フィリップ・K・ディック著 浅倉久志訳
(カバー裏より抜粋)第二次大戦の勝敗が逆転した世界を舞台に、現実と虚構の微妙なバランスを緻密な構成と迫真の筆致で書き上げた…
「If」もしも…という場合をテーマにしたSF。第二次大戦で勝利したのはドイツと日本だった。その中でもう一つ「If」が登場する。勝利したのがアメリカとイギリスだったら?という「If」。その「If」は私たちの現実とはまた違った世界。そして、この作品のキーワードである「易経」はそれが真実と告げる。ディックの作品らしいな…と。交錯した「If」の中で、交錯した人間関係。この作品の主人公って誰?一応フランクとジュリアナ??田上とかチルダンとかヴェゲナー、ホーソーン、それぞれが独自の物語を持ち絡んでいく。で、SFにありがちな最期ではなく、「If」ではない現実にそれぞれが生きていく。これがいい。