佐々木徹編訳
(カバーより抜粋)本邦初訳を含む、古典的傑作八篇を収録。読み進むにつれて推理小説という形式の洗練されていく過程が浮かび上がる、画期的な選集。
この作品集の中で一番面白かったのは「ポー」でした。ディケンズの「バーナビー・ラッジ」 が抜粋の形で掲載されていて、ポーが書いた書評が載っています。こちらも抜粋です。抜粋ですが、面白い。推理小説作家でなくとも、物書きには必要な事が説かれています。ま、マウントぎみなのは仕方ないかー。推理小説作家の元祖と言って良い作家ですから。
次に面白かったのはブラウン神父ですね。面白さは鉄板。名作です。
個人的に迷作と思ったのは「ノッティングヒルの謎」です。読んでいて疲労した…。推理小説というよりホラー寄り。双子の女性達の病状をそれぞれ日付を用いて証言者によって組み立てて行くのですが、疲れる…。そして、犯人・元凶の男爵の一人勝ち??どうなる??みたいな形で終わっているのが不満点。
現代の推理小説と比べると、謎解きは甘いと思われる作品が多いのですが、私みたいに複雑なものより適度な楽しめる小説を読みたい者にはうってつけです。現代より近世の雰囲気も好きな点ですねー。