさと負けて援助をもらおう、というのがあったっけ。日本の場合は?

2010年9月4日土曜日

河童のおしゃべりを食べる (文春文庫)

妹尾河童著
著者が客人を招きまた招かれ、馳走し馳走され、馳走を肴におしゃべりを楽しむ。

 馳走される料理がおいしそう。楽しそうな雰囲気が余計おいしそうに感じさせる。おしゃべりが読者にはおいしい。ただ、私は他のシリーズを読んでいるので、他の著書とよく似た話が多いかな、みたいな印象もある。良く言えば安心して読めるという事。佐藤信氏の回のほか弁シリーズがよかった。ほか弁並べてつつき合うのっていいなー。とにかく気楽に楽しめる一冊。

2010年9月3日金曜日

読書案内 (岩波文庫)

W.S.モーム著 西川正身訳
モームの読書の手引き。欧米文学の紹介。

 「世界の十大小説」が面白かったので、同じ著者の同系列の作品を買ってみた。紹介されている作品で読んだ事あるのは、ポーだけでした。フローベールは「紋切型辞典」は読んでるけど、小説とは違うな。「世界の十大小説」を先に読んだせいか、淡々としすぎているような気がした。雑誌連載だったようで、文字数の制限もあったせいもあるだろう。ちょっと不満。ただ、著者の読書することへの考え方には同意する事しかり。楽しめない作品はつらいだけだし。つまらないところは飛ばせばいいとか、飛ばす事に妙な罪悪感を持っていたけど、飛ばしていいんだ。p69詩に関しても同じ事思ってた。詩は原語だろ、やはり。俳句が英訳されているけど、あれで理解できるのかな?あー、もちろんどんな作品でも原語で読むのが一番なんだろうけど、詩、俳句等は特に原語であることに意味があると思った。
 18、19世紀の欧米文学に興味のある人は一読するのもいいと思う。

2010年9月2日木曜日

失われた世界 ロスト・ワールド (岩波文庫)

アーサー・コナン・ドイル著 加島祥造訳
新聞記者の主人公は、女の戯言のために南米へ旅立った。そこは未だ恐竜や猿人が暮らす失われた世界だった。昔懐かし冒険活劇。

 某掲示板で「失われた世界なんて書いてる暇があったら、ホームズを書けば良かったのに」とか書かれていたのを思い出した。そんな酷い作品とは思わなかったけど。昔の冒険活劇、荒唐無稽だけれど、私はそういうの大好きなので問題ない。ハードSFを好む人にしてみたら噴飯物なのかも。荒唐無稽がダメな人は、この作品はパスしたほうがいい。ま、でも、昨今のライトノベルだってむちゃくちゃだし、この程度問題ないと思うけど。
 主人公の新聞記者が情けない、というかありがちのキャラ。グラディスが名声に靡く女ではなくて良かったじゃないか。チャレンジャー教授が個性強すぎて笑える。猿人が奴隷になったけど、外の人類が歩んだ道を繰り返すのね。この世界のインディアンたちの行く末が気になる。いずれ外の世界から…。
 最後は大円団。あらすじは王道で今更かもしれないけど、気楽に楽しめる一冊。

2010年9月1日水曜日

ハンニバル 地中海世界の覇権をかけて (講談社学術文庫)

長谷川博隆著
大ローマ帝国とカルタゴの将軍ハンニバルの戦いについて。小説ではない。

 実はハンニバルについて全く知らなかった。なんか映画になってたな、程度。でも知らない人でも判りやすく理解しやすい。戦略等も図が付いていてる。著者もあとがきで学生、一般読者を対称としていると述べてみえる。
 カルタゴ側に資料が残っていたらよかったのに。大概のローマ系の本はローマ贔屓で、ローマが勝利して良かったと結ぶものが多い。歴史は勝者によって作られるとは良く言ったものだと感心した。ハンニバルにもカルタゴ側にも言い分はあったろうに。結構長く生き延びていたのに驚いた。大人しく引退はできない人だったんだ。大人しくしていてもローマから睨まれていたし、結果は変わらなかったかな。

2010年8月31日火曜日

西洋事物起原 全4巻 (岩波文庫)

ヨハン・ベックマン著 特許庁内技術史研究会訳
ヨーロッパを中心とした技術史。18世紀の著者から見た、科学、生活を支える技術の歴史を紐解く。

 とても興味深い内容なんだけれど…眠くなる。困った。興味のある項目はしっかり読んで、後は軽く読み跳ばすのがいいかも。取り上げられている内容は幅広い。技術史というと科学中心のようだけど、保険・為替・野菜・夜警他色々。どんなものにも歴史あり。私は毒・手品師・富くじあたりが面白かった。ちょっと著者の生国ドイツ贔屓を感じるところも。仕方ないかな。あくまでヨーロッパ、特にドイツの話が重点なので注意。アジアは中国が起原として出てくる程度。

2010年8月30日月曜日

トルストイ民話集 イワンのばか (岩波文庫)

トルストイ著 中村白葉訳
トルストイの短篇。民話をモチーフに改作している。

 うーん、説教臭い、宗教臭い。私はこの作品ダメです。「洗礼の子」は何が言いたいのか理解できない。洗礼父、性格悪くないか?って30年間も子供を親の元に帰さず…誘拐ですか?民話なんて矛盾とお約束の集まりなんだけど、トルストイが改作しているので突っ込みたくなる。「イワンのばか」で手にマメを作って働く事を奨励しているのに、「洗礼の子」は何やっているのだか…。「人はどれほどの土地がいるか」は良かった。

2010年8月29日日曜日

可愛い女・犬を連れた奥さん (岩波文庫)

チェーホフ著 神西清訳
チェーホフの晩年の作品三篇。

 人間の愚かさ、でもそれが愛しい。「犬を連れた奥さん」よくある不倫なんだけど、もどかしい。このままズルズルとどうなるわけでなく続いていく二人が予想できる。周囲の人間を馬鹿にしているのだけれど、本人たちも哀れな…。「イオーヌッチ」主人公と猫ちゃんのすれ違い、寂しい物語なんだけれど、何だろう?この滑稽さは。「可愛い人」いるよね、このいう人、男女かぎらず。っていうか、怖い。
 ちょっと思ったこと。最後に訳者の人の解説…つまり神西清氏の功績等を別の人が述べているんだけど、必要?その世界では重要な人だったかもしれないけど、作品解説の何倍のページを取ってあるのって。文庫って一般人の読書の取っ掛かりとなる場合が多いのだから、作品解説に力を入れるべきでは?と思った。

2010年8月28日土曜日

死刑囚最後の日 (岩波文庫)

ユーゴー著 豊島与志雄訳
死刑囚の死ぬ瞬間までの苦悶を描く。

 で、この人何したの?たぶん著者は死刑囚の苦悶を描きたいのであって、犯罪はどうでもいいのかもしれないけど、その犯罪によって印象変わる。死刑が恐い、残されたものの事を思うなら殺人なんてしなければ良かった、もっとうまくやればよかったのに。人為的に命を奪う死刑制度というけど、この死刑囚も人為的に人の命を奪ったんだよね。殺された人を天命というなら、死刑も天命では?これを読んで思ったのが、秋葉原の大量殺人の犯人の加藤って人の弁論(でいいのかな) 。自分が可哀相で仕方ないといったふうな印象を持ったのだけど、それとこの作品は重なった。
 別に死刑賛成というわけでもない、教育等の必要もあるだろうし、見世物なんてとんでもない。でも、運命を変えられる被害者とその家族は置いといて、大切なのは常に犯罪者ですね、と。ようは片一方のみを描く、こういう作品には腹が立つということです。

2010年8月26日木曜日

今日の積ん読

世事見聞録 武陽隠士 岩波文庫
そして誰もいなくなった アガサ・クリスティー ハヤカワ文庫
アイ・アム・レジェンド リチャード・マシスン ハヤカワ文庫

 「世事見聞録」は岩波文庫の復刊なのだが、何となく面白そうと思い、ポチ。「そして誰もいなくなった」DVD観たら欲しくなった。映画の方は面白いと言えば面白いけど、何となく緊張感がない印象を持った。さて小説は?「アイ アム レジェンド」何でタイトル変えてしまうのかね?まあ、ウィル・スミスだっけ?の主演の映画に便乗して売ろうという気持ちは理解できるけど。小説は面白いようなので買ってみた。今身内が入院中なので、付き添いついでに読もう。でも、意外と付き添いは読めないんだ、これが。

 現在の積ん読 本:186冊 DVD:80枚

 自炊計画進行中。30冊すんだ。たぶんペース激遅。裁断した後、ページがきちんと切れているかチェック。スキャンしてからページが飛んでないか、汚いページがないかチェック。30分で一冊終了ペース。まあボチボチ行こうと。本棚が空いていくのは嬉しいな。

カルメン (岩波文庫)

メリメ著 杉捷夫訳
歌劇で有名なカルメンの原作。

 自由奔放な悪魔カルメンを愛したために運命を狂わせるホセ。私は人形劇で観た事があるだけで、本格的な歌劇は観た事はない。ホセがたまたま知り合った学者に、カルメンとの出会いからを物語るという形になっていたとは知らなかった。カルメンはどうしようもない悪女なんだけど見事すぎて、ホセが情けなさ過ぎて…。でも人間が堕ちていく時というのは、こういう風に少しずつズブズブと自分でコントロールできないままいってしまうんだろう。意外と淡々とした哀しい物語だった。

2010年8月24日火曜日

遊女の対話 (岩波文庫)

ルーキアーノス著 高津春繁訳
今も昔も変わらない人間喜劇。娼婦、オカルト、占い、預言者、哲学者たちを、そして振り回される大衆を笑う。

  著者はローマ時代の人で、その頃の話でいいのかな。表題作「遊女の対話」では遊女を中心として、客、恋人、同僚と悩みや恋の駆け引き等を会話で進めている。内容は本当に今も普通によくある事。こうやって客観的に考えると本当にくだらない事なんだけど、当人はヒロイン状態になっていたりして大変だ。「嘘好き、または懐疑者」オカルトの世界です。真面目に信じていたのか、こういう荒唐無稽を。時代といえば時代だし、現代もここまででなくても周りから見ると馬鹿げてたことを信じている人いるし。私はオカルトも占いも遊びとしては大好きだけど、信じてはいません。昔は風水とか嵌った事あったけど、今から見ると本当に馬鹿だったと思う。「偽預言者アレクサンドロス」麻原彰晃を思い出した。アレクサンドロスは実在の人物で、麻原より上手に生き抜いた。今もよく似た人たち一杯いるよね。追随者も一杯いるよね。人間の精神面って進化してないような気がしてきた。「ペレグリーノスの昇天」ギリシャ人の名誉欲について解説で述べているけど、どっちかというと引くに引けなくなって、というような気が。現代だと一人で死んでいくのではなくて、集団自殺になってしまうんだろうな。
 何というか、今も昔も人間のやっていることは本当に変わりません。

2010年8月21日土曜日

イタリア古寺巡礼 (岩波文庫)

和辻哲郎著
著者のイタリア美術紀行。

 古寺巡礼しいう題名だが、美術品…絵画、彫刻を中心に考察されている。写真が多く掲載されているのが嬉しい。その美術品のどこを素晴らしいと思うのかが、抽象的すぎず、素人にも分かり易く述べられている。また、宿の様子、汽車の窓辺からの風景を日本と比較して表現してある。真っすぐ伸びた松の木の話等興味深い。私の頭に浮かぶ松の木って幹が曲がったイメージが強い。ヨーロッパの松の木か…。同じ種類の木でも日本とはまったく違う風景を作り出しているのだろうな。イタリアの旅のお供に、また空想の旅のお供にどうぞ。

2010年8月20日金曜日

世界十大小説 上・下巻

W.S.モーム著 西川正身訳
モームが選んだ小説十篇の、その著者の生涯と人物像、それをふまえて作品解説を行っている。有名どころが選ばれている。作品は読んだことがなくても、大概著者の名前なり題名は知っているだろう。

 うわー、何という偏った人物ばかり。今なら精神科医に「○○性人格障害」とか言われそうな人たち。天才や長く作品を残す人はこういう傾向があるのかな。自己顕示欲の固まりだ。どの著者も人物像がもの凄くて、各著者の伝記が面白い。著者の性格そのまま作品も突っ走っていたり、ディケンズのように家庭が破綻している状態で「クリスマスキャロル」書いたり (これでこそプロなんだろうけど) 、トルストイは本人も周囲も一種の宗教団体…。
 実はモームの作品は今イチ好きになれないのだけど、この作品は面白かった。面白いのはいいのだが、取り上げられている作品はモームの解説だけでお腹いっぱいになって、本編読みたい気が起こらない…。モームは読者が読んでいることを前提にして書いているから仕方ないか。取り上げられている作品は「トム・ジョーンズ」「高慢と偏見」「赤と黒」「ゴリオ爺さん」「デイヴィッド・コバーフィールド」「ボヴァリー夫人」「モウビー・ディック」「嵐が丘「カラマーゾフの兄弟」「戦争と平和」。これらの作品もこの著作もどちらもこれから読む人は、先に各作品を読んだ方がいいと思う。

2010年8月18日水曜日

不幸なる芸術 笑の本願 (岩波文庫)

柳田国男著
「笑い」「ウソ」をその語源から探っていく。それとともに、それらの人生に置ける意味を問いていく。

 「笑い」はあまりに身近すぎて、深く考えたことがなかった。読んで笑うことを考えてしまった。笑うということは笑う対象がある。大概がその相手や物言に対する嘲笑だよね。テレビのお笑い番組。ボケ役の言動、行動を笑っているんだよね。もちろんタレントの人はそれを糊口としているのだけど、それを現実に持ち込んで周囲を笑う。p123「女の咲顔」の一節「笑われるものの不幸を予期している」。笑うなら遠い存在である政府とかメディア、タレント、企業とかにしときましょう。あーこの著作は「笑い」の語源や本質を突き詰めようとする内容で、啓発本とは全然違いますのでご注意を。「女の咲顔」での「咲顔」えがおと読むのだが、良い漢字でと思う。昔はこの漢字が使われていたそうだ。
 「不幸なる芸術」のパートは「ウソ」「バカ」についての話。「ウソのようなウソ」はついてもよすが「誠のようなウソはいけない」と徳川家康が言ったそうだ。うーん、良い言葉とは思うけど、家康も…ではないのか?ここでも、語源や歴史から考察がされている。
 「笑い」「ウソ」は一般人にも身近なので考えることも多い。柳田国男氏の著作の中では素人にもとっつき易い内容なので機会があったら御一読を。

2010年8月16日月曜日

ScanSnapがやって来た! その4

 で、デスクトップでの表示は、こんな感じです。もう一段階虫眼鏡+すると見やすくなるけど、私のMacBook小さいから…カーソル動かしながら読むのはちょっと。私としては、保存用だし満足です。ScanSnap気に入りました。コンパクトで机の脇に置けるのもいい。ちょっとしたスキャンならこれでOK。


  自炊するのは500冊位…かな。何千冊という人がゴロゴロしている世界では少ないですが、それでも場所はとるから…。全てを自炊するつもりはなくて、何度も読み返したいお気に入りは本のまま、また絵本等本の形に拘ったものもそのままですね。お気に入りの本はもう一冊買って、本で読む用と自炊保存用にしたいのですが。
 で、まだ購入する気はないけど、キンドルの詳細を知りたくてアマゾンのサイトへ。…キンドルってjpでは買えないのですか…そうですか。支払いのトラブル等は英語ですか…本体の故障の問い合わせも英語ですか…。敷居高すぎ。こういう敷居の高さの隙をついて、日本のメーカーに頑張って欲しいのだが。iPadは長時間の読書には…だし、e-ink等目に優しい組頑張ってくれ。
 今の電子書籍ブームで一番得しているのって、富士通とPLUSだったりして( PULSは裁断機で自炊派から注目されている )。電子書籍の出版は値段等でいまいち、私の興味のある分野がないので期待してない。私は、とりあえずiPadなりキンドルなり表示する媒体は出ているしこれからも増えそうだから、手持ちの本自炊してもいいかな、という気になった。そういう人多いのでは?表示媒体は後になる程高機能、低価格になってくるだろうし、低機能の廉価版も期待できる。いつの日か買うとして、とりあえずPDFなりzipにしておこうという人が買うのはスキャナと裁断機。…富士通の株、買い?

ScanSnapがやって来た! その3

 端が汚いので、カッターで裁断。裁断機を購入するのがいいのかもしれないけど、物はあまり増やしたくないし…。カッターの交換はこまめに。


 





このようになりました。







いよいよスキャンです。設定はグーグル先生で検索して、自分なりに調整するといいと思います。時々、汚くなったり、変な横線が入るページがあったので注意。
読み込みは速い。その後の処理でちょっと時間がかかりますが、問題ないレベルです。印字が極端に薄いものは苦しいかも。フラットのスキャナと上手に併用しましょう。
 読み込みでそのままPDFにしました。アドビのアクロバットが付属していますので、変なページはスキャンし直して置換することができます。一度にスキャンできるのは50枚なので、アクロバットでつなぐ事もできます。もちろんjpg取り込みもOK。
 私はかなり不器用ですし要領も悪いです。カッターや裁断機を使う人は、アイロンは用いずそのままズバッと本の解体に入るようですが、私はそれやると間違いなく本を破いて破損するのでやってません。おとなしく火傷増やします。解体の写真を掲載されているサイト、YouTubeもあるので、いろいろ巡られるといいと思います。

ScanSnapがやって来た! その2




 剥がれました。アイロンが高温すぎたり、長く当てすぎて糊が溶けすぎたりすると、糸を引いたりして↓になるので注意。








 糊がページの中まで…。










 気を取り直して、キッチンペーパーを背表紙にあててアイロンします。糊をキッチンペーパーに吸い取らせ、また柔らかくなった余分な糊をカッターで取り除きます。










こんな感じ…。あまり…いえかなり不器用なので、こんなものです。

ScanSnapがやって来た! その1

 ScanSnapがやって来た!13日アマゾン注文、次の日到着。お盆で渋滞時で…この状況で速い!嬉しい!で、早速自炊開始。グーグル先生で自炊サイト巡り、大体のやり方をチェック。家電量販店の店頭で見た時、WEBと違うと思ったのは、Win版とMac版は外部のデザインが違うためでした。手持ちのMacBookも白でお似合いです。

   まず始めの犠牲者…として「コンタクト」ハードSF、とても良い作品です。








 クッキングペーパーで背表紙を包み、アイロンに当てて背表紙の糊を溶かします。火傷に注意。私はもちろん火傷しました。手の向きが変なのは、右手でカメラを持っているためです。

2010年8月14日土曜日

ピンクパンサーX (1982 アメリカ)

監督 ブレイク・エドワーズ
ピーター・セラーズの追悼映画。ピンクパンサーがまた盗まれた。クルーゾー警部は捜査を開始するが、彼の乗った飛行機が行方不明になる…。後半はクルーゾー警部の生い立ちをレポーターが取材するという形になっている。

 前半はフィルムをつなぎ合わせて、行方不明になるまでのストーリー。ボケの応酬が続いて食傷気味になる。あー、でもドレフュスが面白いからいいか。クルーゾーが行方不明になってからは、レポーターが主役。過去の出演者も登場するのだが、ケイトー、老けたな…。チャールズ卿も…。エルキュール刑事は存在忘れてた。ストーリーは大して盛り上がらない。あくまでファンのための追悼映画。こんなシーンあったな…とか懐かしみながら観るといいかも。
 始めに「...The one and only Inspector Clouseau.」とか出るんだけど、スティーヴ・マーティン版が公開されたな…。いや、そっちも好きなんだけど。

2010年8月13日金曜日

今日の積ん読

読書案内 W.S.モーム 岩波文庫

「世界十大小説」が面白かったので、「読書案内」を買ってみた。最近積ん読用本棚が空いてきて嬉しい。不必要に増やさないよう注意しよう。

現在の積ん読 本:191冊 DVD:80枚

 さすが盆休み、人が多い。私もその人出の一人なんだけど。近所のセブンイレブンは国道沿いにあるんだが、大変な事になっていた。田舎なので大型トラックも駐車、方向転換等できるよう駐車場が広いんだけど、それを普通車が埋め尽くしていた。みんなどこ遊びに行くんだ?
 で、ついに本の自炊を決意した。既読の本で、読み返すか微妙だけど置いておきたい本を何とかしたい。いい加減ブックオフを富ませるは止めよう。とりあえず雑誌で試してみる。裁断器は買わず、アイロンとカッターで挑戦。これが一番の難関のような気がする。スキャナは薄い雑誌なのでフラットで。文庫などの自炊はフラットのスキャナではやってられないので、富士通のScanSnapを購入予定。大型家電店で見てきたけど、見た目が富士通のHPの写真と違うような?どちらにしてもマック版Acrobat付が欲しいので、ネット通販利用するけど。地方にマック版が売っているわけがない。で、保存用の外付けHDD買う羽目になったりして…。大量の本が占めてる場所を考えれば外付けHDDの出費くらい…。

2010年8月12日木曜日

ピンクパンサー4 (1978 イギリス)

監督 ブレイク・エドワーズ 20世紀フォックス
麻薬組織が信用を取り戻すため、クルーゾー警部を暗殺…したと思ったら人違い。クルーゾー警部死亡のニュースに麻薬組織大喜び、ドレフュス復活、葬式まで執り行われる。その隙をつきクルーゾーは香港の麻薬取引の現場に乗り込む。

 ピンクパンサーのシリーズは新作の毎に評判が下がってる?私は過去4作よりこれが好きだ。ドレフュスが大好き、もっともっとクルーゾーに絡んでほしかった。ケイトーもボケぶりがいい!内容としては、王道を行くストーリーで捻りも何もないけど、というかこれまでの作品の中で一番内容が無いけど、ギャグとボケのアクションを楽しむ映画だし、細かいことはいいっこなし。娯楽映画です。頭空っぽにして楽しんで下さい。

2010年8月9日月曜日

鳥 デュ・モーリア傑作集 (創元推理文庫)

ダフネ・デュ・モーリア著 務台夏子訳
表題作「鳥」他7篇。

 映画の「鳥」を観て原作を読んでみたくなって購入。どちらも鳥の恐怖を描いているのだけれど、こちらは救いがない。小さな地域の、特に個人宅を描いているんだけれど、周囲の描写からだんだんと追いつめられていく様が分かる。逆に主人公はやたらと精力的になっていくのが怖い。一応原因らしい描写はあるけど、原因は重要ではなく、追いつめられる過程が面白いのだ。で、やはり「アメリカが」…大変だなー、世界の警察は。
 他の作品はゾゾッと云う風ではなくて、奇妙な怖さを持っている。「番」やられた。「林檎の木」日本の怪談にもこういう感じの作品なかったっけ。「裂けた時間」もだけど、追いつめられていく様が面白い。「写真家」は主人公が間抜けすぎて…。「動機」自殺の動機を解明していくのだけど、意外性がいい。「モンテ・ヴェリタ」ちょっと私の趣味ではなかった。「恋人」主人公のこれから先に興味を持たせてくれる。歯車を壊した感じ。
 何というか色々な形の恐怖…とまではいかないけど怖さが詰め込まれています。

2010年8月8日日曜日

オデュッセウスの世界 (岩波文庫)

M.I.フィンリー著 下田立行訳
イギリスの歴史家フィンリーが「イリアス」「オデュッセイア」を読み解き、古代ギリシャ社会について考察する。

 以前、昔話は実はこうだったとか、そこから人々の生活など社会を読み解くみたいなのが流行らなかったかな?これは真面目な著作なのだけど、古代の社会を覗き見るという意味で素人でも十分楽しめる。訳者の解説によると、抒情詩などから社会を考察するという方法は、著者が生きている時代には新しい見方だったよう。
 p136見てびっくり。ほぼ裸で戦っている。兜だけ被って胸当てのようなものだけでって…。頭隠して尻隠さずという言葉が浮かんだ。実際はどうだったのか分からないけど、考えてみたら 「イリアス」「オデュッセイア」等で語られるオリンポス宗教神話は破天荒だよね。この著作ではオデュッセウスの冒険とトロイ戦争を中心に王、貴族などの社会観を述べている。成る程、こういう見方できるよね、でも実際のオデュッセウスやアキレウスはどんなだったんだろう、と自分なりに考えてもみる。庶民はほとんど蚊帳の外です。
 この著作が正しい分けではないし、時代が進むにつれ発掘などで新しい情報が得られるので、この著作の内容も古くなっている部分があるけれど、真面目に古代ギリシャが知りたいという人にはお勧め。

2010年8月7日土曜日

10の世界の物語 (ハヤカワ文庫)

アーサー・C・クラーク著 中桐雅夫訳
クラークの短編集。15篇が収録されている。奇妙な印象の作品が多い。SFなんだけど、人間に重点が置かれている。

 私の知識不足で理解できない作品があるのが悲しい。「思いおこすバビロン」オチはどういうことだろう。お気に入りは「幽霊宇宙服」ネコ可愛い。子猫と一緒に宇宙服着て探検したい。っていうか、妊娠チェックせずに宇宙へ連れてきたの?「軽い日射病」実際やったらどうなるんだろ?サッカーファンとかやりそうじゃない?偏見かな?審判の人はくれぐれも注意。ソロバン、クラークは知っていたのか。日本人でも知らない人、増えていそうだけど。
 作品全体に地味な印象がある。派手なSF求める人は避けた方が良さそう。

2010年8月6日金曜日

古寺巡礼 (岩波文庫)

和辻哲郎著
著者が30代の頃の著作。その頃巡った奈良近辺の寺院に収められている仏像・仏画について考察している。宗教ではなく、芸術の視点から観照されている。

 「古寺巡礼」という題名だが、寺そのものよりも中に収められている仏像・仏具について考察されている。宗教の側面からではなく、芸術として観照し、そこから作品の由来、背景にある歴史を著者の感性により述べている。古い時代は面白そうだ。ギリシャ→インド→中国→朝鮮→日本と伝わっていくうちにそれぞれの国に咀嚼され、それぞれの文化を育む。仏像にもロマンがあるんだ。それぞれの仏像の特徴がよく表現されていて、私は仏像とかサッパリだけど、こういうところを観るのだとか参考になった。ただ、それぞれの写真が欲しかったかな。写真は掲載されているけれど、全てではない。
 仏像とは関係なく不思議だったのは、百年の間に体の線が出る衣服から十二単に変化したこと。考えてみれば、江戸末期・明治から昭和まで百年で着物から洋服に転換したのだから不思議ではないのかな。

2010年8月5日木曜日

幼年期の終わり (ハヤカワ文庫)

アーサー・C・クラーク著 福島正実訳
人類が宇宙へ進出しようとした日、巨大な宇宙船団が突如現れた。それは平和な管理社会の始まりだった。

 はっきり言って凄く後味の悪い作品。気分が重くなるので、精神的に不安定な方は読まないほうがいい。後味が悪いというのは作品の質が低いという意味ではない。素晴らしい作品と思う。でも鬱になる。地球という動物園に入れられた人類。他から管理された平和、囲まれた娯楽。不都合な科学、宗教の押さえ込み。ニート天国、ネットし放題…いいかもとちょっと思ってしまった。最後はオーバーマインドの餌…一部になるっていうけど、どう考えても餌だよ。至高の存在のように描かれているけど、宇宙の独裁者では?この作品、オーバーロードが主人公っぽくもある。石女の種族、ただオーバーマインドに使われるだけ、一部にさえなれない。この先彼らはオーバーマインドに近づくことができるのか?
 この作品は光文社文庫にもなっているが、始まりが違う。個人的にはハヤカワ文庫版のほうが好きかな。

2010年8月4日水曜日

ジュラシック・パーク (1993 アメリカ)

監督 スティーブン・スピルバーグ ユニバーサル
クローン技術によって甦らせた恐竜の島「ジュラシックパーク」。見学ツアーに参加した一行が内部の抗争によるトラブルで、暴走した恐竜に襲われる。

 CGが本格的に使われだしたのはこの頃かな。初めて観たときは、恐竜の迫力に驚いた。今観ても十分な出来と思う…マニアの人は別だろうけど。恐竜のロマン。実際こんな島があったら…行きたい…かな?役どころもオーソドックスに割り振られていて、安心して楽しめる。つまり、いかにもなヤラレ役、鬱陶しい子供。クローン批判とかもあるのかな?ちょっと引かかるけど、気にしなければ問題無し。途中で出てくるクローン再生の説明のアニメーションはよくできていると思った。オチはここまで追いつめられて、これかよ、とちょっと思った。
 ストーリー自体はよくあるパターンでいろいろ突っ込みどころは多いけど、(肉食恐竜を飼っている状態でいざというときの対応人員少なすぎじゃないか?とかT-REXの食料少なくね?とか) 映画の分岐点の一つといってよい作品。

2010年8月3日火曜日

ふしぎの国のアリス (1951 アメリカ)

監督 クライド・ジェロミニ他 ディズニー
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を原作にしたアニメーション。

 500円DVDはさすがに画質が…。私は気にしないけど、気にする人は避けたほうがいい。アリスは制作者によってバリエーションが豊富で楽しい。これはディズニーらしく夢一杯の世界。カラフルで万人に親しまれるキャラクター。毒がないのでお子様と一緒にどうぞ。現在のアニメに慣れている人には退屈かもしれない。

2010年8月2日月曜日

トリフィド時代 (創元SF文庫)

ジョン・ウィンダム著 井上勇訳
緑の大流星群を観た人たち全員が、翌日視力を失った。混乱が世界を覆う、そして第二の脅威「トリフィド」が人々を襲い始めた。

 日本だとヒッキーの視力は助かるか?!でも、家から出ずにトリフィドに囲まれて終了。実際起こったらどうなるのだろう。作品に描かれる以上の状況となるか。北斗の拳の世界?もっと火事が起こりそうとは思うけど。トリフィドがイメージしきれない。映画版観たけど、あまり覚えていないんだ。読んでる途中は、サガフロンティアというゲームに出てきたサボテンモンスターが鞭もっている姿を思い浮かべていた。主人公はこういう作品に出てきそうなタイプ。ヒロインが意外に逞しくて好感が持てた。登場人物それぞれの考え方も納得できる。「救援が…アメリカが…」私もこういう事態が起こったらそう思うだろう。序盤はちょっとかな…と思ったけど、徐々に引き込まれていった。SFの古典として推されるに相応しい作品。
 視力を失った原因、トリフィドの正体などは作品の中で解明されていない。序盤に衛星兵器に触れているし、主人公の口から出ているから、まあそういうことだろう。彗星だとイギリスの裏側は無事じゃね?とか思うし。兵器としてもちょっと疑問あるけど。とりあえず、流星群等のイベントは絶対観ないと心に誓った。

 筑摩書房でちくま文庫の復刊リクエストが始まりました。読みたい本が絶版で涙している方は投票を。願!復刊「トイレの文化史」!!

2010年8月1日日曜日

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

ジェイムズ・P・ホーガン著 池 央耿訳
突如ガニメデに現れた宇宙船。そこから現れたのは、二千五百万年の旅を経たガニメアンたちであった。「星を継ぐもの」の続編。

 「星を継ぐもの」が面白かったので、続編を買ってしまった。期待した通り面白い。前作で推論とされていた部分が解明されている。ルナリアンについては謎を残したまま、これは次巻かな。前巻もそうだったのだけど、悪人がいない。臆病な人、懐疑的な人がぽつぽつオマケ程度にでてくるけど、悪人というわけではないし。どのような作品でもでてくるドロドロとした部分が描かれていない。異星人とのコンタクトとしては理想的な形。人間とガニメアンを比較しての批判等があるけど、強烈というわけではない。登場人物の行動よりも議論に重きが置かれていて、それが面白い。ゾラック、ちょっと万能過ぎ。こういうコンピュータはどうしても「2001年宇宙の旅」のHALと比較してしまう。最後、ダンチェッカーが前作同様おいしいところを持っていきました。

2010年7月31日土曜日

エトルリヤの壺 (岩波文庫)

メリメ著 杉捷夫訳
「カルメン」の著者メリメの短編集。

 やりきれない話ばかりなのだが…。何なんだ?この絶望感と空虚。訳者が著者をペシミストと評してみえるけど、本当に…何というか。全ての作品が悲劇で終わる、もしくは悲劇を予感させる終わり方をしている。気持ちが落ち込んでいる人は読んではダメ。作品自体は良いものと思うのだけど。元気なペシミストの人、どうぞ。

2010年7月30日金曜日

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

ミラン・クンデラ著 千野栄一訳
 「プラハの春」トマーシュ、テレザ、サビナ、フランツの辿る悲劇。恋愛小説というより、哲学小説?のような。

 その時代を通った人でしか描けない作品。恋愛小説なんだけど、底に流れるものが深過ぎて何も言えない。トマーシュ、テレザの行動は理解できない部分が多い。テレザはとことん女過ぎて、共感もあるけど同族嫌悪を感じる。トマーシュ…よく分からない。秘密警察とか絡んでくると、混乱してしまって。善かれとやったことも味方に悪く跳ね返ってきて、何もできないじゃないか。実際そういう場にいたら、頭真っ白になりそう。サビナとフランツのパートが面白かった…というか共感を持てた。フランツは日本にもいそうなタイプ。武装地域で亡くなっている人とか共通する部分あるんじゃないのかな。彼の最後の行動って、絶対やってはいけないと云われているパターンだよね。安全な国の人間の思考。しかし外国の人って行進が好きだなー。サビナは、チェコというバッグラウンドを通して視られることへのあがき?でも、それで儲けている部分もあったような。あと小説等に描かれるアメリカ人って、本当にパターン踏んでいて笑えるのだが。
 文章が淡々としていて、内容にあっている。訳者の人、R.U.Rの訳の人だよね。幅広いな。「冗談」も読みたいのだが、文庫になってない、高い!

2010年7月29日木曜日

今日の積ん読

ビーグル号航海記 上・中・下 チャールズ・ダーウィン 岩波文庫

 岩波大量復刊シリーズ、あと一冊は来月かな。来月は岩波の復刊で一冊欲しいのがあるけど、程々にしておかないと結局ブックオフ行きになってしまう。やはり電子化にがんばってもらうしかないのか。話題のスキャナサービス利用したい。特に漫画。数は少ないけど場所空けたい。今は人気でかなり混み合っているようなので、時機をみて注文したいな。個人でばらしてスキャナすればいいんだけど、さすがに手間が掛かるし、専用の器械…そこまではしたくないし。

現在の積ん読 本:205冊 DVD:82枚

2010年7月28日水曜日

ピーウィーの大冒険 (1985 アメリカ)

監督 ティム・バートン ワーナー
盗まれた自転車を求めて、ピーウィーがテキサスまで珍道中…大冒険を繰り広げる。

 なぜワーナーでゴジラとキングギドラの撮影をしている??いかにも怪しい日本語で笑えた。まともに考えて観てはいけない。頭を空っぽにして楽しんで下さい。性格の偏った主人公。高性能過ぎの自転車。ご都合主義の展開。非日常コメディ。ちょっと途中観るのにだれるけど、最後の撮影所で盛り上がります。そして上手く締められている。恐らくいろいろなところに名作へのオマージュがあるんだろうけど、映画に詳しくないので分からないのが残念。

2010年7月27日火曜日

今日の積ん読

オデュッセウスの世界 フィンリー 岩波文庫
創世記機械 J・P・ホーガン 創元SF文庫
鳥 ダフネ・デュ・モーリア 創元推理文庫

 「オデュッセウスの世界」7ネットが重版未定のままなので、アマゾンショッピングカード買ってきて、垢取って購入。ついでに読みたいかな、と思っていた本も。で、とにかく速いのにびっくり。日曜日の午前中注文して月曜日の午前中到着。こんな山奥なのに。アマゾンはゆうパックか佐川だと思っていたら、黒猫さんできました。何というか、アマゾン使っている人が他の通販使って不満持つ理由はよくわかった。早いに越したことはないし、それに慣れたらね…。正直、アマゾンの購入するときの分かりづらさ、とにかくお勧め商品をあれこれ押し付けるように表示するのにウンザリしたけど、この速さで不満相殺だ。私は宅配があまり好きではないので、7にない商品がある時だけアマゾンを使うことにしよう。ローソン?潰れた。  

現在の積ん読 本:204冊 DVD:84枚

2010年7月26日月曜日

鳥 (1963 アメリカ)

監督 アルフレッド・ヒッチコック ユニバーサル
弁護士ミッチの屋敷に愛の鳥を届けたメラニーは、カモメに襲われる。それをきっかけに鳥は町を覆い、攻撃を始めた。

 云わずと知れた名作。何百羽という鳥が人間を襲う。笑い事じゃない。私の家の周囲は最近カラスが変な鳴き声して飛び回って、数増えてきているし。恐怖がものすごく身近。
 どうしても今から見ると思いっきり合成でセットもちゃちく感じるかもしれない。でも、それで質が損なわれる作品ではないと思う。人間のトラウマのようなものも描かれているのだけど、見過ごされ易いかも。私も昔からの批評を見ていなければ見過ごしていた。魔女狩りまでいくか、と思ったけどストップしてしまった。余分なものは削ぎおとしているのかな。
 といいながら、やっぱり突っ込みながら観てた。リディア、ダンの死体を見つけて、なぜ家まで行ってしまう?新聞王はさっさと娘の救出に軍隊出動させるように政府を動かせよ、定番通り保安官、町の人はなかなか信用しないな、とか。 結局鳥がなぜこうなったかの原因が今イチ。町に入り込んだよそ者…とかだと、サンフランシスコの時点で鳥が多かったのは?になるし。逆に原因なんて不必要なのかもしれないけど。で、原作の小説を読んでみようと思う。レベッカの原作者の作品なのか。

2010年7月25日日曜日

星を継ぐもの (創元SF文庫)

ジェイムズ・P・ホーガン著 池 央耿訳
月面で宇宙服を着た遺体が発見された。死体は何と5万年前のものだった。彼は何者なのか?ジェイムズ・P・ホーガン、先日亡くなられました。非常に残念です。

 悪人が出てこない。意見の対立、学説による派閥の対立はあるけれど、本当に嫌な奴はいない。始めダンチェッカーがその役目を担っているのかと思ったら、最後にかっこ良く意趣返し。え、この人重要人物だったの?とびっくり。逆にハントとペアを組んでいくのかと思っていたグレイが、大した役回りではなかった。ちょっとコールドウェルがスーパーマン過ぎ。地球の状況、ルナリアンの調査の進展が理想的なパターンなんだな。著者の望みというか願いが透けて見えるような気がする。
 派手なアクションがあるわけではなく、推論、議論を繰り返しなのだけど、真実を極める一歩一歩が面白い。出てくる推論を自分なりに「これは変だ」「ヘエヘエ」しながら読んだ。一晩で読みました。すっかり寝不足です。ハードSFというとかまえるかもしれないけれど、理系サッパリの私でも大丈夫、適当に流しても態勢に影響無し。さて、続編を買うか、どうしよう。この心地よい余韻のままでいるのがいいのかな。

2010年7月24日土曜日

新ナポレオン奇譚 (ちくま文庫)

G・K・チェスタトン著 高橋康也訳
1984年ロンドン、籤引きで選ばれた国王の「自由市憲章」を信じ、土地を守るために一人の男が立ち上がった。

 最初読み始めたときは、何だか曖昧でペースがつかめなく、失敗したかと思ったのだが、序盤から中盤に入る辺りから面白くなってきた。解題の人はオーベロンを推していたけど、私は周辺の人物の方が面白かった。ウェインの偏り方がいい!自分に与えられた仮面を見事に演じきった、という感じ。バーカーとバックの典型的ブルジョアぶり、戦争での敗者がやってしまうことを見事にやってみせた。何というか、登場人物全員が如何にも演じているというように読めてしまう。悪い意味ではなく、そこがいいのだ。でも、最後の長い会話はちょっとだった。読むのにダレてしまった。
 デビューでこの作品とは凄い作家だ。楽しんで読む限りには宗教臭さもそれほど感じない。癖があるから、人によっては…かも。ま、誰でも面白い本なんてないからね。

2010年7月23日金曜日

博物誌 (新潮文庫)

ルナール著 岸田国士訳
身の回りで生きる様々なもの、動物、植物を瑞々しく歌い上げる。

 自分の目で見た動物たちの生態を、詩的に童話のように短文で綴っている。訳者が俳文を思わせると述べているが、確かに納得。挿絵もいい!本文と相まって、想像力をかき立てられる。原文も読みたい、などと思ったのだが、フランス語ですね…。こういう作品は訳者の人も大変だろう。感性のものだから。
 長閑で穏やかな作品。間違っても起伏盛りだくさんの作品が好きな人は手に取らないように。

2010年7月22日木曜日

今日の積ん読

ガニメデの優しい巨人 ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫
トリフィド時代 ジョン・ウィンダム 創元SF文庫

 「星を継ぐもの」が面白かったので続きを一冊。どうもこれ以降はウタウダのようなので、良いところでストップ。「銀河ヒッチハイクガイド」を最後まで読んで後悔したことで懲りた。「トリフィド時代」は評判が良さそうで、これが原作になった映画も観ていたので買ってみた。 

現在の積ん読 本:205冊 DVD:84枚

 今月の岩波文庫の復刊に「オデュッセウスの世界」があるのだが、なぜかセブンネットとe-honでは重版未定になっている。アマゾンと楽天ブックスは発送OKなのに。セブンネットとe-honは取次が同じトーハンのようなだから、そっちの問題?どうなっているのやら。通販サイトによって、とか、今までもあったのかな。もうちょっと様子見て、アマゾンの垢とって買うか。昔は岩波の指定店が近くにあって、岩波に直接注文、本屋受け取りできたのに。本屋なくなりました。
 本の棚卸実施中。既読も積ん読も興味から外れている、この先読まないと思われるものはブックオフ行きにして、量減らし中。今は積ん読が気になって、読み返したい本が読めない気分。良くない状態に陥っている。おまけに暑くて読書進まないし。エアコンないんだよ。

2010年7月21日水曜日

火星年代記 (ハヤカワ文庫)

レイ・ブラッドベリ著 小笠原豊樹訳
火星への植民の過程を短篇の連作で描き出す、SFの名作。

 なぜ名作と云われるか、読んで納得した。現代から視ると、火星人が没個性のような気もするけど、これは古典の宿命ですね。名作に影響されて模倣していくのだから。(批判ではないよ) 火星人の存在は人間をあぶり出すための道具のようだし。この人間が面白いのだ。「華氏451度」を思わせる短篇もある。
 アメリカ人がいかにもアメリカ人過ぎて笑った。パークヒルとかティースとか、もうね…。ちょっと疑問に思う部分もあった。地球に核戦争が起こって、みんなが地球に戻ってしまうところ。戻るかな??一般アメリカ人の核爆発の放射能に対する認識が甘さを描いているようにも読めないし。みんなが戻るから戻った?私なら戻らないけど。最後、女の子の家族が来なかったらどうなるんだろう。何となく他には誰も来ないまま…というエンディングを頭に描いてしまった。
 「火星年代記」品切れ表示の中で一冊手に入れたと思ったら、リニューアルされた新版が発売されました。ちょっと「ちくしょー」な気分。新版より100円安いからいいけどさ。

2010年7月20日火曜日

マルセイユのユニテ・ダビタシオン (ちくま学芸文庫)

建築家ル・コルビュジエの建物に対する思想。ユニテ・ダビタシオンに近代の住居の一つの原形を視る。

 とにかく、なぜこれが反対されたのだろう?という不思議。時代を支配した風潮がよく理解できない。利権等の跋扈があったのかな。マスコミと対立してたとか?
 表紙の写真をみると、とても可愛らしいヨーロッパらしい色合いのアパートメント。どうして建物以外の背景を切り取ってしまったのだろう。建物以外は白で潰されている。近隣の雰囲気も合わせてみたいのでグーグル先生のお世話になりました。建物の周囲は植樹。中身は雰囲気良さげで住みたい。一戸の中に二階があって、家族でも十分。
 ユニテ・ダビタシオンにはル・コルビュジエの思想がつぎ込まれている。今これほどの思想をもった集合住宅はあるのかな。住むということを突き詰めて設計された住宅。ル・コルビュジエはユニテ・ダビタシオンで一つの共同体が出来上がることを期待していたように読めるのだけれど、ちょっと息が詰まりそうにも感じる。もちろん生活のほとんどが一つの場所で完結するのは便利だし、通勤時間が短縮はいいことだ。田舎の人間は通勤時間が本当に…(泣) だけど特に世界遺産に登録ということになると、規制がきつくなって大変じゃないか?ヒッキーの気がある人間にはきついかも。

2010年7月19日月曜日

生物から見た世界 (岩波文庫)

ユクスキュル/クリサート著 日高敏隆/羽田節子訳
生物の環世界、その多様さ、世界像を考察する。

 人間の観察者が視る生物の世界ではなく、生物から視た世界。それぞれが別の空間を持っている。それぞれ空間認識、時間の概念に違いがある。生物の行動は物理作用のみではないのだ。難しそうだけど、いや、きちんと考えるととても深いのだけど、面白く読める。いろいろな生物の例を用いて分かり易く説明されている。その生物を用いた例が楽しい。本当に生物の行動は不思議。だけど、その生物にとっては単なる自然の行動。あの動物は賢いとか何とかは結局人間視線の後付け。考えてみると生物学は難しい。実験だけでは解明されることはないのだから。人間は人間であって、決して他の生物の視点に立つことは不可能なのだから。
 薄い本なので、難しく考えず、動物の行動を楽しむということで読んでみては?そして、考えることがあれば、それを広げていけばいいと思う。

2010年7月18日日曜日

ナイト ミュージアム (2006 アメリカ)

監督 ショーン・レヴィ 20世紀フォックス
バツイチ無職のラリーは、博物館の夜警の仕事についた。ところが、その博物館は夜になると展示物が動き出す不思議な空間だった。

 ファミリー向け映画としてよくできていると思う。大衆娯楽向けの映画をバカにする声があるけれど、きちんと娯楽映画に徹している作品は、半端なオナニー芸術映画よりよほどいいと思う。そういう意味では良作。アイデアがいい。博物館の展示物が動き出す、というだけでワクワクする。ただ、序盤がちょっと平坦で退屈した。でも、やはり展示物が動き出すと嬉しくなる。泥棒が登場する辺りから俄然盛り上がる。展示物が街を横断するシーンとかありがちだけど好きだ。猿が生意気で可愛い。で、銅像の人がコロンブスということが、子供の台詞まで分からなかった…。で、ちょっと思ったのは、受付姉ちゃん必要?ハリウッドでは、お色気担当は必須なのだろうか?

2010年7月17日土曜日

うるしの話 (岩波文庫)

松田権六著
漆の歴史、他蘊蓄いろいろ。

 漆…一般庶民の手から失われた伝統の一つ。プラスチックの漆風紛い物はいっぱいあるんだけど。私も前から一つ、自分用のよいお椀が欲しいと思っていたのだが、これを読んだのを機会として探してみるかな。
  とにかく知らなかったことばかり。漆って木に塗るものだとばかり決めつけていた。布、紙、皮、相性がよければ何でもありなんだ。しかも本当に良い漆は、中身の木等が腐っても外面の漆だけは何千年も残っている。凄い…甘く見てた。面白いと思ったことは「乾く」の概念にはたくさん種類があるということ。漆の乾くは酸化作用で、冬の乾期より梅雨の方が乾きがいいとか。ほか、ナメクジを擂り鉢で擂粉木にてつぶして糊に…イヤー!もし器の状態で漆かぶれになったとしたら、それはしっかり乾いていないまま、商品になってしまったものだそう。他に漆芸の種類等もあり、いろんな意味で楽しめます。失われたものあり、紛い物になってしまったものあり、本来庶民の物だったのが、今はすっかり高級品とか…。
 著者自身の歴史も良かった。本当に漆芸に尽力されたのだ。p276で、「日本人相手にすべからず」「私の相手はたった一人でよいから具眼の外人」「日本人は、西洋人が感心すると、はじめて鵜呑みに感心するくせがある」いつの時代も日本人の悪いくせ…。 p287でお椀屋を企画したとあるけど、どうなったのだろう。素晴らしい企画だと思うのだけど。
 一般にも分かり易く書いてあり、読み易い。この著作で漆の魅力を確認してほしいと思う。

2010年7月16日金曜日

クリスマス・キャロル (1970 イギリス)

監督 ロナルド・ニーム パラマウント
ディケンズの名作の二回目の映画化。金融業者のスクルージの元に幽霊が現れ改心させる。

 クリスマスに観るには良い映画だとは思う。私はかなりひねてしまっているので、うーんと思う部分もあるのだけど。クラチット、子供生み過ぎ。生活レベルに合わせて家族計画を立てるべき。でもティム可愛いからいいかな。借金している人、ここで帳消しになっても、また同じように借金繰り返すと思う。改心したスクルージ、破産するぞ。と、他にもチクチク突っ込みながら観ていた。過去・現在・未来から悔恨を誘うという設定はいいのだけど、地獄で苦しむから悔恨しろというのは好きになれない。時代も違うし、こんな風に見る映画ではないのだけど。
 改心したスクルージの弾けっぷりは観ていて楽しい。甥夫婦に会うところとクラチット家にプレゼントを届けるところは顔がほころぶ。最後の〆もいいな。
 映画としては盛り上がりも少ないし、退屈に感じる人はいるかもしれない。お子様と観るには良い映画と思う。

2010年7月15日木曜日

表徴の帝国 (ちくま学芸文庫)

ロラン・バルト著 宗左近訳
哲学の本。表現体と表徴について。

 すみません、よくわかりませんでした。私が読むのは無謀だったようです。解説も読んでみて、何となくは理解できるのだけれど、この何となくがくせ者。大概理解できていない。ただ、著者の視る日本は面白い。これは昭和のころの日本だろうか。パチンコが取り上げられていて驚いた。どんなものも哲学になる。で、その項のp48の写真のタイトル「飼いば桶と公衆トイレ」。写真はパチンコの風景なのだけれども、何このタイトル?誤植?と思ったが、でも何となく合っているかも、とも思う。笑えました。所々で西洋との比較がされているが、違いを納得し理解できる。包みのところ、海外も包装はあるよね?贈り物とか大きなリボンとかのイメージあるけど。中身が大した事ないのはお互い様では?などとちょっと突っ込んだ。SMの緊縛も取り上げられている。確かにあれは縛りの美学で魅せるものだから、一つの包装かもしれない。( 中身は素晴らしいと思うぞ )残虐とは違うと思うけど。
 この著作を読んで思い出したのは、牛若丸の「変」という本。あちらは哲学ではないのだけれど、何となしに頭に浮かんだ。

2010年7月14日水曜日

今日の積ん読

新ナポレオン奇譚 G・K・チェスタトン ちくま文庫

 チェスタトンの作品を宗教臭いとかさんざん言っておきながら、買ってしまった。 本屋で買ったのだが、紙袋の中に何やらたくさん入ってる。いつもなら訳の分からない結婚相談なんだけど、今回は小冊子3冊。新潮文庫・集英社文庫・角川文庫の夏のキャンペーン用の冊子でした。「ご自由にお持ちください」の文字が悲しい。持っていってもらえないので、文庫買った客の袋に入れているんですね。オマケもらえるし、たまには自分のテリトリー外を読むのもいいかな、と見てみたけど、食指動かん。小野不由美氏の「屍鬼」面白いかな。で、十二国記はどうなっているのでしょう?
 余計なことだけど、古典作品のカバーを変えて若い人にも読んでもらおうというのは理解できるのだけど、でももうちょっと何とかならないか?引いてしまうのだが。 

現在の積ん読 本:227冊 DVD:86枚

 某掲示板で「続・猿の惑星」のエンディングの話題を見つけた。最後に地球が爆破するシーンがあるかないか、で罵り合いが。観たというほうが少数派かな。DVDやVHSにもそういうシーンはないという。では私が観たエンディングは一体何だったのか?爆破シーン覚えているのだけど。媒体は多分テレビ。レンタルではないと思う。HDに録画していないのでかなり前かな。暗い宇宙の真ん中に地球があって、その端、向かって右上、円の一部から爆発した白い煙みたいなのが上がって、ナレーションが入ったような覚えがある。因みに吹き替え版。「トータル・リコール」でテレビ局が勝手に、最後にシュワちゃんが現実に戻ってきて夢落ちにしてしまったバージョンがあったそうだが、それと同じようなことかな。間違いなく観たのか、と言われるとウーンだし、さて真実はどこに?

2010年7月13日火曜日

茶の本 (講談社学術文庫)

岡倉天心著 樋谷秀昭訳
茶道を通じ、西洋の文明を良しとする風潮に警鐘を鳴らす。

 前々から一度読んでおこうと考えていた一冊。本を買う時に、自分の頭の中で作品の雰囲気を描いているのだが、この作品は頭の中と全く違っていて驚いてしまった。何という激しさ。西洋への批判としては的を得ていると思うが、これは実は日本人への批判だ。文化は交流によって刺激を受け進化するのだけれど、p18にあるように「キリスト教の伝道師は授けようとするが、受けとろうとしない」、そして日本人は受けとり過ぎた。文化は受けとって咀嚼し自分たちの文化とするべきだと思うのだけど、咀嚼が十分でなかった。芸術に関してp74からは、よく言われる内容なのだけれど、すぐ心から抜け落ちる事柄なので、しっかり留めておく必要がある。
 茶に関する話は面白い。「花」の項は、さんざん人間の惨さを論じていたのに、後半掌返し…。これは「おいおい」だろう。「茶室」、簡素なものほど難しいものはない。そして物に溢れる時代だからこそ、茶室に憧れを抱く。
 これは全訳でよいのかな。前にフランク・ロイド・ライトの「自然の家」を読んだ時「茶の本」の一節が掲載されていたのだか、それが見当たらない。訳者による違いだろうか。

2010年7月12日月曜日

島暮らしの記録 (筑摩書房)

トーベ・ヤンソン著 冨原 眞弓訳
トーベ・ヤンソンがフィンランドの小さな島で暮らした時の様子を綴る。

 以前に雑誌で、ヤンソンさんの暮らした島の様子が特集されていた。岩ばかりですぐ近くに海が迫っているという場所だった。この作品の解説p150に写真が掲載されている。60代でこのような場所で、お母さん80歳代も一緒に暮らそうというのだから驚いてしまう。素晴らしいバイタリティだ。安易なロマンだけで暮らせはしない。暮らしの様子は御自身で読んで味わって欲しい。私自身は田舎育ちなので、どうして都市で安穏と暮らせる立場の人がここまで…と思うところがあるのだが、文化の違いなのだろう。最後で、ヤンソンさんが怖いと言い出している。この変化に興味がある。どういうふうに心境が変わるのだろうか。
 家はこの辺りを航行する船、ボートの乗員が使えるように、必要なものを置いて去っていくところで終わる。登山者の無人の山小屋のようなものかな。私が読んだ雑誌の特集は2〜3年前だったので、きっと今も家は小さな寄港所としての役割を果たしているだろう。
 フィンランドやヤンソンさんを詳しく知らない方でこの本を手に取る人は、先に解説を読むことをお勧めする。背景にある文化 が理解し易いと思う。もしかしたら、人によっては退屈な作品かもしれない。作品全体が淡々としすぎていると感じるかもしれない。何となく、そのうちにちくま文庫になりそうな予感。

2010年7月11日日曜日

和辻哲郎随筆集 (岩波文庫)

哲学者和辻哲郎の随筆集。25篇を収録。

 哲学者の著作というと難しい文章が並べられているというイメージがあるけれど、これは読みやすい。もちろん読み易い=内容が無いというわけではなく、読みながら考えたり、思い出したりさせられる作品だった。一番好きなのは「文楽座の人形芝居」。実際見た事ない…テレビでは好きで観てたな。浄瑠璃からサンダーバード、ナイトメア( も入れていいよね )等等、人形劇大好き。この短文で述べられている浄瑠璃の世界にうっとり。成る程と思うところが多い。「世界の芸術と変革」…。この後第二次世界大戦。短文の始まりを読んで胸が痛む。著者の願いだったのかな。「埋もれた日本」述べられている事はもっともで理解できるけど、鎖国によって守られたものもあるしね…。哲学者にとって大切なのは思想だろうけど、もしあの時代の時点で思想の自由を大きく許していたら、キリスト教によって多くの文化財は破壊されただろうし、アフリカと同じような運命を辿る事になったのではないかと。もちろん迫害が正しいとは思わないけど。うーん、ま、素人の戯言です。「露伴先生の思い出」のところの「なければならない」は興味深い。今は当たり前に使っているだけに、そうなのかと驚いた。
 この時代の著者は総じて文章が美しい。日本語が丁寧で、今は使われない言い回しの持つ美しさ。それに触れるだけでも価値があると思う。こういう文章を書きたいものだ。

2010年7月10日土曜日

「いき」の構造 他二篇 (岩波文庫)

九鬼周造著
「いき」についての哲学的考察。青空文庫にもあるよ。

 「いき」、頭では分かっているつもりでも、説明するとなるとできない。江戸時代のいい男と女で、涼しげな目つきで気っ風がよくって…。基本、町のものかな。で、読んでみて成る程と。そうなの?と思うところがないではないけど、考えてみたら私の「いき」のイメージってテレビや映画の時代劇からきているからね。模様についてのところが興味深かった。平行線か。平行線って数学やら哲学やらに取り扱われていて奥が深い。「諦め」という観念が意外。何というか、「いき」に対して、もっと前向きのイメージを持っていたから。
 他に「風流に関する一考察」と「情緒の系譜」が収録されている。「風流」も奥が深い、というか、「いき」よりややこしいかも。「風流」も「いき」も、今はもう死んでしまった日本の美学ですね…。いや「風流」は半死半生かな。「情緒の系譜」はデカルトの「情念論」を思い起こさせる内容だった。読み比べても面白いかも。

2010年7月9日金曜日

愚行の世界史 上・下巻 (中公文庫)

バーバラ・W・タックマン著 大社淑子訳
トロイアからベトナムまで、施政者たちの愚行を考察する。

  白状します。アメリカ独立戦争とベトナム戦争についてほとんど知りませんでした。勉強になりました。歴史は好きだけど、近代は興味なくて…。この本に書かれている事が全て真実だとは思わないけど、どういうことが起こっていたかは理解できた。トロイアは本当に何が起こっていたのかは謎なのでともかく、教皇庁は改めて酷いものだと。で、近代。よくヒトラーの残虐は喧伝されるけど、他の国も変わらない。十分肩を並べられると思うのだが?人は数字の1でしかないのか?プロパガンダと思い込みの怖さを改めて思い知らされる。911の後のアフガニスタン紛争、イラク戦争…結局ベトナムと同じ事をやってない?最近アフガニスタンの資源についてのニュース流れてたね。陰謀説は信じてないけど、信じたくないし…うーん。結局国益ではなく個人の利益だからね。将来、真実に近い事が表に出てくる日がくるのかな…。
 結局大衆は踊らされるままなのかな。よく「今は昔と違っていろいろ情報が得られるから」というような意見があるけど、情報は多ければ良いというものじゃない。取捨選択できているのか?取捨選択している自分を客観視できなくては、情報が得られても何の意味もないよね。それができている人がいても結局少数で、やはり愚行は繰り返されるのだろうけど。

2010年7月8日木曜日

今日の積読

火星年代記 レイ・ブラッドベリ ハヤカワ文庫
茶の本 岡倉天心 講談社学術文庫
島暮らしの記録 トーベ・ヤンソン 筑摩書房

 入荷お知らせ( 通販によって呼び名違うかも。品切れの本が入荷したらメールもらえるサービス )で「火星年代記」が来た!!諦め半分だったので嬉しい。ついでに欲しかった本も注文しておいた。「火星年代記」私が注文した後、また品切れに戻ってた。どこかからの返品だったのかな。本の状態は良かったので文句はない。そういえば梱包がボール紙にラップではなく、昔のに戻っていた。こっちのほうが本に変な折り目ついたり、角が潰れたりする率が少ないからいい。ずっとこのままにして欲しい。
 積ん読の棚卸してみた。どうもDVDは勘違いして観終わった分もカウントしていたらしい。 

現在の積ん読 本:233冊 DVD:88枚

 ゆうパック、ワロス状態のようで。お客様も現場の人もお気の毒。ゆうメイトの人まで駆り出され、郵便のほうに支障がという記事も読んだような。じゃあ次は保障・賠償問題で金が必要で、郵便貯金に支障が…。いや冗談です。一応別会社だから大丈夫。私も貯金しているし、下ろしてませんから、冗談ですから。しばらく通販では買い物できないね。法人はゆうパック多いようだから。そういえばバイト募集もかけているらしいけど、時給の安さに泣いた。繁忙期の短期だともうちょっと自給高くしないか?690円はないだろ?
 そういえば、毎年親戚が高級お肉送ってくれるのだけど、今年まだ来ないな…。

2010年7月7日水曜日

こころ (岩波文庫)

夏目漱石著
言わずと知れた名作。自殺した「K」。罪の意識の中で生きる「先生」。重体の父を残し、「先生」の元へ急ぐ「私」。読み始めはちょっと退屈を感じるかもしれないけど、遺書に入るととたん面白くなるので、ぜひ読んでもらいたい一冊。青空文庫にもあるよ。

 いろいろ考察されている作品。いまさら何も書けない。とりあえず、作品中の人物として「K」はおいしいとこ取りしてる。心中の備写が無い分、考えてしまう人物だからかな。「私」も気にかかる。「私」が「先生」の元へ駆けつけている途中で父親が死んだら?「私」も業を背負うんだよね。みんな背負い過ぎだし、自ら背負ってしまうのだから始末が悪い。みんなここまで深く突き詰めて生きているの?深く思索できない私には理解できないけれど、自分のできない生き方には憧れる。
 この作品を読んでどう考えるか、その人の思想…まではいかなくても人生観が映し出される。私は…「お嬢さん(妻)」気の毒過ぎ。「K」も「先生」も身勝手。「K」は死ぬなら世話になった他人の家ではなく、他の場所にしろ、と言いたい。「K」は「先生」に強い人間と書かれているけど、強くはないよね。強い人間なら、自分の矛盾、道の脆さに気づいたら、もう一度築き直すよね。それができない弱さが自殺につながってしまったと…。「先生」にしろ「K」にしろ、人の欠点…まではいかなくても人の愛すべき弱さを表している。ん…いかにも頭の悪い感想になってしまった。

2010年7月6日火曜日

自然の家 (ちくま学芸文庫)

フランク・ロイド・ライト著 富岡義人訳
フランク・ロイドの建築論。彼の美学、信条、民主主義への思想が語られている。

 私は芸術に関してはサッパリなので、そういう話の部分は置いといて、実際の住宅に関する部分は面白い。彼の関わる建築は上流階級向けが多くて、私には一生縁がない家ばかりなんだけど、考え方等は庶民の家にも十分活かせるものがある。私は雪国に住んでいるので、屋根の雪に対する考え方、p203辺りで雪を屋根に載せておくことを好ましいとしていることに目がいった。断熱効果か…家が頑丈なら可能だけど。数年前の大雪の時、家の軒が折れたところが続出だったから、日本の木造では無理か…。床暖房についても述べられている。ずいぶん昔からあったことに驚いた。床暖房は屋根の雪状態が重要。屋根の雪の溶け具合で屋根の断熱がうまくいっているか分かるとか。これは納得。台所の天井の話も良かった。p212辺りで、台所の天井を他より高くして、匂いの拡散を防ぐ…。私の家を含めてそういう構造見た事ない。他にもいろいろと考えることが多かった。「有機的建築と東洋」のところで日本の事も言及されている。自分の家について再考。
 p260から建築物の写真(モノクロ)が載っているけど…こういう家は富豪に相応しいよね、という感じだった。でもネットで検索したら出てきた落水荘はいい!
 p89「我らが政府は住まいを欲し、住まいを建てようとしている人々を、強制的に不動産ビジネスに追いやろうとしているのだ」…昔からこの状態だったのか…。

2010年7月5日月曜日

瞬きよりも速く (ハヤカワ文庫)

レイ・ブラッドベリ著 伊藤典夫・村上博基・風間賢二
レイ・ブラッドベリ短編集。表題作「瞬きよりも速く」他20編。

 不思議な話が多い。実はSFと思って買ったのだけど違った。SFでいいの?好きなのは「究極のドリアン」。始めはフルーツのドリアンの話と思って読んでいたら、あっちでしたか。そういえば最近のタレントさん、みんな凄い可愛いんだけど、顔が同じパターンだね…。著者の事はSF作家としてしか知らないのだけど、オスカー・ワイルドの信者なの?「最後の秘跡」の最後はオスカー・ワイルドでいいのかな。「優雅な殺人者」も好きだ。実はもの凄く愛し合ってる夫婦なのかも。「フィネガン」なぜか映画の「スリーピー・ホロウ」思い描いた。

2010年7月4日日曜日

木綿以前の事 (岩波文庫)

柳田国男著
学問上取り上げられる事の少ない、地方の名もない庶民の生活についての考察。

 全部を読んでみて、テーマは変化かなと思った。表題作の「木綿以前の事」木綿が普及する以前( 恥ずかしながら、木綿って大昔からあったと思っていた )麻やそれに類するもの、その作られ方の考察、そこからなぜ木綿の使用へと変わったのか。決して変化を責めるのではなくて、その功罪両面の意味を述べている。表題作以外に19作収録されているが、どれも変化の意味を考えている、考えさせられる内容。戦前でも既に消費に踊っていたのか…。
 「女性史学」食べ物のことは耳が痛い。汁物、柔らかいものが多くなっている事を著者は危惧している。玄米から白米へ進化して、また白米から玄米へ戻す人がでてきているのは良い傾向だよね。私もそうしたいのだけど、家族持ちはなかなか簡単にはいかない。嫁姑の話も取り上げている。家に二人主婦がいるのはダメだよね…。夫が妻の自宅に通う通い婚はとても良いシステムだったのかも…嫁姑的に。家庭の主婦の座について述べてあるけど、こんな風習では地方が若い女性に敬遠されても無理ない。さすがに今はないよね…。
 「生活の俳諧」p282辺りから俳諧の人について述べられているのだけど、俳諧が担ってきた役割の一部分を今はブログ等が担っているように思った。

2010年7月3日土曜日

今日の積ん読

にぎやかな部屋 星新一著 新潮文庫
おみそれ社会 星新一著 新潮文庫
どんぐり民話館 星新一著 新潮文庫
漱石書簡集 岩波文庫
イタリア古寺巡礼 和辻哲郎著 岩波文庫
古寺巡礼 和辻哲郎著 岩波文庫
うるしの話 松田権六 岩波文庫

 7月そうそうやってしまった感がある。やっと220冊台に載ったと思ったのに…。7月は岩波文庫の復刊が多いし…でも、復刊は通販に並ぶのは8月位かな。取り寄せはしない。出版社取り寄せにすると、少しして通販サイトのページは当日〜2日とかの表示になって、それなのに注文した分は取り寄せ中という非常に腹立たしい状態になる。どういうシステムになっているやら…。他にも欲しい本が出てきているから、空きができてきた本棚が再び積ん読で埋まりそう…。今月と来月は絶対本屋とブックオフに近づいてはダメだ。 

現在の積ん読 本:236冊 DVD:100枚

 選挙カーがうるさい。それでも田舎だから国政選挙はマシだけど。読書を邪魔されるたびに私は心に誓う。邪魔した奴には絶対投票しないから!!そして誰もいなくなった…ではなく、投票する人がいなくなる。2010年参議院選、取り合えず二人力一杯邪魔して下さったので、こいつらと所属政党は除外されました。だいたい、お願いしますの連呼に何の意味があるんだ!!
 iPadが少々落ち着いてきたようで。美容院で女性週刊誌を読んでいたら、iPadの特集がありました。かなりふざけた感じの記事だけど、週刊誌だし仕方ないか。でもね…何でもできるというようなニュアンスはどうなの?そろそろ批判とまではいかなくても、後悔記事を見かけるようになってきた。踊らされた人、多いのかな。マニアやコレクター、金持ちは別として、道具は使ってなんぼ、なんぼの価値があるか考えないとね…これは私自身への警句でもある。あ、あと、Apple製品は日本製品に比べて、基本的に「重い」ということを知らない人多そう?

2010年7月2日金曜日

化学の歴史 (ちくま学芸文庫)

アイザック・アシモフ著 玉虫文一・竹内敬人訳
古代から20世紀まで、化学の歴史を紐解く。化学者の人物像ではなく、化学そのものの歴史に重点を置いている。正直、中盤から後半は読むだけで理解できませんでした…。理系ダメダメな私がなぜこの本を買ってしまったのか…。アシモフにつられて、つい。

 知らない名前がぞろぞろ。理系大好きな中学生くらい向けかな。数学にしろ化学にしろ、長い間の積み重ねなのだと改めて考えさせられる。さて、今はどういう時代なのだろう?
 ギリシャ時代、理論だけで突き詰めていくといのは今の時代からみたら「うーん…」だけど、そこから「原子論」が出てきているのだから恐るべし。錬金術って経済面から禁止されていたのか。金って希少価値以外ないってイメージあるものね。工業製品にも使われていたっけ。( 錬金術にしろタイムマシンにしろ、万が一開発されたとしても、困る人たちが多過ぎて消されそう) ローマはやっぱり理系に関してはダメダメのようです。キリスト教にとどめさされたか…。
 海外の本は訳者によってかなり雰囲気変わるものだと、分かっている事だが、再度考えさせられた。訳者が悪いとかではないよ。SF系の訳者と学者系の訳者の違いかな。私の頭にあるアシモフ調とはかなり違った感じ。こういう時、原文読める英語力あれば、としみじみ思う。

2010年7月1日木曜日

偉大な数学者たち (ちくま学芸文庫)

岩田義一著
数学を進化させた偉大な数学者の伝記。学芸文庫のサイエンスだが、中学生位を対象にしているので読みやすい作品。

 アルキメデスからガロアまで、数学者たちの功績を描いている。あー、知らない名前ある。恥ずかしい。どのような分野でも、積み重ねなのだと改めて実感。
 数学者の人は、良くも悪くも偏っている。この偏りが一つの事への集中力を生み出すのだろうけど。ガウスって天才だったのか。知らなかった。なんで研究を出し惜しみしていたんだろ。後追いの学者に対して優越感持ちたかったのかな。若くして亡くなっている人、もったいない。特にガロアは、性格の偏りがもうちょっと…うーん、せめて政治にのめり込まなければ…。時代もあるから仕方ないのか。今の時代にも、その天才を認められずに埋もれている人、迫害されている人いるのかな。
 しかし、ローマは理数系関係ではボロクソに言われてる。この著者も、アラビア民族にギリシア文化が伝わらなかったら、ギリシア文化は後世に伝わらなかっただろうと述べている。他に「πの歴史」でも糞味噌に言われてたな…。アレクサンドリアの大図書館の焼失で恨みを買っているようだ。ローマは享楽と殺戮とキリスト教…数学が発展する余地は少ないね、確かに。

2010年6月29日火曜日

バガヴァッド・ギーターの世界 (ちくま学芸文庫)

上村勝彦著
インド叙情詩「マハーバーラタ」の中の一編「バガヴァッド・ギーター」を日本の宗教観と照らし合わせて解説する。

 「マハーバーラタ」の原典訳の人。惜しい人が亡くなった。本当に残念。で、この著作は「バガヴァッド・ギーター」の教えを丁寧に解説しているのだが、何というか漫画やアニメ、ゲームで見たような名前や言葉が…。著者の考えとは別の意味で日本人に浸透していたりして。教えは昔の日本人の宗教観というか考え方に近いものがあるようだ。その辺りを丁寧に説明してある。現代の人には反発を感じる教えも多い。個性を認めないから。
 私がこれは大事かなと思ったのは、p49の「あなたの職務は行為そのものにある。決してその結果にない。行為の結果を動機としてはいけない。また無為に執着してはならぬ。」大概の人は( 私も含めて )こういう結果を得られるだろうという予測から、その行為を行う。で、うまくいかないと失望、怒り、妬みを溜め込む。まあ、社会自体が結果を動機とする体制だから仕方ないのだけど、心に留めておく言葉だと思った。どのページかちょっと失念したけど、ギーターでは死後の事を願うのも欲( 執着だったかな )として認めないということが述べてあった。確かに輪廻転生とか審判による永遠に命とか人間の欲に根ざしたものだよね。p58辺りに執着について述べてあるけど、積ん読の人には耳が痛い。
 「バガヴァッド・ギーター」自体はちょっと読む気は起こらないのだけど、どんなものかを知りたい人には良い著作だと思う。

2010年6月28日月曜日

ムーミン パペット・アニメーション DVD-BOX (1979 オーストリア ポーランド)

監督 ルツィアン・デンビンスキ アスミック
トーヴェ・ヤンソンの原作「ムーミン」をパペットアニメで制作。全78話。岸田今日子のナレーション。残念ながら通常版です。収録されているアニメには違いは無いからOK。

 パペットアニメーションは素晴らしいのだ。私が観たかったムーミンの世界。セルアニメより絶対いい!と思う。好みの問題だけど。本当にアニメはね…うん。でも眠いんだ。何というか、ストーリーから小説のムーミンの毒気が抜かれてしまっていた。小説版ムーミンを期待していたので、がっかりしてしまった。おまけに岸田今日子さんの声、心地よいし…。スティンキーがでてくる話はちょっと刺激があって面白い。
  穏やかでほのぼのとしたお話なので、お子様にはお薦め。親子で楽しむにはとてもいいアニメだと思う。
 で、3Dは思いとどまってほしい…。

2010年6月27日日曜日

コーヒー・ハウス (講談社学術文庫)

小林章夫著
コーヒーハウスの成り立ちから衰退まで。
 

 この著者の作品は手軽に読めるから好きだ。表紙はコーヒー・ハウスなのか? 酒場のようにみえる。コーヒー・ハウスの歴史に絡めて、時勢、政治、ジャーナリズムが述べられている。判りやすい入門編。カフェとはまた違うんだな。情報発信基地、世論を動かそうとする場所。真実の虚偽も入り交じっている場所という意味では、某大型掲示板のようだと思った。

2010年6月26日土曜日

アメリカ紀行 上巻・下巻 (岩波文庫)

ディケンズ著 伊藤弘之、下笠徳次、隈元貞広訳
ディケンズの半年間のアメリカ旅行を描く紀行文。下巻にはジョン・フォスターの「ディケンズの生涯」のアメリカ紀行と関係ある部分が掲載されている。

 まず、奥さんのことを訳者は平凡な女性としているけど、こんな大変な旅行についてきている人を平凡で片付けるのか。本文読んでいて「旦那に付き合わされて大変そう」と思ったが、「ディケンズの生涯」を読んで、よく我慢できたものだと感心した。この時代の旅が、これほど困難とは思っていなかった。船は沈没・遭難が多いという記述があるし、設備も悪そう…。嵐で救命ボートが壊れるとか…乾いた笑いがこぼれる。馬車も道が悪過ぎて中で混ぜ繰り返されている様子が述べられている。ディケンズは上流階級、特別扱いでこれなのに、当時の移民の人はどれほど…馬車が泥濘で動けなくなって赤ん坊と母親が残されてとか、読んでいて胸が痛む。
 これの前に「イタリアのおもかげ」を読んでいるが、「アメリカ紀行」のほうが読みやすい。内容は政治、思想等に関する事が多くみられる。監獄、障害者施設への訪問についても多く述べられている。始めはボストンについてで、施設、監獄について高く評価している。視覚・聴覚・味覚・嗅覚の障害者について多くページを割かれているが、教育内容が素晴らしい。ヘレン・ケラーより前なんだ。これはアメリカのいいところなんだと素直に関心。実はここ辺りを読んで「アメリカよいしょ本?」とか思ってしまった。…違った。これはアメリカで不評だろう。現代から見たらディケンズの言っている事は正論なのだが、時代だからね。監獄、これは酷過ぎ。こういう問題は難しいから何も言いたくないけど、これは酷い。奴隷制度も17章の例を読んでいて気分悪くなった。というか南部無法地帯かよ…酷い。あとつばと痰…噛みタバコの弊害?アメリカは元は移民なんだから、どこかの国の風習だった?生理的に気持ち悪い。で、集団の中では気にならなくても、第三者の目から晒されると、気になるし腹も立つよね。アメリカは今も昔も USA!USA! な国だったと。マナーや制度は変わっても本質は変わっていないのかも。
 「ディケンズの生涯」読んで、マスゴミってやつは今も昔も…。ディケンズと奥さん、同行者の体力、精神力、忍耐力に敬意を表します。よく耐えたものだ。もちろん、特別扱い受けている部分も大きいのだけど、やり過ぎ。船室を覗くって…。今ならもう少しマシ…でもないか。携帯、デジカメ、その他諸々、一般人もマスゴミ化しているから。著作権問題も取り上げられている。これについてもアメリカって変わってないのでは?いや、世界的に酷くなってしまったのでは…と。で、取り締まる側も変になってきているし。
 じつはディケンズは「アメリカ紀行」「イタリアのおもかげ」以外読んでいないのです。クリスマスキャロルはTVで映画(モノクロ)観た。あれは好き。(モノクロDVD、廉価版出ていたのに…チクショー!) 本は積ん読になってる。ちょっと読んでみるかな。

2010年6月24日木曜日

ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行 東日本編 西日本編 (ちくま文庫)

都築響一著
まさしく日本の珍名所案内。なぜ日本人はギリシアとモアイが好きなのか、考えさせられる一冊でもある。意外と地元も掲載されていたりして。私のご近所もあった…。

 奇妙なもの一杯、写真眺めているのが楽しい一冊。失礼な物言いになってしまうけど、切れている人は凄い。奇妙な物を作るエネルギーが羨ましい。とことん突き進めるって素晴らしい。…近所に住みたくはないけど。ミロのヴィーナス、ストーンヘッジ、モアイ( これなんで多いんだろ、日本人なら埴輪だろ )等たくさんあるけど、今から何千年後の考古学者の頭を悩ますのではないか、なんてバカなことを想像する。石は残るからね。あと、関西はエロ多い。やたら男性器を祭ったのがある。
 個人がやっているのは笑っていられるけど、公共機関がやっているものは微妙な気分。ふるさと創生資金、バカな使い方してるとこもある。町おこしって死亡フラグかも。金の延べ棒等は潔くて宜しいと思う。売り時を間違えるなよー!
 この本を見ていて行ってみたいと思うけれど、どうなんだろう。実物見て楽しめるかな。本は面白く編集しているから…こうやって余計な事ごちゃごちゃ考えるから突き進めない小市民なんだ、私…。
 これは1990年代後半に取材されたものが大半なのだが、今はどうなっているのだろう。私のご近所は残ってるから、観光地は残っているかな。北海道の自動車の中の公衆電話は流石になくなっただろうけど。秘宝館は絶対残っていると信じている。あれがなければ日本の観光地は名乗れないと思う、思うだけ。

2010年6月23日水曜日

人さまざま (岩波文庫)

テオプラストス著 森進一訳
ギリシアの市民の性格を分類し、描く。いつの時代も人はそう変わらないものだと思わせてくれる。手軽に楽しめる小品。

 ギリシア関係の本というと、どうしても神話や英雄、政治家、哲学者となってしまうけど、これはそこら辺にいる人の性格を分類し、描き出している。時代、国、文化によって礼儀作法、風習、しきたりは違うけれど、 人間の根本ってそう変わらないのだと思わせてくれる。今でも「いるいる、こういう奴」と思えるし、自分自身にも当てはまったり。身構えずに楽しめる一冊。

2010年6月22日火曜日

蜘蛛の巣の家 上巻 下巻 (岩波文庫)

ギッシング著 吉田甲子太郎訳
ギッシングの短編集。人間に対する皮肉に満ちている。上巻の始めに「ジョージ・ギッシングの業績」と題してとマス・セコームの作品(っていうの?)が収められている。 

 漢字が読めない…1946年初版か。昔は難しい漢字使っていたんだ。何となく読みの推測つくけど、恐ろしく変わっている漢字もある。体とかびっくり。
 ギッシングの作品の登場人物は性格が極端に偏った人が多い。その偏りというのが、誰でも性格の欠点として多少は持ってい部分を肥大させたような感じ。肥大した部分に自分自身を重ねてしまって、胸がズキズキする。「ゆかしい家族」(今ならおかしい家族となるのかな?) は、読んでいて悲鳴あげたいというか、穴に入り込みたい気分にさせられた。何て愚かなんだろう、でも私も女主人公と同じような目に遭いそうになっていなかったか?幸い周囲に注意を喚起してくれる人がいたけど。「クリストファ」、これは「ギッシング短編集」にも収録されていたけど、積ん読の愛好者はクリストファに同情と嫌悪を感じそう。本を読み進めていると、自分がMのような気がしてきた。
  この著者の作品は同じパターンの繰り返しのようなところがあって、飽きる人もいるかもしれない。登場人物の性格も同じパターンが何度も用いられている。「ジョージ・ギッシングの業績」に述べられている事は大体同意かな。ギッシングの貧民、教育のない人に対する軽蔑は作品の中にありありと出ている。女性に対しても厳しい。めでたしめでたしの結末の作品あるのだけど、どこかそらぞらしく冷たいのだ。

2010年6月21日月曜日

まぼろしの市街戦 (1967 フランス/イギリス)

監督 フィリップ・ド・ブロカ  20世紀フォックス
コミカルでロマンチックな反戦映画。精神病患者が、戦争で誰もいなくなった街へ繰り出す。

 反戦映画というけど、別に気にせずに楽しめる。皮肉っているというかバカにしているというか、表現が軽いので、戦争映画・反戦映画が嫌いな人でも問題ないと思う。この映画を初めて観たときは、反戦とか全然思わなかった。戦争を皮肉った楽しい映画だなと。私が街とみんなを守ろうとする主人公のイライラに対して、患者たちの楽しそうなこと。一時の夢の世界。人生も夢。でも、決して街から外には出ては行けない。そこは現実だから。で、イギリス兵のスカート、実戦でもはいてたのだろうか。足下が無防備。
 映画としては単調。盛り上がりは期待してはダメ。メリハリを期待する人は観ない方がいいと思う。私はこのメリハリの無さが好きなのでOKだけど。
 で、廃盤になっていたのが再販されて購入したのだが、エコケース何とかしろよと言いたい。廉価版のDVDなら文句は言わない。でも、これ高いし!!通販で買ったんだが、ケースが凹んで湾曲していて、中身凄い不安だった。

2010年6月20日日曜日

世界史的考察 (ちくま学芸文庫)

ヤーコプ・ブルクハルト著 新井靖一訳
世界史というタイトルがついているけど、ヨーロッパの歴史についての考察がほとんど。歴史をパターンで分けて述べている。ヤーコプ・ブルクハルトがメモとして残したものをヤーコプ・エーリが編纂した。

 読みにくい…。もちろん内容が難しくて私の頭がついていけてないのだけど、p277「全体として見たとき、モンゴル人たちは(彼ら自身のうちにトルコ人が含まれていないかぎり)、精神的により劣った、他とは異なった種族であった、彼らの種族の最高度に精神的文化所産、すなわち中国がそのことを証明しているように。」…??日本語でおk、と言いたくなった。訳者の人も難しいという旨を解説に書いてみえたけど。白人中心主義の臭いがプンプン。ギリシア万歳、ローマ万歳。イスラムへの評価が少し低すぎないか?この著者の嫌悪感とか入ってないか?高貴な○○とか真の○○とか、精神の解放とか…ごめん中ニ病?とか思ってしまった。精神の解放ってプツっと切れた感じ思い浮かべるけど。
 でも、読み物として面白い。歴史を分類してその分類に当てはまる歴史での状況を述べている。この辺りはなるほどと読んでいた。革命、テロ等についても納得がいく。えー?と思うところも多いけど。時代の感覚の差があるから仕方ないかも。
 なるほどと思う格言が混じっている。独創性…p214「現代の精神的疫病」「この独創性なるものは、これを受け取る側の、感動を得たいという疲弊した人たちが抱いている欲求に答えるものである」、p328「至極平穏な時代においては…略…ただ才能があるだけという連中が第一等の地位へしゃしゃり出るが…略…彼らにとって芸術や文学は投機の部門、センセーションを巻き起こすための手段」現代はますますひどくなってますよ、ブルクハルトさん。 あなたが憂いていたように、単なるビジネス化しました。
 読む価値はあると思う。現代への警鐘ともなる作品。過去の時代から現代を再考するのに良い一冊と思う。

2010年6月19日土曜日

ギリシア案内記 下 (岩波文庫)

パウサニアス著 馬場恵二訳
2世紀後半( ローマ最盛期 )に書かれたギリシアの紀行文の下巻。抄訳。コリント・アルゴリス・フォキス編。

 今回の訳注は1/3。訳者は涙をのんで妥協したらしい。ん…文庫の読者は専門外の一般人が多数だろうから仕方ないだろう。訳者のこだわりが感じられて私は好きなんだけど。
 著者はホメロスの詩歌をまるごと信じていたのか?伝承についての考察で、ホメロスが歌っているから、という理由付けが多々見られる。この時点で10世紀前でいいのかな、そして現在まで残っているのだから、ホメロス恐るべし。人類最強の文学者かも。
 面白いのは「○○はこの土地発祥」とか「○○はこの土地の生まれ」とか多い事。いつの時代も…発祥の地争い、笑える。
 今から1800年前…でいのかな…の紀行文が残されている、しかも著者が自分で歩いて見た正確なものが残されているのは素晴らしい事だ。そして、この時代に既に廃墟となっていたものが廃墟のまま今の時代まで残っているとか、石、恐るべしなのだ。

2010年6月18日金曜日

今日の積ん読

人さまざま テオプラストス 岩波文庫
ミクロの決死圏 アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫

 今月はこれ以上は買わない。絶対だ、自信ないけど。通販の梱包、勘弁してほしい。折れ曲がりやすいだろ。昔のプチプチ袋の方が良かった…。

現在の積ん読 本:241冊 DVD:101枚

 小学館がコミックのiPhoneへの配信を開始するそうで。どうせならサンデー本体などの雑誌にすればいいのに。雑誌は最後は資源ごみなどの回収に出される率が高いから、メディアの好きなエコになるでしょうに。それは置いといて、高いな。現行の紙のコミックスより高いって、どうなんでしょ?筑摩書房だけど、eBooksだと、100円~安いんだよね。(ざっとみたとこでは紙媒体より300円安いのがあった) 活字媒体と漫画、つまり絵付き媒体の配信の違いは?疑問符だらけだ。結果を楽しみにしたいと思います。京極氏の本は売れているみたいだし、もしかしたら化けるかもしれない。通勤通学の電車の中で漫画をちょっと読むとかありだろうから。

2010年6月17日木曜日

われはロボット (ハヤカワ文庫)

アイザック・アシモフ著 小尾芙佐訳
映画「アイ ロボット」の原案 (でいいのか? 原作ではないし) 。アシモフの描くロボットの歴史。有名なロボット三原則について作品中に考察されている。

 「アイ ロボット」は映画館で観て "まあ、面白いかな" とい感想を持っていた。今回この作品を読んで、何となく曖昧に観ていた部分が補充された感がある。中々奥が深い。作品は「キャルヴィン博士」が関わってきたロボットに纏る事件を短篇の連作の形で掲載している。読み進むにつれ、だんだんとロボット三原則の解釈が複雑になってくる。人間の脳が進化して感情の面で複雑になってきたように。最後はロボットの支配か…。アシモフはこれを肯定的に描いてみせてるようにみえるけど、私には逆を述べているようにも感じた。特に好きな作品は「うそつき」。キャルヴィン博士、怖い…。でも気持ちは理解できる。
 この作品はいまタイトルに「完全版」とついて出版されてるけど、どこか変更があるのだろうか?

2010年6月16日水曜日

ギリシア案内記 上 (岩波文庫)

パウサニアス著 馬場恵二訳
2世紀後半( ローマ最盛期 )に書かれたギリシアの紀行文。抄訳。学術的に貴重な作品らしい。著者については名前以外詳しい事は分かっていない。 

 "この本の成分は半分注釈でできています" な作品。パウサニアスがきちんと自分の計画した順路に従い、当時有名だった名所旧跡を解説していくのだが、それに対して訳者が詳しい解説をつけている。その建物、美術の現在の状況、発掘現場等、解説の正否など丁寧にされているので読む価値はあると思う。
 石は強いな。この紀行文が著されたのは2世紀、それよりも以前の作品が、完全な形でないにしろ現在にも残っている。パウサニアスが観ていたものを観る事ができるのはすごい事だ。何世紀後にも残したければ、やはり石最強か。そして面白いと思うのは、パウサニアスの間違いや勘違い( 酷い時は騙されている )を今の調査で指摘できる事。技術が進んで細かい検証ができるようになったとはいえ、不思議に感じてしまう。
 ギリシャは現在一般人がなぜこうったの?状態になっているけど、この2世紀後半ローマの支配下のギリシャで、パウサニアスもギリシャの状況を残念に思っていたのだろう。

2010年6月15日火曜日

今日の積ん読

アメリカ紀行 上・下 ディケンズ 岩波文庫
ヘリオット先生の動物家族 J・ヘリオット ちくま文庫
珍日本紀行 東日本編 西日本編 都築響一 ちくま文庫
宇宙気流 アイザック・アシモフ ハヤカワ文庫
瞬きよりも速く レイ・ブラッドベリ ハヤカワ文庫
マグニチュード10 アーサー・C・クラーク マイク・マクウェイ 新潮文庫
園芸家12ヵ月 カレル・チャペック 中公文庫
河童のおしゃべりを食べる 妹尾河童 文春文庫
ほら男爵 現代の冒険 星新一 新潮文庫


 ああ、気晴らしにブックオフに行ったばかりに…。緑字はブックオフで購入。「珍日本紀行」と「瞬きよりも速く」以外は105円だったのでついつい…。「宇宙気流」は運が良かった。絶版本!すごく嬉しい。「珍日本紀行」はよく本屋さんで時間つぶしに立ち読みした。半値なら買うかな…と。本屋さんでは目的の本がなかったので、やはりネットで購入か。積ん読、220冊台を目前にして、240冊台に逆戻りと相成った。あーあ…。

現在の積ん読 本:241冊 DVD:101枚