2010年11月2日火曜日

江戸はこうして造られた (ちくま学芸文庫)

鈴木理生著
江戸はどうやって造られていったか。私たちが知る江戸が形成される以前の江戸は?そして消された江戸前島は?

 どうしても都市が造られる時には平面から語られることが多いのだけれど、それを立体として論じていこうという主旨でいいのかな。実は鎌倉時代〜の日本史はさっぱりでして…。有名どころの名前は知っている程度。徳川家康はこんなに土木工事やったんだ。海運はこんなに大切だったんだ。っていうか、江戸って水路だらけ…。何というか、大名の経済力を削ぐこと、江戸の経済の基盤を築くこととか巧く噛み合って回っている。江戸前島…こんな事実あったのかと。興味深い、日本史も面白そうだ。
 お墓の利用も巧くできていて驚いた。骨もゴミも埋め立ての材料ですか。なんというエコロジー。
  笑えたのは、やっかいな法律ができた後遺物の発見がなくなったという事実。まーねー、建築業者の気持ちもわかるけど、あーもしかしたら自治体も見て見ぬ振り?開発遅れたら困るしね。
 天下普請が金で代納されるようになって江戸幕府の基盤が崩れ始めた、というようなことが述べられていたけど、小さいながらも自分たちの生活も振り返らないと。とても面白く読めた。土地勘がある人なら、もっと楽しめるんじゃないかな。