2012年4月30日月曜日

検察官 (岩波文庫)

ゴーゴリ著 米川正夫訳
 文無しフレスターコフは、宿泊した街で検察官と勘違いされたのをいいことに、市長以下お歴々から金を巻き上げ、その妻や娘をたらし込む。そして一通の手紙を残して颯爽と去っていった。

 本来なら騙された側に同情すべきなんだろうけど、騙された側もまあ俗物揃いで、同情も湧かない。で、滑稽さを楽しんで読むことができます。俗物といっても、私たちも同類ですね。自分自身の愚かさを笑うと言ったところでしょうか。

2012年4月24日火曜日

肖像画・馬車 (岩波文庫)

ゴーゴリ著 平井肇訳
(カバー裏より)前途有望な画家の堕落と破滅を描いて芸術の理想を問うた「肖像画」。ウクライナを舞台にした明るい小品「馬車」。

 「肖像画」が面白かった。そういえば本当かどうかは知らないけど、宝くじ当たってダメになる話は聞くね、と。 分相応なお金が入るとダメになるのは古今東西同じだ。でも、私も主人公と同じようなことしてしまうかも。ダメになっても主人公は一応世間では成功者とされているのだから、そのまま過ごしてしまえばいいのに、そこに肖像画の呪い…。その後の狂いっぷりがいい。前編だけでも作品として成立している。後編はその肖像画の由来が明らかになる。そして肖像画逃亡()。さて、後編の語り手はもし肖像画を首尾よく手に入れていたら父の遺言通り破棄することができたのだろうか?

2012年4月20日金曜日

近代日本人の発想の諸形式 (岩波文庫)

伊藤整著
(カバー解説より)表題作は、多くの日本の文学者に題材をとりながら、日本人の生き方を、調和型・上昇型・下降型・逃避型・立身出世型に分類し、それらを巧みな例で実証する。

 細かいことにウダウダこだわってると思いながら読んでいたけど、p15辺りからの藤村の新生に対する花袋と芥川の違いは面白い。私は芥川派だけど、実際は花袋の反応をしそう。しっかし、文学者って学歴高いな。皆金持ちというわけではないだろうし。その人達によって現代の小説の基礎が作られたんだ。p135辺りの文学の商品価値の話も面白い。なんだかな。現実なんだけれど。最期の「近代日本における「愛」の虚偽」も面白い。キリスト教との関わり、西洋と東洋の思考の違い等々、現代は良いとは思えない部分がどうも肥大しているようで。

外套・鼻 (岩波文庫)

(カバー解説より)ある日、鼻が顔から抜け出してひとり歩き始めた…写実主義的筆致で描かれる奇妙きてれつなナンセンス譚「鼻」。運命と人に辱められる一人の貧しき下級官吏への限りなき憐憫の情に満ちた「外套」。

 「外套」ロシアのアニメ作家が制作していたけど、完成したのかな?読んだ感想、主人公は哀れというか、運のない人っているよね…みたいな。でも、仕事大好きなのは羨ましいかな。でも執着心強すぎ。正直滑稽に読めた。でも、最期はやったね、みたいな感ですっきり。解説によると、どうも私の感想の方向性は著者とは違うらしい。俗物ですいません。
 「鼻」想像して下さい、礼服を着ている鼻を…。高飛びする鼻を。見世物を楽しむ大衆、鼻で金儲けを企むもの。最期は夢落ちかと思った。

フランス民話集 (岩波文庫)

新倉朗子訳
(カバー解説より)デカルトの国にふさわしく、フランス民話の特色は不思議をきりりと単純化あるいは合理化し、もっぱら人間的動機によって筋をはこぶことにある。各種の民話集を渉猟していてそうい民話の秀作50篇を選択し、各篇に民話学的注をほどこした。

 有名な童話の別バージョンがあって、それが面白い。結末が同じだったり、違っていたり。赤ずきんちゃんはお母さん食べてるし、長靴をはいた猫の狐版は修道士殺してるし。あと悪役によってはここまで罰を受けなければならないの?と思うパターンもあり。こういうのは時代によるのだろうけど。注釈と一緒に読むと面白いと思う。巻末に論文が付いています。けど長い…。

同時代史 (岩波文庫)

タキトゥス著 國原吉之助訳
 (カバー裏解説より) 希代の歴史家タキトゥスが、この同時代の壮大な歴史ドラマを、臨場感溢れる雄渾な筆致で記録したローマ史の大古典。

内容は皇帝ガルバから皇帝ウェスパシアヌスまでのローマの歴史。ウェスパシアヌスの二人の息子は顔見せだけ。失われた部分が多いようで残念。タキトゥス自身はフラウィウス朝の頃の人のようです。
タキトゥスの作品は読んでいてしんどい。ローマがめちゃくちゃ過ぎて…。裏切り、日和見の繰り返し。混沌とし過ぎ。意外と東海テレビの昼ドラ(今は知らないけど、昔はドロドロだった)好きの人には受けるかも。で、兵の権力が強すぎ。現場主義にもほどがある。しかも統制が取れてなくて、感情と勢いで動いている。集団って恐ろしい。現場の兵士がこういうのだと怖いね。民間人はどうしていたのやら。タキトゥスの著作は、浅くしか民間人について触れていない…というかこの時代の著作はこうなのかな? 

今日の積ん読

ウルトラセブン 1992〜2002 パーフェクトコレクション
フィレンツェ史 下 マキャヴェッリ 岩波文庫
汚辱の世界史 J.L.ボルヘス 岩波文庫
アイルランド 世界史と風土 オフェイロン 岩波文庫 

現在の積ん読 本:217冊 DVD:130枚

 本もDVDも溜まるばかり…。5月下旬には「書物復権」がある。興味ある本が何冊か…しかし文庫じゃない。いや、値段はいい。本以外を削ればいい。食費、交際、衣服とかもろもろ。問題は書籍だということ。片付ける場所がないよー。

2012年4月14日土曜日

今日の積ん読

西洋文学事典 ちくま学芸文庫
アレクサンドロスとオリュンピアス 森谷公俊 ちくま学芸文庫
世界史のなかの戦国日本 村井章介 ちくま学芸文庫
ウルトラセブン(ウルトラ1800シリーズ) 1〜12

 無事ウルトラセブン全12巻到着。観るのはいつになるのやら…。で、「アレクサンドロスと…」の帯…。やめてくれよ。別に漫画は漫画でいいと思うけど、学芸文庫にこれはちょっと。漫画を読む層と学芸文庫読む層が重なるのかね?

現在の積ん読 本:214冊 DVD:122枚

町人貴族 (岩波文庫)

 貴族になりたいジュールダン氏。ちょっと…いやかなり間抜け。で、周囲の大変良い金づるになっている。その彼の間抜けぶりを利用して…。

 深い意味があるお話ではない。愚か者を笑っている滑稽話。ただ、こういう物語は時代背景が分からないとね。笑い者にしているほうもアレだけど、ジュールダン氏も嫌な奴だからどっちもどっちな話かな。いつの時代もジュールダン氏のような人物はいますけどね。

2012年4月4日水曜日

今日の積ん読

古代社会 下  L.H.モルガン 岩波文庫
イメージの歴史 若桑みどり ちくま学芸文庫

 ふふふ…酔っぱらって勢いで平成ウルトラセブンのDVDセット予約してしまった…。ここまではま、いいさ。欲しかったし。なぜかウルトラセブンのDVDシリーズ全12巻もポチッてしまった…。で、一番欲しかった12巻(最終回は絶対欲しい)、サイト上では在庫あり表示だったのに、「ごめんね、在庫無かったみたい、取り寄せるわ」という内容のメールが…ああ…、ちゃんと来るのだろうか…。

現在の積ん読 本:211冊 DVD:110枚

 ブロガー、ダイレクト編集鉛筆復活バンザイ!!