2015年10月16日金曜日

スは宇宙のス (創元SF文庫)

レイ・ブラッドベリ著 一ノ瀬直二
 (カバー裏より抜粋) 「ヴェルヌがぼくの父親、ヴェルズが懸命なる伯父さん、ポオは蝙蝠の翼を持った従兄弟でシェリー夫人は僕の母親だったこともある。

 「火の炎」が良かった。映画にもできそうなストーリー。墓に眠る遺体が焼却処分されていく中、一つの遺体が甦った…。仲間を増やすために殺人を続け、焼却場を破壊していくのが面白い。怖いと思ったのは殺人する主人公ではなく、まだ意識を持つ主人公を焼却処分するその時代の人間。何事もなかったことにしてしまったのだから。「あの男」こういう奴いるいるという典型の船長。むかつく。
 「ウは宇宙船のウ」とこの短編集、他はあまり読んでいないけど、著者の危惧する未来像がはっきり示されている。まー人間が感情を去勢されることはないというか、無理だと思うけど。