パウサニアス著 馬場恵二訳
2世紀後半( ローマ最盛期 )に書かれたギリシアの紀行文の下巻。抄訳。コリント・アルゴリス・フォキス編。
今回の訳注は1/3。訳者は涙をのんで妥協したらしい。ん…文庫の読者は専門外の一般人が多数だろうから仕方ないだろう。訳者のこだわりが感じられて私は好きなんだけど。
著者はホメロスの詩歌をまるごと信じていたのか?伝承についての考察で、ホメロスが歌っているから、という理由付けが多々見られる。この時点で10世紀前でいいのかな、そして現在まで残っているのだから、ホメロス恐るべし。人類最強の文学者かも。
面白いのは「○○はこの土地発祥」とか「○○はこの土地の生まれ」とか多い事。いつの時代も…発祥の地争い、笑える。
今から1800年前…でいのかな…の紀行文が残されている、しかも著者が自分で歩いて見た正確なものが残されているのは素晴らしい事だ。そして、この時代に既に廃墟となっていたものが廃墟のまま今の時代まで残っているとか、石、恐るべしなのだ。