2015年5月15日金曜日

逆転世界 (創元SF文庫)

クリストファー・プリースト著 安田均訳
(カバー裏より抜粋) 〈地球市〉と呼ばれるその世界は、全長1500フィート、七層からなる要塞のごとき都市だった。ー中略ー月も太陽もいびつに歪んだ異常な光景だった。

 序盤・中盤とグイグイと読ませてくれます。主人公ヘルワードが外に出ることを許可されて、状況が少しずつ明らかになりつね世界の異常性が暴かれていきます。なぜ?という疑問のヒントは原住民という形ででてきますので、物足りなさを感じるかたも多いでしょう。でも、SF部分だけではなく読ませる力のある作品です。ヴィクトリアの存在は序盤中盤、終盤初めまでは効いていました。ただ…非常に残念なのが終盤…。エリザベスの存在。ネタばらしがこういう形というのは納得できません。ヘルワード自身に解いて呈示して欲しかったです。もっともヘルワードはエリザベスのネタばらしに納得していません。私もヘルワードの納得のしなさに、この小説内での事実はエリザベスの言う通りでいいの?という疑問を持っています。