2012年10月16日火曜日

偶然世界 (ハヤカワ文庫)

フィリップ・K・ディック著 小野芙佐訳
(カバー裏より抜粋) 九惑星系の最高権力者ヴェリックが失脚した。だが。その政策に間違いがあったわけではない。公共の偶然発生装置ーボトルのランダムな動きによって決定されたのだ。

  ディックの長編作品は、とにかく始めからかっ飛ばす。読み始めたら止めどころが分からなくなる。読み始めは世界観がちょっとつかめなかった。けど、進めていくと慣れてくる。偶然で権力者が選ばれるけれど、ほぼ同時に刺客も選ばれ、常に命を狙われることになる。って、こんな調子で命を狙われ続けたら、政策立案どころではないだろ??と言いたい。逃げるのが仕事みたい。で、この刺客のペリグがよくできていて、一種のアンドロイド。操縦者の精神だけがそこに移動する…みたいな。それはよくある設定なんだけれど、その操縦者が幾人もころころと交代して、権力者をガードするディープ部隊を混乱させてしまう。筋書きも面白いけど、登場人物も個性的でいい。敵側がみんなくせ者すぎて、作品を面白くしている。でも、プレストンがちょっとよく分からなかった。