2016年5月20日金曜日

ポーに捧げる20の物語 (ハヤカワ文庫)

スチュワート・M・カミンスキー編 延原泰子訳
(カバー裏より抜粋) ボー生誕200周年記念アンソロジー。ホラーやユーモア・ミステリ などヴァラエティ豊かな20篇を収録。

 エドガー・アラン・ポーの作品やポー自身をテーマにした作品を集めた短篇集。ポーの作品を知らなくても読める…とはちょっと言い難いかな。「黒猫」あたりは知っている人も多いだろうけど。探偵ものの祖といわれていますし、彼の作品を元にした映画も多く作られています。ちょっと読んでみても面白いと思います。創元推理文庫から作品集が出ていますので、興味を持たれたらぜひ。
 で、この短篇集。実は始め通しで読んだ時は「イマイチ」。そういう時はひと月以上寝かせてから再度読みます。それでダメなら「さようなら」古本屋へ。この短篇集は2回目は面白く読めました。理由はわかりません。もちろん個々の作品により好き嫌いはありますが。で、今回のお気に入り「告げ口ごろごろ」祖母の財産を狙う孫が、祖母を恐怖に陥れて発狂死を狙う…ものの大失敗、そこまではお笑いだけれども、孫は少しずつ…。 「ネヴァーモア」これは静かな作品。ポーの作品を作中に用いた形。死に向かう父との誤解を解き寄り添う息子…。っていうか、父が浮気したように誤解を与えて育てた母親サイテーとかそっちに思考が行ってしまった…。「エミリーの時代」エミリー逃げてー、な作品。自己肥大した教授とその投影である猫ピージーの物語…。「告げ口ペースメーカー」告げ口心臓のパロディ…オマージュ??主人公の狂気が面白い。他も面白い作品が揃っています。ただしポーの作品ではありませんので、それを念頭に置いて興味を持たれた方はご一読下さい。
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