2010年10月1日金曜日

ブランコのむこうで (新潮文庫)

星新一著
僕そっくりの少年に出会った。彼についていった先の知らない家で起こった出来事。それは不思議な夢の世界への入り口だった。

 星新一版「不思議の国のアリス」かな。迷い込んだ夢の世界は、願望の世界であり惟一残された憩いの場であったり。「皇帝バンザイ」最近裁判のあった秋葉原の無差別殺人思い出した。作品の登場人物の方が悲惨な設定だけど。夢の中で皇帝になっていた男は心の一部に救いを残していたけど、秋葉原の犯人にはなかったのだろうか。「道」ちょっと哲学的で好き。
 主人公の少年がいろんな夢を渡って行く過程を、短篇の連作の形で綴っている。序盤正直退屈かなと思ったけど、読んでいくうちに面白くなっていった。少年が良い子すぎるのが鼻につくかな。