2014年3月12日水曜日

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)

イサク・ディーネセン著 桝田啓介訳
(カバー裏より抜粋) 女中バベットは富くじを当てた1万フランをはたいて、祝宴に海亀のスープやブリニのデミドフ風など本格的なフランス料理を準備する。その料理はまさに芸術だった…。

 淡々とした文章なかに隠された登場人物たちの人生。人は芸術に触れるとき何を想うだろう。絵や音楽に心を打たれるように、登場人物たちは、料理に心を打たれ、長い間の小さなしこりを溶かしていく。そしてそれを読む私も、文学という芸術に触れて、心温かになった。
 で、同時収録の「エーデンガード」。実は表題作よりこちらの方が長い。物語というか童話といってもいいかもしれない。心強き乙女の忠誠の物語。カゾッテ氏の赤くなった顔を想像して楽しかった。