2016年4月23日土曜日

特技監督 中野昭慶 (ワイズ出版)

中野昭慶・染谷勝樹著
(カバー裏より抜粋) 日本特撮映画史上にその名を残す中野昭慶監督の世界を、作品ごとにインタビューし解説した、特撮ファン必読の書『特技監督中野昭慶』を再編集

 中野昭慶監督へのインタビュー集。私はおたく、マニアではないけど、さすがにその名前は知っている有名監督。『爆発の昭ちゃん』だったかな、派手な爆発シーンの監督というイメージを持っていた。特撮というとゴジラ・ウルトラマンなどを筆頭にした怪獣映画というイメージだけれど、一般映画・ドラマ(という言い方も変だけど) でも活躍している。…ということをこれを読んで知った。考えてみれば当たり前なんだけど、全然頭に浮かばなかった。あと、ディズニーランド等のアトラクションや舞台にも関わってみえるとか。奥が深い。特撮映画は観ていなくてもタイトルはある程度知ってるかな私、とか思っていたけど、まだまだひよこでした。とにかく特撮…映画を観せることに対するこだわり、リアリティに対する考えなど、非常に興味深いインタビューです。映画の裏側も面白い。特撮にちょっと興味あるという方も全然OK。お勧めします。

2016年4月21日木曜日

ゴースト・ハント (創元推理文庫)

H・R・ウェイクフィールド著 鈴木克昌訳
(カバー裏より抜粋) 幽霊屋敷訪問の様子を実況するラジオ番組のリポーターが訪れたのは、30人にも及ぶ自殺者を出したという異様な来歴を秘めた邸宅だった。

 表題作「ゴースト・ハント」は知られている作品かな。他の短編集で読んだ記憶有り。ラジオで曰く付きの屋敷を探検するというお話で、ストーリーはアナウンサーの実況のみで進むという形。軽い語り口で進むのだけれど、中々生々しい。これは朗読で聞いてみたい逸品です。収録作はどの作品も好みのタイプでした。特に気に入ったのは「湿ったシーツ」財産を手に入れるための完全犯罪(といっても直接手は下していない、現代で例えると旦那を成人病になる食事をさせて生命保険がっぽりみたいな) でもちゃんと復讐されますが。 「目隠し遊び」真っ暗な屋敷…暗黒に閉じ込められてしまう恐怖…。これぞ『怪奇小説』!!他の作品も読みたい!!残念なのは、著者の作品はこの短編集以外は絶版になっていることです。

2016年4月4日月曜日

いま見てはいけない (創元推理文庫)

ダフネ・デュ・モーリア著 務台夏子訳
  (カバー裏より抜粋) 日常を歪める不条理あり、意外な結末あり、天性の語り手である著者の才能が遺憾なく発揮された作品五編を収める粒よりの短編集。

 著者の作品で「鳥」が好きだったので、他も面白いかもと思い購入してみた。「十字架の道」が気に入った。登場人物がそれぞれに困難に押しつぶされ、嫌な経験をし、でもそこからまた立ち上がる。ロビン少年(ナビゲーターのような役割?) を除いて。ちなみにロビン少年は実在したら凄く嫌な感じの子供ですww あとエルサレムというと3つの宗教の聖地なので、神聖とはいかなくてもそれなりの雰囲気のところだと思っていたけれど、どうも違うようだ。ま、日本の仏閣、神社も観光地だからそういうものか。「真夜中になる前に」真面目な(嫌な意味で) 教師の転落劇。自分の好奇心で身を滅ぼしていく。主人公が好人物では全然ないので、転落劇がより楽しめるww 「いま見てはいけない」は私は主人公側に近いかな。霊感のある姉妹に妻が傾倒、夫は用心するが妻の精神状態を考えると強く止めることはできない。そして姉妹の警告…。夫さん、気の毒だけど…。

2016年4月1日金曜日

さよなら、ロビンソン・クルーソー (創元SF文庫)

ジョン・ヴァーリィ著 浅倉久志・大野万紀訳
  (カバー裏より抜粋) 少年少女が過ごす冥王星での"夏休み"の終わりを描く表題作をはじめ6編を収録。

 〈八世界〉シリーズ短編の2冊目。飲み込みの悪い私も、ようやく〈八世界〉が観えてきました。一番のお気に入りは「イークイノックスはいずこに」。現在と過去が入り組んでいるので、一読目は意味がよくわからず、再度読んでみて理解、そこから面白くなりました。究極の共依存!!のお話。「ブラックホールとロリポップ」も面白い。本当にブラックホールは意志を持ち彼女と接触したのか、それとも神経障害か??他の作品もお勧め。最近一番のお気に入りの作家です。手に入る作品は少ないのが残念。