ヨーゼフ・ロート著 池内紀訳
(カバー裏より抜粋) ある春の宵、セーヌの橋の下で、紳士が飲んだくれの宿なしに二百フランを恵むー。
なんというか、主人公は所謂非常に嫌なやつです。ただ、この嫌なやつに、いつ自分もなるか分からない危険性に満ちています。よくあること、ありそうなこと、自分が主人公の立場にあれば、同じ行動を取るのではないかということ。人間の弱さか強さか。どのお話も明るい調子なのですが (原著もそうなのかは分からないけど) 非常に嫌な感じなのです。そして悲劇的で…。個人的には「皇帝の胸像」がよかったかな。