ダフネ・デュ・モーリア著 務台夏子訳
表題作「鳥」他7篇。
映画の「鳥」を観て原作を読んでみたくなって購入。どちらも鳥の恐怖を描いているのだけれど、こちらは救いがない。小さな地域の、特に個人宅を描いているんだけれど、周囲の描写からだんだんと追いつめられていく様が分かる。逆に主人公はやたらと精力的になっていくのが怖い。一応原因らしい描写はあるけど、原因は重要ではなく、追いつめられる過程が面白いのだ。で、やはり「アメリカが」…大変だなー、世界の警察は。
他の作品はゾゾッと云う風ではなくて、奇妙な怖さを持っている。「番」やられた。「林檎の木」日本の怪談にもこういう感じの作品なかったっけ。「裂けた時間」もだけど、追いつめられていく様が面白い。「写真家」は主人公が間抜けすぎて…。「動機」自殺の動機を解明していくのだけど、意外性がいい。「モンテ・ヴェリタ」ちょっと私の趣味ではなかった。「恋人」主人公のこれから先に興味を持たせてくれる。歯車を壊した感じ。
何というか色々な形の恐怖…とまではいかないけど怖さが詰め込まれています。