臼田昭著
ピープスという17世紀の有閑階級のイギリス人の日記を著者が軽快な語り口で伝えている。ピープス氏の日記の直訳ではない。
もう少し重い読み物だと思っていたら、軽かった。気楽に楽しめた。しかし何という俗物。人間らしい人間。金、女、地位。賄賂が当たり前のように横行している。本人は日記の上でさえこれは好意で賄賂ではないと取り繕っているが、いや賄賂だしと突っ込みたくなる。自分の依頼をピープス氏に聞き入れてもらいたい庶民は、妻、娘を差し出すし。読んでいる分には笑ってられるけど、知人にいてほしくは…。いや、今も昔も変わってはいないだろう。読んでいて驚いたのは、九九を習ったというとこ。九九できなくても秘書とかできるのか…。
時代の世相や宮廷の事も描かれていて、中々興味深い。手軽に読める一冊。