三田村鳶魚著 柴田宵曲編
俠客と角力、それぞれの成り立ちからその共通項を見いだせるのでは?というテーマ。時期的にタイムリーな作品が出版されたなと。
角力と俠客、それぞれの歴史、主に風俗の面を取り上げている。本の裏表紙に共通項うんぬんと書いているけど、それを見いだすのは読者の仕事かな。柴田宵曲が解説を書いているので読んでみるとよく分かると思う。
俠客も角力も始まりは身分の高いところからというのは驚いた。時代が下るに従って質が落ちて、最期はただのDQ…。角力の方は江戸時代にある程度の組織ができたようだけれど、それができていなかったらどうなっていたんだろう。K1とかみたいな見世物格闘技系になったのかな。いや、相撲も見世物だと私は思っているけど。今の角力は偉そうなだけで、格闘技系と裏は変わりなさそうだし。落語の角力の話…例えば「阿武松」「花筏」とか大好きだけど、この本読んでみた限りは創作なんだろうな…ちょっとがっかり。
俠客は映画やドラマ、小説とはかなり違っていたのね。まともに信じる方もバカなんだろうけど。有名どころがこき下ろされています。逆に知らない名前の人が、仲間のために…だったとか。そうそう、元々博打打ちと俠客は別物だったそう。始めからセットなのかと思っていた。
とても面白い作品だった。私は蘊蓄として楽しんだけれど、俠客と角力の歴史風俗に興味のある人にも楽しめると思う。最期に捌きものという作品が掲載されていたけど、これも面白い。大岡越前の話って、他の人の裁きも入っていたんだ。