フィリップ・K・ディック著 大森望編
(カバー裏より抜粋) ディックが生涯にわたって発表した短篇に、エッセイ集「人間とアンドロイドと機械」を加えた全13篇を収録する傑作選。
この短篇集で私の一番は「凍った旅」。コールドスリーブ中なのに意識だけ目覚めてしまったら…。考えただけでゾッとする。肉体は眠っているのに、意識だけがある。で、宇宙船(コンピュータが制御している)は夢をみさせて何とかしようとするのだけれど…。ひたすらループ、ではなく夢が繰り返される度に状況が悪くなっていく。最期は現実が認識できなくなって…いや現実として描かれているけれど、本当に現実なのか?? 「電気蟻」も良かった。自分がロボットだと知ったら?ロボットに現実を提供する装置を消去したら?「おお、フローベルとなりて」もそうだけれど、現実や自身の存在をテーマにした作品が多かった。私の好きな分野なので、充分楽しめた。