2010年2月15日月曜日

ファンタジーの歴史 空想世界 (東京創元社 KEY LIBRARY)

リン・カーター著 中村融訳
ファンタジーの著者や作品の歴史について。ギルガメッシュ神話から1970年代イヴァンジェリン・ウォルトンの作品位まで、著者その作品の評価、著作の影響、つながり等が述べられている。


 作者の好き嫌いがずいぶんはっきりした内容。熱弁が空回りしている印象をうけた。ファンタジーが文学として扱われず、見下されていた時代と考えれば納得はできるが。マニアには良い本なのだと思う。少し興味のある程度の人にはどうだろう。つまらないとか言うわけではない。「コナン」のシリーズの熱の入った説明などアメリカ人らしくていいと思うし、ウィリアム・モリス、ルイス・キャロルについての話は興味深く読んだ。後半の創作についての云々は中々面白く読ませてくれる。誰かに人間型以外の主人公のファンタジーをぜひ書いてほしい(猫耳とかは違うぞ)。 思考とかも人間ではないものを提示してほしい、難しいだろうけど本気で願っている。
 指輪物語に関して、女性キャラクターが弱いと述べられてるが、自分はガラドリエルとかエオウィンの印象が強いので遺憾。彼女たちの登場している部分は読み直す事が多い。好みの問題かな。ガラドリエル様は2次創作では面白…ゴホンゴホン。
 正直、読んでいて頭に入りにくい文章だった。この訳者の他の作品の訳ではそんな印象なかったのだが。人物名が多くてカタカナの量が増えてるせいかと思ったが、同じKEY LIBRARYで良く似た内容の「SF雑誌の歴史」ではそんな印象はなかった。この読みにくさがなければ良かったのだが。