バリントン・J・ベイリー著 中村融訳
(カバー裏より抜粋) 設計技師にして発明家のわが友人ロドリックはある夜、自分は神を殺すことができると語った…。
表題作を含めて10篇の短篇集です。どの作品も読み易くて面白いです。好みのタイプ。ただ一部の作品で主人公が…主軸となるのが誰なのか分からない作品があります。ちょっと引っかかる部分でした。
「ゴッド・ガン」主人公の友人の不安定さ。無神論者でありながら神の存在を肯定し、神の否定する。ちなみに主人公はただの傍観者です。
「空間の海に帆をかける船」宇宙は海だった…ある次元の生物にとっては。エイリアンとの遭遇ものですが、アイデアが面白い。
「死の船」タイムトラベルものです。難しい理論は分かりません、ごめんなさい。永遠のループに巻き込まれた?と思わせてのオチが秀逸。最後のほうで急に「彼」が何度も使われだしているのですが、原文もそうなのかな。それまで主人公には「ティーシュン」(主人公の名)が使われていたのに、ちょっと戸惑いました。
「ブレイン・レース」脳のレース。まんまですww この作品、主人公がコロコロ変わります。ちょっと気持ち悪い。
「蟹は試してみなきゃいけない」別に蟹を食べる話ではありません。異世界に生きる蟹種族のお話。青春しています!!全然SFっぽくないけど、この話、好きだー!!
「邪悪の種子」主人公は二人。不死の「不死身」とサイコパス気味のジュリアン。とにかく執拗に「不死身」から不死の秘密を得ようとするジュリアン。スルーしようとする「不死身」の戦い。ジュリアンへの不快感が凄いけど、結局とんでもない結果になって、でも「ザマー」という感じでもない。
気に入った話の感想でした。この著者は日本で現在手に入るのは長編ばかりで、短篇好きには残念な状況です。長編試してみるかな…。