中井久夫著
(カバー裏より抜粋) 精神の解体を途中で食い止めるものに妄想がある。精神が、解体か分裂かの危機に瀕した時、比較的ましな方として分裂を選ぶのではないか…
妄想の役割…。妄想の時点でもうダメなんだ、と思ってしまうけど、違うんだ…。面白い、人間の体、というか脳みそ。精神病に関するというか患者との関わりに重点が置かれている著作。だけど、一般のサラリーマンの生活にも役立つというか、考えさせられることの多い内容だった。あと、アウトサイダーアートにも言及されている。プリンツホルンに対する批判も述べられている。治療の一環としての絵画を現代美術と結びつけることの問題点なども。私は納得したし、考えさせられる内容だった。
中井久夫コレクションの最終巻。良いシリーズでした。文庫で読めるのがいいと思う。