2010年11月12日金曜日

銅版画 江戸川乱歩の世界 (春陽堂)

多賀新
多賀新の銅版画とともに、江戸川乱歩の作品の世界を覗きみる。

 江戸川乱歩の作品解説とともに、春陽堂が出版している江戸川乱歩文庫の表紙を飾る多賀新の銅版画が掲載されている。江戸川乱歩の作品は短編の一部しか読んでいないのだけれど、多賀氏の作品の雰囲気とよく合っていると思う。どちらも美しいグロテスクかな。

2010年11月9日火曜日

江戸のはやり神 (ちくま学芸文庫)

宮田登著
既存の宗教から離れた、民衆が生み出した宗教。一時的に熱狂と衰退から民衆の宗教意識や民俗を考察する。

 ずっと不思議に思っていたこと。なぜお賽銭を置く?私は外国のことは知らないのだけれど日本人の習性?以前ある百貨店で仏像展みたいなのが開催されていた。展示物の前にはお賽銭…。人面犬や人面魚にもお賽銭あげていたのか。いったい何のご利益を求めているのだろう??物には神が宿るみたいな一種の信仰があったけど (この考えは私は好きだ。今はすたってるけど) どんなものにも神様求めてしまうのね。
 祟るものや怖いものを福に変えてしまうのも面白い。歯の抜けたお婆さんに祈って、なぜ歯が良くなるのか理解に苦しむ。ただ、昔は医学も科学の発達がないから、そういうのに頼らざるを得なかったのは仕方ないことだけど。頼るものを発想で造り上げて熱狂していくようにも読めた。で、信仰…今の時代でいうと話題を集めているもので金儲け。いつの時代もこれは一緒。
 都市伝説の類いには触れて、新興宗教…オウムとかがまだ新しいのなら天理教でもいいけど、その辺りについての考察がないのが残念。著者の考えを読みたかった。…60代で亡くなったのか…残念。

2010年11月5日金曜日

江戸人の生と死 (ちくま学芸文庫)

立川昭二著
江戸後期を生きた六人の生き方にスポットを当てる。

 小林一茶って…。知っている作品が少ないせいかもしれないが、もっと穏やかな人かと思っていた。梅毒…。本の裏に「死生観を」とか書いてあるけど、あまりそういう感じには受けとれなかった。様々な死に際があるな、と。私が底浅い人間だからだろうけど。一番凄いなと思ったのは、滝沢みち。時代が違うのだろうけど、ここまでとことん尽くすんだ…。共依存か、人が必要とされることに対する快感か…。底知れないわ。私が好きなのは上沢杜口。現代人にも共感もたれるのではないかな。p20「公務を常として、出来栄もせず、越度もなきがよし。出来したがり誉められたがるは、皆求めたる私なり。故にては怪我をする」 要は仕事は誉められる必要は無い、確実にこなしておけ、ということかな。この言葉が好きだ。
 結論。死ぬ時はぽっくり。苦しむのは嫌だ…。

2010年11月2日火曜日

江戸はこうして造られた (ちくま学芸文庫)

鈴木理生著
江戸はどうやって造られていったか。私たちが知る江戸が形成される以前の江戸は?そして消された江戸前島は?

 どうしても都市が造られる時には平面から語られることが多いのだけれど、それを立体として論じていこうという主旨でいいのかな。実は鎌倉時代〜の日本史はさっぱりでして…。有名どころの名前は知っている程度。徳川家康はこんなに土木工事やったんだ。海運はこんなに大切だったんだ。っていうか、江戸って水路だらけ…。何というか、大名の経済力を削ぐこと、江戸の経済の基盤を築くこととか巧く噛み合って回っている。江戸前島…こんな事実あったのかと。興味深い、日本史も面白そうだ。
 お墓の利用も巧くできていて驚いた。骨もゴミも埋め立ての材料ですか。なんというエコロジー。
  笑えたのは、やっかいな法律ができた後遺物の発見がなくなったという事実。まーねー、建築業者の気持ちもわかるけど、あーもしかしたら自治体も見て見ぬ振り?開発遅れたら困るしね。
 天下普請が金で代納されるようになって江戸幕府の基盤が崩れ始めた、というようなことが述べられていたけど、小さいながらも自分たちの生活も振り返らないと。とても面白く読めた。土地勘がある人なら、もっと楽しめるんじゃないかな。