アイザック・アシモフ著 美濃透訳
SF短篇の古典といわれる表題作の「夜来たる」他4編。アシモフの解説付き。
「夜来たる」暗闇というのはそんなに怖いものだろうか、と考えたが、昼と夜が毎日訪れる世界に住んでいる私もやはり暗闇は怖いし、二千年毎にしか夜が訪れない世界の住人ならば恐怖はよりいっそう深まるのだろう。ここで述べられているのは日蝕による闇でいいんだよね。ということは数時間で終わる?その数時間に凝縮させられる恐怖、人間の理解の許容を越えた恐怖とは実際どんな感じなのか…文明が火事で滅びるというのはちょっと無理がないかな?とは思った。
どの短篇も面白かったけど、あと特に「ホステス」がよかった。寄生体は一種のバクかな、夢を食べるという動物。実はオチの意味がちょっと理解できてはいない。夫に利用(寄生) されて、目的を果たしたので捨てられた、でいいのか?「人間培養中」もいい。どちらも形は違うけど、人間の生を支配する別の存在があるというお話。こういのが私の好みなのかも。
アシモフの解説も面白い。「緑の斑点」は「不名誉な任務」というタイトルより絶対良いと思う。アシモフの話の中にタイトルが変えられるということがよく述べられているけど、現在もあるのかな。