阿部謹也著
中世賤民の外部観に関する著作。宇宙といっても所謂宇宙ではないので注意。
基本は現代の時間感覚や空間感覚を、中世に持ち込んで物事を測ってはダメだ、ということ。私たちの今の文化感覚も、後世の人々には理解仕切れない部分があるに違いない。こういうふうに考えると、歴史について絶対確実な事はないのではないかと思えてしまう。タイトルに宇宙とあるが、これは自分たちの内部を小宇宙とし、その外部を大宇宙と設定している。排泄物も宇宙から宇宙に送り出されたもの。正直言うと、本当にその時代の人が述べられているように感じていたのかちょっと疑問だけど、これが現代感覚なのでしょう。感覚が違うのに、その物差しで死生観など文化を測っては勘違いの元ととなるよ、と。遺言書の話は面白かった。っていうか、教会って清貧…。現代の日本の寺と張る貪欲さ。
で、著者が西洋には賄賂がないと述べてみえるけど、本当なの?日本に本物の無礼講が存在するの?存在するとは思わないけど。無礼講は建前で、ぜーったい何だかの報復やらがあると思う。