フィリップ・ペロー著 大矢タカヤス訳
(カバー裏より抜粋) 服飾が記号として機能してきた全貌を、消費社会批判やジェンダー論に通じる視座も含めて体系的に描く、モードの歴史社会学。
ドレスといえばフランスという意味不明の偏見を持つ私(ベルばらの影響大)はついつい手に取ってしまいました。そして、ベルサイユのばらの貴族の膨らんだドレスの内面に愕然とする。鋼鉄のアンダースカート(重かっただろーな)…はともかく腰下に藁で膨らみ作るの??女性のファッションへのこだわりは古今東西変わらないのだと思い知らされました。そして…よくダンスなんてできたな、とも。
衣服の歴史はやはり女性が主眼になります。この著作もです。男性も取り上げられていますが。
他に興味が向いたのは、オーダーメイドから既製服への転換。始めは既製服の概念がなくて、富裕層のお古が古着屋で下層に売られていく過程は面白いです。オーダーメイドにしても布屋は布屋、縫製は縫製で別の店…今からみると効率悪すぎですが、そうやって権益を守って自衛していたのは現代にも通じます。それが既製服から百貨店まで変わっていく過程が面白い。
あとがきに消費社会批判とかジェンダーとか書かれていましたが、それほど鼻につくことはありません。ジェンダー以前にひたすら貴族のお姫様スゲーだけです。専門の衣服関連の方々向けでしょうが、素人でも読めます。鋼鉄のアンダースカートを身につけた令嬢の努力を想像して涙したい方にもぜひ。