2015年1月5日月曜日

古代文明と気候大変動 (河出文庫)

ブライアン・フェイガン著 東郷えりか訳
(カバー裏より抜粋) 洪水や干魃などの大災害に対する現代文明の脆弱さに警鐘を鳴らす、壮大な人類史。

 「頻繁に起こる小規模な気候の脅威から身を守ろうとして、われわれはむしろ稀にしか起こらない大災害にたいして、いっそう無防備になりつづけているのである。」(p17より)
この文章が全てを現している。
 私が実感しないところで少しずつ変化は起こっているのだろう。日本は大きな変化のなかで、どのように変わっていっているのだろうか。変化が本当に実感となったとき、私には…大半の日本人には逃げ場はないだろう。
 気候の大変動と歴史…人類の移動、文明の崩壊との関係について書かれているのだけれど、とても分かりやすく面白い内容です。なるほどと思うところあり、もうちょっと考えたいところあり。どうしても生活の中では現在の気候に振り回されてしまいますが、たまには大きな視点で考えるのも悪くないと思います。

2015年1月3日土曜日

人間以前 (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 大森望編
(カバー裏より抜粋) 人間と認められるのは12歳以上、12歳未満の子供は人間と認められず、狩り立てられてしまう…

 正直再録が多いです。表題作も読んでいますから。私程度で読んだ作品が多いのですから、詳しい方にはどうなんだろ。でも初めて読む作品も多い。 「この卑しい地上に」は好きになった作品です。ありきたりのラストでは、と言われそうだけど、ストーカーの究極ですよね。ストーカーの理想型なのかも。
 再録が多いとは言いましたが、ディックの狂った感は堪能できます。でも「新世代」はちょっとありきたりかな。

2015年1月1日木曜日

蜘蛛巣城 (1957 日本)

黒澤明がシェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えて映画化した戦国絵巻。難攻不落を誇る蜘蛛巣城の城主・都築国春に仕える武将・鷲津武時と三木義明は、城の前にある蜘蛛手の森でひとりの老婆と出会い、ある予言を聞かされる。
(「キネマ旬報社」データベースより)

 初見はTV放映でしたが、山田五十鈴がヤバすぎて、もの凄く印象に残っていました。今回改めて観てみたのですが、三船敏郎だけ顔が濃すぎ、他の武者はのっぺりの日本人顔なのに。山田五十鈴顔の化粧ヤバすぎ。実は物の怪の化身では??と思わざるを得ない迫力です。鷲津=三船は顔は迫力なのですが、奥さんの尻に敷かれている小心者。奥さんと物の怪に踊らされて、自滅してしまいます。奥さんも死産で気が狂ってしまいます。最後がどうなったのかは分かりませんが、狂ってしまった以上、武家の妻としての自害もなさそう。圧巻はラストの鷲津への弓矢攻勢。これは素晴らしい出来です。全体に間が長過ぎて、人によっては退屈してしまうかもしれません。お話自体もマクベスの焼き直しですから、特にドラマチックというわけでもありません。あと、何言っているのかわからない部分も多いです。万人に勧められる作品ではありませんが、自ら狂気に陥って行く主人公夫婦とラストだけは一見の価値はあります。

バペットの晩餐会 (1987 デンマーク)

ガブリエル・アクセル監督
ただひたすらに牧師の父の教えを守り続け、慎ましく生活を送る姉妹。
そこに現れた一人の女性により、姉妹、そして周りの人間が幸せを感じ始める。
食べることの幸せ、そして心と体が温まる逸品! 


 ああ、海亀ちゃんうずらちゃん、なんという哀れな姿…!!運ばれてきた姿と料理された姿のギャップに笑ってしまった。牛の頭にも…ごめんなさい。信者のみなさんの見たこともない食材へのビビりっぷり。誰もが未知への恐怖は当然。でも基本が優しい。料理のことは何も言うまいと。で、そこから生まれる晩餐会でのギャップ。うまくできてるなー。

 姉妹の父である牧師さん、神のためなら娘の幸福は犠牲。村人も何とも思っていない様子。ある意味狂信的なんだけど、そういう集団につきものの怖さがない。優しいのです。フランス革命で追われてきた女性も受け入れる。

 小説版もとても良いです。もっと細かい事情や状況も分かりますし。でも料理自体の描写、また料理が進むにつれての村人の表情の変化などは映画の強みですね。 ようはどちらも良作なのでお勧めです。あ、力一杯のドラマを求めておられる方はパスした方がいいと思います。