2012年4月24日火曜日

肖像画・馬車 (岩波文庫)

ゴーゴリ著 平井肇訳
(カバー裏より)前途有望な画家の堕落と破滅を描いて芸術の理想を問うた「肖像画」。ウクライナを舞台にした明るい小品「馬車」。

 「肖像画」が面白かった。そういえば本当かどうかは知らないけど、宝くじ当たってダメになる話は聞くね、と。 分相応なお金が入るとダメになるのは古今東西同じだ。でも、私も主人公と同じようなことしてしまうかも。ダメになっても主人公は一応世間では成功者とされているのだから、そのまま過ごしてしまえばいいのに、そこに肖像画の呪い…。その後の狂いっぷりがいい。前編だけでも作品として成立している。後編はその肖像画の由来が明らかになる。そして肖像画逃亡()。さて、後編の語り手はもし肖像画を首尾よく手に入れていたら父の遺言通り破棄することができたのだろうか?